怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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やっと時間ができたよ…




忘れもしませぬ。あれは拙僧が“村”の守護神だったころ・・・65

 

 

 

『―――は?』

 

 

『何を呆けておるのです!急がねばもう時間が―――ッ、追いつかれたか!』

 

 

 

 その並々ならぬ慌てぶりは、自分の事ながらまるで信じられませんでした。思わず聞き返して、

 

 

 

『一体何故そのような状況になったので?』

 

地雷を踏んだ(・・・・・・)のです。まさか深界六層に斯様なものがあるなどと思わずッ!ぬォオッ!』

 

 

 

 言われるままに感覚を同期させれば……なるほど。確かにこれは声の一つも上げたくなりますなァ。

 感覚を共有してすぐに目に入ったのは、両足を吹き飛ばされた(・・・・・・・・・・)式神と、それに抱えられておられるファプタ殿でした。後ろにはガブールン殿も着いておられまする。

 小規模な転移術式を絶えず繰り返しているようですが、相手はそれ以上のスピードでこちらに迫っているので、まさに焼け石に水。

 

 

 

『まああアアァァァテェぇぇぇぇぇ!!』

 

 

『ええい小癪な!〈急々―――』

 

 

『ドぉリャアアあああ!!』

『うるさっ』

 

 

『―――なんとォ!』

 

 

 

 迎撃を試みればすぐさま反応し、そこらに生えている樹木などを引っこ抜いて、さながらミサイルの様な速度で撃ち出すものですから、お荷物(姫君)を抱えたままでは戦闘にすらなりませぬ。

 生身の人間だというのに……どれ程の筋力があればこんな芸当が?

 

 

 

『ンンンンン……分かりました。ではファプタ殿を早く此方に』

 

 

『少々お待ちを…………今ッ!

 

 

 

 〈急々如律令〉!

 

 

 眼前に迫る巨石と、大質量の物体に磨り潰される感覚を最後に、式神“二号”との一切の感覚共有が絶たれました。

 

 

 

 

 

 

「う゛う゛う゛ぅ゛……なんそすかなんそすか。何でこんな事になってるそすか…」

 

 

『ファプタ、ファプタよ。大事無いか』

 

 

「大事しかねーそすぅーー!!」

 

 

 

 僥倖僥倖!転移は無事成功しました!お二人ともご無事で何よりですねェ!ですが…

 

 

 

 何です(・・・)アレ(・・)

 

 

 

 あのように巨大な熊の如き風貌をした(キャラクター)なぞ拙僧知りませぬぞ?

 寸胴の様な体型ではありましたが、胸部に細やかなれど膨らみを有しておりましたので、恐らく性別は女。

 もう一人女が肩にも乗っておりましたがアレは何なのでしょう?

 

 何もかもが全く分かりませぬ。これが、これこそが全く未知の世界……いえ、通常はこれが普通なのですが。

 

 

(……一度大規模な未来視を行う必要がありますな)

 

 

「おいデカ男!オメーも何か言えそす!」

 

 

「―――ソソソ。どうかお静かに…」

 

 

(取り敢えず一旦"村”に戻りますかねェ…こうも騒がしくては考えを纏めることなど不可能に―――)

 

 

「二度は言わぬが?」

 

 

「……ええ、承知しておりますとも」

 

 

 




またまたたまたま失踪します。
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