怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
『―――は?』
『何を呆けておるのです!急がねばもう時間が―――ッ、追いつかれたか!』
その並々ならぬ慌てぶりは、自分の事ながらまるで信じられませんでした。思わず聞き返して、
『一体何故そのような状況になったので?』
『
言われるままに感覚を同期させれば……なるほど。確かにこれは声の一つも上げたくなりますなァ。
感覚を共有してすぐに目に入ったのは、
小規模な転移術式を絶えず繰り返しているようですが、相手はそれ以上のスピードでこちらに迫っているので、まさに焼け石に水。
『まああアアァァァテェぇぇぇぇぇ!!』
『ええい小癪な!〈急々―――』
『ドぉリャアアあああ!!』
『うるさっ』
『―――なんとォ!』
迎撃を試みればすぐさま反応し、そこらに生えている樹木などを引っこ抜いて、さながらミサイルの様な速度で撃ち出すものですから、
生身の人間だというのに……どれ程の筋力があればこんな芸当が?
『ンンンンン……分かりました。ではファプタ殿を早く此方に』
『少々お待ちを…………今ッ!』
〈急々如律令〉!
眼前に迫る巨石と、大質量の物体に磨り潰される感覚を最後に、式神“二号”との一切の感覚共有が絶たれました。
「う゛う゛う゛ぅ゛……なんそすかなんそすか。何でこんな事になってるそすか…」
『ファプタ、ファプタよ。大事無いか』
「大事しかねーそすぅーー!!」
僥倖僥倖!転移は無事成功しました!お二人ともご無事で何よりですねェ!ですが…
…
あのように巨大な熊の如き風貌をした
寸胴の様な体型ではありましたが、胸部に細やかなれど膨らみを有しておりましたので、恐らく性別は女。
もう一人女が肩にも乗っておりましたがアレは何なのでしょう?
何もかもが全く分かりませぬ。これが、これこそが全く未知の世界……いえ、通常はこれが普通なのですが。
(……一度大規模な未来視を行う必要がありますな)
「おいデカ男!オメーも何か言えそす!」
「―――ソソソ。どうかお静かに…」
(取り敢えず一旦"村”に戻りますかねェ…こうも騒がしくては考えを纏めることなど不可能に―――)
「二度は言わぬが?」
「……ええ、承知しておりますとも」
またまたたまたま失踪します。