怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
怒りに顔を歪ませるファプタ殿をなんとか宥めた拙僧は、あれやこれやと考える前に一度拠点に戻ろうと“村”まで転移しておりました。
ファプタ殿とガブールン殿は今日の疲れを癒やすべく寝床に直帰され、それを見送った後。拙僧は頭を抱えておりまする。
今後の行動を決めるためにも未来視をする必要がある訳ですが、その未来視も無論タダとは行きませぬ。準備が必要ですので。さてさてその為には……ンンンンン。
上等な贄が必要なのですが…
「ドーマン?戻っていたのか!どこを探してもいないから何かあったのかと―――どうしたんだ?そんな難しい顔をして」
「これはレグ殿……いえいえお気になさらず」
「いやぁ。その顔で『気にしないで』と言うのは無理があるぞ…」
なんと。それ程までに酷い顔でしたかねぇ?いつも通りの表情なはずなのですが……何でもないと少しばかり圧を加えて微笑みかけておりますと、レグ殿が、やはり心配そうにこちらを見ておられます。
「ドーマン、本当に大丈夫なのか?何か悩みがあるなら、ボクで良ければ話してくれないだろうか?」
「……ンン。では他言無用でお願い致しますぞ?」
「分かった。絶対に誰にも話さないと誓おう」
そして、拙僧はレグ殿に事の顛末を話すのでした。
「―――外でそんなことが……それで、ドーマンはこれからどうするんだ?」
「それが問題なのですよ。レグ殿」
「問題?」
「はい。今の所……何と申せば良いのやら。そう。つまりは“服を買いに行くための服が無い”のです。拙僧が今後の行動を決めるにしてもそれはそれで問題が多々ありましてなァ…」
「服を買いに行くための服…?すまない、どういう意味だろうか?」
「ソッ。ンン…」
正直あまりの言い草に我ながら呆れてしまっておりますぞ。
しかし、まあ、事実ですしなァ。
今の拙僧では、遥か未来を視る事が出来ぬのです。上等な贄さえあれば未来を視る事は可能で、その贄の目星も付いておりまする。ただそれをしてしまえば一人が死んでしまい、延いては、拙僧の目標である『ただ綺麗なだけの物語を見る』も達成不可能となりますれば…
嗚呼笑止!何たる無様か!斯様な精神状態では大規模な未来視なんぞ夢のまた夢!!
……ああ。いけませぬいけませぬ。この様では何もできぬでしょう。一旦頭を冷やして……久々に睡眠でも取りましょうかねェ…
どうあれ拙僧の式神を殺した者共はこの“村”までは来れませぬからな。時間はまだありまする。ええ。きっとそうでしょう。
宿に帰るドーマンを見送りながら、ボクは慣れない考え事をしていた。
(さっきは“誰にも話さない”と言ったが……こんなのボク一人で抱えられるような問題じゃないぞ!?)
ドーマンが話してくれた外の状況は、リコ達の反応がまるで予想できないほど度し難いものだった。
どうやらボクや、この“村”の住民とは全く別の探掘家がいたらしく、ドーマンはその人物たちと交戦したそうだ。
撃退はできたらしいが
そう。手傷を負った、らしい。
(今までの旅も決して油断していた訳じゃない。どの冒険も命がけで―――あれ?)
(―――ボクらって、ドーマンに頼りすぎていないか?)
そこまで考えて思わず冷や汗が流れる。お世辞にもボクらは
彼は―――ドーマンは、そんなお荷物な子供を五人も、忙しなく介護しながら降りてきたのか…?今更ではあるがその事実に戦慄する。
そうだ。そもそもがおかしい。なぜドーマンはこんなにもボクたちを助けてくれるんだ?ボクたちはドーマンに、何も返せてなどいないというのに。
……ボクはなぜ、今更になって、こんな当たり前の事に気づいたんだ?なぜ今まで、こんな当たり前の事に気が付かなかったんだ?こんな単純な事、気付く事の出来るタイミングはいくらでもあったはずだ。例えば……例えば?
(まずい…。何かが、まずい…)
これ以上は考えてはいけない。僕が踏み込んでいい領域じゃない。誰か、誰か別の人、そう、リコに…
ああダメだ。ドーマンと約束してしまった。外で起こったことを、他の誰にも話さないと約束してしまった!
「どうすればいい……ボクは…」
皆で一緒に考えたいという想いと、約束を破ってはならないという理性が頭の中でせめぎあってぐちゃぐちゃだ。
ボクは暫くここに立ち尽くして、それで考え付いた。
ボクは―――
特に全く意味のない普通のアンケートだよ★
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A
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A'
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B