人通りの多い道を歩いているからそりゃ色んな人を見るが
「なんだあの光景・・・」
大きな身体いや、がっちりとした体型の初老の男性が手には買い物袋を持ち両腕には瓜二つの大泣きしている子供を抱えている。それだけなら、おじいちゃんと孫なのだが異質なのはおじいさんの方の服装だろうか
明らかなる執事服に腰には一振りの剣。実は騎士だったりするのだろうか?その顔は困り果てている顔をしているが
「す、すみません」
「む?どうかされましたか?」
「いや特に用という用はないんですけどなんか困ってる顔をして右往左往していたので大丈夫かなと・・・」
「あぁ、実は・・・」
このおじいさんは今に至る過程を話してくれた
「なるほど、迷子らしき子を見つけて抱きかかえたはいいけどずっと泣き続けていてどうしょうもないと」
「えぇ。お恥ずかしい話ですが子供をあやすのは不得意でして・・・」
「そういうことなら、ここは一つ俺に任せてください!!」
子供と言っても3〜4歳っぽいな。なら
「いないな〜い、ばあっ!」
両手で顔を上下に引っ張って渾身の変顔どうよ!?
「「びぎゃあぁぁぁぁああああ!!」」
「・・・・・・・・・すみません。駄目みたいです・・・」
「そ、そこまで気を落とさずとも・・・」
子供に泣かれる上におじいさんに余計な気遣いをさせてしまった
「いや、まだだ。おい、ちびっこども俺の手を見て見るんだ」
「「うあっ?」」
「この通り俺の両手には何もありません。しかし、こうやって手を握って魔法を込めて手を開くと・・・ほらっ、飴の完成だ」
「「すっげえーーーー」」
こいつらさっきから息ピッタリ過ぎだろ。双子か?
「「なにこれ?」」
「あれもしかして飴知らないのか。まぁ、舐めてみろって」
双子?は、俺の言われたとおりに持ちてを握って飴を加える。ちなみに、飴はお子様が大好きなペロペロキャンディだ!
「「うめぇーーー!!」」
こいつら割と語彙力がしっかりしてるな
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「ここがお前達の家か」
「「そうだよ、スバル」」
「じゃあ、これに懲りたら勝手に家を出るんじゃないぞ」
「「わかった。ありがとう、スバル」」
「おう」
手を降って迷子の双子が家に帰ったのを確認してほっと一息
「助かりました、スバル殿」
「あぁ、いえいえ俺はただおもちゃになってたっていうか・・・」
飴を渡して泣き止んだあと双子から事情を聞いた
二人して勝手に家を出て街を歩いていたらしく迷子になってしまって泣きそうだったところをこのおじいさんに声をかけられ誘拐されると思いこんで泣き出しららしい
なんつーかすごい想像力だがそこが子供らしいというかなんというか
ともかく双子は住んでる家の場所はわかるのであとはこのおじいさんの案内で家まで送ったというわけだ
その道中で俺は髪の毛引っ張られたり大量に飴をせがまれたりして、たいへんだったわけだが不思議と悪い気はしなかったな
「そういえば自己紹介がまだでしたな。私は公爵家カルステン家に仕えているヴィルヘルム・トリアスと申します」
「あっ、いやそんなご丁寧に」
なんだろうな。このおじいさん改めヴィルヘルムの前だと妙に畏まってしまう。いや、この人にそうさせるオーラ、風格がある。俺の本能が何かを訴えているように感じる
「いえ、スバル殿には本当に助けられました。恥ずかしながら子供がどうも苦手というか上手く接することができなくてですな・・・」
「ヴィルヘルムさんは子供とかいないんですか?」
「・・・・・・・・・」
あれ急に渋い顔を顔をしてしまったぞ。なにか不味いことを言ってしまったか・・・?
「恥ずかしながら育児は妻に頼りっきりでした。子供に接するのが苦手というか、私が下手だったのでしょうな」
「なるほど。そういえばヴィルヘルムさんのこの後の予定は?」
「私は途中で別行動となったフェリスと合流しなければ。スバル殿は?」
「あー、俺はちょっと詰所に用があるんですけど何処にあるかわかります?」
「詰所なら案内できますが、何の用が」
「いやー実はカクカクシカジカで・・・」
俺は大まかなこれまでの成り行きをヴィルヘルムさんに話した
「なるほど。貧民街の奥にある盗品蔵に行かなければならないが、そのあたりで腸狩りの目撃情報があり詰所に行って助けて貰おうと。しかし、スバル殿その見積もりは甘いという他ありませんぞ」
「え?」
「詰所には確かに衛兵がおりますが、道案内や落とし物などならすぐに行動してくれるでしょうが、スバル殿はあくまで目撃情報の噂を聞いただけであり、実際に見たわけではないので相手にされるかわかりません。もし、相手にされたとしても動くのは明日の朝。それも腸狩りはかなりの手慣れと聞く。並の衛兵では太刀打ちできるとは、考えにくいですから騎士も動くでしょう。そうなるとやはり、動くのは明日の朝かと」
「でも、それだと遅いんですよ!!あの娘が死んでしまうかもしらない!!」
「あの娘?スバル殿の用ではないのですか?」
「正確には俺の用です。俺のあの娘への恩返し」
俺が言い切るとヴィルヘルムさんの目つきがこころなしか鋭くなった気がする
「作用ですか。なら、未熟者ですが、私がついていきましょう」
「えっ、でも、ヴィルヘルムさんにも用事があるんじゃ?それに危ないと知りながらそんなこと・・・」
「たまにはフェリスに怒られるのもいいでしょう。それにこう見えても昔は騎士でしたから。みすみす知り合いを見捨てることはできません」
「ッ!」
最初は異世界とはいえ、あんま元の世界と変わんないなとか思ってたけど、全然そんなことねーじゃん
サテラ(偽名)といいラインハルトといいヴィルヘルムさんといい自分のことより他人を優先とか・・・良い人すぎんだろ
「じゃあ、すみません。頼んでもいいですか」
「もちろんです。では、早速いきましょう。その盗品蔵までの道はわかるのですかな?」
「あぁ、それは完璧です。こっちです」
俺は盗品蔵へ向けて歩き出した。1人ではなく、2人で
「ところでスバル殿の用は具体的にはどんなものなのですか?」
「なんかその娘曰く、とても大事な徽章を盗まれたらしくて。それを取り返すために盗品蔵に行かないと行けないんです」
「その徽章が盗品蔵にあるという確証は?」
「その盗んだやつがフェルトっていうやつなんですけど、そいつ盗品蔵で盗んだ物を取り扱うんです」
「なるほど。一応確証はあるのですな」
「そうっすね。そういえばヴィルヘルムさんはさっき騎士って言ってましたけど、今は違うんですか?」
「ふむ」と言って、顎に手を添えて何か考える仕草をするヴィルヘルムさん
「そうですな。なんとお伝えすればいいのか」
「あぁ、無理に教えようとしなくていいですよ。正直俺も聞かれても答えられることの方が多いんで・・・」
住所不定の無一文で無職で戸籍なし・・・なかなか苦しい境遇だぜ。今更感半端ねぇけど
「そういえば、スバル殿は珍しい格好をしておりますな。動きやすそうな服だ。それなりに奇抜なデザインではあるが・・・」
「おっ、ヴィルヘルムさんそこに目をつけるとはお目が高い。これは、俺の故郷の万能服、ジャージです!運動にもよし、寝間着にもよし、上に羽織るのもよしの優れものです!!」
「スバル殿の故郷の物でしたか。いや、確かに見たことない素材で出来ている。出身はどちらで?ルグニカでは無いような気がしますが」
「あー、さっきもいったとおり俺あんまり聞かれても答えられるものが少ないんですよね。まぁ、一応東にある日本と答えておきますけど・・・」
「ニホン・・・?聞いたことがないですな」
「デスヨネー」
「それほど辺境の地というわけか・・・ならばその見たこともない服装も納得できます」
おっ、勝手に違う方向にいい感じに勘違いしてくれた。ちゃんとした説明めんどくさいし
「ヴィルヘルムさんは生まれはこの国なんですよね?」
「えぇ。生まれも育ちもこの国です」
そこで会話が途切れた。しっかし、二回目は余裕がなかったからよく見てなかったけど貧富の差がだいぶ酷いな
生き生きとしてる目を見つける方が大変だぜ
「あっ、花だ」
「花、ですか」
「こんな所では花は力強くて綺麗だな」
俺がしゃがんで花を見ると
「私と妻はここで出会いました。昔は野原で多くの花が咲いていました」
「奥さんは花が好きなんですか?」
「えぇ。わかりますか?」
「ヴィルヘルムさんの花を見つめる目を見るとそんな感じが」
「妻は花がよく似合う女性でした」
そう言ってヴィルヘルムさんは、昔を懐かしむように茜色に染まった空をそっとのぞいた
割と強引にヴィルヘルムさんを仲間にした気がする
スバルの行く末
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公爵家へ
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メイザース領へ