バトロイストライカーズ -B.R Strikers-   作:lharc

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第一話「バトルロイヤル!」

 ここは新興都市『ネオ東京』近年の都市開発により非常に発展しており、道路には自動操縦の自動車が行き交い、人々はAIの力でなに不自由なく暮らしている。

 そしてその真ん中には大きなドームが一つ。そこに大勢の人々が向かっていた。彼らはあるものを見に来ているのだ。

 

「なぁ! 今日の試合すごいらしいぜ!」

「マジか。そいつは楽しみだ」

「中でもあの『飛鳥』って奴はまだ高校生らしい」

「将来有望じゃねぇか……」

 

 ある者は徒歩で、またある者は自動車で、ドームへと向かっていく。話を聞いた限りではそこで『試合』があるらしい。

 ということでドームの中を見てみよう。

 

「リュウ! ぶちかませ!」

「晶! 負けるんじゃねぇぞ!」

「飛鳥! がんばってくれよ!」

「ヒトミ! 応援してるぞ!」

 

 ドームの中では四人の戦士が戦っており、そして満員の観客席から多くの人々が見守り、彼ら彼女らを応援していた。これが『試合』というものらしい。

 

「はあああああっ!」

 

 最初に動いたのは『晶』と呼ばれた青年だ。彼は青い道着に白いはちまきを身につけ、逆立った髪型をしていた。

 彼は『リュウ』と呼ばれた袖が破れている白い道着を着た青年に突進する。しかもこれはただの突進ではない。八極拳の技の一つ『裡門頂肘(りもんちょうちゅう)』だ。

 そう、彼こそは八極拳の名士『結城晶(ゆうきあきら)』である。

 

「くっ……!」

 

 しかし相手の男も負けてはいない。裡門頂肘で繰り出された一撃を見事両腕で防いでみせた。しかしその一撃は重く、ダメージをゼロにすることはできなかった。

 

「せいやぁぁぁっ!」

「「!」」

 

 二人の動きを見逃さなかった『飛鳥』と呼ばれた少女がそこに向かって走り、勢いよく飛び上がる。

 その少女は濃いめの茶髪と制服姿、そして特徴的な赤いスカーフを身に着けていた。

 彼女は空中から晶と相手の男めがけて二本の刀を勢いよく振り下ろした。

 二人はとっさに距離を取り、その攻撃を回避。この攻撃で周囲の地面が砕けたところを見ると、どうやら相当な破壊力があったようである。

 

 ところで、先程の攻撃が外れたことで少女に隙ができた。『ヒトミ』と呼ばれた別の少女がそこに潜り込んで連続で激しい突きを繰り出していく。

 茶髪でセミロングのその少女は、キャミソールとジーンズを着用しており、その腕にはオープンフィンガーグローブをはめていた。

 

「くっ……! うぁぁぁ!」

 

 対処が遅れた飛鳥はヒトミの攻撃を捌ききれず大きく吹き飛ばされ、勢いよく壁に叩きつけられてしまう。ついでに言うとそのせいで壁に大きなクレーターができあがった。

 

「はあああああっ!」

 追い討ちをかけるべく全速力で走るヒトミ。

 飛鳥もその動きを警戒し、じっと相手を見つめていた。

 

「ぐぐっ……! まだ! 私はまだ負けてない!」

 

 飛鳥は体勢を立て直すとヒトミの方に向かって大きくジャンプし、技の構えを取る。その技は――――

 

「やああああっ!」

「あっ……あぁぁぁ!」

 

 ――――『飛翔乱舞』

 空中から勢いよく的に飛び込み、連続で攻撃する技。ちなみのこの技は本来、 吹き飛ばした相手に追い打ちをかけるために使う技である。

 それはさておきこの猛攻の前にはヒトミも大弱りだったようで、大きく吹っ飛ばされてしまった。

 

「まだまだぁっ!」

「くっ……! 波動拳!」

 

 飛鳥がヒトミに猛攻を仕掛けたその一方でこちらの方も猛攻を仕掛けていた。晶が八極拳の猛攻をリュウに浴びせているのだ。

 それは重く、かつ激しいものであったためリュウはガードするのが精いっぱいであり、防戦一方になってしまう。

 やがてこれに耐えかねたリュウは相手に背を向けることなく距離を置き、両掌から気弾をアキラめがけて放った。『波動拳』だ。

 

「はああああっ! 鉄! 山靠!」

 

 晶もリュウを追って走り始める。その途中、自身の目前に気弾が迫っていることに気づいた彼はある技を使ってこれを迎撃しようとした。

 屈んでから背面や肩で突き上げるように突進するその技は『鉄山靠(てつざんこう)』。波動拳を背中で受けた晶はそのままリュウめがけて攻撃を仕掛ける。

 

「昇龍拳!」

「ぐはあっ……!」

 

 が、失敗。紙一重のところで避けられてしまい、それどころか顎にリュウの得意技の一つであるアッパーカット『昇龍拳』をもろに受けてしまった。

 『神に拳を向ける』のではなく、純粋に『武闘家としての高みを目指す』拳を。

 当然晶は大きく吹っ飛ばされてしまうが、すぐに体勢を立て直し地面に降り立つ。

 

「なかなかやるな……もっと俺を熱くさせてくれ!」

「あんたもな……いい拳だ!」

 

「あなたのような人に会えるなんて……ここに来てよかった!」

「飛鳥さん……私も、同じ気持ちです!」

 

 四人が動きを止め、互いを認め合った。それだけの実力が彼ら彼女らにはあったということだ。

 そこからしばらくして、四人は一斉に跳躍する。それぞれが戦っている相手へと向かって――――

 

「「「「はああああああああっ!」」」」

 時は近未来、世界ではあるスポーツが流行っていた。

 その名は「バトルロイヤル」四人で戦い、最後に生き残ったものが勝利するという単純なものであったが、盛況を極めていた。

 そして、「バトルロイヤル」で戦う戦士のことを、人は「バトロイファイター」と呼んだ――――

 

 ――――――――

 ――――――

 ――――

 ――

 

「今日も始まりましたバトルロイヤル! 今から選手が入場いたします!」

 

 ネオ東京の中心にある、とても大きなドーム。

 その中で、選手の入場を告げるアナウンスが響く。観客席は今日も繁盛しており、歓声が絶えることはなかった。

 そして、ステージのドアが開き、選手達が姿を現していく。

 

「赤コーナー! その動きはまるでニンジャのよう! 若き女子高生バトロイファイター『飛鳥』!!」

 

 一人目の選手は、学生服を纏ったこげ茶色の髪をしたポニーテールの女子高生。

 普通の女子高生にしか見えないが、赤いスカーフや腰にさした二本の刀はまさに『戦士』そのものだった。

 傷の様子からも、冒頭の戦いからだいぶ時間が経っていることが伺える。

 

「青コーナー! そのキックは岩をも砕く! 女だからと言って侮るなかれ『葛城』!!」

 

 二人目の選手。

 彼女も飛鳥のように、学生服を纏った金髪ロングストレートの女子高生。

 両足に身に着けている金属製の具足は、彼女が『戦士』であることを証明するにふさわしい代物。

 

「あ、かつ姉!」

「お前もいたのか……手加減はしねぇからな、全力で来い!」

「わかってるよ!」

 飛鳥と葛城の二人が軽く会話をする。どうやら以前からの知り合いだったらしい。

 そしてまた、構えを取り、3人目と4人目を迎え撃つ。

 

「黄色コーナー! 燃え盛る紅蓮の炎! それを纏いし六本の鋭い刀『焔』!!」

 

 3人目の選手。

 こちらは学生服のようで学生服でない独特な衣装を身に纏った褐色の黒いポニーテールの女戦士。

 アナウンス通り、六本の刀で戦う炎の戦士だ。

 

「焔ちゃん!」

「飛鳥か、相変わらずいい面構えだ……初めて会ったときとは大違いだ」

「そりゃ私だって負けてられないよ! 忍b……道を極めたいからね」

「ふっ……お前は私が認めた女だ。手加減は一切しない」

「言われなくても大丈夫だよ……」

 

 飛鳥と焔も会話をする。

 この二人は以前からの知り合いのようで、互いに実力を認めあっていた。

 ちなみに「(しのび)」の存在に関しては機密事項であるため、うかつには口にできない。

 飛鳥たちも、その事は承知していた。

 

「緑コーナー! お前ほんとは感情あるだろ! 闇夜を駆けるアサシン『日影』!!」

「ないって言っとるやろ……」

 

 4人目の選手。

 それは緑髪のショートヘアーとつり目をしており、蛇が描かれた黄色いシャツを着ていた。

 そしてその手足に仕込まれた暗器はいかなる敵をも切り刻む。

 本人曰く感情はないらしいがその真相はいかに?

 

「日影か……今日も楽しませてくれよ!」

「あんたが相手なら、楽に勝つのは無理そうやなぁ……」

 葛城と日影が軽く会話をする。

 これで、全ての選手が入場した――――

 

「それでは試合を開始いたします! 用意……!?」

 

 試合開始を告げるアナウンスが流れたその時だった。

 突如会場内の照明が、切れた。

 会場内が大きくどよめく。そして飛鳥たちも相手の次の動きに警戒していた――――

 

「な、なんだぁ!?」

 

 突如ワイヤーが張られ、それづたいに無数の武装兵が空中から降りてきた。

 そして、観客やファイターたちに銃を向けた。

 突然の事態に観客の一人が思わず驚愕する。

 しばらくして、落ち着いた男の声でこのようなアナウンスが響き渡った。

 

「この会場は我々が制圧する。我々はセーレ、バトルロイヤルの改革者である」

 

(ふむ……せっかくの休日にこんな事態に会うとはな。私もついてないな)

 

 観客席に座っていた一人の青年『近藤正義』は自らの武器である頑丈な刀『国光・改』と、

 強力なリボルバー銃『パニッシャー・改』をセーレに気づかれないように持ち、いつでも戦闘出来るように準備する。

 その青年は黒の短髪と青いミリタリーコートをしており、顔つきもなかなか整っていた。

 

「!」

 別の方角では緑色の長い髪をした青年『冴太郎(こたろう)』が持っていた刀を手に取り、セーレの出方を冷静にうかがっている。

 ちなみにこちらも近藤同様になかなか整った顔つきである。

 

「アタイたちの邪魔をするなっ!」

「わしらの戦いを邪魔するとは。あんた、なかなかええ度胸しとるなぁ……」

 

 会場では葛城と日影が『セーレ』と名乗る一団に啖呵を切っていた。

 二人は銃を向けられているものの、一切動じていない。

 それは他のファイターも同じだった。

 

「みんな怯えてるでしょ!?」

「どう改革したいのかは知らないが、お前達には賛同できないな……」

 

 飛鳥と焔も続いてセーレに啖呵を切り、戦いの構えを取る。

 

「減らず口を……後悔させてやるっ!」

「ふっ!」

 

 武装兵の一人がビーム砲を飛鳥に向けて放ったが、飛鳥は大きく跳んでそれを回避。ビームは地面に当たり大きな爆発を起こした。

 

(……アルテミスがあれば特に問題ない)

 

 観客席の一番隅に居た一人の白髪のショートヘアーをした少女。右目に青い炎を纏った彼女の名前は『月野 聖奈』

 この手の事態は傭兵である彼女にはよくあることだったらしく、特に気にしてはいないようだった。

 彼女はレーザーブレード『アルテミス』で斬りつけに行こうか考えたが、一番近い敵でも大型銃『Voltackle(ボルテッカー)-V4X』で十分対峙できることと、相手の武装を把握しこれは狙えると判断してすぐに彼女は構えを取り――――――

 

「さよなら」

 

 一番近くに居た武装兵にVoltackle-V4Xで超高速の電磁加速弾を放った。

 

「ぐああっ!」

 

 その武装兵は飛鳥に気を取られていたため、見事直撃し大きく吹っ飛ぶ。

 しかし武装兵は彼だけではない。他の武装兵が一斉に銃を向け、敵対勢力めがけてビーム砲を放った。

 

「はあああああっ!」

 

 飛鳥が叫び、全速力で走り出す。葛城と焔も同様であった。

 彼女たちは攻撃を避けながら武装兵たちの方へと走り出していく。冴太郎は刀で敵が放ったビームを斬りながら。

 

「観客席に向かってビーム砲を放つとは……改革するのは良いとは思うが、君達には賛同できないな」 

「ぐああっ!」

 

 一方近藤は土を操る魔法で観客席の床を変形させ盾を作り、ビーム砲を防いでいた。

 そして防いだ後に武装兵に接近しつつ武装兵に向かってパニッシャー・改を放つ。その弾は鋭く尖っており、貫通するようになっていた。

 

 そして、武装兵の一人にパニッシャー改が背中に見事直撃。

 大きく吹っ飛ばすことに成功し、冴太郎と近藤は無事接近できた。

 

「はっ!」

「でやあっ!」

「おらあっ!」

「せいっ!」

 

 飛鳥たち四人も武装兵たちに攻め立てる。その結果、武装兵はその勢いに圧倒されていく。

 

「はああああっ!」

「ぐふっ!?」

 

 同じ頃、冴太郎も武装兵めがけて刀を振り下ろし、思いきり見舞った。武装兵は怯み、大きくよろめく。

 

「なめるなよ……これならどうかな!」

 

 戦局は飛鳥たちが有利だったが飛鳥たちの攻撃で吹っ飛ばされた武装兵の一人が起き上がり、葛城の背中を撃とうとビーム砲を構えた。

 葛城はまだ気づいていないようだった。

 

「……『飛龍一閃』!」 

「ぐへぁ! ……まだまだぁ!」

 

 それを見た近藤は自身の『国光・改』に風の魔法を付加してから横薙ぎに一閃する。すると、三日月の形をした2mほどの幅の風の刃が出現し勢いよく放たれた。

 

 その刃は葛城を狙っていた武装兵の背中に直撃。ダメージは入ったが武装兵はまだまだ戦えた。

 そして飛鳥に狙いを定め、ビーム砲を撃った――――

 

「!? ……うぁぁぁ――っ!!」

 

 ビーム砲は武装兵たちと交戦していた飛鳥の背中にクリーンヒット。

 壁に穴を空けながら大きく吹っ飛ばされ、会場周辺の道路に転がり込んだ。

 

「飛鳥! ぐっ……」

 

 葛城が気づいて叫ぶも武装兵の数が多いために救出にいけない。

 処理に手間取っているのだ。葛城は自慢の蹴り技で武装兵を迎え撃ち、チャンスを作ろうとした。

 

「まだ動けたか。……飛鳥は私が救出しに行った方がいいな」 

 

 近藤は飛鳥を撃った武装兵に向かってパニッシャー改から貫通弾を3発放ったあと、飛鳥が吹き飛んだ方向に向かって走り全速力で救助に向かう。

 

「うぐぅっ……!」

 

 貫通弾は飛鳥を撃った武装兵の背中に全て命中し、相手をよろめかせた。

 

「わかった……お前も気をつけろよ! 『トルネード・シュピンデル』!! でやああっっ!」

 

 葛城は走っていく名も知らぬ男(近藤)に一声かけた後、秘伝忍法『トルネード・シュピンデル』を使う。

 彼女がブレイクダンスのような動きをすると同時に激しい竜巻が巻き上がり、飛鳥を撃った武装兵も含め周囲にいる武装兵を吹っ飛ばした。

 しかも先ほど飛鳥を撃った武装兵は貫通弾も喰らっているのでもう戦闘不能だ。

 

 そしてその頃、

 

「……焔と日影、だったか?」

 

 一人のスーツを着た中年男性が観客席に現れ、焔たちに声をかけていた。

 

「『魁』!」

「『ぶっさし』!」

「「「ぐあああああっ!」」」

 

「誰だ、お前は……??」

「何や? あんた……」

「私はセーレの総裁だ。いきなりだが私と一緒に来る気はないか……?」

「お前達には同意できないと言ったはずだが……??」

 

 『魁』『ぶっさし』で武装兵を3人ほど撃破したのち、不意に声をかけてきた男に振り返る焔と日影。

 『セーレの総裁』を名乗るその男は、焔たちをスカウトする魂胆のようだ。

 しかし、焔は、焔たちはセーレの思想には賛同していなかった。

 

「君の事はよく知っている。たしか『抜け忍』だったか……」

「だからどうした……??」

「『月に最高級の肉を半年間毎日食べてもまだ余るくらいの金』を支給してやろう……抜け忍にはなかなかありつけまい」

「何……!?」

「これはわしも巻き込まれる気しかあらへんなぁ……」

 

 『セーレの総裁』は焔に小声でささやいた。

 自身の素性を知られ、そこにつけこまれた焔は果たしてどうなるか。日影も突然の事態に困惑を隠せなかった。別に感情があるわけではない。

 

「飛鳥といったか。大丈夫かな?」

「大丈夫……まだいけるよ……はあっ!」 

 

 一方、飛鳥を救助しに来た近藤は飛鳥のすぐ側まで近づき声をかける。ついでに言うとこの時も国光・改は抜刀されており、いつ武装兵が襲ってきても対処できるようになっていた。

 飛鳥もほどなくしてすぐに立ち上がり、反撃のために技の構えをとった。そしてすぐに壁に空いた穴からある一方へと飛び込んで――――

 

「『二刀繚斬(にとうりょうざん)』!」

 

 その一点には、葛城たちの努力により追い詰められた武装兵の集団がいた。

 飛鳥はそこに向かって斬り込んでいく。これぞ秘伝忍法『二刀繚斬』。

 

「「「ぐっはあああああ!」」」

「これであらかた片付いたな……」

 

 それを喰らった武装兵は見事に吹き飛ばされ、戦闘不能となった。

 それを見た葛城は勝利を確信する。しかし……?

 

「……これでは面白くないな。ひとつ盛り上げてやろう」

 

 観客席から一連の戦いを見ていた黒い平服の男が突如動き出した。右腕が異形の怪物のようになり、そのまま何かをした。恐らくこれは魔法の類だろう。

 

「!?」

 

 その効果はすぐに現れる。飛鳥達の周囲に大量の敵が召喚されたのだ。

 その敵のうち大半は黒とオレンジの二色で構成されている人の形だが異形の存在にしてコンピューターウィルスが実体化した存在『バグスターウィルス』。

 残りは別世界において兵士としての役目を持つ金属製のロボット兵士『ガーディアン』だった。

 突然の事態に葛城は驚きを隠せない。

 

「……」

「おわあっ!?」

 

 だが驚いている暇はなかった。ガーディアンは一斉に葛城に銃を向け、そして放った。

 葛城はとっさにジャンプして攻撃を避ける。一斉掃射ゆえか先ほどまで葛城がいた地面はひどく荒れ果てた。

 

「これだけの援護とは……なかなかやっかいなことを」

 

 同じ頃、バグスターウィルスの一団が飛鳥たちのもとに殺到。三叉槍を振りかざして攻撃してきた。

 幸い全員ジャンプして攻撃を避けることができた。その際に近藤が言葉を漏らす。

 

「これは……?」

 

 観客席から武装兵を狙撃しており、この時点で最後の武装兵を戦闘不能にしたタイミングで聖奈も自体を察知。

 とっさにアイカメラを使用し敵の性質を探り、反撃の準備を整える。

 

「はあああっ!」

「……!!」

「あ、ありがとう……」

「私は当たり前のことをしただけ」

 

 それを終えた聖奈は『クイックブースト』を使い蒼い閃光とともに超加速。

 そのまま飛鳥の背後にいたガーディアンを2、3体ほど切断。破壊した。

 聖奈は飛鳥から感謝されたが特に意に介すことはなかった。

 

「……合わせるよ」

「うん……!」

 

 聖奈がふと周りを見ると、無数のガーディアンとバグスターウィルスが自分と飛鳥を取り囲んでいることに気づく。それゆえに隣にいた飛鳥に自身に合わせるよう促した。

 飛鳥もうなずきそれに応じる。ほどなくして、無数のガーディアンとバグスターウィルスが二人のもとに殺到。襲ってきた。

 

「「はああああああっ!」」

 

 それを迎え撃つべく、二人はそれぞれ緑と水色の光を帯びながら超高速で戦場を駆け巡る。

 襲ってきたバグスターウィルスとガーディアンは、聖奈のアルテミスと飛鳥の持つ刀で片っ端から真っ二つにされ、次々と爆発していった。

 

「くっ……!」

 

 同じ頃、焔は背後からバグスターウィルスの襲撃を受ける。バグスターウィルスは三叉槍を振り下ろして攻撃してきた。

 焔はそれを右手の三本の刀で切り払い、後方へとジャンプする。

 

「ちぃっ! こいつら……!」

「焔ちゃん!」

「来るな!」

 

 飛鳥は思わず焔のもとへ駆けつけようとするも、焔は制止させる。

 すると、今度は前方にガーディアンの姿が現れた。その数10体以上。

 

「まだこんなに……!?」

 

 さすがの焔もこれには驚く。しかし、すぐに気を引き締め直し、刀を構え直す。

 

「はああああああああっ!」

 

 焔は叫び声を上げ、前方にいるガーディアンに向けて突進。そのまますれ違いざまに3体のガーディアンを切り裂いて撃破する。

 

「くっ……だが!」

 

 一方、近藤も黙ってはいなかった。彼は前方から押し寄せてくるガーディアンを見て一瞬怯むがすぐに気持ちを切り替えると、その一体を横一文字に斬り捨てた。

 さらにそこから二体を縦方向に両断し、残る二体は回避したものの、後ろからやってきた他のガーディアンの攻撃を背中に受けてしまう。

 

「うっ……」

「し、しまった!」

 

 攻撃を受けたことでバランスが崩れ転倒する近藤を心配して飛鳥が叫ぶ。

 幸いダメージは大したことはないが、このままではいずれやられてしまう。

 

「はあああっ!」

 

 だがその時だった。飛鳥の目の前に突如として人影が現れる。

 それはなんと飛鳥のよく知る人物だった。

 その人物は長い刀で近藤を襲っていたガーディアンを一瞬で真っ二つにした。

 

 こんなことができるのは、

 

「皆さん! 大丈夫ですか?」

「見たところ大丈夫に見えるが……飛鳥はどうなってる?」

「もし何かあったら、ひばり泣いちゃうよ……」

 

 そう、黒いストレートロングヘアーをした女性『斑鳩』だ。

 薄紫のツインテールと右目に眼帯が特徴的で一見無愛想に見える少女『柳生』とピンクのツインテールが特徴的な少女『雲雀』も連れてきたようだ。ではなぜ3人は襲撃事件を知っていたか?

 それは、ある組織が関わっていたからだ。

 

「なるほど……君たちはどうしてここに?」

「自由バトルロイヤル連盟だからです」

 

 セーレの総裁が話しかけるは斑鳩。

 斑鳩は自分たちが『自由バトルロイヤル連盟』の人間であると明かした。

 

「ふむ、他の組織の人間か。今のところはこちらの味方のようだな」 

 近藤は状況を整理し、事態を把握する。そして飛鳥の方を見やると彼女は心配そうな顔をしていた。

 

「ここは私に任せて君は葛城の援護に向かってくれ」

「でも……」

「いいから早く行くんだ!」

「う、うん……」

 

 飛鳥は近藤の言葉を受け、急いでその場を離れていった。

 同時に、近藤と斑鳩、柳生と雲雀もバグスターウィルスの一団に立ち向かう。

 

「私たちも行きましょう!」

「ああ、そうだな!」

 

 こうして戦士たちは集まり、戦いは激化した。

 状況の変化を察したガーディアンたちは、一ヵ所に集まり、自分達の体を合体させていく。

 やがてその姿は巨大な機動兵器へと変わった。

 

「これは……!?」

「くそっ、まずいな……」

 

 本来は拠点防衛用として設計されているその姿は、いかにも重厚かつ見るものに威圧感を与えるものだった。

 飛鳥と焔も驚きを隠せない。

 巨大機動兵器となったガーディアンは、機首からエネルギー砲弾を放ち襲いかかってくる。

 

「ちぃっ!」

 

 とっさに焔は六本の刀を振るい、弧を描いて斬り上げつつ飛翔する技『紅蓮舞』で迎え撃とうとするが相手の攻撃の方が速かった。

 

「しまった!」

 

 気づいた時にはもう遅く、放たれた砲撃をまともに喰らい、大きく吹き飛ばされてしまった。

 そこに殺到するバグスターウイルスの大群。

 

「はああっ!」

 

 ここで柳生が持っていた番傘から気弾を放ち、そのバグスターウィルスを迎撃。その間に斑鳩と雲雀も戦闘態勢に入り、バグスターウィルスと対峙する。

 

「飛鳥、こいつらは俺たちに任せろ。あいつを倒すんだ」

「……わかった!」

 

 焔を救出した柳生はその後飛鳥の方を見て合体ガーディアンを倒すよう告げた。

 飛鳥は柳生の言葉を聞き、再び戦場を駆け巡り、合体ガーディアンに近づいていく。

 しかし、それを許すまいと、ガーディアンは再び機首からエネルギー砲弾を放ってきた。

 

「くっ……!」

「よし……これなら」

 

 飛鳥はそれを避けながら尚も走り続け、ガーディアンのもとへと向かう。

 星奈も、アルテミスを用いてガーディアンの背後から奇襲をかける準備をしていた。

 

「!」

 

 しかし星奈はバグスターウィルスに背後から襲撃されてしまう。星奈はとっさに振り返り、Voltackle-V4Xを構えた。

 その瞬間一人の少女がバグスターウィルスに横から突っ込み、それを撃破した。もちろんやったのは星奈ではない。

 

「……やってもらわなくても、こっちでなんとかできた」

「でもひばり、こういう時くらいは役に立ちたいから……」

 

 雲雀だ。彼女はガーディアンの攻撃をかわすと、そのまま星奈のもとへ駆けつけ、彼女を守ったのだ。

 

「……ふん」

 

 そんな二人のやりとりを見て鼻を鳴らす焔。

 だが、今のはなかなか良かった。おかげで自分もガーディアンに近づけた。

 

「今度こそ決める!」

 

 そう言って今度はジャンプし、そのまま一回転して六本の刀をガーディアンめがけて振り下ろした。『天地・獣煉獄』だ。

 それは合体ガーディアンの機首に直撃。大きく怯ませることに成功した。

 

「斑鳩! オレたちも行くぞ!」

「えぇ!」

 

 その隙を見逃さず、柳生と斑鳩が一気に攻め立てる。

 柳生は番傘から気弾を放つと同時に自らも突進し、すれ違いざまに三体のバグスターウィルスを斬り捨てる。

 一方の斑鳩は、刀を振るってバグスターウィルスと戦っている冴太郎を目にすると、

 

「はああっ!!」

 

 と叫び声を上げて跳躍し、彼に襲い掛かろうとしていた一体を横薙ぎに切り捨てる。

 さらにそこから空中で体勢を変え、柳生の横をすり抜けて、残る二体にもそれぞれ一撃を加え、撃破した。見たところ先程の動きは『飛燕鳳凰脚』のようだ。

 

「大丈夫ですか!?」

 斑鳩は着地しながら冴太郎に声をかける。

 

「はい、ありがとうございます。助かりました」

「いえ、間に合ってよかったです」

 

 二人はそう言い合い、互いに微笑み合う。

 その後バグスターウィルスの群れの方に向き直った。

 

「さて、ここは僕の出番ですね」

「えぇ……行きましょう!」

 

 冴太郎と斑鳩は背中合わせになりつつ、迫りくる敵を迎え撃ち始めた。

 その際冴太郎はクナイを構え――――

 

「蒼天忍法、グラム!」

 

 それと同時に叫び、敵めがけて無数のクナイを投げ始めた。機関銃がごとく放たれたそれは、一斉に敵を切り裂き始める。

 

「はあああっ!」

 

 一方、斑鳩も負けじと己の得物である刀『飛燕』を縦横無尽に振るう。

 その姿はまるで、雨雲を裂く雷光のようだった。

 それはバグスターウィルスの群れを一網打尽にするには十分であった。この技こそ――――

 

「『飛燕鳳閃・壱式』!」

 

 ズタボロになったバグスターウィルスは次々と爆散していく。

 そして、飛鳥はようやく合体ガーディアンのもとに辿り着いた。

 

「これで終わりだよ!」

 

 必殺技の姿勢をとる飛鳥。しかし、背後から突如としてバグスターウイルスが現れ、彼女に襲いかかってきた。

 

「なっ……!」

 

 慌てて振り返り、回避しようとするが、すでに遅かった。

 

「きゃああっ! うっ……」

「――!!」

 

 バグスターウイルスの攻撃をもろに受け、大きく吹き飛ばされてしまう。

 それでも何とか態勢を立て直す飛鳥だったが、バグスターウィルスは構わず三叉槍による追撃を行う。

 

「はあっ!」

「グベァ!」

 

 そこに割って入った葛城。彼女は横からバグスターウィルスを蹴り飛ばした。

 

「おい飛鳥、油断すんなって言ったろ?」

「ごめん……ありがと」

 

 飛鳥は謝ると再び構えを取り、合体ガーディアンを見据えた。

 葛城もバグスターウィルスと戦っていた日影と合流する。

 

「日影!」

「……あんたも無事やったみたいやね」

「まぁ、アタイも成長してるってことかな」

「せやなぁ……それより、あのでかいのさっさと倒すで」

「言われなくても、わかってるさ!」

「あ、飛鳥さんも行きましょうや。そうした方が手っ取り早いわ」

 

 二人は軽く会話をするとすぐに合体ガーディアンの方に向き直り、臨戦態勢に入る。

 

「うん!」

 

 飛鳥も改めて仲間の存在に感謝しつつ、気を引き締めた。

 

「よし、みんないこう!」

「おうよ!」

「わかってるで……」

 

 三人は同時に駆け出し、合体ガーディアンに向かっていく。

 

「はあああっ!」

 

 まず最初に仕掛けたのは日影。持っていたナイフを使い合体ガーディアンの脚部に超高速で突っ込んだ。

 すると、合体ガーディアンの脚部は完全に切断される。

 

 一方で葛城は、

 

「まだまだこんなもんじゃないぜ! おらぁっ!」

 

 と叫びながら、ジャンプして合体ガーディアンの胴体を蹴りあげた。それによってバランスが崩れたのか、そのまま地響きをあげながら地面に倒れ込む合体ガーディアン。

 

「今だ! 一気にぶっかませぇ!」

「わかった!」

「了解……」

 

 葛城が出した合図と同時に飛鳥と遅れてやってきた星奈は倒れこんだ合体ガーディアンに攻撃を始める。

 

「はあああっ!」

 

 最初に仕掛けたのは星奈。

 彼女はVoltackle-V4Xを用いて電磁加速弾を放ち、合体ガーディアンの機首に直撃させた。

 それと同時に、飛鳥の斬撃が合体ガーディアンに装備されていたライフルを切断する。

 

「おりゃああ!」

 

 さらにそこへ、追い打ちをかけるように合体ガーディアンのボディに葛城の強烈な回し蹴りが炸裂する。それは合体ガーディアンに大ダメージを与えるには十分であった。

 

「よし。これで全部か……ひばり、行くぞ」

「うん!」

 

 一方柳生は仲間と共にバグスターウィルスを全滅させると、雲雀のもとに赴いた。

 二人は同時に跳躍し、雲雀が召還した忍兎に乗り空中からガーディアンに攻撃をしかけようとする。

 

「はああっ!」

「いっけえええっ!」

 

 柳生が自身の秘伝動物である巨大なイカを召還し、忍兎に氷を纏わせそのうえで合体ガーディアンに突撃。その装甲を大きく傷つけた。

 

「今だ! 一気に決めるぞ!」

「うん……! はああああっ!」

 

 柳生の掛け声とともに、飛鳥が一気に跳躍。合体ガーディアンの胴体に急接近した。そして飛鳥は二本の刀を同時に振り下ろし、そのまま刃を滑らせるようにして斬り上げる。

 ここで飛鳥の二連撃を受けた合体ガーディアンのところに焔が到着した。

 

「焔ちゃん、決めるよ!」

「あぁ、もちろんだ!」

 

 そう言って二人は、ほぼ同時にジャンプをする。

 

「はああああっ!」

「でいやあああっ!」

 

 そしてそのままガーディアンを切り刻んでいった。これぞ『合体飛翔乱舞』。二人の息のあったコンビネーションによって、合体ガーディアンはその巨体を完膚なきまでに破壊されていく。

 やがて合体ガーディアンが完全に破壊されたところで、二人は着地。それと同時に合体ガーディアンは爆散していった。

 こうして、会場を襲っていた脅威は一掃された。

 それからしばらくした後――

 

「……やはり、思った通りだ」

「ん?」

「私と一緒に来る気があるなら、ここに来るんだ……5人全員でな」

 

 セーレの総裁は一枚の紙切れを焔に渡した。

 その紙切れには『ある場所』の地図が記されていた。

 どうやら焔だけでなくその仲間もセーレ側に引き入れる気のようである。

 

(これは罠か? しかし本当ならバイトなど……)

「どないしたんや?」

 

 日影に声をかけられるほどに焔は迷った。

 これは罠かもしれない。話がうますぎるのだ。

 ただもし本当であれば、バイトから開放されると言ってもいい。

 それどころか他のメンバーも得をすると言っても過言ではない。

 彼女の心中は、いかに。そんな時だった――

 

「……」

 

 日影は何かに気付いたのか、セーレの総裁から受け取った紙切れを奪い取った。

 

「日影、いきなり何を……!?」

「……何やってるんや」

「え?」

「このおっさんが、わしらの敵やないって保証でもあるんかいな」

「そ、それは……」

「少なくともわしは、こいつらを信用できん。それに仮にこれが本当の話やったとしても、わざわざ敵の懐に入るような真似はせん方がええんちゃうか?」

 

「……」

 

 日影の言葉を受け、焔は無言になる。

 確かに、日影の意見も一理あった。だがそれでもこのままではいけないと思った彼女は決心する。

 

「……私は、行こうと思う。日影はどう思う?」

「せやなぁ……まぁでも一応みんなに相談してからにしよか」

「わかった」

 

 それから、二人は仲間たちの元へ戻っていった。それを見届けると総裁もどこかへ去っていった。

 

 その一方で葛城は疑問を持っていた。

 

「なぁ、斑鳩……セーレって、一体なんなんだ? 今バトルロイヤルに何が起こってるんだ?」

「わたくしに着いてきてくれればわかります。みなさん、ついてきてください!」

 

 そう言って葛城の手を引くと、斑鳩はそのまま走り出した。

 

「ちょっ、おい! どこにいくんだよ!?」

「いいですから、今は黙ってついてきて下さい!」

「あーもう、わかったよ!」

 

 半ば強引に連れてかれた葛城は呆れながら、彼女について行った。

 

「今日の斑鳩さん張り切ってるなぁ……」

 

 飛鳥はそう思いつつも、葛城を追いかけた。

 

 一方その頃、会場の屋根の上では――――  白いツインテールの少女が遠くの方を見ながら佇んでいた。

 その少女の視線の先には、ステージ上で激闘を繰り広げていた飛鳥たちの姿があった。

 実は先程まで、ずっと彼らの戦いを観察していたのだ。

 そして、ふっと微笑むと、

 

「ふっ……面白くなりそうだな……」

 

 謎の少女はそう呟くように言う。

 その口元は少しだけ笑みを浮かべているように見えた。果たして彼女は何者なのか?  その答えはまだ、誰にもわからない。

 

 新たな戦いが、始まろうとしていた――――




閲覧ありがとうございます(^_^)
まだ登場キャラクターは少ないですが、回を追うごとに増える予定なので楽しみにしていてください!
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