愛玩の獣はマスターを手に入れたい   作:若杉優太(テト/teto)

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 こんにちは、テト/tetoです。
 今回は僕がコヤンスカヤ大好き過ぎて書いたのですが、思いの他長くなってしまった……
 良ければ、全て読み終わった後に感想を頂けると嬉しい! という訳で、お楽しみください!


#1 愛玩の獣はマスターが欲しい
オーバーキル


「ああ……ッ!もう!何ですか!?この腹立たしい気分はッ!」

 

 ノウムカルデアの廊下を苛立ったように歩くのは、召喚されて間もないサーヴァント――闇のコヤンスカヤだ。

 金色の美しい髪と目、赤と白が交じり合った美しい着物、そして紅白色で毛並の整った尻尾。

 そんな誰もが振り向いてしまいそうな美貌を持つ闇のコヤンスカヤは、珍しく感情を露わにしていた。

 

「(まさか、光の私に先を越されるなんて思いもしませんでした……ッ!)」

 

 その場で歯噛みしながら、闇のコヤンスカヤは先程の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 ノウムカルデア、シミュレーションルーム。

 草原地帯にて――

 

「宝具お願い!闇のコヤンスカヤ!」

「了解しました……!私の力をご覧あれ!」

 

 マスター――藤丸立香の呼びかけに応じ、闇のコヤンスカヤも宝具を展開する為に準備を始める。

 

「(敵は少々デカい猪とゴーレム二体ですか……物足りない気もしますが、私の実力を見せるには十分ですかね……)」

 

 前に立ちはだかる敵エネミーを一瞥し、闇のコヤンスカヤは目を閉じる。

 次の瞬間――闇のコヤンスカヤの身体を狐の化物……第六異聞帯で見せた姿となり、そして――不意に……消えた。

 

「え?闇のコヤンスカヤは……ッ!?」

 

 初めての宝具展開だった為か、マスターである彼女は動揺を隠せない。

 同じように敵エネミーも動揺しているようだが、ふと魔猪が空を見上げると、急に体を小刻みに震えさせ始める。

 そんな魔猪の様子に釣られて、立香が上を見上げると上空から巨大な隕石が落ちてきていた……

 

「まさか……あれが闇のコヤンスカヤ……ッ!?」

 

 熱く燃え盛る石に紫の尾を引かせている様子から見て、間違いなく闇のコヤンスカヤ……だと思われた。

 映画のワンシーンかと錯覚してしまいそうな程の、信じられない光景に目を奪われていると、急に闇のコヤンスカヤの声が脳内に聞こえてきた。

 

『あーあー、聞こえてますか?マスター……?』

「うん、聞こえてるけど……あれって闇のコヤンスカヤだよね……?」

『もちろんです♪宝具を展開してくれと言ったのはマスターでしょう……?』

 

 マスターの気も知らず、闇のコヤンスカヤは楽しむように答える。

 

『あ、それより……マスター、多分そこに居られると巻き込まれますよ?』

「え?ちょッ⁉早く言ってよ!」

『あ、ちなみに……あと十秒もすれば着弾しますので、どうか――』

 

 闇のコヤンスカヤの声を最後まで聞かずに、立香は一目散に走り始めた。

 しかし、隕石――及びコヤンスカヤはどんどんと地に迫って来る。

 

『ふふ……必死で逃げるマスターも、凄く可愛いですよ?』

「褒めてくれるの嬉しいけど……!今はそれどころじゃなーい……ッ!!」

 

 必死で逃げる立香とは対照的に、闇のコヤンスカヤは楽しそうに声を掛ける。

 

『安心してください……いざとなったら、威力を弱めて対処いたしますので……』

 

 安心できる訳が無いが、それでも黙って立香は無限のように広がる草原を突き進むしかなかった。

 そんな全力疾走をする立香とは反対で魔猪達は、迫り来る隕石に怯えるばかりで、その場から一歩も動けずに、ただ終わりを待つばかりだ。

 

『ふふ……いいですねぇ、その怯える姿が私にとっての愉悦です……!それでは、そろそろ参りましょう!』

 

 ゆっくりと落ちていた隕石が急に加速し、そして――

 

『下へ参りまーす♪雷天日光・禍音星落火流錘 (ツングースカ・ナインドライブ )……ッ!』

 

 魔猪達を包み込むような隕石は、地上にぶつかった瞬間に大爆発を起こした。

 数千度を超える熱が周囲を覆い、魔猪達は骨も残さずに蒸発してしまう。

 それだけではなく、大爆発の衝撃波で周囲にあった木は薙ぎ倒され、気付けば巨大なクレーターが出来上がったのだった。

 

「た、助かった……」

 

 立香は全力疾走のおかげで、何とか爆発からは逃れられたが、目の前の光景を見ると気絶してしまいそうだった。

 クレーターの中を覗き込んでも、さっきまで居た魔猪達は綺麗さっぱり消し炭になっている。

 今まで経験したことの無い程の宝具の威力に腰を抜かしていると、いつの間にか後ろには一仕事終えた様子の闇のコヤンスカヤが立っていた。

 

「ふぅ……という訳で、どうです?凄かったでしょ?私の宝具……」

「う、うん……でも少々オーバーキルのような気もするけどね……」

「ふふ……それはそれは、お気に召して何よりです……」

 

 少々引き気味の立香を見て、闇のコヤンスカヤは満足げに微笑む。

 

「と、とりあえず……これからよろしくね……闇のコヤンスカヤ」

「ええ……こちらこそ、よろしくお願いしますね?マスター……?」

 

 立香から差し出された手を握りながら、闇のコヤンスカヤは妖艶な笑みを浮かべ続けるのだった。

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