覚者が行くルイジアナ感染期   作:フクロウ・三木

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どうも、フクロウ・三木…、いや、三木梟か?
…まぁ、どちらでも良いや。
そんな感じに名乗ってる者です。
今回も、楽しんでいただけたら幸いです。


第二話:衝撃の事実と蘇ったおっちゃん

あの後、俺たちはメインホールの鍵となる半獣のプレートを持って、ガレージを後にした。そして、メインホール入り口に行く前に、ゾイから始めて電話を貰った部屋、地図ではランドリーと書かれている部屋へと移動する。

 

「…ここは?」

 

「ここは比較的安全なところだ。…多分な」

 

「そうか…。…ッ、イッツツ…」

 

「!大丈夫か?」

 

ヒョウが腹部を押さえて、痛みを我慢する声を出し始めたため、俺がそう声を掛ける。

 

「…こりゃ、大丈夫じゃないだろうな…。

 悪いが、一度ここで休ませてくれないか?」

 

そう言って、ヒョウはテープレコーダー近くの洗濯機の上に座った。

 

「…分かった。

 一応、俺の持ってる回復薬を渡しておく。これで回復してくれ」

 

俺は目の前の机に回復薬を置いて言う。

あいつに切られた足ですら綺麗にくっつけるこの回復薬なら、ヒョウの腹部の怪我も完璧に治るはずだ。

 

「…スマンな。代わりにこれを受け取ってくれ、銃のマガジンだ」

 

ヒョウは少し悔しそうな顔をしながらそう言い、ポケットからマガジンを5個ほど取り出した。

 

「一個のマガジンにつき、すぐに装填される分の1発と次弾17発が入ってる。

 それを使ってくれ」

 

「…ありがとう。だが、ヒョウ、君の分は?」

 

「ふっふっふ、心配するな。これでも俺は覚者…いや、魔法使いだ。弾なんて幾らでも量産できるんだよ!」

 

「…そうか。とりあえず、君は傷が治るまでここに居てくれ。

 俺はメインホールを開けてくる」

 

俺はヒョウの発言をスルーしつつ、アイテム整理をする。

 

「おい、ちょっとまて。さては信じてないな?俺が魔法使いだって」

 

「いや、普通信じるわけ無いだろう…。疲れてるんじゃないのか?」

 

ヒョウは「侵害だなぁ…」とでも言いそうな顔でそう言うが、俺は彼女をチラッと見つつ、先ほどのおかしな発言に対する思いを素直にぶつける。

 

「いや、本当だって!ほら!今から詠唱するから!」

 

「えぇ…」

 

その声が非常に必死だったため、俺はボックスから目を離し、ヒョウのほうを見る。

すると、

 

「『全てを知り、能を極める、蒼く輝く黒き刃。我を殺め、我を赦す、理が創りし神剣よ。』」

 

洗濯機の上から降りて、部屋の中央に立ったヒョウがまさに詠唱というべきものをし始めた。

 

「『世界の王、生命の王、竜の王。3つを担う界王が命ず。』」

 

詠唱を続けていくうちに、ヒョウの顔が気迫に満ちていく。

 

「『今この場にその姿を現し、我の力となれ。神をも殺す、その剣の名は…』」

 

そういったとき、彼女は目をゆっくり開き、言った。

 

「『『神裁ちの剣(リディル)』』」

 

彼女がそういったとき、視界が蒼い光で包まれた。

光が収まったことを咄嗟に目を覆い隠していた指の隙間から確認し、ヒョウを見ると、彼女の手の中には所々が蒼く輝く漆黒の刀身を持つ、何処か神々しさを感じさせる剣が収まっていた。

 

「…ふぅ、久しぶりに詠唱したが、ちゃんと来てくれたんだな。

 さて、イーサン!これで分かっただろ?俺が魔法使いってことがな!」

 

「…あ、あぁ。十分に分かったんだが…」

 

…本当に魔法使いだったんだな。

さっきまであんな細くて長い剣はなかったし、嘘をついていると思おうにも無理がある。

多分、彼女は本当に魔法使いなんだろう。

 

「…さて、これで俺は魔法使いだってことは信じてもらえた事だし、メインホールに行こうぜ?」

 

「いや、まだ荷物整理が終わってない。…って、ちょっとまて。ヒョウ、お腹の傷は?」

 

「詠唱の影響ですっかり治療済みだ!」

 

「マジかよ」

 

詠唱するだけですぐに治療が完了するとは…。

魔術ってすごいな…。

 

「まぁ、本当はここでは使うつもりは無かったんだがな。何せ体質上、時間が経てば治るし、その回復薬を試してみようとも思ってたんだが…、そうも言ってられない状況だから治しておいた。

 …って、そういえばこの服血だらけだ…。着替えるか」

 

ふと何かを思い出したかのようにそういい、ヒョウは服を脱ぎ始めた。

…脱ぎ始めた!?

 

「ちょ、ちょっと待て!ヒョウ!君は女だろう!?そう易々と男の前で着替えるんじゃない!」

 

「…へ?」

 

俺は顔を隠しながら慌てて止めると、ヒョウは素っ頓狂な声を漏らした。

そして、

 

「…イーサン、勘違いしているだろうから言うが、私は男だぞ?」

 

「…は?」

 

「…イーサン、もう一度言う。私は、『男』だ」

 

「…マジかよ」

 

まさに衝撃の事実。

どうやら、俺が女だと思ってたヒョウは男だったらしい。

ここに来てからのミアの変貌っぷり並みの驚きだ…。

 

「それに、服を脱ぐって言っても、上着の制服とズボンぐらいだからな。

 魔法で装備くらい呼び出せるし」

 

「そ、そうか…。

 俺は、まだ、お前が男だったってことに驚きすぎて反応できないぞ…」

 

「…そんな衝撃的かなぁ?」

 

「いや、何処からどう見ても女にしか見えなかったんだからそりゃあ驚くだろ」

 

「…そんなものかねぇ…」

 

「そうなんだよ。少なくとも俺はな」

 

「…そーなのかー。

 さて、俺がここで着替えるのには問題ないから。荷物整理をしておいてくれ。

 俺は装備を召喚する」

 

「…分かったが…」

 

「よし、なら詠唱を始めるか」

 

「…」

 

…そうしてヒョウは詠唱を始めたわけだが…、あれだな。

少女みたいな容姿をしている人が男物のパンツとシャツ一枚で魔法の詠唱をしているところを見ると、違和感が半端ない光景だ。

 

「『先世までも我が身を護り続けた戦衣よ。もう一度我を包み込み、害意を退ける武具となれ』」

 

「『現物せよ、『暗黒錬金の濃紺外套(ネザーアルケムコート)』』」

 

荷物整理を終え、探索準備が整った丁度そのとき、詠唱を終わらせ、赤と金の刺繍が入った深緑のコートや明茶色のマフラー、金属製の漆黒のブーツ、明灰色のマント等を身に付け、右手に『神裁ちの剣(リディル)』と呼ばれた剣を、左手に『神裁ちの剣(リディル)』と同じような蒼い輝きを放っている銃をもったヒョウが視界に映った。

 

「…なんか、やけに似合ってるな」

 

「まぁな。何せ、この装備は俺を何千年も護り続けてきてくれた装備だからな」

 

「…何千年…、ヒョウ、お前は何歳なんだ?」

 

「…分からん。それを知るには時が経ちすぎた。もう数え切れない」

 

…どうやら、目の前の少女のような外見の魔法使いは、数え切れないほどの時を生きてきたらしい。

いったい、どれだけの事を経験したのだろうか。気にはなるものの、俺にはそれを聞く事ができなかった。

 

「…さ、しんみりした雰囲気はおしまいだ。

 今から透明化の魔法かけるから、見られないようにしてさっさとメインホールって所に行こう」

 

「…透明化もできるのか…」

 

「まぁな」

 

そういい、ヒョウは詠唱を始める。

 

「『幻想、幻夢。神出鬼没。何処からも現れ、何処からも身を隠す。』」

 

「『さぁ、精霊よ。我らにその加護を与えよ』」

 

「『蜃気楼の加護(ミラージュ)』」

 

ヒョウがそう唱えた途端、一瞬だけ霧に飲み込まれたかと思うとすぐに視界が元に戻った。

 

「…これ、透明化できているのか?」

 

俺は、透明化しているはずなのに何故か姿が見えるヒョウに向かってそう言う。

 

「透明化してる者同士は見えるようにしてるんだよ。俺がそう作った魔法なんだから大丈夫大丈夫。…だが、攻撃行動をすると魔法は解除されるから、気をつけろよ?」

 

「…分かった。だが、本当に透明化出来てるのか…」

 

「出来てるって。…信じてくれ」

 

「…分かった」

 

ヒョウの強い意志が篭もった声でそう言われ、俺は渋々了承する。

…疑ってるわけじゃないが…、非常に不安だ…。

 

「さて、俺が先陣を切るが…、

 …メインホールって何処?」

 

「…そういえば説明してなかったな」

 

本人に言われて思い出し、俺は持っている地図を机の上に広げ、今いるランドリーを指差す。

 

「今居るのが、俺が指差しているランドリー、つまり洗濯部屋だな。

 そして、向かうべきメインホールがここ」

 

そういいながら、俺はホールと書かれたところを指差す。

 

「なるほど…。この部屋を出て真っ直ぐ進んで突き当たりのところにあるってことだな?」

 

「あぁ、そういうことだ」

 

俺の説明を理解し、ヒョウは扉を開ける。

 

「私が先陣を切る。イーサン、君は後ろからついてきてくれ」

 

「分かった」

 

そうして、俺たちはホールに向かった。

短い道のりだったが、蘇ったジャックがさっきみたいに壁を貫通して出てくる可能性もあったため、油断できなかった。

…まぁ、何も起きず無事にメインホール前までたどり着けたわけだが。

 

「…え?これがメインホールの扉?奇抜過ぎじゃない?」

 

剣を左腰にさした後、メインホールの鍵穴を見てヒョウがそう言う。

ちなみに、メインホール前に来た時に第一声がこれである。

やはり、これが鍵になっているのは違和感半端無いのだろう。

 

「…それは俺も思ってる」

 

メインホールの鍵穴にプレートをはめ込みながらそう返答する。

 

「でも、良いデザインだよね。鍵であるって言う点を除けば」

 

「確かにな。何でこれが鍵になってるんだ…」

 

心底そう思う。

普通に良いデザインなのだが、何故これが鍵として使われているのかが俺にはまったく分からない。まぁ、それはヒョウも同じだろうが。

…ここに住んでいるあの一家は不便に感じないのだろうか…。

 

そんなことを心のうちに秘めつつ、扉を開ける。

すると、目の前に広々とした、何処かのペンションのエントランスのような印象を受ける部屋に出た。

 

「ひっろ…」

 

ヒョウが感嘆の声を漏らす。それぐらいに広かった。

目の前にはソファーや椅子が一緒に置いてある机があり、あの狂った一家にも、家族団欒というものがここであったのだろうか、と疑問と感傷的な気持ちが湧き上がった。

奥のほうにはホームシアターらしき機械もあり、ますますあの一家が狂っていなかった時期があったことを表しているように感じる。

すぐ右側と右奥には階段があり、2階に続いているようだ。

そんな風にホールの中を見渡していると、黒い電話を見つけた。

俺はそれに近づく。

すると、俺が目の前に来たタイミングで電話が鳴り始めた。

俺はすぐに受話器をとり、相手の反応を待つ。

 

『父さんに虐められた?』

 

やはり電話をかけてきたのはゾイだった。

そして、その第一声は驚くべきものであった。

ゾイは、この狂った一家の一員だったのだ。

しかし、何故俺を助けてくれるのだろうか…。

そこに関しては今だ不明のままだが、今はそれに関してはおいておこう。

 

「父親なのか?」

 

「…昔はね」

 

俺が受話器越しにそう尋ねると、彼女は少し悲しそうにそう言った。

 

「…さっき、何とか奴を殺したんだが…、一度生き返ったんだ。

 また、生き返るのか?」

 

知っているのかどうかも分からないが、一応聞いてみる。

 

『…多分、まだ完全には死んでないと思う。

 だって、父さんはカビ人間だからね』

 

ゾイはそれについて知っていたのか、少し情報をくれる。

まだ死んでないのか…クソッ…。

…?ちょっと待て。

 

「カビ人間?それってどういう…」

 

『やってもらいたい事があるけど、今は話せない。

 だから、その話題もまた後で』

 

…はぐらかされてしまった。

なら、仕方ない。後でヒョウの意見も聞こう。

 

『鍵がいるかもしれないけど、とにかくその屋敷から出て』

 

「分かった」

 

『また連絡する』

 

その一言を終わりに電話が切れる。

…何処か切羽詰ったような声だったな…。

 

「なぁ、イーサン。誰と話していたんだ?」

 

電話中、辺りを探索していたヒョウが声を掛けてくる。

 

「ゾイから電話がかかってきた。

 この屋敷から一刻も早く外に出ろってことらしい」

 

「なるほど…。

 ついさっき、というか目の前に外へ出れそうな扉を見つけたんだけど、開かなかった。

 でも、三つの頭を持つ犬…ケルベロスの頭部3つが無かったし、それと同じ形のプレートをはめ込めるところがあったから、この部屋の鍵と同じようにプレートが鍵になってるんじゃないかな?」

 

「…そうか…。

 つまり、今度は犬の頭のプレートを探せってことだな?」

 

「そういう事だね。なら、さっさと行動を開始しようか」

 

そう言って、ヒョウは反対側の明るい場所の探索に向かった。

それを見た後、俺は何故かガラスが割れている時計の方に行く。

昔見たドラマでなんか、時計の振り子を使うトリックがあったんだが…。

そんな風に考えつつ、時計の振り子を触ってみると、振り子を取る事ができた。

何かのギミックに使うかもしれないからとっておこう。

そう思い、振り子を持っているバックにしまう。

そのとき、

 

「イーサン!こんなものを見つけたぞ!」

 

そういって、ヒョウがこちらに歩いてきた。

手には、大きな銃を持っている。

 

「…これは…」

 

「あぁ、ショットガン…イサカM37だ。イーサン、君が使ってくれないか?」

 

「は…?だ、だが…、俺は唯のエンジニアだ。ショットガンを使えるとは思わないんだが…。

 それに、銃火器の扱いはヒョウの方が慣れてるんじゃないか?」

 

「いや、人間、極限状態になれば何だってできる。

 嫁さん救って、家に帰るんだろ?だったら、これ使うしかないだろ」

 

ヒョウに説得され、俺はショットガンを渋々受け取とり、背中に背負う。

…ショットガンなんて俺に扱えるのか…?

 

「大丈夫、気合でなんとかなる!…というか、ショットガンの場合は相手に近づいて弱点部位に向かってぶっ放すだけなんだよね。だから、高度な技術はそこまで求められないと思うよ?」

 

日本で言うあっけらかんという感じで言うヒョウ。

こいつと会って、まだ数十分程度だが分かった事がある。こいつには天然なところがあるらしい。

だが、根は生真面目のようで、大雑把ではなくあらゆるところを探索し、収集している。人生経験上、そういうやつは基本的に嘘はつかない。…必要になった場合以外に限定されるが。

そんなこいつが言うからには多分、本当に高度な技術は求められてないんだろう。

 

「まぁ、ショットガンを撃った後の反動を上手く受け流すっていう技術は必要だけど、俺がカスタムして威力を上げたGlock 17を普通に使ってるし大丈夫…なはず…」

 

…だんだんと自信が無くなっていくのは不安になってくるから止めてくれ…。

 

「…それに、俺、ショットガンとかほとんど使った事ないから、使えないんだよなぁ…」

 

…だから、俺に押し付けたってか?

はぁ…。まぁ、いいか。これで戦力増強に繋がったのは間違いないし。

 

「はぁ…、分かったよ。使えばいいんだろ、使えば」

 

「…ごめんね?」

 

申し訳無さそうに言う。

そう思うんだったら、ショットガン使ってくれ…。

そう思うが、無理という事は分かっているので、さっさと階段に進む。

 

「もういいから…。さっさと、プレートを探そう」

 

「分かった。前衛は剣を持ってる私に任せておけ!」

 

そういい、ヒョウは俺の前を通り過ぎ、剣を抜き取って構えつつ前に進み始める。

階段をヒョウが上りきり、俺も後に続く。

すると、視界の真正面に対面しても唯一俺の事を襲ってこなかった車椅子に座った老婆がいた。

 

「…え?なんでこんなところに…」

 

ヒョウがそう言う。

 

「大丈夫だ。あの老婆は襲ってはこない。それに、俺たちは透明化してるはずだろう?だったら、別に大丈夫じゃないか?」

 

「…それもそうだな…。だが…、なんだ?おばあちゃんの方からすっごい寒気が…」

 

「?気のせいじゃないか?」

 

「…そうなのか…?…まぁ、いいか。気にしても仕方ない。先に行こう」

 

「あぁ、そうしてくれ」

 

俺たちはそのまま扉を開け、先へ進んだ。

…老婆がこちらの事をじっと見ていることに気付かずに。

 

扉を開けると、先は廊下だった。

左側には明かりがあり、右側は屋外へと続いているようだった。

 

「…どっちから行く?」

 

俺がヒョウに聞く。

すると、ヒョウは

 

「…クラピカ理論に反して、左から行こう」

 

そういった。

 

「…?クラピカ理論?なんだ、それは?」

 

「日本のとある漫画で出てきた言葉でな。

 人は迷ったり未知の道を選ぶ時には無意識に左を選択するケースが多いらしい。だから、迷った時は左じゃなく、右に行ったほうがいいっていう理論なんだが…。

 最近は日本の文化がこの国にも流れてるからな。それを逆手に取ってくるかもしれない。ので、クラピカ理論の逆、左に進んでみようってわけだ」

 

「…暗いところが怖いからって理由じゃないよな?」

 

「そっ、そんなわけ無いじゃないかー。あはは…」

 

…絶対そう言うパターンのやつだな、これ。

まぁ、右か左ですっと迷うぐらいなら、そのクラピカ理論に反していく方がいいか…。

 

「…分かった。右から行こう」

 

「了解」

 

そうして、ヒョウは右方向へ歩き始めた。

ふと見ると、右にはテーブルが置いてあり、その上にはフットボールのボールの絵やフットボール時に被るヘルメットが飾られていた。

…あの大男、ジャックの趣味だろうか…。

あんな大男がフットボールをやっていたら、どれだけ有名になるか、ふと考えながら廊下を進み、ついに突き当たりの扉の前に来た。

地図によると、目の前の扉の先にはバスルームがあるらしい。

 

「…ヒョウ」

 

「分かってる」

 

俺がヒョウに声を掛けると、ヒョウは剣をいつでも刺し貫けれるよう構えつつ、ドアノブに手をかけ、ゆっくり扉を開ける。

 

「…特に何もいないようだ…。ウッ!?」

 

「どうした?…なんだ、これは…」

 

先に入ったヒョウが悲鳴をあげて目を逸らしたため、続いて中に入る。

バスルームを見渡すと、酷い有様になっていた。特に、目の前のバスタブはカビのようなもので侵食されており、非常にグロテスクなものとなっている。

…多分、これを見てヒョウは目を逸らしたんだろう…。

 

「…落ち着け。とりあえず、中に張ってある水を流してみる…」

 

俺は安心できるよう、できるだけ優しくヒョウをいい、バスタブの水を流す。

水を流しきった時、カビの中に何かが置かれているのが見えた。

 

「なんだ、これ?」

 

俺はそれを手にとって見る。

それはよく分からない置物のようだった。

何かのギミックに使うのだろうか…。

 

「…なに、それ…?」

 

すっかり怖がっているヒョウが聞いてくる。

 

「…分からない。多分、何かのギミックに使うと思うんだが…」

 

「…もしかしたら、ホームシアターの方で使うのかも」

 

「なるほど、一旦そこに行ってみるか」

 

ヒョウと相談してやる事をまとめたため、部屋を出て行こうとしたとき、

ドアが勝手に開き、頭を銃弾で撃って死んだはずのジャックが入ってきた。

ジャックは部屋に入ってくるなり、俺の服を掴み、持ち上げる。

 

「どうだ、驚いたろ?

 あんなもんでくたばると思ったか」

 

首を掴んで持ち上げながらそう言う。

 

「ッ!ジャック・ベーカー!」

 

「!お、俺の顔に一撃入れた嬢ちゃんじゃねぇか。

 あの一撃はまぁまぁ効いたぜ?一時的にはよ」

 

そう言いながら、ジャックは俺を投げ飛ばすように放り投げる。

 

「ッ、イーサン!」

 

俺は何とか机を背もたれに着地し、逃げる準備をする。

 

「さっさと逃げるぞ、ヒョウ!」

 

俺はヒョウにそう言いながら、ジャックの顔目掛けて発砲する。

が、まったく効果が無い。

 

「俺たちにあの子が力をくれたんだよ。

 そして、その力はいつも俺たちの中に流れてる」

 

そう言いながらこちらに歩いてくるジャック。

来んな!

そう思いつつ、俺たちは何とかバスルームから出て、廊下を逃げる。

 

「分かるだろ?俺たち家族もあの子の力がもたらした。

 どういうことかって言うとな…、お前たちは終わりだ」

 

そういったとき、ヒョウがジャックに向かって突進し、剣で攻撃した。

 

「まだ終わってねぇんだよ!剣技:蜂舞斬!」

 

そういったとき、ヒョウは剣を構え、何度か円を描く様に剣を振り回し、ジャックに攻撃した。

 

「グッ、中々やるじゃねぇか、嬢ちゃん」

 

それを喰らったジャックは、そんな言葉を吐きつつ、腕と足の関節部分を切り裂かれ、動けなくなっていた。

 

「今のうちだ!」

 

ヒョウはそういって、俺のほうへ走り出す。

俺もそれに続き、俺たちは何とかジャックから逃げ延びた。

 

 to be continued…?




はい、ここでひと段落です。
中途半端かもしれませんが、許してください。
ちなみに衝撃の事実というのは、ヒョウが魔法使い…というなの覚者である事、そして、男の娘である事です。

楽しんでいただけたなら幸いです。
あと、アンケートとってるので、ご協力お願いします。
ではまた次回。

さようなら~。

嗚呼、ルーカスに救済はあるのだろうか…?(救済の場合は、ルーカスがヒョウによって比較的まともになります)

  • あるに決まってるだろぉ!?
  • 無ぇよ。限りなく無ぇよ。
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