ユクリパ "綴られる歴史"   作:ユクリパ

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久しぶりの本編投稿に見せかけて、本編が進んでいないので外伝を投下します。


外伝 ドキュメンタリー 共通暦360年

中央共通暦360年6月26日

クラムアン帝国エルテア市

 

本日もこの時間がやってまいりました、みなさまこんばんは。

司会のタリーメンです。

今回もシリーズ「帝国と人民共和国」、本日は第4回になる共通暦268年代からです。

そして今回もゲストをお二人お呼びしております。

帝国戦史研究科のムアン少佐と、連邦戦史研究局のドメリ中佐です。

お二方共、本日はどうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

こちらこそよろしくお願いします。

話せる限りでですが、よろしくお願いします。

 

 

 

ではまず、近年になって当時人民共和国であった現:連邦、その268年代頃の機密文書の機密指定が解除され今までの通説が大きく覆っています。

本シリーズは最新情報と研究成果を元に帝国と連邦の関係を追っていこうとするものです。

ドメリ中佐、しかし何故今になってから、これらのような機密文書が開示されて通説が覆っているのでしょうか?

 

 

理由は大きく2つあります。

まず一つ目は、我が連邦で今まで機密指定にされていた各種資料の機密指定が解かれたことです。

ただ、これに関しては作成から数十年が経過し、公開しても問題ないと判断が下されたものに限られますが。

まぁ、既に噂という形でまことしやかに囁かれていた情報が主となっての公開ですね。

二つ目は、そちらの帝国側での情報開示及び当時の資料が幾つか発見された事にもつながりますね。

我々連邦としても、既に帝国側で発見されてしまっている情報とほぼ同一のものであれば、最早機密指定している必要性が存在しなくなったと判断したのでしょう。

 

 

 

なるほど。

それでは、今回も最新情報から明らかになった帝国と人民共和国その歴史へ迫っていきましょう。

第四回の本日は、人民共和国による帝国侵攻と逆侵攻そして革命までを辿っていきたいと思います。

当時の写真とともに、お二方の解説を交えてお送りいたします。

 

 

 

前提として、この時点での帝国には連邦...当時の人民共和国と戦争するにあたって明確に技術的不利がありました。

しかし、近年開示された当時の機密文書によると、驚くべきことに帝国側から攻撃を仕掛けたということが明らかとなったのです!

従来の通説及び常識では、人民共和国が帝国へ侵攻したと見られていたのですが、新たに開示された文書によると帝国側のある元帥が第323師団へ連邦側へ挑発とそれに乗らなかった場合に攻撃の指示が下されていたことが明らかになりました。

 

 

ここで疑問が生じます。

 

何故元帥は、帝国軍が圧倒できる状況ではないと知りながら人民共和国へ戦争を誘発させたのでしょうか?

お二方はその理由をどうお考えでしょうか?

 

 

 

あー...中佐コレ言っていいんでしょうかね?

 

もう開示されていますし、良いでしょう。

当時人民共和国の人民委員長と帝国の元帥の間では秘密裏に協力関係があったことが判明しています。

この奇妙な協力関係のお互いの真意は最早分かりませんが、残されている資料から読み取るに元帥は当時の帝国を何とかして変えたかったようです。

人民委員長は...驚くべきことに表向き人民共和国の繁栄と拡大を謡っていましたが、その本心はいびつに歪んだ情欲だったようです。

 

 

 

なんと...ムアン少佐、帝国側の資料にもそれは残っているのでしょうか?

 

 

 

当時の資料で人民委員長を捕らえた際の尋問記録にはっきりと残っていますね。

記録から一部を抜粋し「私はかの方を貴様ら邪悪な帝国人の魔の手から救い出すために戦い抜いたのだ!」とのことです。

 

 

それは...彼は正気じゃなかったのでしょうか?

 

 

残念ながら我々連邦そして帝国両国の精神鑑定で正常だったという記録が残っています。

少なくとも当人の中では間違いない事実として認識していたのでしょう...

ですが、帝国...とりわけ親衛軍は一切の容赦も同情も持たない苛烈な性質をしており、その刃は当然捕らえられた人民委員長にも振り下ろされ処刑されました。

 

 

 

未だに帝国でも議論されることが多い親衛軍による司法の無視ですね。

 

 

えぇ。

当時の資料を読み解く限り帝国軍や憲兵隊そして司法局による強い制止があったことが明らかになっています。

しかし、彼らはそれを強引に押し抜き処刑を強行...結果としては当時すでに機能不全に陥っていた人民共和国政府の結束を完全に粉砕する事とはなったのですが、悪しき前例が出来てしまいました。

 

 

...この話はここら辺にしておいて、本筋に戻しましょうか。

あの頃粛清されたはずの当時人民共和国大将であったダールフォ閣下は如何にして粛清の魔の手から逃れ、連邦を起こすに至ったのでしょうか?

ドメリ中佐、そのあたりの情報は明らかになっているのでしょうか?

 

 

ではまず、ダールフォ大将の手記から抜粋させていただくに「あの時の私は檻に繋がれ銃殺を待つだけの存在だった。しかし私を慕う同志達が私を助け檻から出してくれたのだ、だがどうやって?と同志達に聞くと同志達は誰かは全くわからないが私が囚われ銃殺を待っているという情報と装備を渡してくれた方達が居たというのだ。驚くべきことにその情報を渡されたのは私が檻へ連行されている時だという。いったいどのようにして即座にその情報を得て同志達へ伝えたのか...同志達も私も今に至るまでわかっていないが、その後の革命闘争を見るに帝国の中の一部の友人たちが動いてくれたのだろう。」とのことです。

これと当時の人民共和国の記録を突き合わせてみると...奇妙な空白が幾つか浮かびますね。

 

 

そして、ドメリ中佐が挙げた空白達に帝国の欠落した記録を埋め込むと...

帝国の表向きそして実際に排斥されたはずの部隊と潜伏していた工作員が浮かび上がり...それらをつなぎ合わせると?

 

 

帝国による人民共和国への革命計画が浮かび上がるということですか...

 

 

えぇ。タリーメンさんのおっしゃる通り帝国による革命工作でした。

しかし、帝国内部でも限られた一部というよりは非主流派が独自に動いていたようなのですよね。

 

 

ですがムアン少佐、主流派は把握していなかったのでしょうか?

 

 

そもそもが排斥され表舞台から姿を消した非主流派ですから、普通なら敵国へ潜入している工作員を動かせるだけの権限も影響力もないはずなのですよね。

更には当時人民共和国と戦争をしていたわけで...主流派の目はそちらへと向いており処分したはずの非主流派へは全く目を向けていなかったのです。

 

 

なるほど...その後はどうなったのでしょうか?

 

 

我々連邦の革命闘争中に多数の帝国製兵器が運用されていたことはご存知かと思いますが、これらの兵器は実際の所、先ほど出た非主流派やその他の勢力がそれぞれ独自に連邦の成立そして影響力の確保を目論んで意図的に放棄したものだと見られています。

中には革命闘争完遂後の連邦でその後も使い続けられた新型戦車なども混じっており...これの元をたどると人民共和国から鹵獲したものを帝国がリバースエンジニアリングし、それを非主流派の影響化にある兵器工場で改良開発し生産したものを流していたようです。

 

 

それは...よくバレなかったですね?流石に帳簿や資材の流れでバレるのではないのでしょうか?

 

 

タリーメンさん...確かにある意味では貴方の言っていることは正しいのです。

ですが、これらの工場では事情が異なりました。

まず同様に影響下にある鉱山で採掘した鉱石を精錬し加工しそれを更に影響下にある輸送隊などを用いて秘密裏に輸送、そして運ばれてきた資材を工場で加工し兵器に作り替え...それを流していたようなのです。

ですので、帳簿に書かれている物とは別に過剰生産されたり帳簿には記載されていない分の物資が生産され輸送されていたのです。

 

 

そこまで大きく動いていると戦後になってバレなかったのでしょうか?

 

 

えぇ。勿論戦後になりバレました、何なら戦時中から中央の一部や親衛軍の上層部は把握していた節があります。

ですが、彼らが捕縛されておらずその後もポストに就き続けていたということは...黙認されたのでしょうね。

 

 

おっと...これ以上は不味そうですね、受け取っていた連邦側ではどうなっていたのでしょうか?

 

 

鹵獲されたり新たに生産した兵器を用いて革命闘争を続けたのは勿論前提にあるのですが、その為には帝国との講話が必要でした。

同志ダールフォが蜂起されてから一月もたたないうちに秘密裏に帝国との講話がセッティングされ異常とも言える速さで講話が成立しました。

この秘密講話の後、帝国側の各部隊と連邦の革命軍の間では不幸な勘違いによる戦闘を除けば戦闘らしい戦闘がすべて停止され帝国軍の攻勢も鈍化しその間に、我々連邦の革命部隊は人民共和国からの離反者を受け入れ、人民委員長に忠誠を誓った部隊と交戦を続け蜂起から半年がたつ頃には当時の首都を解放することが出来ました。

 

 

なるほど...秘密講話で帝国軍が進撃を鈍化させている間に人民共和国領内奥深くへ進出し解放地域を増やしていったのですね。

 

 

はい。

その通りです、我々が解放しかつて人民共和国領であった地域は後に、一部が帝国との正式な講話と国家承認の際に割譲されることにはなりましたが戦争の代償としては比較的...非常に言いにくいですがマシであり事実上の敗戦であるという事実を鑑みれば寛大である講和条件であったと私は思います。

 

 

なるほど...まだまだ私も語りあいたい事は多いですが番組の終了時間が迫っていますね。

お二人とも、本日はありがとうございました。

さて、次回は戦後の新秩序と新たな脅威について語り合っていきたいと思います。

次回もどうぞお楽しみください!

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