ユクリパ "綴られる歴史"   作:ユクリパ

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ユクリパ綴られる歴史 第3話 "陸軍元帥 帝都に爆ぜる"

帝国標準暦78年14月29日

 

中央大陸西部 帝国中央部帝都

帝国陸軍総司令部

 

「帝国国営放送です、まずは本日の帝都の天気のコーナーです。 帝都は25日からの雪が未だ降り続いており、今後少なくとも5日は雪が続くでしょう。」

 

元帥は部屋に備え付けられたラジオを流しながら、椅子の背もたれに寄りかかりながら自らの執務室の窓から見える、帝国陸軍総司令部の広場を億劫そうに眺めていた。

そうして十数分は経過しただろうか、部屋の壁に掛けられている大きな壁掛け時計が、時を告げた。

その時であった、エントランスの方が何やら騒がしい。

 

「一体どうしたんだ?栄光ある帝国陸軍の総司令部で騒ぐなど、何という不埒者だ?うむ?あれは...親衛軍だと!?なぜ親衛軍が此処に...!?」

 

元帥は、部屋の窓から騒がしい広場を覗き見た、そこには数両の煌びやかに装飾された戦車と、同様に煌びやかではあるがよく訓練されているのが見て取れる数十名の兵士が、今にも頑丈な総司令部の正門をこじ開けて入り込もうとしていた。

 

「まさか...もうばれたのか!あの間抜けめ...あれほど絶対にばれないようにと釘を刺したというに!えぇい!此処にいないバカ者の事なぞ気にしている場合ではなか!焼却処分を急がねば...」

 

帝国軍東部大管区師団配置連絡書発:...元帥 宛:人民共和国 人民委員会人民委員長 殿

下記の地点に下記編成の部隊を配備した、指定時刻に一斉攻撃を...

 

元帥は非常に焦った様子で、乱雑に金庫を開け、中に入っていた書類束に勢いよく火を灯し証拠の焼却処分を始めた。

だが、その作業の最中に唐突に爆音が鳴り響き建物に衝撃が響き渡った。

 

「ケルヴェ元帥!貴官には軍事情報漏洩及び国家反逆罪で捕縛命令が出ている!これは警告射撃だ。即時手を頭へ当てて投降せよ、さもなくば我々親衛軍と治安維持局が突入する!そうなれば身の安全は決して保障できない!繰り返す、即時投降せよ!」

 

(くっ...事ここまで至ったら...だが計画はもはや止まらぬ!)

「愚かな親衛軍めが!私を捕縛だと?ほざけ!できる物ならやってみろ、真の愛国の士であるこの私を捕縛できるというならな!」

 

元帥はそう言って机の下から爆薬を巻いたチョッキを取り出し、身に着けて手には75年式歩兵短機関銃を持ち、割れた窓から眼下の親衛軍兵士と治安維持局員達へ銃撃を始めた。

 

「まだ抵抗するか!もう良い、職員の退避はすんでいる。全車照準合わせ!」

 

親衛軍側の指揮官はそう言い放つと、装甲車の中へ引っ込んでしまった。

 

「1号車、照準合わせよし。」

「3号車、照準調整完了」

「2号車、照準よし」

 

各車の車長が、無線機で照準を合わせたのを指揮官へ報告した。

其れを確認した指揮官は、各車へ指示を出す。

 

「よし、全車射撃せよ!反帝国主義者をこの世から抹消するのだ!」

 

その間も、銃撃を続けながら叫び続けている元帥は、マガジンを窓の外へ投げ捨て、素早く次のマガジンを銃へ差し込み射撃を続ける。

 

「私を消しても、最早止まれぬわ!帝国ばんざ...」

 

叫んでいる最中に戦車砲弾が直撃し、チョッキに巻いていた爆薬に誘爆して、ボロボロになった部屋に肉片と血しぶきを汚く撒き散らし、跡形もなく弾け飛んだ。

 

 

 

======帝国某所======

 

???「貴方の計画は、面白かったけどね。貴方が爆ぜた方がより面白いでしょう?えぇ、勿論、貴方の意志だと勘違いしていたモノは既に、潤滑に動き続けているのですから...」

 

 

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