転生したら……ウマ娘だった。   作:シラネ

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今回の話は、他の話と比べても文字数が多くなりました。

飽きずに読んでもらえると幸いです。(byシラネ)


13話 天才は天才と愚才を生み、皆に恐怖と畏怖を与える

はい、どうもトキノメグルです。バクシンオーとのレースから1ヶ月程が経ちました。あのレースはまだ感銘に残っていますよ。

だって、初めてゲームの中のキャラに会えて、レースも出来たんですから、僅差で負けても物凄い満足感はありましたよ。

 

 

 

 

……早速ですが、皆さんにお伝えしないといけないことがあります。

 

 

はい、

 

 

私が1年生で且つ特進5年生ってこと、

 

 

フツーにバレました。

 

 

 

入学して初日、1年生のウマ娘は6年生のウマ娘と一緒に校内回ったり、校外に出て遊びに行くって事がありましたよね。その時、私と一緒に回ってくれていた先輩が先日あったバクシンオーとのレースで一緒に出走していた【セブンティセブン】先輩でした。だから、あんなにも調子が悪かったんです。私が出走している所、そして、私が5年生特進だと紹介されたことでセブン先輩が非常に混乱し、スタートはまだ良かったにしてもその後は掛かりまくっていて結局最下位だったので……。非常に申し訳ないと思いました。

 

その事が原因で校内に私の存在についての噂が急激に広まり、私のもとに来て質問をしてくる生徒が急増しました。最初はしっかりと応対し、質問に対して全て嘘の否定をしていましたが、ずっと来るもんですから、授業にまで支障が出てくるようになりました。この事態を重く見た先生達は急遽、職員会議、全校集会を行い、『今年のウマ娘科1年生には既に飛び級をしている生徒がいる。詳しくはその生徒の為に言うことは出来ないが、私の一存でこのように混乱を招いてしまい誠に申し訳ない。』と、校長が謝罪しました。

 

……私にも勝手にレースに出た事とか、止めるのを先生に懇願しなかった事やら猛省するところはありましたが、私にはお咎めはありませんでした。

 

結局、私が所属しているウマ娘科1年生のクラス、特進5年生のクラスにもその事が知られてしまい、更には校長が該当生徒の事を言わずに謝罪したことで薄々感づいていた生徒達が確信に代わり、結果、私は質問攻めと大量の宣戦布告を食らうことになるのでした。

 

本当に私達の詰めが甘々過ぎることによって生じた必然的な事件になりました。

 

んで、校長含め先生達はというと、全部という訳ではありませんでしたが、ある程度の事が教育委員会から同情され、生徒達に大人の事情で混乱を生じさせた事、一生徒に集中したイジメが起こりかねないということが問題点とされ、校長には2ヶ月の給料返上。教頭、5年生学年主任、5年生特進担任、1年生学年主任、1年生ウマ娘科担任は2ヶ月の給料減額で責任をとりました。

 

だからと言って彼らに恨まれるという事は一切ありませんでした。というか、普通に謝罪されました。(イジメが起きてもどうってこと無い気がするが。)

 

以下は私が所属しているクラスでの話。

 

……

 

ウマ娘科1年生 教室

 

「……ちょっと、皆、落ち着いてくれない……?」

 

「「「落ち着ける訳無いでしょ!?」」」

 

今、私の席を取り囲むように皆が陣取って私を逃がさせないようにしています。(助けて……。いじめられる気持ちが分かるよ……。)

 

「別に私達は怒ってるんじゃないの!……いや、怒ってるけど……。とにかく、何で言ってくれなかったの!?」

 

「ど、どゆこと?」

 

「確かにメグルちゃんは凄くこのクラスの中でも足が速いし、体力もあるし、凄く賢いなって最初の日から思っていたよ!?だけど、何、飛び級って!?何、5年生の特進って!?何、6年生のお姉ちゃん達に勝つって!?」

 

「ひ、ひぃ……。」

 

「言ってほしかったのよ!!そうしたら私達は喜んで祝ったのに!!」

 

「……え?」

 

どういうこと?祝うって?

 

「つまり、私達が怒っているのは、飛び級した事では無くて、飛び級した事を隠した事なのですわよ?」

 

「……皆、私が飛び級した事が憎いんじゃないの……?」

 

「そんな事!!一回も言ってない!!!」

 

「……私、見たかったなぁ。メグルちゃんが6年生のお姉ちゃん達と一緒に走る所。皆と一緒に応援したかったなぁ……。言ってくれてたら、絶対に応援しに行っていたのに……。」

 

「そ、それは、無理だったなぁ……。」

 

あれは無理だった。バクシン先輩が急に始めちゃったから……。

 

「……ああ、もう……。皆、メグルが怖がってるじゃねえか。私達の戦友(ライバル)を祝うんじゃなかったのか?……メグル。お前は私にとって……私達にとって、戦友(ライバル)だ。勘違いすんなよ?ただの好敵手(ライバル)じゃない。戦友だ。仲間だ。クラスメートだ。私達はお前が今、どのぐらい強かろうが、関係ない。必ず追い付いてみせるから、それまで怠るなよ。」

 

長いよ……ビクトそれ凄く良い言葉なんだけど君が言うと違和感アリアリなんだよ。

 

「「「……ビクトが言葉を間違えなかった……。」」」

 

「良い雰囲気ぶち壊すなよ!?……あぁ、クソッ!めでたいな、ちくしょうめ!!……ちょっと外の空気吸ってくる……。」

 

 

 

「……ビクトは放っておいて、メグル。おめでとう。」

 

「……!うん……ありがとう。」

 

「まさか、ここまで速く飛び級するとわね。……でも、貴女のお陰かもよ?私達が入学してからまだ全然経っていないのにも関わらず、ここのクラスの結束が固まったんだから。」

 

「そう……なのか……?」

結束とは?と言いたくなったが、少なくとも今は私以外は団結していたのだろう。

 

 

「おめでとう……メグル。」

 

「ありがとう。フーラル。」

 

「うん……。もう、メグルは5年生なんだね……。?……ということは……?メグルは、私達にとって、お姉様……なのかな……?」

 

「違います。」

 

「ううん。良いの。私は……今度からメグルお姉様って呼ばさせてね?私の事もフランって呼んで良いから……。」

 

どないすればええねん。

 

「呼ばさせてあげてくださいな。フランは年上じゃなくても若くて立派なウマ娘の事を“お姉様”と呼んでるのですわ。私の事は普通に姉だから“お姉様”と呼んでるだけなのだけれども、フランにとって私以外の“お姉様”に当たるウマ娘は憧れと尊敬に値するそうですわ。」

 

「そうなんだ……。」

 

「……お姉様も私の憧れだよ……?」

 

「ありがとう。フラン。」

 

「……それじゃ、皆で実は決めてた事、言お!……せーの!」

 

「「「メグル!!飛び級、おめでとう!!」」」

 

「……ありがとう!」

 

こうして、1年生のクラスでは皆が私の事を祝福してくれた。

 

少しの間だったけど隠してごめん。

 

……

 

特進5年生 教室

 

 

午後になってから、私が1年生の教室を後にし、未だに生徒のパパラッチが来るのでそれを避けながら、特進5年生のクラスに行くと、ロードが大勢のウマ娘を説得していた。

 

「君たち、ここは特進5年生の教室だよ?ここの者ではないはずだが、どうしたのかな?」

 

「トキノメグル……先輩?と話をさせて下さい!どうしても何でそのようになったのか、聞きたいんです!」

 

「良いから、話をさせなさい。同じ学校の先輩としてどうしても聞きたいことがあるのよ!」

 

「まぁ、待ちたまえ。僕の後輩や先輩方。とりあえず、僕からは彼女の許可なくここを通してはいけないのでね。」

 

「私達のミドリ先輩の事は知ってるでしょ?去年、卒業していった。あの先輩だけが、唯一、特進6年生のバクシンオーと競える位の強さを誇っていたのよ!それを入学したばかりの1年生が“ハナ差”まで詰めたの!分かる!?この気持ち!私達が積もりに積もりあげてきた6年を……それでも届かない私達の努力を……あの娘はそれを1年どころか、たったの3日だけで超えたのよ!?あの先輩の妹という噂が本物であれ嘘であれ、絶対にあり得ない!!信じたくない!!認めたくない!!」

 

「気持ちは分からなくも無いが、ただ自分の欲求不満を私に言われてもね……。それが彼女なりの天才の証でしょう?それで納得してもらえないでしょうか?」

 

「「「納得できる訳無いじゃない!!!」」」

 

「……はぁ。やっぱりか。……それなら、僕達とレースをして、勝利した者だけがメグルに質問する事が出来るという事にしたらどうかな?……メグルは僕達の中でも多分だが“ダントツ”で強い。……今まで、僕達は何回かメグルと戦ったが一回も勝ててないんだよ……?君達にはそんな彼女に質問する権利があるというのかい?あるというのならば、本当なのか確かめるから、“メグルよりも弱い筈”の僕達とレースしようではないか!それで勝てなかったら僕達よりも弱い……つまり、メグルよりかは確実に弱いという事になるだろう?……なに、既に数日前からこうなることを予測して、今週の日曜日のレースコースの予約は取っていたさ!……さぁ!誰が僕達に挑む?なんなら、そこにいるメグルにも参加してもらおうじゃないか!!メグルに勝てば御の字、僕達に勝てば質問の権利、盛り上がるだろう!?……良いだろう?メグル、そのぐらい?」

 

一斉にロードの前にいる大勢のウマ娘が私の方を向く。

 

「「「絶対に勝つ!!!」」」

 

「えぇ……。」(せめて確認してから言ってよ……。あと、話が最後無茶苦茶になってません?)

 

……結局、有無も言わずにレースを開催することになり、推薦や投票、抽選で選ばれたウマ娘と5年生特進組(グローを除く)が集結した。

 

 

グローは適性が無いからと拒否し、今回は観客席に行ってレースを観戦する事にしたらしい。

 

 

 

 

 

……

 

 

そして、今週の日曜日に開かれるレースの為に私は1人で練習していたが、1つ大きな問題が発生した。

 

それは、今回のレースはチーム対抗戦で行われるという事が発表された事だった。

 

実はゲーム【ウマ娘】には、チーム競技場や毎月の大きな大会であるチャンピオンズミーティングというものが存在する。そこでは個人戦ではなく、基本的には3人で1チームとして戦うというルールがある。例外的に1人や2人で参戦する場合もあるが。

 

しかし、現在の私は、一個人。そのまま1人で行くと周りの敵が団結して私に集中砲火してくる可能性が非常に高い。

 

なので、私は同じクラスである5年生特進にチーム作成を頼んだのだが……。

 

……

 

「「「無理(だね)。」」」

 

「え?」

 

即答で断られてしまった。

 

「アタシ達だってメグルと対決したいわけじゃん?別にアンタの事を根掘り葉掘り聞く訳じゃないけど。同じチームになったら、それはそれで楽しいけど、戦いたいんだって。」

 

「大体、私らが今、3人で固まってる事で分かってたでしょ?」

 

「……既にチームになってる……。」

 

「今まで僕達は個人戦では負けてきたけど、チーム戦では戦った事がなかったからね。僕達は君と対決する事は諦めたくないんだ。」

 

「でも、私、チーム編成……。どうすれば……。」

 

「確かに1年の娘じゃ、メグル以外だったら完璧に実力不足だろうし……。」

 

「そもそも、『メグルに勝利する、又はロード率いるチームに勝利する』つまりは、『5年生特進のチームに勝利する事が条件』と、言ってしまっている以上、4、5、6年生のウマ娘は同じチームにならないと思うわよ。」

 

「そ、そんなぁ……。」

 

「諦めてくれ。」

 

そう言われ、私は少し絶望感……というよりも日曜日に起きる1人対大人数のレースが恐くなってしまった。(イジメではありません。一応、正当な行動です。)

 

 

 

……しかし、

 

「……とは、言えなくてね。当ては有るんだ。」

 

「え?」

 

「今の君がここまで精神的に追い詰められる事になった原因の人物。その人物ならば、チームに参加してくれるんじゃないかな?」

 

「……!」

 

「その人物でも良いんだったら、君が作るチームに5年生学級委員として僕から推薦しよう。彼女は今日は既に帰宅してしまっているから、今日は紹介出来ないんだ。明日、紹介しても良いかい?」

 

「是非、お願いします!」

 

「了解。明日の昼休憩、彼女をここの教室で待機させておくよ。」

 

 

……

 

翌日

 

この事件の元凶ともう1人の元凶が5年生特進の教室で互いに土下座する事になったのだった。

 

その後、そのやって来た先輩は、チームへの参加を快諾し、もう1人のチームメンバーは紹介は出来るが、当日でないと対面は出来ないと言われ、ほぼ確定でチームの出場するメンバーが決まったのだった。(理由は、所属しているスポーツクラブの関係で学校を今週末まで休んでいるということだった。そして、次に先輩に会ったときには既に連絡をしてくれており、チームに参加することを承諾したと言ってくれたのだった。)

 

その後の日々は先輩こと、セブン先輩と一緒に放課後トレーニングに励んだり、作戦の打ち合わせを行ったのだった。

 

……

 

数日後

 

私とセブン先輩、更にやって来た先輩の親友、ゼロワンピーシー先輩が集結し、チーム『メグル』として、チーム対抗戦に臨む事になったのだった。

 

……

 

レースコース

 

【EX】【東京 芝 模擬レース 2000m 曇 稍重 左】【チーム対抗戦】

 

 

(実況 5年生進学担任)

(解説 6年生進学担任)

(スターター 6年生学年主任)

(ゲート 4年生学年主任)

(判定 4年生ウマ娘科担任)

 

 

 

 

出走者

 

1イットウニュウコン差しチーム『サイレンス』
2リアフルス追込チーム『ロード』
3ブラッドステイ★先行チーム『ブラッド』
4スイヘイセン逃げチーム『エンブレス』
5トキノメグル★差しチーム『メグル』
6エンブレス★先行チーム『エンブレス』
7ロードジャスト★逃げチーム『ロード』
8ブルーシャワー★差しチーム『シャワー』
9サテライト逃げチーム『シャワー』
10セブンティセブン追込チーム『メグル』
11ダイヤモンドホーン先行チーム『サイレンス』
12レイショット先行チーム『ロード』
13ファーストロッド逃げチーム『シャワー』
14ユウキトアイ追込チーム『ブラッド』
15ゼロワンピーシー逃げ チーム『メグル』
16ラクトブロッサム追込チーム『ブラッド』
17ファストフット先行チーム『エンブレス』
18ナイツサイレンス★追込チーム『サイレンス』

 

...追込......差し......先行......逃げ...
5人3人5人5人

 

★が付いている出走者は各々のチームのエースメンバーです。

 

6年生進学チーム:チーム『サイレンス』、チーム『ブラッド』

5年生特進チーム:チーム『メグル』(エース以外は6年生進学)、チーム『ロード』

5年生進学チーム:チーム『エンブレス』

4年生ウマ娘科チーム:チーム『シャワー』

 

 

……

 

パドック

 

 

 

「今回はチームを組んで下さり、ありがとうございます。セブン先輩、ピーシー先輩。また、こんなことに巻き込んでしまった事、今一度謝ります。すみません。」

 

「そんな、謝らないで!私の方が悪いのよ!というか、もう何回も謝ってもらってるけど、違うからね!貴女が1年生というのを隠していた飛び級の5年生特進って事を知っていたら言わなかったのに……心配になったのと疑問に思ってつい、周りの友達に喋っちゃったの……何回も言うようだけど、本当にごめんなさい!」

 

「いいえ。セブン先輩は悪くないです。悪いのは私と私の正体を隠していた学校が悪いんですから……。」

 

「いやいや、私が喋らなかったら、こうはならなかったの……!1年生に責任を持たすなんて出来ないわ!」

 

「……どちらも悪くないのでは?」

 

「「え?」」

 

「メグルさんは混乱を避ける為に自分の正体を隠そうとしたのが偶然バレてしまっただけのこと。セブンさんは自分のパートナーを心配しての行動だっただけのこと。どちらも悪意はないので悪くは無いのでは?」

 

「そうかもだけど……。」

 

「それに、ロードさんがこうして、実力で解決するような状態にしてくださったので分かりやすくなっています。要はメグルさん率いるこのチームが勝てば良いのですから。」

 

「……そうですね。ピーシー先輩、ありがとうございます。……勝てば良いんです。そうすれば皆、納得してくれますね。セブン先輩もありがとうございます。お陰でスッキリした気分ですよ。逆にあのままだとずっと抱え込む羽目になって、私はしんどい思いをしていたでしょうから。」

 

「そう……?……うん。分かった。もう、しょげない。……頑張って勝利を掴もう!」

 

「その意気ですよ。……メグルさんは、私の事をあまりご存知ではないと思いますので、ここで軽く自己紹介させて頂きます。私は、ゼロワンピーシー。主な作戦は逃げ。中、長距離のレースが得意です。また、セブンさんとは小さい時からの馴染みです。」

 

「セブン先輩とはそんな関係でしたか……。では、今度は私が自己紹介しますね。私はトキノメグル。昨年卒業した、トキノミドリの妹です。作戦は何でも、距離もある程度の距離ならどれでもいけると思います。今回はよろしくお願いいたします。」

 

「凄いですね……。作戦も自在、距離も自在、それが小学校1年生とは。確かにこれはヤジウマの気持ちも分かりますが、迷惑をかけて良い訳ではありませんね。頑張りましょう。……次はセブンさん、一応、どうぞ。」

 

「うん。私はセブンティセブン。主な作戦は差しと追込。距離は短距離から中距離まで。中長距離からはかなりきついかな?頑張ってメグルの事、サポートするからね、よろしく!」

 

「よろしくお願いいたします。……さてと、他のチームの殺意が凄いのでさっさとゲートに向かいましょう。」

 

「「うん(はい)!」」

 

 

……

 

学校の不手際で半強制的に行うことになったこの模擬レース、実況者としてではなく、教師として、まずは謝罪させていただきます

 

観客席には噂を聞きつけた1年生から6年生までの殆どの生徒が観戦しに来ており、既に観客席から熱気が溢れております

……が、パドックの方では更に熱気……いや、寒い程の殺気が満ち溢れております

さて、このレースはチーム対抗レースとなっております

今回の出走者は18人、フルゲート、チームメンバー数は各々3人、チーム数は6チームになっています

 

空は快晴とはいかず、厚い雲が澱めています。

ターフの方は前日の雨、今朝の小雨の影響が少し残って稍重となっております

 

それでは、気になる三番人気から一番人気を紹介しましょう!

 

 

三番人気は、7番ロードジャスト!

 

このレースの開催者で5年生特進、学級委員です

 

「メグル、本気を出してくれたまえ!でなければ……“許さない”からね?」

 

凄い気迫です。いつものロードジャストでは出さない雰囲気が……殺気が溢れております。

今回は『ロード』という5年生特進チームのエースになっていますね。

 

 

二番人気、3番ブラッドステイ!

 

今回のレースでは6年生進学のウマ娘達を2チームに分けております

 

彼女は『ブラッド』という6年生進学チームのエースになっていますね。

また、彼女は6年生進学のウマ娘の中では最優秀生徒で、学級委員です。元々は5年生特進だったこの娘、6年生に上がってからは自分の適性の関係から、敢えて進学コースを希望した茨の道を突き進む強い娘です。

 

「……トキノメグル……。お前はミドリ先輩とは違う。……見せてみろ、私に。お前が持つその実力を。姉とは異なった天才の実力を!」

 

 

威風堂々と構える小さな巨人、一番人気、5番トキノメグル!

 

今回の事件の中心人物であり、1年生でありながら、5年生特進という謎の肩書きを持つ……チーム『メグル』のエースです

 

サクラバクシンオーとの戦いで見せたその実力は今回のレースではいかほどか。新たな天才……ウマ娘達の導となるのでしょうか?。

 

「……。」

 

 

……

 

観客席

 

 

 

「「「メグル!頑張れ~!!!」」」

 

「締まってけよ!!!!!、お前ら!!!、メグル!!!、ロード!!!、リア!!!、レイ!!!」

 

「あのお姉ちゃん、怖い……。」

 

「大丈夫よ。あの方もメグルさんやお仲間の方を応援しているだけですわ。」

 

「頑張れ~!!!」

 

(頑張れ。……メグル!)

 

(奴に勝つためにも、今回のレースで勉強しねぇと……。ともかく、頑張れよ。メグル。)

 

「頑張って下さいね!メグルさん!私の好敵手(ライバル)として……優秀であるために!……あ!販売員さん!桜餅下さい!」

 

「はいよ~。1パック、1000ジンバブエドルね。」

 

「せ、1000!?そんなに高いのですか!?その桜餅は!?」

 

「おうよ!極秘製造の金船印の超高級桜餅!限定1パック!今が買いだよ~!」

 

「分かりました!買います!はい!1000!」

 

「毎度~。ほい。お釣の645円。」

 

「やや!?お釣がこんなに!?どういう事でしょう……。ともかく、食べてみましょう!!いただきます!(はむッ)……やっぱり、桜餅は美味しいですね!」

 

「よし。餅が売れた事だし、次は、ドーナツの穴空けバイトだな……んじゃ、アディオス!」

 

「さようなら!……しかし、本当に美味しいですね!この桜餅!……さっきのウマ娘の販売員さん、またどこかで会えるでしょうか?会えたら、また買いたいものですね!」

 

 

 

 

「「「ステイ!頑張れ!!!負けちゃダメだからね~!!!」」」

 

「「「1年生なんか、負かしてやれ~!!!、スイ!、エンブレス!、ファスト~!ファイト~!!!(イッパーツ!!!)」」」

 

「「「頑張れ頑張れ!ブルー!頑張れ頑張れ!ライト!頑張れ頑張れ!ロッド!ワーーーー!!!」」」

 

2、3ウマ娘達(私達は誰を応援すれば良いか分からないから、勉強しよう。……だけど、本当にパドックやゲートが寒いぐらいに殺気が漏れてるよ……。本当に小学校のレース?トレセン学園とか、重賞レースじゃなくて?)

 

……

 

ゲート

 

 

 

各ウマ娘、ゲートイン完了、出走の準備が整いました

 

 

 

※今回のレース(パドック内の実況、解説含む)以降、実況者が喋る言葉には、句点が付かず、解説者が喋る言葉には必ず句点が付くようになります。また、レース中に観客席から発言があった場合、『』の括弧が。思念があった場合、《》の表示があります。出走者はいつも通りの「」、()になります。

ただし、固有スキルの発動時には、『』、【】。スキル発動時には【】を用います。

 

 

 

……

 

 

 

 

スタート!!

 

各ウマ娘、キレイにスタートを切りました!

レイショット、今日は【集中力】を発動させても、出遅れなかった!

普通なら、【集中力】は出遅れを防ぐ為のものなんですけどね……。

 

 

先行争いを繰り広げているのは、内から、ゼロワンピーシー、ロードジャスト

直ぐ後ろ、スイヘイセン

更に後ろ、サテライト、ファーストロッド

 

一番人気、トキノメグル、集団の後ろ側に陣取っています

 

先頭は二人のつばぜり合い!ゼロワンピーシー、ロードジャスト、互いに譲らない!

 

続いて、先行の集団の様子を見ていきましょう

 

逃げ集団の最後尾から5バ身差、先行集団の先頭はブラッドステイ

1バ身差、エンブレス、レイショット、ブラッドステイを追いかける!

その後ろ、ダイヤモンドホーン

ファストフット、追跡

 

差し集団は先行集団の最後尾から4バ身後ろに構えています

 

先頭はブルーシャワー

その外、トキノメグル

1バ身後ろ、イットウニュウコン

 

ブルーシャワーとトキノメグルの激しい競り合いが続いています

 

そして、追込集団、差し集団から3バ身離れて、固まっています

 

追込集団、先頭は、リアフルス

続いて、セブンティセブン

直ぐ後ろ、ナイツサイレンス

ユウキトアイ、ラクトブロッサム、最後尾にて様子を伺っています

 

先頭から殿までおよそ22バ身

全体が長くなっていますが、全員が各々のペースで走れているようです。

 

セブンティセブン!【逃げけん制(劣化版)】【先行けん制(劣化版)】を使って、2つの作戦の敵を疲れさせる!

一気に発動させて、自チームの勝率を上げようとしていますね。

 

(……フンッ)

(グローがいたのかい?)

((((((2000mでのけん制か……。少し、調整しないと……。))))))

 

(私は今回、サポート。ピーシーとメグルの為に頑張らないと!……その為に数週間前から“デバフ”のグローにも会いに行ってたんだから。)

 

《お?ちゃんと使ってくれたか。》

 

ゼロワンピーシー、【先頭プライド】で先頭を譲らない!

ブラッドステイ、【中距離コーナー○】で速度を上げる!

ブルーシャワー、【ポジションセンス】で自分の走る位置を調整しています

 

先頭集団、先行集団のペースが僅かに落ち、そのまま集団は向こう正面に入っていきます

 

先頭、ゼロワンピーシー

外、ロードジャスト

後ろ、スイヘイセン

直ぐ後ろ、サテライト

1バ身差、ファーストロッド

3バ身後ろ、ブラッドステイ

1バ身後ろ、レイショット

後ろ、エンブレス

その外、ダイヤモンドホーン、ファストフット

3バ身差、トキノメグル

続いて、ブルーシャワー

1、2バ身差、イットウニュウコン

更に2バ身差、セブンティセブン

内、リアフルス

後ろ、ナイツサイレンス

その外、ユウキトアイ

最後尾、ラクトブロッサム

 

トキノメグル!少し焦っているか

緊張はあるでしょうね。彼女は唯一の1年。他の娘達と比べても体格差が大きいです。

 

『頑張れ~!メグル~!』

(全く聞こえないけど、そう言ってる気がする。……頑張るよ。)

 

トキノメグル、【直線巧者】で自分の走るペースを上げた!

凄いですね。1年生でスキルを持った生徒なんて見たことがありません。どうやって手に入れたのでしょうか?。

 

(めちゃくちゃ努力したら手に入ってたんだよね。普通ならトレーナーから教わるもんなんだけど。本当にそれ専用のトレーニングしたら入ったんだ。効率悪かったけど。)

 

向こう正面中間、大きな坂を上っていくウマ娘達

 

ダイヤモンドホーン、イットウニュウコン、【登山家】で上り坂を駆け上がる!

 

そして、長めの下り坂に差し掛かり、ダイヤモンドホーン、今度は【直滑降】で下り坂を素早く駆け降りて行く!

ダイヤモンドホーンは坂路が得意な娘ですからね。今回のレースは彼女にとって有利なレースになるでしょう。

 

残り1000mを通過!

 

3コーナーに入り、4コーナーを目指します

 

現在の順位を紹介します

 

依然先頭は、ゼロワンピーシー

続いて、ロードジャスト

1バ身差、スイヘイセン

その後ろ、サテライト、ファーストロッド

2バ身差、ブラッドステイ

後ろ、レイショット、ダイヤモンドホーン

1、2バ身差、エンブレス

その外、ファストフット

1バ身差、トキノメグル

更に1バ身差、ブルーシャワー

その外、イットウニュウコン

2バ身差、リアフルス

後ろ、セブンティセブン

直ぐ後ろ、ナイツサイレンス

その外、ユウキトアイ、ラクトブロッサム

 

(中盤に入って後半……そろそろ何かを……)

「やらせないよ……?」

(……!)

 

ナイツサイレンス!セブンティセブンに【ささやき】!

セブンティセブン、調子は大丈夫か!?

 

(ッく!……耐える!……耐えた!……よし……そして、焦れ!)

 

セブンティセブン、反撃の如く【追込焦り(劣化版)】!更に【先行焦り(劣化版)】を使う!

 

(ほほう……?)

(……チッ。)

((((こちとら、けん制も焦りも食らってるんですけど……!))))

(とばっちりじゃん……。)

 

先行5人はかなり辛くなりましたね。

集団のペースが速くなったり遅くなったりを繰り返していく中の4コーナー

段々と集団が固まっていき、最終直線に臨んでいきます

 

(そろそろ最終……。ここからが勝負!よし、行く……ぞ?)

 

トキノメグル!【まなざし】だ!【まなざし】を食らっているぞ!

 

(行かせない!)

(我らがチームが勝利するために……行かせません!)

 

「大人げないとほざくなよ?」

 

ナイツサイレンス!メグルに【まなざし】を使いながら、【束縛】だ!全体のペースが下がる!

 

(メグル!!……ああ、もう!ヤケクソのためらいよ!!)

 

セブンティセブン!終盤に入って、【先行ためらい(劣化版)】、【差しためらい(劣化版)】、【追込ためらい(劣化版)】を使った!!

一体、何個デバフスキルを持っているんだ!?

デバフスキルが飛び交っていますね……。

 

 

『クククッ……あはははは!!マジかよ!!先輩、即席で教えた奴、ほぼ全部使ってらぁ!!あはははは!!あひ、ひぃ……はぁ、おっかし……ククククッ……』

 

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集団のペースがだだ下がりの状態で最終直線に入ります!

最終直線は約500m!逃げのゼロワンピーシーが先頭を走る中、先行のブラッドステイ、追込のナイツサイレンスが進出してくる!

 

 

 

 

(体が重い……だけど……この程度のデバフじゃあ、私の“教え()達”はへこたれていなかった……。私もいける。いけるんだぁーーー!!!!!)

 

 

……

 

 

 

『私を……!無礼(なめ)るなよ!!!』

【オールターフ Lv.1】

【オールターフ Lv.2】

 

 

 

……

 

 

トキノメグル!【束縛】と、3人分の【まなざし】を食らっている中でも勢いよく加速した!!いや、飛び出した!!!

 

 

「マジで!!?」

(!?)

 

「はあーーー!!!!!」

 

(私だって、負けられないんだーーー!!!!!)

 

トキノメグル!【末脚】を使って更に加速!!

 

「頑張れ!メグル!」

 

 

先頭ゼロワンピーシー!しかし、外からトキノメグルが飛んでくる!

 

(……あそこまでヤられてこれなのか……。フフッ……興味深い!)

 

 

……

 

 

 

『極限まで誘え!』

 

【NO MORE NEGLIGENCE Lv.2】

 

 

 

……

 

 

ナイツサイレンス!更に自分の前方にいるウマ娘にデバフを掛けながら加速する!!

 

「「「ゴフッ……」」」

 

「……はぁ……はぁ……はぁ、はあ……ー!!!」

 

それでも尚、トキノメグルの加速は止まらないぞ!!

 

先頭が切り替わって、ブラッドステイ!しかし、後ろからトキノメグル、ナイツサイレンスが追いかける!

 

残り200!!

 

(はぁ……はぁ……こんな“重い”レースは初めてだ……。だがな……走る身としては……!ここまで面白いレースも初めてなんだよ……!!)

 

 

……

 

 

 

『納得いかさせろ!!!』

 

【Never-satisfied Lv.2】

 

 

 

……

 

ブラッドステイ!!抜かされまいと加速する!!

 

 

『『『行っけぇーーー!!!、メグル!!!』』』

『『『耐えろ!!!、ステイ!!!、押せ!!!、ナイツ!!!』』』

 

残り100!

 

「「「はああああーーー!!!!!」」」

 

 

最後は3人の三つ巴!!

 

最初にゴール板を駆け抜けるのは誰なんだーーー!!!

 

 

 

 

 

……

 

 

ゴール!!!

 

 

 

……暫くお待ち下さい。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

……お待たせ致しました。

 

結果がまとまりましたので、お伝えします。

 

 

最後の三つ巴を制し、勝ったのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トキノメグル!!!

 

 

デバフスキルの雨を潜り抜け、6年生優秀生徒を2人も打ち負かし、見事勝利した!

 

二着、ブラッドステイ!!!

 

三着、ナイツサイレンス!!!

 

 

優勝、チーム『メグル』!

 

準優勝、チーム『ブラッド』!

 

3位、チーム『サイレンス』!

 

……

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

1..R..
2000..m..

5\\\
\\ハナ
3\\\
\\ハナ
18\\\
\\3
14\\\
\\4
15\\\.

..稍重.
.ダート..

.タイム2:06.8レコード

 

……

 

レースコース

 

 

 

……ぜぇ……ぜぇ……はぁ……はぁ……。……やったよ。皆。やったよ。私……。

 

……。

 

…。

 

 

 

あと、ごめんね。

 

 

 

……

 

レースが終わると、空に澱めていた厚い雲が耐えきれなくなったように雨を降らす。

 

 

 

本物の雨がターフを濡らす中、

 

 

 

 

1人のウマ娘が芝の上で倒れていたのだった。




誰か、《fade》の再生を途中で止める方法、知ってたら教えて下さい。

作品の改善、品質向上に繋げます。(byシラネ)

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