転生したら……ウマ娘だった。   作:シラネ

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14話 トキノメグルと男子高校生

……

 

「ねえ。この娘とか、チャンミ用、どうかな?」

 

「そうだね……もうちょいスタミナの値が高くないとキツいかも……。」

 

「やっぱり?……また、作り直しかなー?」

 

「まあ、回復スキルで賄えるか。後でルームやろっか。」

 

 

 

 

……ねえ、ここはどこ?

 

 

……夢?それとも現実?

 

 

私、走っていたのに……。いや、ゴールしたんだっけ。結局、勝ったのは……誰だったっけ……。

 

 

 

 

 

……

 

???

 

 

私は、時野巡。

 

 

3年の男子高校生。

 

 

1年後に控える受験の為に勉強しているが、中々うまくいかない。毎日、受験に向けた習った範囲の模試や未だに習っていない範囲の勉強、過去問の解き潰しに追われる日々だ。

 

そんな単調な日々を過ごす私の前にある友人がとあるスマホゲームをやらないか?……と、誘ってきたのだった。

 

そのゲームの名前は、【ウマ娘プリティーダービー】。

 

最初は来年の受験の為に拒否しようと思ったのだが、断りきれずにダウンロード・インストールを行い、プレイを始めたのだった。

 

 

……おもろかった。

 

 

個性溢れる馬を擬人化した女の子達が競馬場を走る、その女の子達を育成するトレーナーというものに自分がなり、育成して強くするというのがこのゲームのメインの遊び方なのだが、いかんせんそんなゲーム(育成ゲーム)をしたことがない、はたまた競馬の知識なんてさらさら無かったのにも関わらず、私は新鮮味でこのゲームにはまってしまったのだった。

 

その後、そういえば馬の事が好きだった私の母にもこのゲームの事を伝えると、タブレット端末でプレイしだし、ひいてはデータ容量が足りないからと言って、パソコン版に切り替えてプレイするほどだった。

 

……

 

「ねえ。この娘とか、チャンミ用、どうかな?」

 

「そうだね……もうちょいスタミナの値が高くないとキツいかも……。」

 

「やっぱり?……また、作り直しかなー?」

 

「まあ、回復スキルで賄えるか。後でルームやろっか。」

 

「そうね。その結果で決めましょうか。……そういえば、お知らせ見た?新しいウマ娘がピックアップされるみたいよ?」

 

「マジ?もう、2週間経つのか……前回の娘から。引けなかったよ。」

 

「また引いたの?石があれだけ無いって毎度言ってるのに……。貯めとけって言ったでしょ?」

 

「ギャンブラーなんで。」

 

「もう……絶対、次回の娘はあなたが好きになりそうなキャラだったのに……。」

 

「へえ?オグリよりも?」

 

「それは分からないけど……。親近感は沸くと思うわよ?」

 

「なんで?」

 

「だって、次回、ピックアップのキャラの名前が……

 

 

 

 

……

 

 

メグル!!!

 

 

……

 

 

???

 

 

 

「巡!!!、しっかりしなさい!、巡!!!……先生!巡は……助かりますか!?」

 

「分かりません。精密検査と手術をしないといけないので……!直ぐに手術室に向かって!!」

 

「はい!!」

 

「巡さん!聞こえますか!ここは病院です!手術しますので、それまで気を確かに持ってくださいね!」

 

「巡さん!巡さ…!めぐ……ん!め…………!

 

 

 

 

……きつい。苦しい。熱い。寒い。

 

 

 

吐き気まで押し寄せる。

 

 

 

目の前が暗い。

 

 

 

音が聞こえない。

 

 

 

……でも、走らねば。

 

 

 

あの子の為に。

 

 

 

走らねば助けられなかった。

 

 

 

良かった。

 

 

 

でも、

 

 

 

痛い。

 

 

 

痛い。

 

 

 

痛い。

 

 

 

……きつい。苦しい。熱い。寒い。吐き気まで押し寄せる。目の前が暗い。音が聞こえない。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛イ。イたい。イたイ。いタイ。イタい。イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ……。

 

 

……

 

 

しっかりしなさい!

 

 

……

 

 

???

 

 

…………。

 

 

 

……。

 

 

 

…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

メグル!!!

 

 

……

 

???

 

……何かが見える。……何かが聞こえる。……行かなきゃ。……何か言い残した事はあったっけ?

 

 

 

 

……あ、あった。

 

 

 

 

……あと、ごめんね。

 

 

 

 

……母さん。

 

 

 

 

……

 

 

メグル!!!しっかりしなさい!メグル!!!

 

 

……..

....

……………..

..

 

 

 

 

病院

 

 

 

 

目を覚ますと、そこには母さんがいた。

 

 

母さんは涙を流していた。

 

 

側の窓を見るとどうやら太陽が山の頂上からひょっこり、顔を見せていたようだった。でも、直ぐに見えなくなる。だけど、窓から目を離し、横を向くと母さんの場所はやっぱりそこにある。

 

 

「……おはよう。母さん。」

 

私はよくは見えない母さんに向かって言葉を紡ぐ。

それに反応して、母さんも言葉を返す。

 

「……グスッ。……おはよう。メグル。」

 

 

母さんが近づいてきて、私をギュッと抱き締めた。

 

 

暖かかった。今はそれだけしか言えない。でも、良いんだ。

 

 

生きている今が一番大事なのだがら。


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