転生したら……ウマ娘だった。   作:シラネ

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16話 小学校の四天王

【6時 小学校】

 

前回のレースから5日経った日、私は小学校に帰って来た。

 

そして1年生の教室には誰も居ない。まぁ、上に書いてあるように単純に登校が早すぎるだけなのだが。

 

 

……実は、私は普段の登校時間が他人よりかなり早い。(小学生で6時は異常やとは思っているけど。)

 

これは前世の名残で小学生の時からそうだった。

 

前世の小学生の時から既に受験戦争に足を踏み入れ、中、高のどちらも敢えなく敗北。(高校は滑り止めに入った)

 

……非常につまらない時期だった。

 

少し前にも言ったが、【ウマ娘】にはまったのはそんなつまらない受験戦争の大学編になっていた時期の事で、出会えてからは灰色だった景色が色が付くぐらいに私は感銘を憶えていた。

 

ゲーム一つでここまで変わるものなのだなと今更ながら感心する。

 

少し話が脱線したが、登校時間が早いことで学校に来ても一人ぼっちなのだ。

 

前世の小学校では決まった時間に開門していたのだが、今の小学校では先生の内、誰かが来てから直ぐに開門されているので、私みたいな生徒には助かるのだ。

 

因みに母さん、父さんには了承済み。

何を言っても聞かないのなら、やれるだけやりなさいという、自由主義な思考の持ち主達だ。(単に言い聞かせるのを諦めただけ)

朝ごはんは自分で準備する時もあれば母さんや父さんが起きて作る時もある。

実を言うと、父さんの方が料理などの家事は上手い。

母さんのトレーナーだった時期のサポートの賜物だろう。

私は5時に起きては寝ぼけ顔で歯磨きをしながらシャツやスカートなどを着用し、身支度を整えた後はご飯を作るか、もしくは作ってもらったのを食べて、ランドセルを背負い、体操服2セットを肩にかけるなり、フックにかけるなりしてさっさと学校に向かうという訳だ。

 

(てか、男子目線から言わせてもらうけど、スカートって寒くね?伝統衣装とか知ってるから全く恥ずかしいとかは前世の時から思っていなかったけど、足とか寒く感じるんだよね。夏はアリだと思うけど。……慣れてないから?)

 

 

またまた話が脱線したが、

そんなわけで私はいつも、学校が開いている6時には着いており、何をするのかと言えば更衣室で体操服に着替えて、トレーニングコースでトレーニングをするだけのルーティンを学校でやるだけの事。

 

ざっくりとしたメニューは、アップで念入りの準備体操とトレーニングコース(約2400m)をジョギング1周。その後は日によって変わるが、1200mを少し速めに走ったり、それの2倍、3倍と距離を増幅させてペースを一定に保つというのを数セットすることを主なメニューにしている。

私の適性にバランスを持たすためだ。

ダートのコースは無いため、そればかりは家に帰ってから土手で走るなどで賄っている。

1200mの倍数3倍までのランニングそれぞれにダウンをしっかりと取り、それぞれの間で5分は確実に休憩を取る。

だが、今は病み上がりなので休憩間隔を10分にし、いつもよりもペースをほんの少し落として走っている。

脚質についてもそれ専用のトレーニングを本来ならばやるが、今は控えている。

その代わりに自分でフォームチェックをする。

貸し出しているカメラを使って自分を撮影し、スパートやその前の姿勢を確認するのだ。無理の無い姿勢か。本気が出せる姿勢か。はたまた楽にスピードを出せる姿勢か。色々な事を考えながらフォームを確認しないといけない。レースの間(特にスパート時)に考え事をしていると雑念のせいで疲れかねないので身体に憶えさせる。

ランニングトレーニングを一通り終えるとパワートレーニングのスクワットを50回数セットをやっていくのだ。

 

 

……そんな事をやっていると7時なんてとっくに超えているのが日常茶飯事。始業は8時半だが、生徒達の平均的な登校時間は7時45分。この学校では少し早めに登校する子が多いのだ。理由はその早めの登校をする多くの生徒がウマ娘科の生徒だからだ。私と同じようにトレーニングをしに来たり、軽いレースっぽいものをやってたりする。そうなると人が多くなるので私のような“少し”ハードなトレーニングはしづらくなるのだ。

 

人が多くなると私はさっさと戻って着替え、いつも持って帰ることすら忘れている宿題(一部例外)に手を付け、ちゃちゃっと終わらせる。その後は読書なり、賢さトレーニングの一人将棋なりするのだ。

まぁ、今は職員室に行って復活したことを報告するのだが。(職員室は緊急時を除いて7時半以降に生徒達が入室出来るようになる。)

 

 

そういうルーティンをこの前皆に話すと、「やりすぎ!」、「なんで身体が壊れてないの!?」、「何がそうさせるの?」「代わりに宿題やってよ……」だとか言われる。

 

出来るものは出来るのだ。それしか言えない。

 

 

……

 

【7時半 職員室】

 

 

さて、職員室に向かうと、やれ体調は大丈夫か。やれ無理はしないでくれ。など様々な事を言われる。レースに関しては学校の責任の範疇外だと私は勝手に思っているので、大丈夫。冇問題(モーマンタイ)。(問題ない。)と、先生に会って言われる度に言っている。(たまに『大丈夫だ。問題ない。(キリッ)』と、言うのはご愛敬)

1年生ウマ娘科の担任に報告し、改めての謝罪と休みの間の宿題(1年生と5年生特進)を受け取った。

 

……その課題も直ぐに終わるのだが。

 

……

 

【7時50分 教室】

 

あらかたの宿題を済ませ、将棋をパチパチ打ちながら最後の方に残しておいた宿題の算数プリントをやっていると、ようやくクラスメートが教室にやって来た。

 

「おはよ~。今日も一番乗……。あれ?メグルちゃん!退院したんだ!」

 

「おはよ。そう、昨日退院したんだ。」

 

「そうなんだ~。元気になってくれて良かった~。……でも、これで私の教室一番乗りは出来なくなっちゃうな……あははは……。」

 

「1年生にしては早いんじゃない?」

 

「メグルちゃんが言っても全く説得力無いよ……。」

 

「それもそっか。なら、私みたいに6時とかに来たら?」

 

「起きてないし、そもそもメグルちゃんはそのぐらいの時間に来てたんだ……。」

 

「まあね。鈍った身体を解すためにも軽い朝練は良いよ?」

 

「メグルちゃんの“軽い”は、私達にはかなりハードだからね?……でも、6時は無理にしろ頑張れば7時なら来れるかな……?」

 

「私は1人でも良いけど、7時45分までだったらトレーニングコースに居るよ。一緒にやりたいんだったら付き合うけど?」

 

「分かった。頑張って早起きして、7時に来るよ!」

 

 

その後、何分か経つとクラスメートが段々と増えてくる。そして、私に対して退院したことを喜んでくれたのだった。

 

私はこの前のレースで皆に“本気”の姿を見せていたので少し引かれているかと思ったが見た目そうでもなかったらしい。……念のために尋ねてみると、

 

 

「「「引いてるよ?」」」

 

「やっぱし?」

 

「最初からですわよ?逆に今更ですわ?」

 

「やっぱり?」

 

「お姉様が凄すぎるの……。でも、仲良くはしたいんだよ……?」

 

「分かってるよ。私だって皆とは仲良くしたいし、遊びたいもん。」

 

「……メグルが遊ぶ事ってあるのか?」

 

「あるよ!何を言ってるんだよ!?」

 

「……メグルちゃんって、皆と遊ぶのとか、まず遊ぶ事が嫌いなのかと思っていた……。」

 

「そんなこと無いよ……。」

 

「じゃあ、何の遊びを普段やっている?」

 

「えっと……。ちょっと待ってね……。」

 

 

……

 

3分後

 

 

「えっと……。ちょっと待ってね……。」

 

「ループしているぞ。」

 

「いや、有るから……ちょっと待って……中々頭にそれが浮かばないだけで……。」

 

「人はそれを“知らない”と言う。」

 

アイリスがジト目になりながら正論を言う。

 

「……カップラーメン出来たぞ~。」

 

ビクトがカップラーメンを幾つか作っていた。

 

「ん!?おい!なんで教室にカップ麺なんかあるんだ!?」

 

「持ってきたから。」

 

「お湯を沸かしたから。」

 

「食べたくなったからですわ。」

 

「3分だけ時間をくれたから。」

 

「あれ(9話)と混ぜるな……。そもそもどうやって湯を沸かしたんだ?」

 

「おいしい……。」

 

「食べている者が既に……。」

 

「朝ごはん……♪」

 

「先生もどうぞどうぞ。」

 

「先生もか!?」(食べていなかったのか!?)

 

 

……

 

 

「という訳で、学校にカップ麺を持ってきてはいけません。……。(ズゾッズゾゾー)」

 

「全く説得力がありません!」

 

「……今度から、カップ麺を持ってくる時は職員室に来なさい。お湯をあげます。」

 

「話が変わりまくるな……。」

 

「とりあえず、メグルさん、退院おめでとうございます。」

 

「ありがとうございます。……あ、今、思い出した。私、トランプタワーを作る事とか、ルービックキューブで遊んでいたんだった。」

 

「「「……。」」」(……それ、遊びなの?)

 

遊びです。

 

 

……

 

 

その後は普通に授業……だったと思うのだが、いつの間にか先生と一緒に教壇に立たされて、先生の助手みたいな感じで先生と一緒に皆に教えていた。(全範囲分かるから良いけどさ……。)

 

そのような感じで1~4時限の授業があり、それらの授業が終わって昼休憩になったので、以前と同じようにご飯を食べてから5年生特進のクラスに向かおうとしたのだが……。

 

 

「メグルさん。ちょっと、私に付いて来てくれる?」

 

「……?はい。分かりました。」

 

私は先生に呼び止められ、ある空き教室に連れてこられた。

 

「そこに座ってくれる?」

 

机と椅子がそこにあったので椅子に座る。

 

すると、先生が2枚の紙を机に置いた。

 

見ると、それは1年生用の小テストと白紙の紙だった。

 

「どうしたのですか?」

 

先生は少し申し訳なさそうな声で返事をする。

 

「……これよりも少し難度の高い問題を作りたいけど、相談に乗ってくれない?」

 

「はい?」

 

 

……結局話をまとめると、

 

小テストを作成する時に、添削、修正、テスト後の生徒の対処を生徒である私に今度から相談したいとのこと。

 

報酬としては1年生の体育の授業内であれば自由行動(つまりは勝手にトレーニングして良い)ということだった。

 

……別にそんな難しいものなのかね?と思いながら、まぁ、約1時間から2時間程、自分の考えているようなハードトレーニングが出来るのならそれでも良いやと思い、承諾したのだった。

 

 

……

 

話を終えた私は、心配しているであろう5年生特進のクラスメートのもと……5年生の教室に急いで向かうと、これまた入退院の事、レースの事から話が始まるのだった。

 

【5年生特進 教室】

 

 

「お帰り~。元気になった?」

 

「うん。心配かけた?」

 

「そりゃ心配するっしょ。私らには大差で勝ってると思ったらいつの間にかターフでぶっ倒れているんだから。心配だし、担架で運ばれて救急車に乗せられていくわで大目立ちだったよ。」

 

「お騒がせしました……。」

 

「……本当に速かった。バ場は稍重、レース中盤からはデバフスキルの雨が降り注ぐ中、よく加速したよ。……本当に心配したんだからね?」

 

レイが少し鼻声になりながらそう言うと、他の3人も頷く。

 

「……まぁ、復活したんだったらそれで良いじゃねぇか。それよりもこれ。」

 

そう言い、グローは何かが大量に詰まった紙袋を差し出してくる。

 

「全部、お前宛の謝罪文、お見舞い、そして宣戦布告だ。」

 

「こんなに……?ありがたいと思うべきなのか、皆を戦闘狂だと思うべきなのか……。」

 

「仕方がないだろ?お前はこの間のレースに勝ったんだから。……未だにいるぜ。年齢に囚われている奴、努力した時間が長ければ良いと思い込んでいる奴、現状の強さに溺れている奴。……小学生ですらそんな事を思っている奴らばかりなんだよ、ウマ娘科の生徒なんて。そんなとち狂った奴らばかりだ。俺らなんかもそれに当てはまる。……そんなとち狂った連中の……この学校のトップの内の1人がお前なんだよ。トップらしくその手紙の差出人達に“おもてなし”してあげろよ?」

 

「う、うん?」(トップ?)

 

「ま、今は体調、気にしいや。体が動かないのに負けても、勝ってもいい気にはならない。……早く戻せよ。」

 

なんか……いつものグローらしくない。

 

どうしたのかと尋ねても、

 

「気にすんな。それよりも早くそれらを捌け。」

 

と、言われてそっぽを向かれた。

 

 

 

「因みに、さっきグローが言った【トップ】というのは、別名【芝の四天王】と言われているよ。生徒達だけで決める非公式なものなのだけれども、その【四天王】に選ばれている生徒は一番強いと言われ、その者らの特徴を踏まえた二つ名があるよ。」

 

(なんか、中二臭くなったな……。)

 

「四天王はこんな感じ。

 

短距離の王者、【驀進王】こと、サクラバクシンオー

 

マイルの王者、【極限()への誘い】こと、ナイツサイレンス

 

中距離の王者、【小さな巨人】こと、トキノメグル

 

長距離の王者、【訝る血】こと、ブラッドステイ

 

この4名が現在、この学校で各々の距離において一番強いと言われているよ。」

 

 

「えっと……私がそれに入っている理由は……」

 

「言っただろう?先のレースで君が一着だったからさ。」

 

「あれ、そんなに大きなレースだったの?というか、1つのレースに勝ったぐらいで……。」

 

「何て事を言うんだい!?王者と呼ばれる者が2人も出ているレースだよ?凄く大きいに決まっているさ!あと、以前の中距離の王者はブラッドステイ先輩だったからね。ブラッド先輩とサイレンス先輩はこの学校では異様な生徒で、各々が持つ理念から、特進にほぼ主席で入れるような成績を持ちながら敢えて進学コースを選んだという、中々に不思議な先輩方なんだ。……君はそんなブラッド先輩に勝ったんだ。ブラッド先輩も思うところがあったのか、レースが終わって直ぐに『中距離においては現状、彼女の方が強い。』と言ったからね。だから君に中距離王者の称号が移ったし、君の走りを認めたって事だよ。」

 

(ブラッド先輩、この学校においては所謂二冠だったのかよ……。通りで強いわけで。サイレンス先輩もえげつなかったし……。)

 

「はぁ……あと、なんで私が【小さな巨人】って言われてるの?」

 

「まぁ……本来ならば1年生の君だからね……。こうと言ってはなんだが、体格が他の上級生と比較してもかなり小さいだろう?それなのにも関わらず、王者を倒す実力を持っているわけだ。巨人のような力を持っている小人。言い換えれば、【小さな巨人】にならないかい?」

 

「あと、メグルが勝つ前の実況紹介でも言われてたしね。あん時の事もあっての二つ名だと思うよ?」

 

「……恥ずかしいわ。」

 

私がそのようにこぼすとグローが近づいてきて、

 

「……よ、小さな巨人さん。」

 

と、絶対からかっていると分かるような笑顔で、小声で言ってきたのだった。

 

「からかわないでよ……。」

 

「王者様もこんな表情を見せるんだなぁ?」

 

……と、笑いながら教室から出ていきやがった。

 

 

その後は、ロードに私が休んでいた期間の授業の内容を念のために聞いたり、休んでいた時に学校であった事を聞いたりするなどの普通の女子生徒がやるような話をして残った昼休憩の時間を潰した。

 

 

……そして、昼休憩のチャイムが鳴ったと同時に、私は先生に呼び止められたりだとか、5年生の教室に急いで行って皆に自分の報告をしていたせいで、昼食を取るのを忘れていることに気がつくのだった。(まぁ、トースト1枚で何とかなるから別に良いかもだけど……。)

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