転生したら……ウマ娘だった。   作:シラネ

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17話 駿川家の買い物

どうも、トキノメグルです。

 

入院してから1週間。つまり、『お前が四天王だ!』的な事を言われてから2日かな?

 

徐々に体力は回復し、今はほとんどの体力が戻ってきました。

 

まぁ、入院期間が短かったんでそんなに落としてはなかったんですけどね。

 

 

 

早速ですが、困ってるんです。

 

マジで助けてください。

 

事の詳細を説明するために、時間を巻き戻しますね?

 

 

……え?なんでそんなこと出来るのか、だって?

 

 

だから言っているじゃないか、モルモット君。

 

私は『トキノメグル』。

 

輪廻転生をも操る事が出来ない私だからに決まっているじゃないか!?

 

はっはっはっは!!

 

 

……出来ないって言っています。誤字じゃありません。記憶を辿るだけだから。

 

 

……

 

【7時 土手】

 

 

いつも通りに5時には起き、朝ごはんを作って、食べてから、トレーニングジャージに着替えて、土手を走ってたんです。

 

学校ではダートコースが無いため、こうやって土手を走ることは私にとって大事な事なんですよ。

 

んで、土手を何周か、それを何セットかやってると、割と直ぐに7時とか来るんです。

 

毎回、良い汗かいたなぁ。とか、思いながら帰宅するんですけど、今朝は違っていて……。

 

 

「……ふぅ。よし。そろそろ引き上げるか……うん?」

 

帰ろうとしたら私の後ろの方からドドドドド……。という、なんか凄く不気味な音が聞こえまして……。見ると、なんか既視感のある大きな砂煙がこちらに向かってきていたんです。

 

 

それを見て、私は直ぐに逃げようと思いましたよ。

 

階段を降りて、歩道と車道の間にあるウマ娘専用レーンを走っていたんです。

 

 

(ここの法定速度は時速40キロ……。それを超えると普通に危険だからね。まあ、階段を降りている時点で大丈夫だとは思うけど……ん!?)

 

 

振り向くと、ちゃっかり階段を降りてきていたんです。砂煙が。

 

そして、私がいるウマ娘専用レーン上を走るようにこちらに向かってきていたんです。

 

(マジ……?)

 

私は法定速度ギリギリで走っていました。しかし、振り切ることは出来ません。

 

(ウマ娘専用時速計の表示いっぱい……これ以上はアウトなんだけど……。)

 

そう思いながら、少し速くしようかと思っていた時でした。

 

「待ちなさい!メグル!」

 

 

すんごく聞き覚えのある声が。

 

 

「……しゃべったぁぁあああ!!!」

 

「ハッ○ーセット!?って、違う!私よ!」

 

「私私詐欺ですか?」

 

「もう!いじわる!ミドリよ!」

 

「え?ミドリ姉さんって、砂煙だっけ?」

 

「こら!土手を全力疾走していたら砂が私の周りに舞っていただけよ!?」

 

 

……砂煙の正体はミドリ姉さんでした。

 

 

えーミドリさん曰く、何か今日は出掛けたい気分になったし、まだトレーナーが決まらないので、暇だから来ちゃった☆

 

だそうです。

 

 

あれ?【ウマ娘】って6月のメイクデビューどころか、入学して直ぐにトレーナー決まってない?

……ということは、モブ娘()目線から言わせて貰えば、天才(オリジナル)優遇制度ということか?

 

 

まぁ、そんな事は今は置いといて、いつも何かしら一緒にいるレイン姉もミドリ姉さんと話している間に来たのだった。

 

 

「久しぶり……メグル。」

 

なんかやつれていた。

 

「3、4ヵ月ぶり?……どったん?トレセン学園でなんか変なものでも食べた?」

 

「いや……食べてないけど……。中央ってやっぱ凄いって思って……。私ら東京の小学校ウマ娘科で割と上張っていたんだけど、それでも普通に超えられてるの。……メイクデビュー、しっかり勝てるかな?」

 

「努力次第だと思うよ?」

 

「伯母さんと全く同じ事を言わないでよ……。」

 

「……“たづなさん”ね?」

 

 

は!そうだった……。という風にレイン姉の顔が少し青くなる。

 

……何かあったのだろうか?

 

 

 

「ま、とりあえず家戻ろう?ママ達に会いたいし。」

 

ミドリ姉さんの発言により、早速家に帰ることになった。

 

 

 

……

 

【7時30分 実家】

 

「ママ~!パパ~!ただいま!」

 

「あれ?ミドリ。どうしたの?とりあえずお帰り。あら、レインちゃんも。いらっしゃい。メグルもお帰り。」

 

「お邪魔しま~す。」

 

「たらいや~。」

 

 

……

 

ミドリ姉さんが外出届を提出して今日は休むということを決めたと両親に宣言した。

 

 

「という訳で暇!」

 

「トレーニングしたら?」

 

「いつもと変わらないじゃん。そんな毎日は無理だよ。」

 

「ここに毎日休まず、止めろと言っても聞かない天才(バカ)は居るけどなww」

 

「そういえば居たわ。」

 

 

おい、皆よ。こっちを見るんじゃない。

 

 

「……暇なのは変わらないから、たまには買い物行きたいの!という訳でママ!4人で買い物行こうよ!」

 

「たまには良いかもね。」

 

「決まり!それじゃあ、準備できたら行こう!」

 

そう言って、姉さんは直ぐに自分の用事を作った。

 

私には関係ない話なので、今日の昼御飯とトレーニングの内容を考える。

 

「……そんじゃ、私は家で留守番してるから、4人で行ってきて。」

 

そう言うと、姉さんがポカンとした表情になった。

 

「何言ってるの?メグルも行くんだよ?パパがお留守番だよ?」

 

「え?私(俺)、留守番じゃないの!?(留守番なのか!?)」

 

父さんはもう既に外出用の格好になっていた。

 

 

「だって、女の子だけで買い物したかったから……。」

 

「ショッキング……!」

 

父さんは盛大に落ち込んでしまった。

 

 

その後、父さんが膝をついてまで姉さんに行きたいとオーバーに頼み込み、父さんまでついてくる事が決定したのだった。

 

 

「やたー!!!」

 

「子供かよ……。」

 

 

……

 

【ショッピングモール】

 

 

父さんがいるので、今回の外出は電車で来た。

 

……これは前世の影響なのだが、東京、路線が複雑過ぎ。

慣れたら普通になるのだろうけど、私は前世の時には東京に住んでいたわけじゃなかったと思うので、慣れていないのだ。

更にこの体になってからは父さんがいる時以外には、走れば良かったので公共交通機関をあまり利用していなかった。

それのせいもあるのか私もかなり危なかったが、ミドリ姉さんが何回か道を間違えていた。

 

閑話休題。

 

 

そして着いたと思ったら、私は元気が余りある姉さん達に引きずられながらモールの中に連れていかれるのだった。

 

 

……

 

「とりあえず、貴女達が見たいものは何?」

 

「私は服とかアクセかな?」

 

「私は靴です。」

 

「丈夫な靴と蹄鉄、大量の本。」

 

「メグルは子供らしくないわね……。分かっていたけど。」

 

 

子供達の要望を聞いた母さんは最初にレイン姉と私が求める靴を売っている専門店に向かった。

 

……

 

【スポーツ靴専門店】

 

 

「えっと……私が欲しいのは中距離用だから……。」

 

「メイクデビューは中距離で申し込むの?」

 

「はい。中距離から長距離が得意って事がもう分かっているので。」

 

「そうねぇ。ここらのとかどう?少し丈夫さには欠けるけど靴のしなり具合や通気性はあると思うわよ。」

 

「そうですね。レース用なのでこのぐらいが良いのかもしれません。」

 

「こっちも良いわね。レースに出るんだからデザインや配色も拘った方が良いわね。」

 

「確かにかわいいです!……これにしようかな……?でも壊したくはないなぁ……。う~ん……。」

 

「靴は壊してなんぼが私のモットーだったからね。お父さんの財布を空にすることが多かったなぁ。」

 

「壊してなんぼ……ですか?そういうものになるんですかね……?実際どうだったんですか?」

 

「そのまんまだったよ。良い思い出だったな……給料前にフツーに高額な買い物させられ、俺はもやし生活になるんだから。……その分頑張って貰ったけどね。メグルも好きなの選んで良いよ。」

 

「分かった。」

 

レイン姉は母さんのアドバイスを受けながら軽くて走りやすい、そして見た目が良い靴を選んでいく。

 

私はというと、とにかく丈夫、靴のしなり、走りやすさ、手入れのしやすさで選んでいった結果。

 

……サイズがありませんでした。

 

見た目はどうでも良いんです。私は。

 

どんなごつくても、真っ黒でも。

 

なので、サイズ特注しました。

 

あとは蹄鉄……それはありました。

 

 

 

「えっと、中距離レース用靴と特注の靴、蹄鉄の3点で……」

 

「そういえば、お金……。」

 

ごそごそと鞄の中にある財布を探すレイン姉。

それを見て彼女の前に手を出したのは、父さんだった。

 

「俺が払うから大丈夫。」

 

「でも、値段が……。」

 

「大丈夫。」

 

自分のクレジットカードを見せ、レイン姉に笑いかけていた。

 

 

「……36,520円です。」

 

「……え?」

 

父さんの笑顔が固まった。

その後はクレジットカードで支払い、レシートを貰うと……。

 

 

「えと……内訳は?」

 

 

……

 

領収書

 

中距離レース用靴○○ ¥8,800

特注トレーニング用靴 ¥26,400

鉄製蹄鉄 ¥1,320

 

合計 ¥36,520

(内消費税等 ¥3,320)

 

……

 

「メグルさんや……高いっす……。」

 

「ごめんち☆(テヘッ)」

 

「普通のお店でここまで高くなるのはあまり無いのに……。」

 

「まぁまぁ、既に買っちゃったし。後は届くのを待つだけだから。次は本屋にする?服屋にする?それとも……」

 

「アクセサリー買いたいなぁ~。」

 

「じゃあ、あのお店に行こう?」

 

「……。」

 

そう言って、耳飾りや頭飾りを売っている店に行くことになったのだった。

 

 

……

 

【アクセサリー専門店】

 

ウマ娘にはある性格がある。

 

それは、自分のどちらの耳に耳飾りをつけるかというものだ。

ウマ娘のほとんどは耳飾りを好み、どちらの耳に付けるか、又はどちらの耳に重点的に飾りを付けるかという人が多いのだ。(これは実際の馬のある特徴に由来するのだが。)

 

学校でも外でもウマ娘を見ると、ほぼ全員が付けており、なかなか洒落ている。

 

私は今までそんなオシャレとかに対して興味が無かったので付けていなかったのだが、こういう店に来たからには私も選んでみようと思う。

 

因みにミドリ姉さんは右耳に。レイン姉と母さんは左耳に付けるのが好きらしい。

 

 

「これとか……どうかな?メグル?」

 

「良いと思うよ?姉さんは緑色が似合うし。」

 

ミドリ姉さんは金色と緑色が上手いこと混ざっている少し長めのリボンを選んできた。

フツーに可愛い。

 

横ではレイン姉が母さんに耳飾りを見せて尋ねていた。

 

どうやら水色の少し大きい玉が付いた大人しい耳飾りを選んでいたようだ。

 

 

私も少し店内を物色する。

 

そして、気になるものを見つけた。

 

 

銀色のリングに雫の形の黒い光沢がある石が埋め込められているものだった。

その石は普通に見ると、吸い込まれるかのような漆黒の色をしており、向きを傾けると深い青みが出てきて、それが強く光るかのような、まるで夜を表しているような綺麗なものだった。

まぁ、私には特に夜は関係ないはずなのだが、綺麗なのでとりあえず右耳に付けてみた。

 

 

……

 

「普通に綺麗だな……。」

 

鏡の前で自分の右耳を確認する。ショートヘアーの黒髪の上にリングがキラリと大人しめに主張し、石が髪の間からチラリと見えた時に静かに且つ強く主張するこの耳飾りは自分で思うに非常に似合っていた。

 

 

「お客さん、その商品がお好みですか?」

 

鏡を見て、少し惚けている所にウマ娘の店員がやって来て尋ねてきた。

 

「あ……ごめんなさい。勝手に付けてしまって。」

 

「いえいえ。ここの店は試着は大丈夫ですよ。……しかし、その耳飾りは凄くお似合いですね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「そのリングに埋め込まれているのは、ブラックラブラドライトという石なんです。一種のパワーストーンとして知られている石なんですよ。」

 

「へぇ……パワーストーン……意味とかあるんですか?」

 

「ありますよ。その石の意味は様々なものがありますが、大きく言われるのは『自由』です。……何かしようと思われたりするのを後押ししたり、限界を超えさせる……そのような意味を持ち合わせていると言われていますよ。」

 

 

『自由』……ね。

 

 

 

そのような感じで店員と話したり、考え耽っていたりしていると、姉さん達がやって来た。

 

「メグル!何か良いもの見つかった?」

 

「あ、うん。これとか……どう?」

 

そう言って少し遠慮がちに自分の右耳を見せる。

 

「……スッゴく綺麗!似合うよ!」

 

「あ、ありがとう……。」

 

「メグルもアクセサリー選ぶような女の子だったのね。興味無いとか思っていたけど、女の子らしい所もあるじゃない。」

 

「私だって、女の子だもん……。」(前世は男だったけど……。)

 

「という訳で任せた。お父さん。」

 

「娘達の為にも……良いところ見せないとな……?(キリッ)」

 

そう言って、またクレジットカードを取り出し、レジに向かっていった。

 

(あれ、私の耳飾り……いくらだっけ?)

 

 

 

……

 

その後、震える様子で父さんは帰って来て、領収書を見せてきた。

 

……

 

領収書

 

3点

 

合計 ¥18,700

 

……

 

合計金額の内、約1万円は私の耳飾りだそうで……。どうやら1点ものだったみたいでした。

 

ゴチになりやーす!

 

 

 

「靴といい、耳飾りといい、大事にしてくれよ!頼むから!」

 

「う、うん。耳飾りは当たり前だし、靴も使いまくるからね?」

 

「……靴も大事に……ね?」

 

 

その後は私と半泣きの父さんは引きずられながら服屋に連れられるのだった。

 

……

 

【ウマ娘用服専門店】

 

 

助けてください。

 

……やっと時間が戻ってきましたね。

 

 

 

今、私、

 

着せかえ人形状態です。

 

 

試着室の前でミドリ姉さんと母さんが私の服の事について言い争っております。

 

その様子を見て、父さんは既に疲れきっており、レイン姉は買ってきたお茶を父さんに差し出して、少し焦っておられます。

 

 

「だから!たまにはメグルにドレスチックな服を着せたいの!フリフリの可愛い奴!」

 

「何を言っているの!メグルにそんなもの似合うわけ無いでしょ!普通の洋服で良いわよ!」

 

「ムー!!じゃあ、これ!ダメパン!!カッコいいでしょ!似合うでしょ!」

 

「あの子は服ですら直ぐに壊しかねないの!!そんなズボンは直ぐに破れるし、普通ので直ぐにダメージになるわ!だったら普通のジーンズで良いです!」

 

「肩出し!」

 

「寒い!」

 

「マフラー!」

 

「熱い!」

 

「ヘッドホン風髪止め!」

 

「絶対にいらない!!」

 

「……ニンジンTシャツ」

 

「それで。」

 

 

母さん……まともな事を言ってると思ったらニンジンまるごと1本がデカデカとプリントされたTシャツを選んだよ……。

 

 

結局、自分で決めるという事にさせ、無地の白シャツと紺ジーンズ、黒いロングカーディガンを選んだ。

 

皆からは「普通。」と、お褒めいただいた。

だって、前世ではこんな服しか着なかったもん。服には興味無かったもん。いや、拘ってこういう無地なものしか選んでなかったもん。

 

そして父さんからは、「安い……。」

 

と、泣かれた。

 

 

私たちは3店舗も回り、来月に来る請求書が恐ろしくなったので帰ることになった。

 

 

「いやー楽しかった!買い物はやっぱ良いよね!」

 

「うん。靴も買えたし……本当に、ありがとうございます!」

 

「どういたしまして。大人がいるのに子供にお金は出させたくないもの。」

 

「疲れた……。」

 

「請求書……。」

 

 

と、各々が満足?した気持ちで電車で帰路についた。(姉さんとレイン姉は途中で別れた。)

 

 

そして、家に着くと、私はあることを思い出す。

 

 

……あれ?本買ってないじゃん。

 

 

と。




一部、文章の内容を訂正しました。
申し訳ありません。(1/27追記)
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