……君たちは、メイクデビューに負けた時の事をどう思うだろうか。
メイクデビューにて登場する敵キャラ全員は、私が
以前はサクラバクシンオー戦……
強いとはいえ、イノセントメリーという馬は前世には存在しない。つまりは彼女も所詮モブなのだ。
私もモブ。それは抗えない事実だ。そして、
そして、私はそんな彼女らと戦いたい。勝ってみたい。
……そう思っていた。
だが、今回の敗戦で私は思うことがある。
年齢の差はあるにしろ、現時点でモブであるウマ娘に負けていては必ず
また、私は本当に彼女らに打ち勝ちたいと思っているのだろうか。
彼女らは自分で自分の目標を作り、生涯で一度しかないであろう戦いに勝つために努力している。……そして、私は、彼女らからすれば訳が分からないだろうが、彼女らの目標が全て分かる。……元の馬の功績を知っているし、ゲームやアニメで彼女らが各々のトレーナーと作り出した目標に向けて努力していることを知っているからだ。
……私はそんな彼女らの敵になり、壁となり、彼女らを易々と妨害してもよいのだろうか。
勿論、現時点でそんな事を言えるような立場ではないことは分かってはいる。
しかし、私は……分からないのだ。
好きなウマ娘達とただ走りたい元
負けたからこそ分かるこの気持ち。
二着であっても胸にポッカリと穴が空くような気持ち。
……努力し続けて来たのに、負けるという不甲斐なさ。
辛い。
「……めんどくさい事を考えているわね。」
(!!!)
レースが終わったあと、選手控室に戻っている最中にそのような事を考えていると後ろから小さい声で言われた。
振り向くと、先のレースで戦ったキャルロスルーラーがいた。
彼女は表情が暗く、妹と同様に目に光が無いように見えた。……が、妹とは違った雰囲気を出していた。
「……ごめんなさい。つい、貴女の心を読んじゃったわ。……私はキャルロスルーラー。貴女と妹に負けた名ばかりの6年特進よ。」
(まさか、本当に人の心を読めるというわけ?)
「その通りよ。」
(!!!)
寒気を覚えた。
「……さっきの話、全部聞こえていましたか?」
「ええ。貴女が非常に変なウマ娘……という事が分かったわ。でもそれだけ。それ以上は追求しない。しても傷つけるだけだから。」
傷つけるとは……?と思ったが、率直な感想を述べる事にした。
「……。凄いですね。他人の気持ちが分かるなんて。」
そう言うと、暗かった表情が更に暗くなり、哀しそうな目をする。
「嬉しくないわ。……でもそう捉えるような生き方が出来れば良かったのかもね。」
「え……?」
その瞬間に彼女はまるで自分に対して呆れ、そして疲れている雰囲気を出した。……小学6年生が出してはいけないようなもので、こちらが見るだけでも上から物理的な圧力をかけられるようなダルい気持ちになった。
「とりあえず、私達みたいになってはいけない。貴女がそのような特殊な人であるならばなおさら周囲をよく見た方が良い。」
そう言って、彼女は私を追い越して控室へと向かっていった。
(……よく分からなかった。けど、)
(彼女みたいに“疲れきる”ような事はしてはいけない……って事で良いのかな?)
静かな通路の蛍光灯が1人の黒いウマ娘を鈍く照らす。
その光によって右耳に付いている黒い小さな石が仄かに蒼い炎を見せていた。
……⏰……
【夕方 家】
「ただいま~。」
家の玄関扉を開け、小さく声を出す。
すると、奥から母さんがやって来る。
「おかえり。今日のレース、しっかり見てたわ。」
そうだった。……やっぱ、一着取れてないから残念がってるかな?
そのように思っていると、母さんは私の前までやって来て、優しく私の頭を撫でた。
「お疲れ様。メグルの本気で走っている所、とってもかっこ良かったよ?」
優しく微笑みながらそのように告げられた。
「一着取れなくてごめんね?」
「そんな事はない。むしろ、貴女があそこまで頑張れる姿を見れて、私は嬉しかったわ。だって私の娘が一生懸命に戦っているんだもの。親の私が感動しないわけが無いわ。」
……安心した。そして、今まで感じていた緊張が、レース前からあった緊張がようやく解けるような感じを覚えた。
「応援の声が届いていたとは思っていないけど、私を含めて、貴女のクラスメートの娘達、他の娘も応援していたのよ。『頑張れ!』って。」
「そうだったんだ。……ありがとう。」
会話を終え、「あ、お鍋が吹いている!」と言って母さんは慌てて台所へと戻っていった。
私は、私が帰ってくることを見越して沸かされた風呂に入ることにした。
風呂に入っていると、とあることをふと思い出した。
(ルーラー先輩の言っていた事……あっていたかもしれない。今はこんな感じで安心出来ているけど、いつか“疲れる”時が来るかもしれない。その時が来させないようにするためにも、しっかりと周りを見よう。……自分を追い求めすぎて空回りしてはいけない。……前世みたいに。)
……
風呂から上がり、いつの間にか仕事から帰っていた父さんを含めて家族3人で夕飯になった。
そして、私が今日レースをしていた事を伝えると……
「俺も!見たがっだ〰️!!!」
と、泣かれた。
「大体、そういうことは言ってくれよ!!寂しいじゃねぇか!?」
「ごめん。」
「そしたら、仕事だって姉貴に放り投げて観戦しに行ったのに!!」
「それはお義姉さんが怒るから止めなさい。」
「あと、ダイヤが出る場面多くないか!?俺の出る場面も増やせよ!!」
「そんなに少ないかな?」
「え?……どちら様でしょうか?」
「へ?(モグモグ)」
気づいたらバカが勝手に私の横の椅子に座ってご飯を食べていやがった。
「何、呑気に他人の家でご飯食べてるの!?まず、どこから来たの!?いつからいたの!?」
「玄関から、さっきです。」
メグル「悪びれもせずに答えないでよ!!……お巡りさん!不法侵入者がいま~す!!(110!!!)」
「ちょっ!ヤッベ!逃げないと!」(ピンポーン!)
「
「早すぎない!!?」
黒サングラスをかけた警察官?みたいなウマ娘が3人も家に押し寄せてきていた。そして、赤髪の長いツインテールの警官がズタ袋を持っている……。
「
「あ、あの~
「「「ッし……えっほ、えっほ……!」」」(バタム!)
「……。」
(台風一過。)
……
こうして、バカはあのウマ娘の警察官3人に担がれて持っていかれました。
不法侵入許すまじ。
なんか、ゴルシとスカーレットとウオッカのような感じのウマ娘の警察官だったけど、後々名前を聞いたら、彼女らはゴルC(略)と、オオワスカーレットと、ウォッカらしいので別人だそうです。
大事な事なのでもう一度言います。
別人です。(多分。)
どうも、シラネです。
ズタ袋でどこかに連れていかれてメチャクチャ怖いなぁと思っている状況なのですが、今回の話を書く上で思った事などを、言いますね。
19話でのイノセントメリー、強くしすぎちゃった。(テヘペロ)
評価点確認するの忘れてましたわ。
スキルだけで評価点1000超えていますもん。
ステータス設定を下げる事でなんとかセーフラインに落ち着きましたが焦りましたよ。(マジでヤバかった。)
因みにメグルが負けた理由はメリーの固有が強すぎたという理由にさせてください。(結構強引。本当にごめんなさい。)
ダイワスカーレット、スカーレットって表記しましたけど、書くの長いんですよね……。
私は【ウマ娘】をやるまでは競馬に興味が無かったので、【ウマ娘】をやり出してからはダイワスカーレットの事をダスカって呼んでいたんです。
ですが、ダイワスカーレットの呼び方に関しては様々な意見があるのと、アニメなどではスカーレットと呼ばれているのでスカーレットと呼ぶようにします。(長いけど我慢。)
あ、19話でのチーム『LOTUS』のメンバーの名前は元ネタあります。(分かる人には分かると思いますよ。)
あと、感想などを書いてくださると励みになります。
樽の上に綿が山のように積もっているような弱々メンタルなので是非ポジティブなのをお願いします!(誰や、罵られる事が好きなMって言った自分は。)
……それでは、失礼します。
暗く揺れるズタ袋の中からシラネがお送りしました~!