活動報告でも一部述べておりますが、作者の事情により大幅に予定を遅らせてしまい申し訳ありませんでした。
また、今話からセリフの書き方が変わります。感想にも書かれていた事ですが、偶然22話から書き方を変えようと思っていたので非常に驚きました……。
しかし、21話までのセリフの書き方の影響を受けまして台本形式のタグは付けないことにします。(意見がございましたら、21話までのセリフの書き方を訂正していく可能性がございます。)
更に申し訳ない事ですが、1章の範囲を分割し、名前を改変します。また、2章は1章と話の題名を同じ感じに作成しようと思っておりますが、3章から大きく変わるように作成するように予定しています。
これからも読んで下さる方が少しでも居てくだされば励みになります。感想や評価を付けてもらえるとこちらも励み、勉強になりますので遠慮なく送り下さい。
作者 シラネ
……トキノメグルです。
この前の不法侵入については忘れてください。アホらしいので。
さて、前期実技テストも終了し、小学生各々の実力がある程度?分かった所で……!
6月!!!……の後半。
今日は姉さん達の2回目の選抜レースです。
前回は母さんが仕事の関係で行けなかったので私も行かなかったのですが、今回は2人で来ました。
父さんは運営やらなにやらで伯母さんにこき使われているそうなので一緒に観戦出来ないそうです。
(今回から、セリフの書き方が変わるそうです。
……
【非常勤トレーナー室】
山盛りの書類を死んだ目で淡々と片していく姉弟がいた。
判子を押す音やペンが走る無機質な音だけが部屋に響くなか、遂に翔真が涙声になりながら別の机で作業している姉に訴える。
「なんで俺はこんな目にあっているんだ!?」
「仕方ないでしょ。あなたでしか判別出来ないものもあるし、そもそもあなたがURAから持ってきたものが大半でしょう?」
「URAからつってもほとんどが理事長宛ての書類ばかりじゃねぇか!?なんで理事長秘書とURA職員兼派遣トレーナーがこんなことやってんだよ!?俺は自分の仕事を増やす為に持ってきた訳じゃないってのに!!」
「理事長が出張中だから。本当に出張が多いお方だからね。というかあなた、今は理事長補佐でしょ?手伝ってあげてるからなんとか耐えなさい。」
「俺はどれだけ兼任すれば良いんだよ……。普通のトレーナーやりてぇよ……。娘の観戦行きてぇよ……。樫本さんが来いよ……。」
「ハイハイ。文句を言わずに頑張る。」
……
【観客席】
私達親子が観客席に向かう頃には既に学園の生徒やトレーナー関係者など大勢の人達で席のほとんどが埋まっており、第1レースが始まる前から会場のテンションは張っていた。
「……凄いな。やっぱり中央は熱気が違う。」
そのようにぼやくと母さんもそれに頷く。
「私が学生の時もそうだった。選抜レースはやっぱり生徒にとってもトレーナーにとっても、本当に大事なレースになるからね。選抜レースの結果によって選手生命まで変わりかねないから。」
確かに。応援している生徒を除いて、トレーナー(特に新人)の態度、走者としてレースに臨む生徒の態度は真剣そのものだった。
それぞれの持つ覚悟の大きさ、望みの高さ、それらを見せつける為に、それらを判断する為に各々の実力を試されるのだ。
今回のレースでは少なくとも1回は選抜レースに負けた者やトレーナー契約を結べなかった者、契約を蹴った者、事情により第1回の選抜レースに出場出来なかった者達が揃うのだが、それらの過去から学び、バネにし、自分が独りでどこまで強くなったかを主張する。その為、第1回のよりも本気度が高くなりやすい傾向にあるのが今回、第2回選抜レースだ。そんな状況下に置かれている中、姉さんやレイン姉はどんな走りを魅せてくれるのか私はとても楽しみにしていた。
「そういえば、姉さんとレイン姉はどのレースで出走するの?」
「確か、ミドリは第9R、レインちゃんは第2Rだったと思うわよ。」
「ということは、レイン姉が割と早めに出走するんだね。」
そのような感じで会話を続け、なんとか2人分の観戦できる位置を見つける。
その後暫く周りの様子を観察しているとなんだか遠くの方でトレーナーらしき人物達が誰かに群がっているのを発見した。
「ねぇ、ちょっとあそこ気になるから行ってきても良い?」
「そうね。まだレース開始まで少し時間があるし、危ないから止めなさいと言っても聞かなさそうだから行ってきて良いわよ。(メグルならなんとかなりそうだし……。)」
「オッケー。行ってくる!」
「本当に危なかったら帰ってくるのよー。」
そして、私は本来の小学校1年生では行ってはいけなさそうな人混みのヤジウマをしに行くのだった。
……
近づいて分かった。人混みの中心に居たのは、
「すまない。既にトレーナーは決めているんだ。勧誘はよしてくれ。」
そう言い、微笑みながら群がるトレーナー達の勧誘を断る、シンボリルドルフだった。
流石に何人ものトレーナー達が彼女の周囲を取り囲んでいる状態では私の体では危険なので様子を見ていたのだが……。
「……!すまない。少し道を開けてくれ。」
シンボリルドルフがそのように言うと、トレーナー達は渋るように道を開けた。
そして、
「やぁ、久しぶりだな。」
「えへへー。カイチョー!ひっさしぶり!」
ルドルフが微笑みながら目線を送ったのは私の反対方向にいる元気ハツラツなウマ娘だった。
「ねぇ、今日はカイチョーは走らないの!?ボク、カイチョーが走る所、見たくて仕方がないんだ!!」
「すまない、テイオー。今日は私は走らなくてな。」
「えー!!?むぅ……。」
「そんなにしょげるな。今日のレース観戦も私達にとっては大事な事なんだ。何も走るだけがウマ娘ではない。」
……私は知っている。今、ルドルフと対面し、馴れ馴れしく話す私よりは身長の高い彼女を。
彼女はトウカイテイオー。ウマ娘の世界ではルドルフに多大なる憧れを抱き、彼女に追い付く為に努力し続ける
とりあえず、トレーナー達が悔しげにルドルフを横目に見ながら立ち尽くすのをかぎ分け、私もルドルフの下に行こうとする。
「……!君も来ていたのか。」
「お久しぶりです。ルドルフ先輩。」
私に気付いてルドルフが私の方に向かう。
「今日は君の姉達が出走する日だからな。前回の事をバネにした今回をも見るのを楽しみにしていたんだ。まさか君も来ているとは思っていなかったが。」
「前回の様子も見てくださっていたんですね。姉さん達は頑張っていましたか?」
「ああ。どちらも懸命に頑張っていたが、やはりここは中央。そう易々とは勝鬨を挙げさせなかったようだ。」
「では、今回のレースがどんなものになるか見物ですね。」
「君もそう言うのだ、君も含めて彼女らを見込んで良かったと思わせて欲しいものだ。」
「……ねぇ。カイチョー?この子は誰なのさ?」
テイオーが急に現れたウマ娘とカイチョーが話すのを見て不貞腐れながら尋ねる。
「この娘はトキノメグル。今回出走するあるウマ娘2人の関係者だ。」
「よろしく。トウカイテイオーさん?」
「……あれ?ボクの名前、言ったっけ?」
「有名ですから。」
「……へへん!ボクは強いウマ娘だもん!有名なのは仕方ないよね!カイチョーと競うために、越えるために、サイキョーのウマ娘になるために頑張ってるんだ!」
うん。知ってる。
「キミは何年生?ボクは今、小学校4年生だけど。」
「私は小学校5年生ですよ。」
「「うん!?」」
私の学年を嘘偽りなく伝えると、ルドルフとテイオーが固まる。
「え?ボクより圧倒的に身長が低いのに5年生……?」
「き、君!去年まで幼稚園児ではなかったのか!?」
「飛び級させられて。1年生と5年生掛け持ちという訳が分からない学年ですよ。」
「なにそれ……。というか、ボクよりも高学年だったことに驚いたよ。」
「全くだ。普通はそんな差が大きくなるような飛び級はしないはずだが……。」
2人揃って考え込む現実親子。
私はそんな彼女らを見て、(めっちゃ似てるー!)とか、場違いな事を思っていたのだった。
補足です。
今作のトレセン学園は所謂高専の扱いを設定しております。
なので、高等部4年生という特殊な表記をする場合が今後ございます。