7月前半!
私たちトキノメグル一行は急遽たづなさんの依頼によってトレセン学園の夏合宿に参加することになった!友達10人+1人追加とか絶対お断りものだと思ってたけど、彼女曰く、
「トレセン学園のウマ娘にかかる食費、滞在費などと比較しても貴女方にかかる費用は雀の涙ほどなので誤差として処理します。生徒の食費による誤差の方が圧倒的に大きいので、気にせず、合宿に参加してくださいね。寒くなるのは理事長の懐だけですから。依怙贔屓?そんなもの知りませんよ?」
ええ……誤差って……。そういう扱いで良いわけ?とか、思ってたけどどうせ理事長のポケットマネーから出るし、いっか!
という訳で、何台もの貸し切りバスが目的の合宿所へと向かうなか、私たち小学生組はトレセン学園のウマ娘達と楽しく交流していた。
因みに小学生組メンバーは、
トキノメグル
アイネクライト
エミリアレッド
フーラルレッド
ブルームナイト
アイリスフェザー
ビクトリング
シャイニングバーン
リアフルス
レイショット
バルトグロー
ロードジャスト
の12名。
「へぇ、たづなさんのお誘いで合宿に参加することになったのね。」
「はい。良い機会でしたので勉強にさせていただきます。」
「夏合宿って楽しいイメージがあるだろうけど、実際は凄くハードだからね?場所もよく分からない所だから帰ることも出来ないし、大半の生徒は憂鬱だよ。」
「そういうものなのですか。まぁ、本来なら夏休みのこの期間に自由に過ごせないのは確かに辛いかもですね。」
「合宿、スッゴク楽しみだよ!フーラルちゃんはどう!?」
「うん……。みんなと過ごす夏休み……楽しみだよ。」
「はしゃいでいるわね。フラン?」
「……。」(コクコクコクコク)
「引き連れてきて悪いわね。ブルーム?」
「いえ。お嬢様方のお世話を任せられている身ですのでお気になさらず。私自身もこの合宿で勉強させていただきます。」
「何台も貸し切りバスが縦に並んで走行している……トレセン学園はやっぱり凄いわね。」
「ああ、メグルには感謝しかないな!早く海で泳ぎたいぜ!」
「……おい、このウマ娘を見なかったか?」
「なに、ミホノブルボンさんだけが写った破れた写真見せながらそんなことを言ってるの?あと、そのシーンはなに?ベンチプレス?」
「なんか言いたくなった。あと、メグルなら何か返してくれると思ったから。」
「……。」
「マジヤバって感じ?」
「メグルの人脈どうなってやがるんだ……。」
「私たちがここにいれるだけでも凄いことよね……。」
「皆、2ヶ月もの間、しっかりと学ぼうではないか!」
各々がバスの中ではしゃぎながら過ごす中、別の所では不安な声も上がっていた。
「ねぇ、数学の先生が入院してから替わりの先生って誰か分かった?」
「分からない。学園からは見つかったということは言われたけど紹介はされてないから……。」
……それ、私っす。たづなさんから合宿所に着いたときに父さんと合わせて数学の補助講師兼中学数学担当臨時講師として紹介されるそうです。
なので、私はほとんどの生徒からはたづなさんに特別に招待された小学生の内の1人だと思われているそうです。
一方、メグル達一行が乗るバス以外のあるバスでは……
「なぁ、今年の夏合宿にはたづなさんが招待した小学生がいるんだったよな?」
「せやな。まさかトレセン学園の合宿にまで参加出来るっつうことはよっぽどの運の持ち主なんやな!……せや、そのチビッ子どもにトレーニングやレースで見せつけようやんか!」
「お前なんかチビどころかじゃりん子でぇ?」
「あ~!?誰がじゃりん子やねん!?」
「じゃりん子だろぉ~?」
「なんや~!?このインチキ江戸っ子ぉ!大井は江戸ちゃうでぇ?」
「あー!それは言っちゃダメなやつだろぉ!」
「あと、じゃりん子言う割にはアンタの方が背ぇちっこいよなぁ!?」
「ほとんど変わらんだろうがぁ!」
「おぉ?なんや?やるんか?」
「やるか!?」
「あの……バスの中は危ないですから……止めてくださいよ~!」
背の小さいウマ娘2人は直ぐに沸点を迎え、喧嘩するのを止める背の高いウマ娘。そんな様子を同じバスに乗る他のウマ娘や先生は(またか……。)と、思いながらその光景を横目にこれから行われる合宿の前の雰囲気を各々想うのだった。
……⏰……
合宿地
「着いた~!!!」
そう言いながらバスから飛び降りたクライト。彼女の目の前に広がるは、綺麗な広い海……ではなく、宿泊所だった。
「まぁ、そうだよね。いきなり海に行くわけないもんね。荷物とか置かないといけないから、クライト、行くよ。」
「了解!メグルちゃん!」
それでもクライトは目を爛々とさせて宿泊所に向かっていった。
(なんか、本当にウララとか見ている感じやな……。気分和むわぁ。)
自然にホッコリとした気持ちになりながら他の気分揚々な小学生組と一緒に合宿所へと向かうのだった。
……
「それでは、各生徒は決められた部屋に向かい、荷物を置いてきて下さい。その後は合宿所の担当職員並びに夏合宿の授業の講師を改めて紹介します。みな、トレセン学園のウマ娘として恥無き姿勢を保つように。」
高等部の生徒会会長がトレセン学園のウマ娘に合宿所での行動を説明し、一旦お開きとなった。
私たちには小学生組として専用の部屋が3つ用意され、4人ずつに分かれて過ごすことになった。
既に私たちも過ごすメンバーは決めており、3班に別れ、それぞれの部屋に向かった。
1班
アイネクライト
フーラルレッド
ブルームナイト
リアフルス
2班
エミリアレッド
ビクトリング
トキノメグル
バルトグロー
3班
アイリスフェザー
シャイニングバーン
ロードジャスト
レイショット
……
「それでは最初に私たちがこの2ヵ月もの間お世話になる職員の方々に挨拶をします。センター長の野田さん、今年もお願いします。」
センター長の名前が呼ばれ、会長からマイクが渡される。
「こんにちは!今年も学園の皆さんが来てくれるこの夏を待っていました!2か月という期間ですが、私含めセンター職員一同、皆さんのトレーニングや生活の支援をさせていただきます!よろしくお願いします!」
高等部会長が司会をし、センター長の挨拶、他の重要な施設の管理者や担当者が紹介と挨拶をしていく中、私と父さんは講師陣の人達の一番外側に立っていた。
そんな私の姿を見て、
「招待された小学生もきちんと挨拶されられるんだね。」
「たづなさんの招待を受けてるんだから代表して施設の人達に挨拶するんだろうね。」
とか、ヒソヒソ言われていた。
合宿所関係者の挨拶が終わり、講師陣の紹介が行われる。そして、ついに私たちの紹介になった。
「今回の合宿では、中学・高校数学の担当の城崎先生が急に参加出来なくなったので、代わりの方が授業を行います。それでは駿川翔真さん。お願いします。」
「駿川翔真です。いつもは姉貴と共に理事長補佐を行っているJRA職員ですが、今回は夏合宿の間、高校数学教えてやれって姉貴に言われてやることになった者です。どうぞ姉貴と娘同様よろしくお願いいたします。」
「あぁ、たづなさんの弟さんだったんだ……。」
「あれ?ミドリのお父さんじゃない?」
「そうだよ~。あとその横にいるのは……」
「翔真さん、ありがとうございます。続いて、トキノメグルさん、お願いします。」
「どうも。横の駿川翔真の二女、トキノメグルです。今回は小学生組の参加を歓迎してくださり、ありがとうございます。皆さん方の2か月の活動を観察しながら私たちの将来について学んでいきたいと思っていますのでよろしくお願いします。」
「「「……。」」」
皆が少しポカーンとしているのを確認して続ける。
「あと、私は父さんの手伝いをしに来たので、何かあったら私にも相談してください。」
会長が2人とは言っていない為、私は敢えてはぐらかし、混乱を呼ばないように挨拶した。
とはいっても、
「「「……?」」」
という風に後に言ったことが分かっていない人達も居たのだが。