「〜〜〜!!凄かったぁ!」
「ははは……そ、そうですね…」
横で桜坂さんは、はしゃぎながら俺にそういうが、俺はそれどころではなかった…
と言うのも…
「ねぇ!時野君!あの女優さんはね、海外の舞台でも活躍してる人なんだよ!」
「そ、そそうなんですね…。」
「でねでね!その女優さんは……」
まるで、なにかのスイッチが入ったオタクの如く俺に、舞台女優の話や演技のことを語ってくるのだ。
俺はあんまり、芝居とかは見たりしないから分からないが、どうやら桜坂さんは俺の想像を遥かに超える領域で、お芝居とかが好きらしい。
……何かをこんなに語れるって羨ましいな、なんて思ったりもする
「物語も泣けたよね〜…主人公のあの、一途な…」
「そうですね、俺も一人の人間のために、よくあそこまでって思ったりもしました」
「な、なんかすごく現実的だね…」
「そうですかね?」
桜坂さんは若干困惑した感じでそう言ってきた。俺はただ純粋に思った事を、そのまま口にしただけなんだけどな
「ねぇ、時野君、その、敬語とかじゃなくて普通に話して欲しいの」
突然、桜坂さんはそう言ってきた。
「……えっと…それはタメ口って事ですか?」
「そうだよ。それに、私と時野君は同学年だし敬語だと、変でしょ?…」
言われてみれば、そうかもしれない。俺は昔からの癖で初対面(特に異性だと、敬語になってしまう癖がある。相手が、敬語じゃなくて良いよと言うまで、基本ずっと俺は敬語のままだ。
「えっと…じゃあ、改めてよろしく。おうさ「しずくって呼んで欲しいな♪」
「え?」
今俺は多分物凄く間抜けな声を出しただろう、いや出したに違いない。
そりゃ、普通驚くよね、急にこんな可愛い子に下の名前で呼んでなんて言われたらもうそりゃあね…?それも好きな子…((
「ほらほら、呼んでよ。空叶君♪」
「なっ…?!俺の名前まで…」
「もしかして、照れてる?クス…もしかして、女の子に名前で呼ばれるの慣れてないの?」
「な…?!それは……慣れてなんか…」
もちろん慣れてるわけが無い、そもそも俺は異性と関わることなんて小中振り返っても数少なかった。それに俺コミュ障だったし。
「そんな事より、早く呼んでよ、ね?」
早く早くと言わんばかりに、桜坂さん…じゃなくてしずくは俺に顔を近づけてきた。マジで、それ童貞の俺は理性を保つので精一杯だよ…。
「し、しずく……」
「なーにー♪空叶君♪」
さっきの清楚キャラとはうってかわり、今は無邪気な女の子を演じてるみたいだ。君のそれは変幻自在なのか、下手すれば、俺以外の人にやったら、勘違いして傷つく男も出てきそうだな…
「空叶君は、何時も何してるの?」
「俺…か…そうだね、いつもは帰りに本屋とか寄っていい作品が無いか探したりするのが日課かな」
「そうなんだぁ……じゃあさ、今度おすすめの本あったら、私にも教えて欲しいな、私も読んでみたいしそれに演劇の役にも立てたいし」
「別に構わないけど…」
「やったー!じゃあ、今度もし見つけたら教えてね♪」
俺が了承すると、しずくはまるで子供のように喜んだ、なんと言うかこの子のギャップが凄くて、若干呆気に取られてるんだが。
「それと、空叶君はどこに住んでるの?」
「はい?」
突然過ぎてまたもや変な声を出してしまった。と言うか会ったばっかりなのに色々と進展させようとしすぎなのでは…と、少々心配してしまっている自分がいた。
「え…あー…青藍高校って分かるかな?そこの近くに住んでるよ」
そう言うとしずくは、驚いたように
「え!?嘘っ…?!私もその辺に住んでるの。もしかしてご近所さんだったり…」
マジか…ん?待てよ、確かうちの近くにクソでかい豪邸があったよな…名前は確か…桜坂……ん?…桜坂…?
「えっ?!?!まさか、あの、桜坂家の桜坂ぁ?!」
「し、知ってるの?」
「知ってるも何も、あんなでかい家他に無いでしょ!てかそこの家の子だったの?!お嬢様じゃん!」
「ちょ?!声が、大きいって!」
「え、ああごめん、ごめん。ただその…すごく近所だから、驚いちゃって…」
まさか、あの桜坂家のお嬢様だったとは…こりゃ…凄い子と知り合ったもんだな…俺も。これも神様のいたずらって奴なのかね。ほんとに人生って何が起こるか分からないもんだな…。
「じゃ、じゃあ…空叶君…良かったら一緒に帰らない…?」
いや、展開進みすぎだろぉぉぉぉ?!
続く