【だれか】転生したらめっちゃ追われるんだけど【たすけて】   作:タコZ

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題名「天網恢恢疎にして漏らさず」

【豆知識】
 本ルートのビームネキは安価で見滝原に来たのでは無く、3対1の戦いで大怪我を負うイッチへの罪悪感で来た。


キレたアルまどちゃんがヤンデレになっちまった話:3

 

『か、かひゅっ……』

 

『お、おごぇっ……』

 

 いつの日だったか。真夜中の見滝原で、ショッカーが送りつけた仮面ライダーと怪人達を相手に戦った。その日は特に激闘だったのを覚えている。イッチと俺がその辺に倒れ込んで、立つこともままならない状態だった。

 

 二人して大の字に寝転がった状態で、イッチが俺に話しかける。

 

『…なあ』

 

『何だ』

 

『左腕から生えてるこの実ってさ、美味いんかな』

 

『洒落にならん、人間やめる羽目になるぞ』

 

『うえー…』

 

 ヘルヘイムの植物。それは確か、惑星を転々と周り、その文明を食い荒らしたトンデモ植物だった筈。その実を喰えば、殆どの場合は理性無く暴れ回るインベスに成り果てる。しかも視界に入ればそれが誘惑になり得るのだから一層タチが悪い。

 それが今、イッチの体を蝕んでいる。魔法少女が魔力を用いてそれを癒そうとすれば、用いられた魔力に反応して肉に張った根が肉を掻き回して回復を妨害する。よく出来たシステムだよ、それでも戦おうとするこの馬鹿にも驚いたが。

 

『なあ』

 

『何だ』

 

『鹿目達って、ちゃんと学校行ってるよな』

 

『そうだな、お前の分身達が頑張って行かせてるよ』

 

『…せめて普通の暮らしして欲しいな』

 

『十数年後にゃえらい事になってるがな』

 

『確かに』

 

 杏子以外は皆学校に行っている。俺達が居なかったら、不幸もあるが、平凡な人生になってたのだろう。いや、どの道宇宙から来た害獣と契約して、ほむらが時間を巻き戻していただろうし、特に変わったこともないか。

 

『なあ』

 

『何だ』

 

『アイツらをどうにかしたら、オススメのロボゲー教えてくれよ』

 

『辞めろ、フラグ染みた事言うな』

 

 本当に、死亡フラグの効力は凄いんだぞ。

 

 …でもまあ。

 

『いいぜ、ちょっと未来に行って色々仕入れて来て貰うがな』

 

『へへ、やったぜ………あ、やべ、マジに目が霞んできやがった』

 

『オイオイオイ、死ぬわお前』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『は?アンタのガンプラ?ンな物捨てたわよ。ゴミを家に入れないでくれるー?』

 

 これは…何だったか。

 

『ガキみてぇな趣味してるテメェが悪ィんだろ』

 

 ああ、前世の記憶。つまりは前世の(何も出来ない)俺、さっきから流れてるのも含めての走馬灯か。我ながら随分趣味の悪い脳味噌を持った物だ。

 

『おかーさーん!おにいちゃーん!アイツがまたきもちわるいのつくってるー!』

 

 で、これは妹か、可愛がられてる癖して随分不細工だ。もっとこう、可愛く産めなかったのか?あぁ、素材が悪かったのか。

 

 遠く年の離れた妹は、その無体な頭脳と歳ではまだノックという文化を理解出来ず、いきなり部屋に押し入っては家族に告げ口する。

 

 そしてさっきも言った通り、物凄く不細工だった。これを見ているお前らが良く思い浮かべるチー牛をより酷くしてTSさせたとでも言えばわかりやすいだろうか。顔が良ければこの走馬灯もまだ美化出来ただろうに、俺の人生に於ける二番目のケチの付け所と言えるだろう。一番は生まれてきた事だ。

 

『そんな下らない人形で遊ぶんじゃない!ったく、グズグズグズグズ泣きやがって女かお前は!』

 

 そして最後のメンバーは意外にも祖父だ。小さい頃は気付かなかったが、中々の不細工だ。妹があそこまで不細工になるのも頷ける。今は亡き祖母よ、何故これと結婚出来た。そして何故ヤれた。

 

 まあ、タバコが原因の肺癌でぽっくり逝くような奴だ。もし生きていても俺の人生はそこまで変わらんだろう。因みに父親はキャバ嬢とどっか行った。いっそ俺も連れて行って欲しかった。

 

 祖父は生粋の日本オタクだった。自分で言っててよく分からんが、軍艦だの愛国心だの大和魂だの鬼畜米英だの先祖代々の訓示だの、今改めて聞いたのをそのまま出力すると今どき珍しいステレオタイプの昭和脳の老害って感じだ。

 

 あれだ、俺がお前ら位のときはーって奴だ。そりゃ巨大ロボットなんて俗物が大嫌いな訳だ。

 

 しかし五月蝿い。何が先祖代々の土地を継げだ。お前何もせずに居間で酒飲みながらテレビ見てるだけだろ。

 

 知ってるんだぞ、お前が肺癌で苦しんでる祖母を放置して死なせた所為で団地の家賃払えなくなって家に転がり込んできたんだろうが。先祖代々の土地団地やんけ、俺にどうしろってんだ。

 

 

『ねえ聞いた?あそこの家の子、ガンプラ作ってたらしいのよ』

 

『え〜…?内気で気味が悪いと思ったらそう言う事だったの〜…。将来強盗とかしなきゃいいんだけど〜』

 

『ホント嫌よね〜』

 

 

『なあ、アイツガンプラ作った挙句母親にバレて捨てられたんだってよ!』

 

『えーマジ?キモ〜w』

 

『やべー!犯罪者じゃん犯罪者!』

 

『ママにキッモイガンプラ趣味阻止されてどんな気分でちゅかー?オタクくーん?』

 

 家で生きれば母と弟とブス妹と老害のよく出来た連携。それで外に出れば平成初期特有のオタクに偏見を持った奴らが主犯、担任監修のいじめ。

 

 何処へ逃げても人、人、人。

 

 本当に、現実ってのは碌な事がない。人だってそうだ。だから益々俺はロボットにのめり込んでいったし、だから酒に溺れた。俺が二十になり、有金抱えて家を飛び出した次の日に出会ったのは、酒に溺れて何も考えなければいい。そういう擦り切れた悟り、それだけだった。

 

 真夜中の畦道を、通帳と飲み物片手に走る走る。そんで二十秒も保たずにバテた。其処に話しかけたのは、こってこての屋台で酒を飲んでいた酔っ払いだった。

 

『兄ちゃんどうしたのー?そんな大荷物で走ってぇ』

 

『え?いや言う程大荷物って訳でも』

 

『いいからこっちゃ来う、一杯奢ったるからぁ』

 

『あ、はい』

 

 酔っ払いの扱いは祖父で心得ていた。と言っても話の通じない相手には取り敢えず従うだけのしょっぱい処世術だったが。

 

 それで俺は奢ってもらった酒をひと啜り。

 

 衝撃だった。

 

 今迄は酒を寄生虫か何かだと思っていたが、ここまで気持ち悪くなるとは思わなかったし、ここまで人の思考を奪う飲み物だとは思わなかった。

 

『そうか、考えなければいいのか』

 

『え。兄ちゃん、何かとんでもないこと言っちゃってるよー?え、ちょ、兄ちゃん!?一口でいいの!?兄ちゃん!?兄ちゃーん!?』

 

 

 転生した後も変わらなかった。嫌な事を思い出しそうになったら酒。何か嫌な事があった日には酒。金に困らなくなったのでタバコも。最初はとんでもなく咽せた。二度とやらないと誓った。二週間後にはハマってた。

 

 ストレスの上から快楽で押し潰してしまえば不幸もクソもない。全部酒で押し流して仕舞えば良い。そうして今まで過ごして来たし、これからも変わらないと思っていた。

 

 

 

『あの、綾目さん』

 

『んー?』

 

 その日は確か、揃いも揃って用事用事で、巴マミと一緒に帰っていた日だった。

 

『綾目さんってその、ロボットとか好きなんですか?』

 

(…やべえ、バレたか?)

 

 見滝原に来てからは機械系は使わなかった。その年代はオタク趣味に偏見があった時代なのもあって、軽蔑されるのが嫌だったし、それが不和の元になって状況が悪化する事も考えられた。

 

 ……言い訳だ。俺は恐れた、怖かったんだ。これ以上自分の趣味を、夢を馬鹿にされるのが怖くて。自分の自尊心(プライド)を踏み躙られるのが怖くて。前世の自分みたいに、恥を掻きたくなくて。だから隠した。

 

『…だったら悪いかよって、うおぉっ!?』

 

『やっぱりそうだった!』

 

『どういう意味だ!ちょ、降ろせ!』

 

 その事を認めた瞬間、感極まった表情でマミは俺を抱き上げた。

 

 馬鹿にされるかと思った。貶されるかと思っていた。全部覚悟の上で生きてきて、その実全部予想外だった。

 

『カッコいいものね!今まで散々わかって貰えなかったけど、やっとわかる人に会えたわ!』

 

『─────』

 

 前世以来の衝撃だった。まさかロボット趣味が理解できる人類が本当に存在するとは思わなかった。オタクに優しいギャルと同じだ。存在しない、したとしてもそれは気を遣ってるか仕事(パパ活)の類かの二択だと思っていた。

 

 だが、空想の産物だと思っていた存在は今ここにいる。嘗て俺が生きていた世界では到底あり得ない、他者を慮れる人間がこの世界にはいる。

 

 

『巴マミ、さん』

 

『な、何かしら?』

 

 その日から、

 

『産まれてきてくれて有難う』

 

『ふあっ…!?』

 

 酒は一滴たりとも飲まなくなった。

 

 本当に、嬉しかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ」

 

 口から意味のない言葉が漏れた。目の前には眩い光を放つ黄金のORT。走馬灯が終わった。現実に引き戻された瑠璃の意識は、無慈悲な現実を瑠璃に突き付ける。

 

 放たれるは太陽風。全てを焼き溶かし、人類を守る為の機構であるグランドサーヴァントの攻撃が迫る。

 

「…はは」

 

「お前、どんだけ俺の事嫌いなんだよ」

 

 自分の脳にそう悪態を吐いた瑠璃は、迫り来る死に恐れる事は無く、頭を垂れ、目を瞑り、静かに終わりの時を待つ。

 

 

 

 

 

 

「SMAAAAAHHHHHHHHHHSH!!!」

 

 

 

 

 

 その太陽風は、その少女の拳で掻き消された。

 

「は」

 

「失礼!」

 

「え、ちょ」

 

 その瞬間、瑠璃を抱えた少女は遥か上空に跳躍。直後に瑠璃の目に映るのは、きめ細やかな金髪。その耳を震わせるは、快活な少女の声。

 

 

「もう大丈夫!何故って!?」

 

 

「我々が、来た!!」

 

 

 その身に纏うは自由を象徴する青いコスチューム。背中に大きく広げられた純白のマントが二人を覆い、大きな影を作る。

 

 外国人を想起させる金髪のロングストレートヘアー。前頭部から突き出たV字型のアホ毛が何とも言えない陽気さを醸し出す。

 

「少年!この子を頼んだ!」

 

「ガアッ!」

 

 魔法陣を背に構え、風の魔法で空を飛ぶヒクイドリがパスされた瑠璃を華麗にキャッチ。そのままディケイド達が逃げた方向へ飛び去って行く。

 

 グランドフォーリナーに対抗するは平和の象徴。数多の世界を股にかけ、悲劇を消し去る転生者狩り。その信奉者。名はオールマイト。

 

「行くぞ、愛子少女!!」

 

「はいはーい!」

 

 

─────Balwisyall nescell gungnir tron(殺戮までのウォームアップ)

 

 

 ORTを相手取る事に、一人で立ち向かうのか。否、人手は有ればあるほど良い。

 

 天に向けた彼女の指先から眩い光が放たれる。光は無数の魔法陣となり、其処から無数の転生者が出現する。

 

 並行世界の運営、多くを認める根源的力の発現。即ち、第二魔法。

 

 本来、転生者は様々な並行世界に居る。台所の水回りを覗いた時の悪魔の様に、大きめの石をひっくり返した際の虫の様に。世界を駆ければ転生者は其処に居る。

 

 その並行世界に、円環の理を手に入れたアークはその全てに侵攻を開始した。これが何を意味するか。それは即ち。

 

 アークにとって、最悪な事態が発生したと言う事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソっ、変し、がぼっ」

 

「おじさんっ!」

 

「フハハハハッ!皆の者!今こそがディケイドを討ち取るチャンスだーっ!」

 

 一方その頃、士を含む六人は、アークの侵攻に便乗したショッカーの大群に囲まれていた。士は変身しようとするも、これまでの疲労が祟り、血を吐いてしまう。

 

 先頭にはキューブリカンと蜘蛛男、シュバリアンにテラードラゴン。その後に戦闘員達が大群を成して迫り来る。その群れに恐れを抱く事無く、五人の魔法少女達が士を庇う様に前に躍り出る。

 

「おい、駄目だ逃げろっ!」

 

「嫌よ、貴方が死んだらまどかが悲しむじゃない」

 

「ごめんなさい佐藤さん。私達だって戦える。いえ、此処で戦えなかったら、私達が何の為に魔法少女をやっているのか。本当にわからなくなってしまうの!」

 

「テメェが死んだら、ラーメン奢る約束はどうすんだよ!」

 

「わ、私達だって、戦えるっ!」

 

「おい!待て、クソッ!!」

 

 士の話は届かず、四人はショッカーの大群に突撃して行く。ほむらの銃撃がキューブリカンに雨霰と降り注ぎ、杏子の多節棍による連撃を蜘蛛男は回避する。まどかの放った矢は魔法陣へと変わり、其処から無数の矢の雨がテラードラゴンへの集中爆撃となる。巴マミのマスケット銃とシュバリアンの鉤爪がぶつかり合い、発生した火花が戦場を彩った。

 

「く、来るな!このっ!」

 

 さやかは震える刃で、ショッカー戦闘員を振り払う。だがその刃は、引き腰に振るうだけの刃。

 

 当然の事であった。さやかは力ある魔法少女であれど、心優しき一人の少女。魔女を相手にするなら、怪人を相手にするならいざ知らず、人の面影のある戦闘員が相手では躊躇してしまう。()()()()()()()、その事が鎖となって彼女の心を縛るのだ。

 

 人を殺す事に躊躇してしまう少女が、悪しき輩共に襲われ、その命を絶たれようとしている。か弱い幼子が、その白い手を血で染めようとしている。本来、人としての人生を謳歌すべき若者が、血生臭い戦いに足を踏み入れようとしている。

 

 許せる筈もなく、その男はさやかの手を掴み、その道を阻む。

 

「その様な振り方では敵は斬れぬぞ」

 

「だ、誰!?」

 

「まあ、見ておけ」

 

 怯えた様子のさやかにそう言い捨て、その男は太刀を構える。その身に纏うは漆黒の鎧。風にたなびく鳶合羽が大地に影を作る。その面頬の銘は武士(もののふ)の怒り。

 

 構えたままぴくりとも動かぬその侍に痺れを切らした戦闘員が槍を突き出す。それが蹂躙の始まりであった。

 

 居合いを繰り出す。槍を突き出す寸前で、その者は生き絶えた。その光景に怯んだ一人の背後へ回り込み、脇差で(うなじ)を一突き。

 

 瞬く間に三人を連殺。その大群目掛け、火花を散らす光球を投擲。対馬を脅かす鬼畜共、蒙古が使う鉄炮(てつはう)が爆発し、二人の戦闘員が火達磨となって事切れた。

 

 その隙を突き、さやかと士に向かう戦闘員達。当然、その男が間に割り込む。その程度の事は織り込み済みだと言わんばかりに各々の武器を振り上げ、振り下ろす。

 

 対して男は、刀の切先を天に向け、大きく掲げる。その背中を見ていたさやかは不審に思い、考えた。何をしているのだろう、と。

 

 その刀を用いて攻撃を防ぐ。否、ならばその刃を水平に構え、迫る凶器に備える筈。それよりも先に全て切り倒す方が早い筈。

 

 ならばその刃を持って敵を斬り伏せるか。これも否、ならばその刃を同じく水平に構え、一気に全てを斬り伏せるが早い筈。

 

 考えている内に、答え合わせの時間が来た。男が両手に掲げた刀を一定の、肩の近くまで下げる。

 

 瞬間、世界が変わる。赤く染まり、全てが灰色に、色を失った。

 

 さやかの目には、確かにそう映った。灰色に変わった世界で、全ての生き物がその男を恐れ、その動きの一切を放棄する。

 

 まさに歴史の闇に隠れたる英雄にて、此度は怪異をば討ち祓ふべく、昏き冥府の底より境井家が武士なる依代を得て現るるなりけり。

 

 武士の道より外れ邪の道を突き進むはひとへに弱きを護る為。

 

─祖国を救う為に、我、ここに在り─

 

 構えたるは極みの邪道。冥人(くろうど)の型。

 

「怪異共!よく見ておけ!」

 

「退け!退かぬなら此処が墓場だ!」

 

 言い放ちながら破竹の勢いで戦闘員を斬り捨てる冥人。だが、一人ではいずれその数の暴威に晒され、死するだろう。

 

 だが、彼はこの戦いに、無謀にも一人で赴いたのだろうか?

 

 否、否である。

 

「各々方、一人として怪人を生かしておくな!」

 

 冥人の言葉を皮切りに、上空から、戦闘員の背後から、魔法少女と怪人の間から、無数のオーロラカーテンが展開、そこから転生者達が次々と現れ始めたのだ。

 

「クハハハハハハッ!!流石の貴様も、こうも縛られては身動きもとれまい!」

 

「ちっ!」

 

「さあ、死ねぃ!」

 

「待てーッ!!」

 

 最初こそ蜘蛛男を圧倒していた杏子の槍は蜘蛛糸に絡め取られ、このまま本人も成す術なく嬲り殺されるその時、蜘蛛男の後頭部が蹴り飛ばされる。

 

「怪人蜘蛛男!お前の相手はこの俺だっ!」

 

「な、何者だ貴様ッ!!」

 

 

 

「地獄からの使者、スパイダーマッ!!」

 

 

 

 

「…埒が開かないわね」

 

「暁美ホムラ、覚悟ッ!!」

 

 ほむらの銃撃は怪魔ロボット、キューブリカンの装甲を破壊できない。キューブリカンの射撃は時間停止を持つほむらに当たらない。完全な泥試合と化していた。

 

 その時、上空からの雷撃がキューブリカンを襲う。それに驚いたほむらは上空を見上げ、その姿に微笑んだ。遥か上空から、大声を張り上げる瑠璃と、瑠璃を背中に乗せるヒクイドリの姿が。

 

「待たせたな、暁美!」

 

「ガァーッ!!」

 

 

 

 

 

 

「前々から思っていたけど、堅い奴が多すぎじゃないかしら……!」

 

「貴様ノ射撃ガ貧弱ナダケダ」

 

 マミとシュバリアンの戦いも、ほむらと蜘蛛男の戦い同様に泥試合と化していた。マミのマスケットはシュバリアンの装甲に歯が立たず、シュバリアンの攻撃はマミに当たらない。

 

 其処に、一つのオーロラカーテンが現れ、奇怪な大男が姿を表す。190センチを超すであろう身長、丸太の様な手足、ライオンの鬣のような赤色の怒髪をオールバック。黒のカンフー着、カンフーシューズを身につけたその姿は、まさしく地上最強の男、範馬勇次郎の姿。

 

 だが、それは範馬勇次郎ではない。それを決定づけるのは、頭頂部にある金色の狐耳、そして腰から生える九本の尻尾。

 

「急で悪いが選手交代だ、若いの」

 

「あ、貴方は?」

 

「キ、貴様!何モノッ゛」

 

 瞬く間に音もなくシュバリアンに接近した男は、優しくシュバリアンの頭に手を添えた後、そのまま押し潰した。マミがいくら攻撃を加えても傷一つ付けられなかったシュバリアンが煎餅の如く平たく潰されたのだ。

 

 唖然とするマミ、その男はこう告げた。

 

「どんぎつねだッ!!」

 

「…??……???」

 

「時間がない、一足先に避難するぞ」

 

「そ、そんな!皆を助け」

 

「時間が無いと言っただろう。良いぞ、送れ」

 

「ちょっ」

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……」

 

 全身に擦り傷の付いたまどかは、上空を高速で飛び回るテラードラゴンに狙いを定めて矢を放つ。しかし、全て回避され、反撃の突進をモロに喰らってしまう。

 

「ぐ、あぁっ!」

 

 吹き飛ばされるまどか。その先には戦いの最中で山の様に積み上がった瓦礫。この風を切るようなスピードで瓦礫に衝突してもその衝撃に耐えられるもしれないが、衝突時の硬直を狙った追撃が来るかもしれない。まどかは少しでも衝撃を和らげようと自分の身体を丸める。

 

 衝撃に備え身体を強張らせると瓦礫に衝突するよりも早く身体をグイッと強く引っ張られ誰かに抱き止められた。

 

「……ほえ?」

 

「よし、ギリギリセーフ。怪我は…酷いな」

 

 黒いタキシードに身を包み、髑髏を模した黒い仮面を付けたその少女は、迫り来るテラードラゴンに向かって歩き出した。それをまどかが止める。

 

「だ、駄目だよ!早く逃げて!」

 

「大丈夫だとも、何故って?」

 

 首を噛み千切らんと口を開いて迫るテラードラゴンの牙を掴み、吹き飛ばしながら、その少女はこう囁いた。

 

 

「僕がいる」

 

 

────── 虚式『茈』+火葬砲

 

 熱線を内包した紫色の質量を前に、テラードラゴンは消滅。その球体はそのまま上空の雲を貫通し、彼方まで飛んで行った。

 

「す、凄い……!」

 

「時間が無いんだ、その怪我を治したら直ぐに避難しよう」

 

「ま、待って下さい!」

 

「愚痴はあっちで聞こうかな、ごめんね?」

 

「だ、駄目」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「DETROIT SMASH!!」

 

「そおい!」

 

 極彩色の太陽風を突っ切り、オールマイトの拳がORTの頭に、愛子の銀腕がORTの肩に叩き込まれる。粉砕され、新しいコンセプトを元に即座に再生される。

 

「ええい13回目!流石に効かなくなってきたな!」

 

「そんな貴方に朗報!」

 

「おっ!何かな!?出来ればこの状況が良くなるニュースだと嬉しい、なっ!」

 

 ORTの放つ重力波を紙一重で躱したオールマイトに、愛子が受信した内容を報告する。

 

「皆救助完了!怪我とかしつつも全員無事だよ!」

 

「成程!せいっ!!」

 

 ORTの胴体をX字に切り裂くオールマイトの背中を踏み台に、愛子がORTの側頭部に獄鎌を抉り込む。

 

「じゃあそろそろこっちも隙を見て───ん?」

 

「う〜ん、見間違いかな?アレって───」

 

 上空から何か、黄金色の金平糖の様な物質が、無数に降って来ている。

 

「種火じゃね?」

 

「…………」

 

 

─────霊基再臨

 

─────霊基再臨

 

─────霊基再臨

 

─────霊基再臨

 

─────聖杯転臨

 

 

 種火を取り込み、最終再臨と化したORTは100メートルにも巨大化した姿、ビーストモードに変化。

 

「……あれ?もしかして勝ち筋消えた?」

 

「…………」





・転生者
 暇を持て余した神が若者の死者に異能を与え、異界に転生させた存在。様々な世界に存在しており、円環の理を手に入れたアークの侵攻に晒され、犠牲者の数は過去最高記録を更新した。そして今、力ある転生者達が集い、叛逆の狼煙を上げている。

・プラモに理解のある女性
 空想上の生物。主にヒト科ヒト族の雌に生まれるとされている。わかりやすく言うとオタクに優しいギャル。もっと言うとヴィーガン思想に目覚めたサメ。ファインディングニモにいたやつ。

・オールマイト
 転生者狩りの信奉者。全盛期版オールマイトの個性を得て転生し、本気でオールマイトのロールプレイを開始。転生者狩りの在り方に感銘を受け、その真似事をしている。
 同業のオールフォーワンとは滅茶苦茶仲が悪い。

・オールフォーワン
 転生者狩りの信奉者。他者の特典を強奪する個性を持って転生。凡ゆるチート能力を駆使して敵を薙ぎ倒す。
 同業のオールマイトと滅茶苦茶仲が悪い。

・世界一危険な鳥
テンプレ異世界在住
 ダチョウ並の再生力と体格。ヒクイドリの凶悪な爪と嘴、人間の知能を併せ持つ最強生物として異世界に君臨、その後はエルフの村でスローライフ。なんか最近魔法が使えるようになって大歓喜。それからは翻訳魔法を使用して会話している。

・海洋最強生物
仮面ライダーアマゾンズ在住
 大型トラック並のサイズを誇るモンハナシャコ。その体格から繰り出されるパンチでアマゾン界の頂点に君臨した。日本語も話せる。

範馬勇次郎(どんぎつね)
マブラヴ在住
 特典は範馬勇次郎並みの戦闘能力に加え、作りたての最強ど○兵衛を無限に創り出せる能力を搭載。
 男のケモ耳とか誰得だよ。

・地獄からの使者
 転生者狩りの信奉者。転生者の掲示板系小説を読むと必ずと言って良い程見かける男。
 作品を問わずにスパイダーマンに出来る事なら何でも出来る。

・狩人ちゃん
リコリス・リコイル在住
本名「落葉(おちば) 血景(ちかげ)
 見た目は四宮かぐや。特典は全ステータス&啓蒙カンスト+全武器最大強化+スロット無限+全アイテム無限+銃弾無限。
 物作りと生物解体のアランチルドレンということで金はあるが家は持っていない。リコリコ常連の百合厨。

・対馬の冥人
仮面ライダーブラックサン在住
 対馬で怪人を受け入れる施設の経営をしているお侍擬き。
 お侍様の戦い方じゃない…(ノルマ)

・ORT(LV120)
 円環の理に接続されてやりたい放題な蜘蛛。
 サーヴァントだし正直可能だと思うの。
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