【だれか】転生したらめっちゃ追われるんだけど【たすけて】 作:タコZ
「圧倒的な上位存在に一方的な激重愛情をブチ込まれる」という概念と「主人公がボロボロになっても戦い続けてヒロインが曇る」という展開が見事に性癖に刺さったので投下
あと、今回は専門用語多めなので脚注を入れときます。
この先、魔改造があるぞ
『死ね、ディケイドォォォォッ!!』
「死ぬのはテメェ等だクソッタレがぁぁぁ!!!」
見滝原の、12時を下回る程の深夜。路地裏にて、ディケイドの振るうマゼンタの光刃が四色の光剣を弾き、極彩色の大光刃を滑る様に掻い潜りて、白銀色の鎧武・極アームズの装甲を削る。
その日、ディケイドは孤軍奮闘、戦い続けていた。と言うのも限界か、そろそろ振い続けた右腕も震え、使い物にならなくなってきた。だが、腕で斬れぬのなら、脚で蹴るまで。
ディケイドはライドブッカーを腰に納め、迫り来るダブルに向かって跳躍。慣性を乗せた飛び蹴りを盾で防ぐが、勢いを完全に相殺することは出来ず、ピンボールの如くダブルが吹っ飛んで行く。その隙を狙い、背後からバナナスピアーを構えた鎧武がその頭蓋を貫かんと突き出す。
その攻撃に対して、ディケイドは体幹を軸に回転。鎧武の槍を擦れ擦れで躱し、完璧な形で繰り出された跳び回し蹴りが鎧武の腹部に突き刺さり、鎧武がビルの壁に叩きつけられる。
『ガッ…!』
「へっ!随分と調子が悪いじゃねーか!!何だ?朝飯喰ってこなかったのかァ!?」
珍しく優勢な状況に調子付くディケイドの頭蓋に銀色に輝く大斧、アックスカリバーが振り下ろされる。その凶刃が風を切る音で察知したディケイドは横に飛び退いて回避。振り下ろした張本人、ウィザードを見据え、更に闘志を燃やす。絶対にコイツだけには負けたくない、と。
「テメェかぁッ!!」
『我らが偉大なるショッカーの道に、貴様は邪魔だッ!!』
「知るかボケェッ!」
勇ましくも邪悪で不敵な笑みを浮かべるディケイド。相対するは、ショッカーより送られし三人の仮面ライダー。ダブル、ウィザード、鎧武。
獣の様に姿勢を低く保ち、指をコンクリートの地面に食い込ませ、クラウチングスタートの体制を取るディケイド。後方にはダブル、前方にはウィザードと鎧武。
さあ、今日も今日とて悪者退治、今日も今日とて悪行三昧。伝説の魔女の降臨前夜にて、幾多と続く戦いの火蓋が切って落とされる 事はなかった。
「なっ!?」
突如として、虚空からドス黒い濃煙が吹き出し、四人の視界を塞ぎ、動きを封じたのだ。直後、ディケイドの耳に仮面ライダー達の悲鳴が届いた。新手の第三勢力か?そう思ったディケイドは身構える。だが、そんなことは無意味。ディケイドは後頭部をバールで殴られ、その意識を刈り取られる。
( まど、か?)
恍惚とした表情を浮かべ、上気した頬を歪める神を見ながら。
「ふふふっ…」
一撃で意識を落とされたディケイドを抱き抱えながら、己の胸を満たす愛しさに溺れる。漸く、漸く手が届いたのだ。いつまでも無茶を続ける阿呆の首根っこ、それを漸く引っ掴めたのだ。後は、彼を彼の在るべき場所に連れて帰ればそれで良い。
嗚呼、帰ったら何をしようか。ずっと抱き合っていたい。一緒に風呂にも入りたい。美味しいものを沢山食べて貰いたい。頭を撫でて貰いたい。同じ布団で、少々肌寒いくらいの気温にして分厚い毛布の中で暖を取るのも良い。
「皆いなくなったら、頼ってくれるのかな?」
口端から垂れる涎を慌てて拭き、その拍子に、薄桃色のディケイドライバーが目に映る。自分のこめかみがビキリと軋む。
「こんな物さえ無ければっ…!」
そう呟いた彼女の五指がバックル部分を貫き、ディケイドからベルトを引き剥がした。露わとなったその痛ましい姿に、悲しそうに目を細め、その身を抱き、赤子をあやす様に囁いた。
「もう、大丈夫だよ」
「何が大丈夫だって?」
振り向けば、其処には北海道から来た魔法少女、綾目瑠璃がハンティングライフル*1を向け、己を睨む姿。
…追い付いたのか。突如現れた邪魔者に不機嫌そうに目を細めるまどか。白いベットを創造し、其処に愛しい人を寝かせ、頬に唇を落とす。
「ちょっと待っててね」
「…お熱いな。ちょっと羨ましいよ」
「…最初で最後の通告です。綾目瑠璃さん、貴女のこれ迄の功績に免じ、貴女だけは見逃します。他の者共と違い、貴女は緩やかな生涯を過ごせます。立ち去って下さい」
「…冥土の土産に教えてくれ。お前の目的は何だ?何の為にソイツを狙った?」
「………全ての世界を滅ぼし、この人を傷付けないただ一つの世界を作る。其処でこの人は安らかな生涯を遂げる。…あんな怪我で、苦しむ事もない」
「……あー、その部分だけは同感だな」
「返答は?」
まどかの機械的な問いに、瑠璃はわざとらしく目を伏せる。だが、目線は彼女の腰部分。その黒いベルト、その持ち主がよりにもよって彼女。
「…………………へっ」
「………………………」
それだけで、もう放っておく事は出来なかった。
「だが断るっ!!」
「なら死ね」
直後、まどかがロケットブースターをくくりつけた鉄筋コンクリートの柱にカチ上げられ、夜空にて滞空する。飛んでくる柱を弾き、見据えるは彼女が創り出した規格外の
その機体は赤と黒のツートンカラーに配色されたボディ、ビリヤードの9番ボールをモチーフにしたエンブレム。機体名、ナインボールセラフ*3。だが、それは最早ナインボールでは無かった。右腕に超大型6連チェーンソー。左腕には外付けジェネレーター付きの巨大なキャノン砲を展開し、計130門ものパルスキャノンがその機体を覆い隠す。
《オーバード・ナインボール、全て正常に稼働中》
全武装が
直前、まどかが行動を開始した。俯いた顔を上げ、その表情は何処までも冷たく、冷徹な無表情。それを赤と黒に明滅する瞳が瑠璃の根源的恐怖を後押しする。
バックルの上部に存在するスイッチに手を伸ばす。瑠璃は至近距離でパルスキャノンとキャノン砲を叩き込み、周囲が爆風に包まれる。その爆炎の中でまどかは呟いた。
『滅亡せよ』
そもそも、何故こうなったのか。いつから、まどかの中に「それ」があったのかはわからない。
「士さん」
「…んー?」
「………どうして、そんなになってまで戦うんですか?」
「そりゃあ負けられないからだろ。そもそも喧嘩売ってきたのはアイツらだし」
まどかの問いに、右目と左腕から緑黄色の蔦が生えた士が返答する。
右目を抉られ、左腕を切り落とされ、魔法で再生されない様にと鎧武の力で作られたヘルヘイムの植物に傷口を侵食されて、それでも戦う士に、まどかは問いかける。
「もう逃げよう?もう貴方が傷付くところなんて、見たくないよ」
「…………いや、逃げんよ」
「…何で」
その回答に、思わず士の服の裾を掴んだ手に力が入る。彼は彼の思うように生きるべきだ。あんな奴らの為に費やす物ではないと、まどかの心が燻る。
「だって、それじゃまどか達が死ぬじゃねーか。それに、アイツらのキッショい顔面に五発はブチ込むって目標もまだだし」
「だったら私が」
「それに、逃げたってどうにもならないと思うぞ」
「 え?」
「どうせ逃げても、ショッカーは追ってくる。まどか達を殺してな。そうなれば今までやってきた事も水の泡だし、いつまで経ってもショッカーには勝てない」
それは流石にアイツらが可哀想ってモンだろ?と陽気に取り繕って話す士に、まどかの表情は更に曇り、裾を掴む手に一層力が込められる。
「なら、私がどうにかして見せます。ショッカーが襲ってくるって言うなら、私が貴方を守ります」
「……一言で良いんです。だから、助けてって言って」
「………………ごめんな、まどか」
「 !」
声にならない、悲鳴が漏れた。
まどかが硬直した瞬間、士は逃げるようにその場を去った。仲間すら満足に守れない最低最悪の自分に、何より少女の想いを利用するような人間になど成りたくなかったのだ。
消えゆく彼に伸ばした手は、虚空を切った。彼女の手は届かない、彼女の献身は彼に届く事はない。現実世界に行った彼を見れば、綾目瑠璃との共闘でも防戦一方。時間を稼ぐ事しか出来ない。仲間である筈のまどか達が加勢すれば、幾らか戦況を回復させる事は可能だ。しかし、彼らはそれを選ばなかったのだ。
魔法少女では
魔法少女では
魔法少女では
拮抗する事は可能だ。だが其処までだ。人を救おうとする優しい力を持った魔法少女は、壊す事に一辺倒のショッカーの送る仮面ライダーに敵わないのだ。大怪我を負えば、それを追求する彼女達の平穏が彼女達に牙を剥く。
だから彼らは彼女達を戦いから遠ざけた。迫るワルプルギスの夜に備えて、少しでも不安要素を残してはならないと。傷付きながら見滝原を守り、戦った。
まどかは、それが許せなかった。
「………ダー」
「…ライ、ダー」
「仮面ライダー……っ」
許さない。
まどかは士を追い詰める仮面ライダーを許さない。
まどかは甘い汁を啜るだけの魔法少女達を許さない。
「仮面ライダーッ!!」
いや、それだけでは駄目だ。
士から仮面ライダーという楔を取り払った所で、ショッカーの魔の手は何時だって何処だって付き纏う。
士を傷付け、士を戦いに駆り立てるアレらを消さない限り安息は訪れない。
ショッカーに騙され、彼を狙う者達を取り払わねば何処までも戦いは終わらない。
ならばどうするのか。
「 決まっている」
安息を我が物顔で貪る腑抜け共を滅ぼすだけでは足りぬ。正義を掲げた狼藉者共を滅ぼすだけでは足りぬ。
「全て、滅ぼしてやる」
その日、円環の理は悪意の沼に落ちた。
・イッチ
左腕&右目欠損、しかもヘルヘイムの植物で修復不可の状態。それでも戦い続けたらなんか一番頼れる人が一番ヤバそうなキレ方してた。
右目はマミを庇った時に抉られて、左腕は真夜中に三対一で戦った際に切り落とされた。
・まどかちゃん
ソウルジェムの問題も魔法少女間の問題も全部解決して後はワルプルギスと仮面ライダーさえ倒せばハッピーエンドの状態で大爆発した。
・暗黒金平糖
アク男くんホントさぁ…
そこに人間がいる限り現れる可能性のある暗黒金平糖の悪意漬け。人工衛星アークとも呼ばれる。
まどかちゃんがキレたのに便乗して円環の理をハッキング、そのまま全ての並行世界を滅亡させようと侵攻を開始した。
因みに、このレベルまで行くと転生者でなくても転生者狩り出勤案件。そんくらいやべー状況。
・ダブル、ウィザード、鎧武
全員怪人。三対一の状態でディケイドに決定打を与えたらなんかヤバい奴の逆鱗に触れてた。因果応報。
・専用ネクスト「オーバード・ナインボール」
約6Mのお手製AC
全武装がオーバードウェポンという規格外のAC。
基本機体はみんなのトラウマと名高いナインボール機。えげつないスピード+オーバードウェポンの圧倒的な破壊力=最強を体現した夢のような機体。