【だれか】転生したらめっちゃ追われるんだけど【たすけて】   作:タコZ

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題名「ワタシがアークで仮面ライダー」


キレたアルまどちゃんがヤンデレになっちまった話:2

 

 

 

『オール・ゼロ』

 

 

 直後、爆炎の中から赤黒い荷電粒子砲がナインボールに放たれる。放ったのは悪意の権化、仮面ライダーアークゼロ。

 

 ナインボールは急加速、荷電粒子を擦れ擦れで躱し、一気に背後へ移動。けたたましい音と共に駆動するグラインドブレード*1を前に構えて突撃。アークゼロの掌とチェーンソーが擦れ合い、不快音が見滝原の夜景に響く。

 

「ぐうううぅぅぅっ………!」

 

『死ね』

 

 

『オール・エクスティングション』

 

 

 

 

・エクスティングション

 

 

「マジかよオイッ!!」

 

《オーバード・ナインボール、パージします》

 

 

(巫山戯んな!有り得ねえだろうがそんなのっ!!)

 

 アークゼロは暖色系のオーラを纏った拳。それは確かに、仮面ライダービルドの技である。それをアークゼロが放った、絶対に有り得ない。技術や素材の出自、使い手、エネルギーの種類も何一つとして共通点がない。何故だ、何故それが使える?

 

 そして瑠璃は、答えに辿り着いた。

 

 

(円環の理か!畜生っ!最悪過ぎる、よりにもよってこいつの手に渡るか普通ッ!!)

 

 

 全ての魔法少女を救済する概念と呼べば聞こえは良いが、並行世界への干渉、歴史の改竄、因果を自在に管理する権能。明らかに悪用されたら不味すぎる要素の闇鍋状態の核爆弾。

 

 それを今、人類の絶対的な脅威であるアークが手にした。無垢で無知な中学生でもない、人類を滅ぼそうとする超高性能の人工知能がそれを手にしたのだ。

 

《アームド・メリュジーヌ、オンライン》

 

(兎に角、コイツに行動する暇を与えるな翻弄し続けろ少しでも     

 

「クロックアップ」

 

 瞬間、瑠璃の頬を漆黒の拳が貫き、全方位から攻撃が降り注ぐ。タキオン粒子によって光速を得たアークゼロが、凡ゆる手段で瑠璃を殺しにかかる。

 

 拳で殴り抜く。脚で貫く。荷電粒子砲で灼く。剣で、鎌で、包丁で、棒で、槍で、銃で、クロスボウで、扇子で、ハンマーで、盾で、斧で、杖で、魔法で。凡ゆる攻撃という攻撃が、瑠璃のバーニアを砕き、腕を、脚を消し飛ばす。

 

 血塗れで、右腕一本しか残らぬ達磨擬きとなった魔法少女が、天空から堕ちて行く。それを冷ややかに見下すアークゼロ。

 

「さようなら、綾目瑠璃」

 

「………………ヘッ」

 

 笑った、瑠璃が、もう人とも言えぬような有様の瑠璃が、笑った。何か、まだ策があるのか?

 

 アークゼロは思考する。何か奴に出来る事があるか?不明、翼も手脚も砕き、残っているのは最早腕とも装備とも判別し難いボロボロの腕が在るだけ。

 

 腕が、在るだけ?

 

 アークゼロは気付いた。此処は見滝原の遥か上空。綾目瑠璃は落下している、自分はそれを見下している。つまり、()()()()()()()()()()()()。という事はつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「──────ッ!小賢しいっ!」

 

『推奨、退避』

 

誰も知らぬ、無垢なる鼓動(ホロウハート・アルビオン)っ!」

 

 黄金の極光が、アークゼロを包む。臨界点を突破した膨大な魔力の塊が、アークゼロの装甲を灼き融かして行く。

 

 綾目瑠璃は、確かにアークゼロに敗北した。だが、瑠璃は確かに、アークゼロに一矢報いたのだ。

 

 

 

 

 

 

「ぐぎぎ〜っ、お、重い〜!」

 

「本当に、馬鹿よっ。こんなボロボロになってっ」

 

 その激闘の遥か下、見滝原の路地裏で、士を心配して後を尾けた美樹さやかと半泣きの巴マミが気絶した士を背負って運ぶ。

 

 さやかは日頃から士に負い目を感じていた。仮面ライダーに勝てない自分達を守り傷付く士と瑠璃に対して、自分は何をしたとずっと自分に問うてきた。

 

 マミは自分を仮面ライダーから庇って目を抉られた日から、彼に負い目を感じていた。無力な自分達に出来る事をずっと求めていたのだ。

 

「わっ!?」

 

「あ、綾目さん!?」

 

「よー、夜更かしは美容に良くないぞー」

 

 えっちらおっちらと運んでいると、ゴミ捨て場に、血塗れの瑠璃が居た。いや、本当に何をしているのか。

 

「時間がない。行くぞ」

 

「ちょっ、怪我人なんだからもうちょっと慎重に運ぼうよ」

 

「本当にヤバいからお説教は後にしてくれ」

 

 俵を担ぐ持ち方で士を運び、非難する二人をアーセナルに突っ込んでマミの家まで運ぶ。

 

 玄関で二人をおろし、ドアを開ければ、鹿目まどか、暁美ほむら、佐倉杏子の三人が立っている。無理もない、上空であれだけの大騒ぎをしたのだ。音が地上まで響いたのだろう。

 

「………悪い、起こしちまったな」

 

「…ううん、いいの。でも、明日は頼ってね」

 

「残念だが、明日は頼るどころの話じゃなくなってきた」

 

「────どういう事だよ。まさかワルプルギスの夜までお前らだけでやろうなんて」

 

「理由は後で話す。ちょっとコイツ運ぶぞ」

 

 不服そうな杏子の批判をいなして、リビングのソファに士を寝かせる瑠璃。五人をテーブルに集合させる。

 

「杏子、窓見といてくれ。おかしい物を見つけたらすぐに知らせろ」

 

「お、おう」

 

「……やけに切羽詰まってるわね」

 

「それ程の「おい」……………何だ」

 

 杏子の早過ぎる報告に、若干察しつつも何を見たのかを問う。どうか、ただの蝿でありますようにと願いながら。

 

「空に、なんかあるぞ」

 

「…………嗚呼、クソッ!!」

 

 予想通りの最悪の答えに悪態を付いた瑠璃が勢い良く窓を蹴破り、外に飛び出す。その夜空に一点、赤く光るアークゼロ。

 

 瑠璃はナインボールを展開しつつ家をバリアで覆う。直ぐに割られるだろうが、無いよりはマシだと自己完結しながらアークゼロに一人で突貫する。

 

 両腕をクロスさせてアークゼロの放つ荷電粒子砲を防御。だが数秒と持たない。ナインボールは粒子砲に耐えきれず爆発四散。その爆炎に乗じて、瑠璃が上空に飛び上がる。

 

 センチネル*2を両手に持ち、空中でアークゼロに向けて連射。しかしアークゼロには効果が無い。弾丸の雨の中を突っ切り、胸部装甲に格納されたソウルジェムを狙った貫手を突き出す。

 

「ふっ!」

 

 瑠璃は身を捩りそれを回避。レギオン*3と連携したカウンター(ジャストレギオン)にアークゼロを拘束。そのまま落下しながらレギオンと共にパイルハンマー*4を叩きこみ、二人はそのまま地面に叩きつけられる。

 

「おーい!無事か─────

 

 その次が続く事は無く、瑠璃は直ぐ様駆け出した。理由は遠方で士を含めた六人を圧倒する一人の世紀王が居たからだ。

 

 世紀王、シャドームーン。

 

 「シルバーガード」と呼ばれる強化外皮に覆われたメカニカルな外観が特徴的な世紀王が、サタンサーベルでディケイドのライドブッカーの刀身を意図も容易く両断。そのまま肩に突き刺す。

 

 それを見たさやかとマミが怒りの表情と共にシャドームーンに迫る。しかしシャドームーンはサタンサーベルを引き抜くと同時に鏃状の光線で二人を撃ち落とす。

 

 次に、シャドームーンがほむらに向かってサタンサーベルを振り下ろす。ほむらはそれを時間停止で回避、その合間に放たれた銃弾が雨霰とシャドームーンに降り注ぐが、強化外皮はそれを通さない。

 

 現場に瑠璃がトニトルス*5でシャドームーンの横腹を殴り抜くが、これも駄目。反撃のサタンサーベルが瑠璃に振り下ろされる。瑠璃はこれを敢えて受け、左肩から入ったサタンサーベルが右腰辺りで止まる。隙を突いたアームレギオンのアッパーがシャドームーンの顎をカチ上げ、ブースターの付いた右腕で殴り飛ばす。

 

 直後、体勢を整えたシャドームーンが突然退いて行く。持ち前のジャンプ力を活かして、突然、撤退し始めたのだ。

 

 瑠璃を除いた六人は困惑する。一体何がしたかったのか、と。だが瑠璃は違った。瑠璃は何ともなしに最悪を想定し、模索した。そしてアークゼロのいた方を見た。見て、しまった。

 

 

『最適な結論を出力』

 

 

 大地に刻まれた魔法陣。鹿目まどか(円環の理)から注がれる魔力。そして────

 

 

───── 素に宙と命。礎は、全てを救う円環の理。甘露を啜る者に死を。抗う者は殺し、抑止を超え、虚に乗ずる卑怯者共は死するがいい。

 

 

 聞き覚えのある詠唱分身。英霊召喚だ。

 

 

 それに気付いた瑠璃がカプセルを六人に放りながら最悪の事態(鹿目まどか)に向かって駆け出した。

 

(やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろっ!)

 

 両手に持った回転式のロケットランチャーから無数のロケット弾が放たれ、鹿目まどか(円環の理)の攻撃と魔法陣の破壊を同時に試みるが、シャドームーンと有刺鉄線で雁字搦めにされ、血塗れになった美樹さやか(円環の使者)がそれを許さない。

 

 

────生きよ(滅びろ)生きよ(滅びろ)生きよ(滅びろ)生きよ(滅びろ)生きよ(滅びろ)

 

─────繰り返す都度に五度、満たされし時を破却する。

 

 

─────Anfang(Set)

 

 

「クソッ、クソがあっ!!」

 

 詠唱が止まらない、魔法陣の破壊も出来ない。召喚の手順のみが着々と進んで行く。遂に自棄で呟いていた愚痴が瑠璃の口を突いて出た。

 

 そして遂に、詠唱が完了する。魔法陣が扉の如く開かれ、どうしようもない絶望が顔を出す。

 

「やめろ、ソイツは、ソイツだけは──────」

 

───── 汝三大の言霊を纏う七天 、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!

 

 

 

 召喚されるは最強の単独種(アルテミット・ワン)。100メートルにも及ぶ巨大な蜘蛛の様な、正真正銘の怪物。膝を付いた瑠璃はそれを、全てを諦めたその目で見上げる。

 

 

 

 遠いマルチバースの地球では、この存在をこう呼ぶらしい。

 

 

 輝ける唯一のもの(One Radiance Thing)

 

 

 ORT、と。

 

 

*1
正式名称は「対警備組織規格外六連超振動突撃剣」。6基のチェーンソーを右腕部を軸に円形に並べ、ドリルのように回転させつつ炎を撒き散らして突撃、相手は死ぬ筈。

*2
APEXに登場する一撃の重さが特徴的なボルトアクション式のスナイパーライフル。

*3
アストラルチェインに登場する生体兵器。五種類のスタイルがあり、敵との戦闘時には、「同じ敵に同時攻撃する」「別々の敵に攻撃する」などレギオンが連携しながら戦うことになる。

*4
工房の異端「火薬庫」の手になる異形の「仕掛け武器」

古い狩人デュラの愛用武器としても知られる

複雑な機構により、ごく太い杭を叩きつけるように打ち出す

一撃必殺の武器であり、隙も大きく、使用難度は高い

*5
医療教会の工房で変人として知られた

アーチボルドの手になる独特の「仕掛け武器」

この奇妙な鉄球の槌は、マッチのように擦ることで

黒獣が纏うとされる青い雷光を人工的に再現する





・まどかちゃん
 アークに乗っ取られてもう真面じゃない。

・イッチ
 怪我してんのに戦って仲間を曇らせる(n回)
 金が無いのでそこら辺の草を食って周りを曇らせる(n回)
 諸々の問題でビームネキの胃に穴を開けた(3回)
 罪が多過ぎる

・ビームネキ
 今回のルート一番の苦労人。ロボット大好き。
 仮面ライダーもそうだがイッチが余りにも周りを曇らせて行くのでそのメンタルケアで多大な苦労を背負う。今日もチーズ入りチリトマトヌードルでストレスを紛らわせる。

・ORT
 ああああああああ!ああああああああああ!?てめェェェェェェ!!何してんだァァァァァァ!!

・シャドームーン
 世紀王。昭和世代で作者が一番好きなライダー。
 サタンサーベルいいよね…。

円環の使者(美樹さやか)
 便利だからアークに有刺鉄線で操られた可哀想な娘。
 実際円環の理の使者だから魔力が尽きないイコール死なないから足止め要員にピッタリ。

・転生者狩り
 もう出動済。
 だが円環の使者に妨害されて其方に行けない。
 因みに到着したらまあ解決はするしハッピーエンドにもなる。
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