【急募】蟲から逃げる方法【蟲に喰われたくない!】   作:Ωが来た!

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骸の山にて生者を笑う。
地底でワラう、黄泉の竜

骸の山にて死者を笑う。
死が集う谷にて生を嘲笑う。
生が集う谷にて死を嘲嗤う。
弱者の嘆きを嘲笑う。
強者の雄叫びを一笑する。
髑髏の山でただ一つ、笑う、嗤う、咲う。

〜〜〜とある民族の詩より抜擢〜〜〜


ケラケラな生態

白盲竜 (はくもうりゅう) ケラケラ

 

全長 平均 15m

 

体重 平均 10t

 

生息地 東部大陸、『黄泉の洞谷』(よみのどうこく)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「今日は竜種が出るの!?やった!!」

 おおはしゃぎてテレビの前に着く少年。今回はどんな冒険に連れて行ってくれるのだろうと、ワクワクしながら始まるのを今か今かと待ち侘びる

 

 

 

「骸の山にて生者を笑う」

 これは大陸東部のとある民族に伝わる詩の一部です。

 今回は、この詩の主役であり、現代においても多くの謎を残す『竜種』について、専門家の意見を聞きながら、詳しく、そして徹底的に掘り下げていきます。

 そして主人公たる竜は、白い盲目の悪魔、黄泉の番竜として、人々に恐れられてきた「ケラケラ」についてです。では、謎を解きに行きましょう。

 

 

 ケラケラは名前だけ聞けば多くの人が、

「なんだ、大したことがなさそうだ。」

 と、感じてしまうでしょう。ですが、その名前にはとても恐ろしい意味があるのです。

 

 

『ケラケラは、とても獰猛で、狡猾で、そして情けがありません。そしてその狩りは、あくどく、獲物に多大な苦痛を与える事に特化しています。』

 

『恐ろしい生物ですよ。ちゃんとした対処法が存在しなかった時代において、ある意味蟲よりも危険視されていました。』

 

 

 我々は、彼らの暮らしぶりを観察する為にとある機材を投入しました。それがこの『骸もどき』です。

 この骸もどきの纏う死骸のオブジェクトは、死骸が散らばる黄泉の岩洞ではカモフラージュの役目を果たし、また操作可能で相手に気を取られずに観察する事が可能です。

 

 

『ケラケラを語る上で、切っても切り離せない関係にあるのが黄泉の洞谷です。ここを調べると言う事はすなわち、彼らを知る事に繋がるのです。』

 

 

 ここで本編に入る前に、竜種について解説しましょう。

 

 竜種には元からこの惑星に存在する『原生竜種』と、異界から雪崩れ込んできた生物群の一部である『異界竜種』の二通りに分けることができます。

 

 

『原生竜種はそのまんま、この惑星で生まれ育った我々の世界の竜種であり、異界竜種は異界の法則に則って生まれた言わば『龍』とも言える存在です。』

 

 

『龍は漏れなく我々には理解できない特別な法則を使い、他の異界生物群と共に急速に支配を広げていましたが、それに待ったをかけるものもいました。それが『蟲』と『竜』です。この話は長くなるのでまた今度にしましょう。』

 

 

『今回話す竜は、我々の世界に元から存在し、生き残ってきた原生竜種です。』

 

 

 今回はそんな竜種について解説していきます。ては、本編に行きましょう。まずはケラケラの容姿について見ていきましょう。

 

 

 黄泉の洞谷、それは洞谷の口の部分に自生する『死誘花』によって導かれた生物達が、長旅により最終的に飛び降り、その命を絶つ場所です。

 

『死誘花はかなりの誘引性のある花粉を飛ばして、それに誘われた生物を洞谷内に落とし、そこで死んだ生物の養分を深く深く張り巡らされた根で吸収する生態があります。』

 

 

『死者あるところに生者あり。死骸が定期的に降ってくる環境は、ある一定の生物にしてみれば、絶好の食事場です。』

 

 

 死誘花、花と言っていますがその正体は、巨大な根を持つ木の花です。そしてそんな死及び、生も呼び寄せる木の元に集まる竜種こそ、ケラケラです。

 

 

『まず一つに、ケラケラには目が有りません。頭部には不思議な、まるで年輪のような模様を持つ鱗によって覆われており、目は成長と共に鱗に覆われて消滅していきます。』

 

 

『ケラケラが目を無くす理由は簡単です。単純に要らないからです。暗い洞谷内では基本的に目は役に立ちません。ただの弱点に成り下がります。』

 

 

 弱点と化す事を恐れたケラケラは、目を捨てる事を選びました。

 

 そして次に目を引くのはまるで背骨のように背中を覆う背殻です。

 

 

『どう見てもスカスカで、守る事を意識していないこの外殻は、ケラケラに天敵がいない事を意味しています。ケラケラは、必要の無くなりつつある防御能力を捨てている途中段階にあります。そして残るのは、分厚く、病的なまでに白い皮ですね。』

 

 

 そして今度はその不釣り合いな四肢です。

 

 

『前脚は、太く、とてもがっしりとしています。体よりもしっかりとした外殻に覆われており、その4本の指も一つ一つが独立して動かすことができ、人で言う親指に当たる指も存在します。この器用な指を用いて岩壁やゴツゴツと、かつ湿ってツルツルしたこの地底世界をするすると進むことができます。それに反して、後ろ足は貧弱そのものでその役割といえばバランスを取るくらいで、そのほとんどの機能を強靭な尻尾で補っています。』

 

 

 何故、彼らはそんな後ろ足を持っているのでしょうか?、その答えは尾の先にあるヒレが教えてくれました。

 

 

『ケラケラの祖先は海に進出している真っ最中でした。ですがなんらかの理由……まぁただ単に生存競争に敗れただけだと思いますが、そうした理由で生息地を追われた先祖は長旅の末にこの楽園を見つけました。』

 

 

『因みに、尾のヒレはまだ使うことが出来ます。理由としては、洞谷内は水の逃げ場が少なく、しょっちゅう水没してしまいますが、その中でも機動力を出来るだけ損なわずに、行動することが可能なんです。まさに『昔取った杵柄』ですね。』

 

 

 ケラケラに存在する特徴はこれだけでは止まりません。

 

 

『ケラケラには、消滅する目、背骨のような外殻、バランスの悪い四肢の他にまだ沢山の特徴が存在します。例を挙げて言うなら、それは奇抜な耳と、名前にもなっているその声です。』

 

 

 奇抜な耳?そんな物が何処にあるのでしょう?、ケラケラの側頭部には耳らしき器官が見受けられません。

 

 

『そりゃそうです。ケラケラに取ってそこは、この地下世界を生きていく上で必須かつ、とても繊細な部位でも有りますからね。』

 

 

 我々はその耳を観測する為に、秘密兵器となる骸もどきを投入しました。

 

 

 これはケラケラの巣と思わしき場所に移動させた映像です。

 

 

 ケラケラがやってきました。何やら仕切りに当たりを警戒しています。

 あっ!、側頭部の鱗と思われていたものが前から後ろへ展開し、更にそこから畳まれていた真っ赤な膜が出てきました!

 これは確かに、白い体色に浮かび上がる真っ赤で大きな耳は、奇抜と言わざるおえません。

 

 

『素晴らしい資料です!これは耳を展開して周囲の音を拾っているところです。目はなく、鼻は死誘花の匂いを嗅がない為に鈍感してしまっているケラケラにとって、残された手段は聴覚のみ。その聴覚を万が一失ったとなれば、その後の生存は絶望的なものになります。』

 

 

 そして二つ目の特徴の鳴き声ですが、こちらを出来るだけ静かにお聴きください。

 

 ケラケラと、まるで嘲笑うかのような声が聞こえてきます。これが名前にもなっている不気味な鳴き声です。

 

 

『もしこの洞谷に迷い込んで、この声を聞いたら、私は精神科に通院する羽目になると思います。まして、当時の人々からすればその声が、どう捉えられていたかなんて、言うまでも有りません。』

 

 

 今までは、その類を見ない不思議で奇抜な外的特徴を述べてきましたが、今度は更に踏み込み、その生態に迫りましょう。

 

 

〜〜〜異界の竜種と生物群〜〜〜

 

  竜種には、元からこの惑星に存在する『原生竜種』と、遥か昔に、異界より雪崩れ込んできた「魔物」の中に分類される「異界竜種」の2種が存在します。

 

 

『太古の昔には、今となっては観測することもできず、もはや風化し切った万能でかつ未知の力、「魔力」が存在していました。この魔力は、とある異界の知的生命体が、あちらとこちらをつなげた際に雪崩れ込んできた生物などと一緒に、この世界に運ばれ、そしてこの惑星を満たしました。』

 

 

『こちらの生物たちは驚いたでしょうね。突然、的確な敵意を持った集団が、魔法なんていう摩訶不思議な力を駆使してこちらに攻めてきたんですから。』

 

 

 異界の生物群は瞬く間にこの惑星を支配していきました。ですがある時を境に、それは止まり、やがて後退し、そして最終的にはこの世界から追い出される事になります。この時、ここに残り続けた竜種が、『異界竜種』です。

 

 では何がこの異界の生物群を追い出したのでしょう?我々人間?いや違います。この星の支配者である『蟲』と『竜』です。

 

 

『当時の異界の生物群はとても勢いがありましたが、それも最初だけで運が良かっただけでした。』

 

 

『異界の生物群は、こちらの頂点生物群と言われる種族に太刀打ち出来ませんでした。』

 

 

 当時のあちこちで、縄張りを守ろうとする頂点生物群と、それらを駆逐しようとする異界の生物群が、激しい戦闘を繰り広げましたが、その悉くがこちらの頂点生物群に軍配が上がりました。

 

 

『頼もしいですね。前進が止まらなかったものを、今度は後進が止まらなくしたのですから。』

 

 

 こうして、異界の生物群は押し込められ、開けられた扉は閉まり、あちらからも、そしてこちらからも干渉する事はありませんでした。残された者を除いては。

 

 

『多くの魔物は死滅しましたが、、異界の竜種、つまるところ「龍」は、ほんの僅かですが今も生き残っています。が、かつての力を使う事はできません。彼等を彼等足らしめるものの供給が絶たれたからです。また彼らが輝く時、それは異界の生物群が再び、侵攻してきた時でしょうね。』

 

 

 再び侵攻が始まった時、矢面になって戦うのは我々人間です。かつてのように頂点生物群がなんとかしてくれるとは思ってはいけないでしょう。その時、我々はどのようにして対処するのか。その時が来ればわかります。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 では、次はその狩について覗いていきましょう。

 

 ケラケラがその奇抜な耳を広げて周りを探っています。

 

 

 走り始めました!向かう先には『ゲーザー』(迅足)がいます。ゲーザーは自分に向かってくるケラケラを視認するとすぐさまその健脚で走り去ろうとした次の瞬間、謎の液体をかけられてしまいました。白い煙を上げながらも、ゲーザーは、そのまま走り去ってしまいました。ですがケラケラは何事もなかったかのように、ゲーザーが走り去った後を辿って行きました。ケラケラは一体何をかけたのでしょう?

 

 

 ゲーザーが走り去る前、ケラケラの喉が膨らみ始め、そして走り去る瞬間、口から黄色い液体を発射しました。

 

 

『ケラケラの喉はとてもブヨブヨしており、伸縮性に富んでいます。溜めた液体を、まるでゲロの様に吐き出します。』

 

 

 我々は謎の液体を採取し、調べました。すると驚きの事実が判明しました。

 

 

『中身は強い腐食液と、脱力作用のある物質が含まれていました。この組み合わせは凶悪ですね。』

 

 

 毒液とも取れる液体をかけられたゲーザーは、その腐食作用により体の外殻が溶け始め、更に脱力作用によりもはや動くことも出来ません。そしてそこに悠々と、まるで動けないゲーザーを嘲笑うかの様にあらわれたのはケラケラです。哀れにももがくゲーザーですが、それも無駄な足掻き、なす術もなく捕食されてしまいました。

 

 

『もし、この捕食を目の当たりにして生き残った人がいたとしたら、もしそれを皆に伝えていたとしたら、それはそれは恐ろしい話として受け継がれていく事でしょうね。まるであの詩のように。』

 

 

 

 

 ケラケラの一生は、80年程と言われています。ですがその一生を謳歌する個体はいないでしょう。

 

『天敵はいないと言いましたが、ライバルが居ないとは言っていません。この地底にも、ケラケラに対抗する存在がいます。ジェフェッタ・エスバ(骸蠍)です。』

 

 

 「ジェフェッタ・エスバ」、この地底世界の覇権を握るもう一つの頂点生物です。彼らは特殊な体液を尾の先や、体の至る所にある分泌孔から出し、それらを使って骨を纏う事でカモフラージュするのです。この話、何処かで聞いた事はありませんか? そうです「骸もどき」です。この機材のモデルはこのケラケラのライバルであるジェフェッタを参考にしているのです。

 

 

『この画像を見てください、そうケラケラの死骸です。あちこちが引き裂かれたかのような傷があり、また更に、腐食の跡も確認できます。』

 

 

 周囲には激しい戦闘痕と、ジェフェッタの物と思わしき外殻が散らばっています。

 

 

『文字通りの死闘です。恐らくは、死骸に紛れたジェフェッタが奇襲をかけたのでしょう。』

 

 

 ジェフェッタにも腐食毒を持っています。ケラケラの様な脱力作用はありませんが、その代わりの毒性の強さは折り紙付きです。

 

 

『この戦いはジェフェッタが勝ったようですが、先はもう長くないでしょう。彼らがかち合えば、片方がたとえ勝ったとしてもどちらも先は長くない怪我を負ってしまいます。』

 

 

 次は彼等の求愛についてみていきましょう。彼等の異性へのアピールポイントは単純です。体の綺麗さと、その体格です。

 

 

『綺麗さとは、清潔かどうかな話ではなく。体に存在する傷の有無です。傷がなく、体格が良い個体ほど、モテモテになります。』

 

 

 そんな彼等の繁殖行動や、子育てのやり方は謎に満ちています。環境もありますが、ケラケラの警戒心が非常に高まるのでその様子を捉えるのは容易ではありません。

 ですが!、我々は遂に、ケラケラの卵、そして幼体をカメラに収める事に成功しました。

 

 

 これがその卵です。細長い卵から今、新しい命が、世界に顔を出しました。

 

 

『これは偉業と言っても差し支えないです!これでケラケラには目がある時期が存在する事が証明されました。』

 

 

 生まれたてのケラケラには、目が存在しています。ですがその目も成長と共に光を失うでしょう。そうすればこの子供たちは立派な地底の君臨者になって行くでしょう。

 

 

 

 彼らは決して地下の世界から出る事はありません。それは自分達が地上の住人では無いと、身を弁えているからです。

 

 我々人間も、自分達が必要以上に「でしゃばる」事の無い様に、自重していく必要があるのかも知れません。

 

 

〜〜〜エンディング〜〜〜

 

「不気味だけどカッコよかったな〜〜!俺もママに注意されない様に、考えて行動しよ。」

 

 その生態は少年にしっかりと伝わった様だ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピーラン・ゼネッツ  (男性)

 

黄泉の洞谷を調べて早く40年。未だに興味は尽きないらしい。

 

 

ウルダコタ・コロラン (男性)

 

竜種を中心に調べる研究者。彼の残して来た功績は計り知れない。

 

 




アイコンです。ノートです。
ジェフェッタ君 
【挿絵表示】

ケラケラ君   
【挿絵表示】


そしてなにがいけなかったんですかねぇ〜(主に文才とガバガバ構成)
ちなみに冒頭のやつ何気に好きです。
そんでもって題名は誤字にあらず。

見たい生態(あくまで目安です)

  • ネッサス・ビード(クワガタムカデ)
  • ジェフェッタ・エスバ(骸蠍)
  • ウナサカノハミ(二章ボス)
  • クッヒカツ(一章ボス)
  • グリャムー(極寒の恐竜)
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