【急募】蟲から逃げる方法【蟲に喰われたくない!】   作:Ωが来た!

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こんちゃ、おはよわう、見てくれてありがとう!


ジェフェッタ・エスバの生態

 骸蠍 (がいかつ) ジェフェッタ・エスバ

 

全長 約16M

 

体重 不明

 

生息地 黄泉の洞谷

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 こんにちは、皆さん【Ωが来た】の時間です。

 

 所で皆さんは、「骨塚には近づくな、亡者が仲間として取り込むぞ。」と、言う言葉を知っていますか? え?、聞いたことがないし、そもそもそんな所には近付かない?、それは賢明ですね、ですが言葉が生まれるには必ず元が存在します。そう、骨塚に近づかざるを得ない理由が……

 

 

『彼等は、狩に置いては生粋の潜伏型です。巧妙に姿を隠し、近づいてきた哀れな生物を一瞬の隙に捕獲します。』

 

『ジェフェッタの体液は未知の宝庫です。骨がその体液を浴びれば、瞬く間に硬くなるんですからね。』

 

 

 今回の主役は、そんな言葉が生まれる理由となった大型の蟲、『ジェフェッタ・エスバ』について迫っていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 ここは大陸東部に存在する巨大な渓谷と、その岩壁に無数に存在するポッカリと開いた洞窟が特徴的なエリアです。

 

 一見空から見れば、縁に連なる美しい花々と緑が広がる自然豊かな場所です。ですがそれは表の顔、裏の顔は凄まじく残酷な世界が広がっています。

 

『ここは【黄泉の洞谷】として、はるか昔から恐れられた場所です。縁に連なる花々は、『死誘花』とも呼ばれ、一年を通して散布される花粉には、吸った生物の正常な判断を奪い、一心不乱に谷底を目指そうとします。その先が、死だとしてもね?』

 

 

『死誘花と言ってもその実態は木です。その根っこは谷底まで届いていて、落下死した生物から栄養分を吸収して生きています。そして「死、ある所に生があり」、これらの死骸を求めて様々なスカベンジャーがやってきます。』

 

 

 そして今回の主役たる『ジェフェッタ・エスバ(骸蠍)』は、死を目当てにやってきたスカベンジャーでありながら、スカベンジャーをハントするものでもあります。

 

 

『ジェフェッタは普段、骨を纏っています。ジェフェッタの外殻は凹凸が激しく、そこに骨を引っ掛け、更に腹先から分泌した特殊な体液で固定します。この時、骨の硬化も一緒に行います。』

 

 

『ジェフェッタには、2種類の分泌腺が存在します。一つは、攻撃用の酸液腺、そして二つ目は、硬化液腺です。』

 

 

 こちらは、その2種類の体液です。一つ、実験してみましょう。

 

 用意したのは、チキンの骨と、肉付きチキンです。

 

 

『それでは、まずチキンの骨と、肉付きチキンに酸液を垂らします。すると、おぉ………、凄まじいですね、肉付きの肉の部分はあっという間に分解されてしまいました。ですが…、溶けたのは肉だけで、骨は特に変わりがありません。』

 

 

 次は、硬化液です。

 

『まず、両方とも浸してみます。……肉に変化は見られませんね?、出してみましょう。っ、なかなか手から離れません、接着作用は確認できました。今度は硬度です。目に見えてわかると思いますよ?』

 

 

 そう言って、取り出したのはハンマーです。

 

 

『まずはただの骨です。行きますよ?』

 

 

 ハンマーで叩かれた骨は容易く粉々になってしまいました。では、硬化液に浸した骨はどうでしょう?

 

 

『ふんっ!!………っ!!、手が、痺れました…ですが見てください。粉々になるどころか、罅一つ付いていません。これは凄いですね!』

 

 

 これにより、分かったことは酸液の強さ、硬化液の粘着性と、硬化性です。では、なぜ液に浸しただけで骨が硬くなるのでしょうか?

 

 

『それは、液に含まれる物質が、骨の原子の結合をより強くする働きがあるからです。粘着性も、これとは別の物質が作用して発生しています。』

 

 

 この二つの体液の出所は、それぞれ違います。酸液は腹先から勢いよく噴射され、硬化液は、外殻の分泌孔から少しずつ出て来ます。

 

 

『ジェフェッタは、骨を纏おうとするとまず、骨塚に潜ります、骨塚がなければ作ります。材料はそこら辺に散らばっていますからね。』

 

 

『骨塚に潜ったら、少しずつ、少しずつ、周りの骨を硬化液で硬化し、さらに纏います。そしてこの時間は彼等にとってはからの時間でもあります。骨を纏いつつ、防御面を強化し、隠蔽性も上げ、もし獲物からの反撃にあった際も傷付かずに仕留める事が出来ます。損失するのは使い捨ての骨だけですからね。』

 

 

 骨の硬さに目が行きがちですが、本体の外殻もまた、かなりの強度を持っています。さらに例え部位欠損、又は損傷を起こしたとしても脱皮により治すことも可能です。

 

 

『この骨、纏うだけじゃないんです。自慢の鋏はとても強力で、硬化された骨も砕いてしまう事が出来ます。そして砕いた骨を非常食として食べる事があるんです。そこらの骨よりかは、自分の体液を被った骨の方が栄養があるんでしょうね。』

 

 

 ジェフェッタはその鋏も強力です。硬化骨を砕くだけでなく、先端が鋭いので相手に突き刺すこともできます。そして鋏を無理やり開いて傷口を広げるのです。それだけではありません。

 

 

『ジェフェッタの腹先は、まるでハンマーの様です。ここに硬化骨を纏わせれば、まるで出鱈目に釘を打ち込んだバットの様な破壊力を持ちます。』

 

 

 正に【最強】と言うに相応しい存在ですが、当然、ライバルがいます。それは、白い体色に不気味な体格の竜種『ケラケラ』です。

 

 

『ケラケラとジェフェッタの勢力圏争いは長い間続いています。機動力と知能で翻弄するケラケラと、攻撃力と防御力で堅実に攻めるジェフェッタとでは、なかなか決着が付かないのも納得ですがね。』

 

 

 両方ともにこの【黄泉の洞谷】の頂点捕食者です。もしかち合えば、凄まじい縄張り争いが起こります。

 

 

『まさしく、大闘争ですよ。』

 

 

 こちらは、その縄張り争いを捉えた貴重な映像です。

 

 ケラケラが現れました。王者の風格です、のそり、のそりと、堂々と闊歩しています。そして、手前の骨塚を通り過ぎたその瞬間!

 

 ジェフェッタが背後から飛び出しました!

 

 突然の事に驚いたケラケラは、尾を瞬時に叩きその場から飛び上がります。

 

 急いでその場を脱出したケラケラですが、後ろ足の片方がありません。あの一瞬で切り取られてしまったのです。

 

 睨み合う両方、ケラケラは後ろ足を切り取られたとしても、その機能を失いつつある後ろ足を失った所で大した痛手ではないのでしょう。

 

 今度はケラケラが仕掛けました!、ジェフェッタの背後に素早く回り込むと後ろ脚に噛み付き、そのまま激しく、自身の体ごと振り、ジェフェッタの後ろ脚を噛みちぎってしまいました。

 

 ハンマーの様な尻尾を振り下ろすも空振りとなったジェフェッタ、自身の損失を理解したのか、後ろに下がって行きます。

 

 一方のケラケラは、怒っているのか、それとも弱気なジェフェッタに気を良くしたのかまだまだやる気です。

 

 

『ケラケラは知能は高いですが、やはり単純なものです。初めに失ったものが尻尾の一部なら、退いたのはケラケラでしょう。』

 

 

 ブレスを吐きつけ、その後から飛び掛かるケラケラ、ジェフェッタはそれを浴びてしまうものの、骨の鎧によりガード、ですがその鎧も飛び乗り、押さえつける様な状態になったケラケラが片っ端から剥がしていきます。鋏を振りかぶるもの届かず、ハンマーを振り回しますがケラケラの尾が邪魔して上手く扱えません。万事休すです。

 

 すると、出鱈目に振り回したハンマーがケラケラの傷口にヒットし、激痛によりケラケラの拘束が緩みました。そしてその機会を逃すはずもなく、ケラケラの腕を挟むと、その外殻をメキメキと粉砕しながら投げ飛ばしました。

 

 どうして投げ飛ばしたのでしょうか?、それはケラケラに近くで暴れられるとボロボロになった自身の外殻が耐えられないからです。

 

 兎も角して、両方ともに深い傷を負った所で引き分け、そしてこの動画も終了しました。

 

 

『この動画に出てきた両方とも、後先は長くないでしょうね。あんな不衛生の極地で大怪我なんてしようものなら、いくら抗体が強くとも生き残れません。ましてや戦闘で疲れた後ですからね。』

 

 

 食料が限られたこの世界に置いて、両方ともにこの地底でのみ生息する住人です。例え相討ちになろうとも、譲れないもののために戦うのです。

 

 

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死を呼ぶ谷、黄泉の世界

 

 

 黄泉の洞谷は、世界でも有数の魔境で知られています。それはひとえに、深い森の奥にあり、更に死誘花は人間にも効果があるからです。

 

 ここでは、そんな魔境に挑んだ人々の歴史について触れていきましょう。

 

 

 黄泉の洞谷の存在事態ははるか昔から知られていました。

 

 

『どの時代も、どの資料においても、このエリアの呼び名は一貫して【黄泉の洞谷】です。言葉が変わろうとも、今も同じままです。これは驚くべき事です。それほどまでにここが死と密接に関係しているとされていたのです。』

 

 

『ここの歴史は一貫して、『死』です。ある時は処刑地として、ある時は崇拝の聖地として、又あるときは死誘花を使ってスパイを白状させたりと、まぁ、碌な使い方はされませんでした。』

 

 

 そんな魔境に初めて人類が調査に乗り出したのは革命暦1980年の事でした。当時、冒険家アールノ・レッチャーを始めとした総勢50人の調査隊でした。

 

 

『当時から、その死誘花の危険性は認知されていました。なので、皆ガスマスクを着けての調査になりました。』

 

 

『食事はマスクを外せないが為に、ストローを使える液体食料のみでした。大型の生物すら惑わすのですから、人間が吸おうものなら文字通り、地獄に落ちます。』

 

 

 調査は苦戦を極めました。

 

 

『碌な食事は無し、マスクは一日中、必ず着用、寝床も無し、命綱も無し、下層に行けば行くほど危険生物がウヨウヨいる。予定よりかなり早く帰還してしまいました。』

 

 

 これらの極限状態による発狂の事を考えれば英断でした。それに後にガスマスクの限界が、調査予定日程よりも短い事が判明した事により、この判断は賞賛されました。

 

 次に送られた調査隊は、上層まで上がってきたケラケラの襲撃により退却。次の調査も、途中期間となり、今では無人機による調査が主流となっています。

 

 

『ここには我々の知らない世界がまだまだ沢山あります。そんな謎に満ちた世界があると言うのに尻込みするなんて、考えられませんね。」

 

 

 死ばかり誘い込んできたこの谷に、死以外のものも誘われている様だ。

 

 

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 ジェフェッタ・エスバの一生は謎に包まれています。が、わかってきたことも多々あります。

 

 

『ジェフェッタの恋愛事情は単純です。ダンスをする訳でもなく、喧嘩をする事もありません。ジェフェッタの繁殖期はほぼ一年中であり、成熟したオスとメスが出逢えば、基本的に交尾を行い、メスは骨塚に卵を

数十個産み落とすとそのまま放置してしまいます。』

 

 

『彼等の幼体期間は短いですが、その期間はかなり弱いです。そして彼等はそんな存在を守るのではなく、沢山交尾し、沢山産み落とし、取り敢えず生き残ればいいやの精神です。』

 

 

 はっきり言って適当としか言えませんが、親の縄張りないなら抗い様のない敵は、親しか居ないので、ある意味安心です。え?共食いをするのかって?、そうです、彼等は共食い上等種族なので子供喰らいはなんとも思っていません。

 

 

『ジェフェッタの寿命は数100年とも言われています。まぁ、真実とも限らないですし、そもそも本当だとしても、ここまで生き残る事は無いでしょうね。』

 

 

 長生きのコツは、どうやら戦わないことの様です。

 

 

 

 どうでしたか?皆さん。今回は地底の住人の一人、いや一蠍(いっかつ)について迫っていきました。

 我々人類の技術力は日進月歩、黄泉の洞谷を解き明かす時は、すぐそこにあるのかもしれません。

 

 

 

 

 

 




蠍蠍!

見たい生態(あくまで目安です)

  • ネッサス・ビード(クワガタムカデ)
  • ジェフェッタ・エスバ(骸蠍)
  • ウナサカノハミ(二章ボス)
  • クッヒカツ(一章ボス)
  • グリャムー(極寒の恐竜)
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