宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH"   作:箕理 田米李

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ガミラス移民船団の護衛に向かう道中でデザリアムの一部隊を蹴散らした新生BBB戦隊。共闘して事に当たった第26戦隊は戦没艦は無かったものの損傷艦の修理と補給が必要となり道中でリタイアとなった。
という感じで新生BBB戦隊は引き続き移民船団に合流すべく針路を進みます。果たして何事もなく守り切れるのでしょうか❓ではスタートです↓


第7話「新生BBB戦隊の新たなる航海(たびだち)の最中に起こる波乱 Part.2」

新乗組員の訓練の最中(さなか)、突如ガミラス星消滅の報を受け新生BBB戦隊は訓練を中止しガミラス第28移民船団の護衛任務に就くこととなった。

道中、オリオン座a星系・ベテルギウスにてガミラスを襲った敵「デザリアム」がベテルギウスから熱核エネルギーを吸収しエネルギー資源を採掘しようとしていた。このまま恒星からエネルギーを吸い出し続ければ「ハイパー・ノヴァ」と呼ばれる超新星爆発が起き何百年後の地球に壊滅的な被害を受けると分かった新生BBB戦隊は同航していた防衛軍 第26戦隊と共にこれを阻止しデザリアム 第XXⅣ師団 第Ⅰ旅団の撃退とハイパー・ノヴァの阻止に成功した。

第26戦隊は所属艦の多少の被害と弾薬の欠乏で地球への帰路に就いたが、新生BBB戦隊は引き続きガミラス移民船団護衛任務に向け舵を切った。

 

新生BBB戦隊

旗艦:戦略指揮戦闘空母≪デア、エクス・マキナ≫

放送室

♪〜(軽快なノリのBGM)

クロンナウア「グーーーーーーーーーッモーニング・マキナァーッ‼️これはマイクのテストじゃないぜ、ロックンロールのオープニングだぁ❗️太陽系からマゼラン星雲までエヴリバディ・ロックンロール❗️こんなの昔の映画にもなかったっけ❓"逃げる奴は敵さんだ、逃げない奴はよく訓練された敵さんだ"❗️ってさぁッ❗️えぇ⁉️こんなハイテンションで話すには早過ぎるって⁉️そんな事ないぜ、えぇ〜っと今何時だ(腕時計を確認する)❓0800(マルハチマルマル)時か、ホントだ早いな❗️」

 

新しい一日の始まりはクロンナウアがMCを務めるラジオ放送「グッドモーニング・マキナ」での元気の良過ぎるハイテンショントークから始まった。

 

艦橋

多田部「始まりましたね。クロッチのラジオ。」

金田「えぇ、相変わらずのハイテンションさですなw.」

多田部「こんな時こそ明るさが必要ですよ。今のガミラスの人達には特に。」

金田「同感です。少し上げ過ぎな気もしますがね(汗)。」

 

母なる星を失って少し時間が経ち落ち着いて事実を飲み込む事ができつつあったガミラス移民船団の人々だが、それを少しでも励まそうとこの新生BBB戦隊で流れるラジオを船団とそれを護衛する地球・ガミラス艦隊にも繋げて聞かせる事にしたのだ。

 

ピピーッ❗️ピピーッ❗️(通信音)

 

栗梶「艦長、ガミラス第1DSS空間装甲師団 第22戦隊 旗艦≪イェグズバイム≫から入電です。」

多田部「28船団護衛のガミラス側旗艦からか、確か艦長の名前はルクツィア・マーイヤでしたね。お繋ぎしてくりかっしー。」

 

ガミラス総統 アベルト・デスラーに忠誠を誓いその身を守るデスラー親衛隊(通称:DSS)に属する第1DSS空間装甲師団「LSSAD(ライベルシュタルダルベク・SS・アベルト・デスラー/地球語訳:SS・アベルト・デスラー身辺護衛連隊)」は第一次アベルト・デスラー政権発足後から存在し、設立当初こそデスラー個人の護衛部隊であったがデスラー親衛隊が組織を拡大していく中でエリート集団である「DSS空間装甲師団」へと発展しその中でも最精鋭の師団である。

その大部分の戦力は現在デスラー総統の座乗する特一等航宙戦闘母艦≪デウスーラⅢ世≫を旗艦とする「デスラー艦隊」の一翼を担っているが、一部の戦力をガルマン星防衛の予備戦力として温存していた。しかしガミラス星消滅の報を聞きその防衛に当たっていた「ディッツ艦隊」のガル・ディッツ提督は急遽第22戦隊を移民船団護衛に派遣したのだ。

 

第1DSS空間装甲師団「LSSAD」

第22戦隊 旗艦

メルトリア級航宙巡洋戦艦≪イェグズバイム≫

艦橋

(通信中)

<艦長兼戦隊司令>ルクツィア・マーイヤ「こちら≪イェグズバイム≫のマーイヤ。多田部艦長。我がガミラス移民船団の護衛任務を引き受けてくれたこと、そしてこのラジオ放送に対し第1DSS空間装甲師団を代表し感謝を述べたい。」

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫

艦橋

(通信中)

多田部「いえいえ、たまたま地球圏の端っこにいただけですから。お役に立てて光栄ですよ。それにお礼を言うなら私達だけでなく。ここに来られなかった第26戦隊や来てくれた第440艦隊に言ってあげてください。」

 

≪イェグズバイム≫

艦橋

(通信中)

ルクツィア「はっ❗️お気遣い感謝致します❗️ガミラス式敬礼)」

 

第28船団の護衛戦力は国防軍やかつて各植民惑星に駐留していた艦隊の寄せ集めで数も少なく市民も戦力の少なさに不安がっていたが、第22戦隊の派遣はそれを少なからず払拭する事はできた。デスラー親衛隊の傍若無人(ぼうじゃくぶじん)振りを知っている者達にとっては恐怖の対象でしかない存在ではあるが第一次アベルト・デスラー政権崩壊とその後の混乱、親衛隊内部の「デスラー派」と「ギムレー派」の抗争(元親衛隊長官 ハイドム・ギムレーは後に逮捕)、そして「ガトランティス戦役」後に帰還したデスラー総統の計らいもあってその暴虐ぶりは鳴りを潜めた。しかし確かに「総統の私兵」「ガミラスの暴力装置」と揶揄された彼らであるが、親衛隊に属する者全てが冷酷で冷徹で冷淡で残忍で残虐で残酷で見苦しくて最高や❗️という人達ばかりではなくこのルクツィア艦長の様な良識なある人物もいる。さらに宝○スターの様なルックスを持つ麗人である彼女は「LSSADのアイドル」としての側面も持っており、ガミラス臣民の中には熱狂的なファンも存在しディッツ提督もそれを知って「彼女なら受け入れてくれるだろう」と彼女の率いる戦隊を派遣したのだ。

 

ルクツィア「そういえばここに来る前に"デザリアム"の艦隊と交戦したとお聞きしましたが、本当なのですか❓」

 

多田部「はい本当ですよ。地球圏外縁でコソコソと恒星からエネルギーを吸い出していた腐ったゴ○ブリ野郎だ❗️でしたよ(ケロッとした顔)。」

 

突然声を上げた多田部に「ビクッ❗️」となるルクツィア。いきなりでビクついてしまったようだ。

 

多田部「ガミラスを襲った相手と聞きどんな相手かと思いましたが、要するに汚いウ○虫野郎でペテン師の集まりです。泥棒、人間の屑(ク○)、チ○ピラ、ゴ○ツキ、犯罪者です❗️引っ越しの最中を襲うだけでは飽き足らず土足で人様の宙域に入った挙句に甘い蜜をくまの○ーさんよろしく吸うだけ吸ってブクブク太りやがろうとしたので、その贅肉(ぜいにく)だらけの腹に思いっきり蹴飛ばして背骨をへし折って地獄に送ってやりましたよ(ニコり顔)。」

 

ルクツィア「そ、そうでしたか...(汗)」

 

親衛隊に務めてそれなりであるルクツィアだが、親衛隊はおろか国防軍の知り合いにもここまでノンストップで敵をユーモアを交えて笑いながら口汚く罵る事ができる人を初めて見てただ驚くだけではリアクションが足りないと思ってしまうくらいに多田部という地球人に圧倒された。しかしそれと同時に自分達ガミラスの事も配慮して仇を取ってくれたのだとも思い感謝の念も心に浮かんでいた。

 

多田部「もしこの船団をも襲ってくるような事態が起きましたら、その時は協力して返り討ち...いや足りませんね。「逆血祭り」にするんです。二度と目の前に現れないよう恐怖を植え付けてやりましょう。」

 

ルクツィア「は、はぁ...(汗)」

 

「この人はガトランティスよりも悪魔かも知れない」とルクツィアは後に語ったという。ルクツィア本人は地球に行ったことはなく地球人との交流もない彼女は、「地球人って怖っ」とどう返答を返すべきか困っている。

 

多田部「あぁそうだ。艦長はゴ○ブリは踏み殺す派ですか❓それとも叩き殺す派ですか❓ガミラスにゴ○ブリがいるかどうか知りませんが、もし宜しかったら後で教えてくださいね❓(ニコニコ顔)」

 

ルクツィア「は、はい。少し考えてみますね(汗)」

 

「ではまた」と通信を終える多田部。「す、すごい艦長でしたね❓(汗)」と≪イェグズバイム≫副長に「え、えぇ。"防衛軍一のエキセントリッカー"と呼ばれる所以(ゆえん)が分かった気がするわ(汗)」と終始汗をかきっぱなしだった。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫

艦橋

 

多田部「親衛隊の人って言うからおっかない人かなと思ったけど、思ったより良い人でしたね。」

金田「えぇ、ギムレーが逮捕された事により彼の派閥も勢力も事実上瓦解しました。ギムレーの指揮下で戦争犯罪を犯した部下達は彼と同じく軒並み逮捕、勾留され後は生粋のデスラー派のみが残ったと言う訳です。」

多田部「民主化したのに親衛隊が健在で名称の変更なし。随分な好待遇処置ですよね。」

金田「それもデスラー総統の働きかけとマーイヤ艦長の様な親衛隊員が頭角を表してきたからだと思われます。」

多田部「まぁとりあえず腑(はらわた)にいた寄生虫は取り除いたって所ですか。なんにせよ、あの人みたいな人達がいる親衛隊なら悪くないと思えますよ。」

金田「同感です。」

 

ピピーッ❗️ピピーッ❗️(通信音)

栗梶「おっと、艦長。今度は第440艦隊旗艦≪ザドキエル≫から通信ですよ。」

ゴルド「艦長ひっきりなしじゃないですか、モテモテっすね。」

持月「だねだね。」

高佐田「コラ2人とも❗️タメ語は禁止つったろ❗️」

多田部「あはは、良いよ良いよコウサン。お繋ぎしてテック。」

 

栗梶に通信を繋いでもらいメインパネルに映し出されたのは小柄で愛くるしい容姿(だがちゃんとした大人である)を持つ第440独立機動防衛艦隊 旗艦≪ザドキエル≫艦長 四糸乃 いおりだ。

 

第440独立機動防衛艦隊「シールド・オブ・アース」

旗艦:アンドロメダ改級戦略指揮航宙戦艦(丙型/Type-C)

ABBSC-440≪ザドキエル≫

 

艦長:四糸乃いおり「あ、あの...多田部さん。来てくれてありがとうござい...ます。」

副長:野水よしのり「やっはー❗️久しぶりだね〜タクロー君。」

 

辿々(たどたど)で弱々しくだが、新生BBB戦隊が護衛任務に参加してくれた事に感謝を述べる四糸乃艦長とフランクに接するややお調子者でおしゃべりな野水副長。

 

多田部「いやいやこちらこそ。あ、タクローと呼んでくださってよろしいですよ。26戦隊が弾切れ起こしちゃったもので我が隊の他にも移民船団護衛に向かっている防衛軍艦隊がいることは知っていましたが、まさか君がこの艦隊の指揮官に任命されてその艦の艦長になっていたとは。」

 

四糸乃「は、はい。選ばれたよう...です。」

 

四糸乃は多田部の後輩に当たる。気弱で積極性に欠け「おおよそ軍人には向かない気質で性格の持ち主」と評されたものの「誰かの為に役に立ちたい❗️」「守りたい❗️」という気持ちは人一倍強い彼女にピッタリな艦に収まったなと多田部は思った。

 

多田部「亜空間ゲートまであと一回のワープです。ここまで順調ですからお互い最後まで気を抜かず行きましょう。」

 

四糸乃「は、はい。よろしく...お願いします。」

野水「そだね〜、今の調子を続けていけばきっと上手くいくよ。頑張ろ四糸乃❗️」

四糸乃「う、うん❗️」

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫ 食堂

 

ミホノラ「はぁ...。」

 

≪マキナ≫の食堂で朝食を摂っているミホノラは手に持ったスプーンで料理の盛った皿を突きながらため息をついている。

 

???「あら、らしくないため息ですねミホ。」

ミホノラ「あ、エレン先輩。」

 

ミホノラが声をする方向を見やると、そこにはミホノラの先輩に当たるエレン・S・伊藤が朝食の乗ったトレーを持ってる姿があった。「相席良いかしら❓」とエレンが言い「どうぞ」とミホノラが返すと向かいの席に座る。

 

エレン「ため息をつくほどの何があったというのですか❓」

ミホノラ「あの〜先輩は多田部艦長についてどう思いますか❓」

エレン「タクローの事ですか❓」

ミホノラ「(あ、あだ名でしかも呼び捨て⁉️)は、はい。先輩は私よりも艦長と付き合いが長いとお聞きしましたから、何かご存じなんじゃないかと。」

エレン「なるほど、彼の人柄をどう捉えれてどう付き合っていけばいいか困ってる訳ですか。」

ミホノラ「あはは、先輩にはお見通しですね。つまりそういうことなんです。」

エレン「そうですね。彼とはガミラス戦争以来からの付き合いですが、最初に会った時からあぁでしたよ。私も当時も今も時々あのエキセントリックさに参ってしまいますが、決して悪い人ではありませんよ。なんでもタクローは人の顔と言動で大体相手がどんな人なのか分かるそうなので、貴女をデザリアムとの戦いで戦わせたのも信頼を置ける存在だと思ったからだと思います。」

ミホノラ「そ、そうですか...。」

???「まだ安心し切ってる様子ではなさそうだよエレン。」

エレン「アイク。」

 

2人の会話に入ってきたのはエレンと同期のアイザック・O・クシュナーダだった。親しい人には「アイク」の愛称で呼ばれる。

 

アイザック「初めましてかなハーガワネン大尉。アイザック・O・クシュナーダだ。」

そう挨拶するアイザックに「は、初めまして❗️」と元気よく挨拶し握手を交わす2人。

 

アイザック「タクローの事を話していたのだったね❓ほとんどエレンの話した通りだが、それだけではないよ。彼はとてもユニークだ。私がこの艦隊に入ったのも彼が"同志"であるからなんだ。」

ミホノラ「"同志"...ですか。」

アイザック「私も彼と同じく自立型の無人戦闘艦には反対でね。その点に見事意見が一致し協力してこの艦隊を立ち上げた。いわば私とエレンはこの新生BBB戦隊と旗艦≪デア・エクス・マキナ≫の創設及び建造立ち会いメンバーという訳だ。タクローと私達の理想がこの艦と艦隊にあると言っても良い。

そして「戦略指揮艦による無人艦の管制」の正しさを証明した。君の活躍も含めてね。」.

 

ミホノラはアイザックから語られた新生BBB戦隊の成り立ちを聞き、改めて艦長の多田部を「変わってるけど、先輩と同僚のこの2人が言うくらいだから凄い人なんだな」というのを理解したのだった。

 

ミホノラ「お話、ありがとうございました。」

アイザック「構わないさ。あとは君がタクローとどう接するかだが、なぁに心配はいらないさ。部下を無碍(むげ)に扱う様な事は彼はしないからね。長く付き合えれば、の話でもあるかな。」

ミホノラ「え❓」

エレン「アイク、私の後輩を心配させる様な事を言わないでください。」

アイザック「ははは、冗談だよ冗談。」

 

ピロピロピロピロ プウィーン❗️ピロピロピロピロ プウィーン❗️(戦闘配置のサイレン音)

 

ミホノラ、エレン、アイザック「ッ⁉️」

 

突然の戦闘配置のアラームに驚く食堂にいる乗員たち。

 

ミホノラ「わ、私は艦橋に戻りませんと❗️お二人ともありがとうございました❗️私はこれで‼️」

 

そういうとミホノラはさらに残ったサンドイッチ一切れを手に持って艦橋へ駆け出して行った。

 

アイザック「可愛くて面白い後輩ができたようだねエレン❓」

エレン「えぇ、自慢の後輩です。」

アイザック「ふふっ、彼女の成長が楽しみだよ。」

エレン「全くです。」

 

≪マキナ≫艦橋

 

多田部「どったの⁉️」

栗梶「軽空母≪コリブリ≫所属のエリントタイガーが次元反応を検知。近くに次元潜航艦がいるもよう❗️現在、護衛戦闘艦≪ブラックオター≫他4隻が対処交戦中。」

金田「次元潜航艦が・・・❓」

多田部「といえばガミさんだが、あの4隻はデスラー艦隊で今はデザさんとドンパチってるから違うな。」

栗梶「≪イェグズバイム≫のマーイヤ艦長です。繋ぎます。」

 

ルクツィア(通信)「多田部艦長。」

 

多田部「相手が誰か分かるんですね❓」

 

ルクツィア(通信)「えぇ、恐らくボラー連邦です。」

 

試製ナスカ改級鹵獲改装型航宙母艦 CVLS-96≪コリブリ≫所属のエリントタイガー(コスモタイガーⅡ早期警戒管制/電子戦機仕様)の一機が船団近くに次元反応を検知した。近くにいたドレッドノート改級汎用護衛戦闘艦 DDEM-333≪ブラックオター≫とエスコート/フォレスター級航宙護衛艦≪フレイ≫≪フレイヤ≫が急行し、≪ブラックオター≫は後部の飛行甲板から直ちに「空間対潜哨戒機SC97B ハンターシーガル(対次元潜航艦哨戒機仕様)」が発艦し、亜空間ソノブイを投下して網を張る。さっそく反応があり、亜空間から通常空間へ向けて魚雷が4発飛び出してくる。狙いは移民船であった。存在がバレて焦っての一撃だろうか❓移民船に被害を出すわけにはいかないと試製ラスコー級鹵獲改装型航宙巡洋艦 CAS-61≪ジャベリン≫と試製ククルカン級鹵獲改装型航宙駆逐艦 DDS-42≪ダガー≫が移民船の盾となって防衛軍式に改められた対空火器を用いて弾幕を張り見事魚雷を全弾迎撃してみせた。その間に≪ブラックオター≫は次元ソナーを「パッシブモード」から「アクティブモード」にスイッチして捜索を始める。敵次元潜航艦の反応を次元ソナーが捉える。反応は一隻のみ、艦長の指示の下艦首両側にある亜空間魚雷発射管の扉を開け両舷一基ずつ計2発を発射する。一定の距離を進むと魚雷は亜空間に入り込む。推進機関をロケット推進から亜空間推進に切り替えて次元空間を進んでいく2発の亜空間魚雷。敵艦に近づき近接信管が作動し爆発。その様子を≪ブラックオター≫のソナー手と哨戒機ハンター・シーガル(コールサイン「オター1」)が垂らした亜空間ディッピング・ソナー(吊下式ソナー)で聞き耳を立ててるソナー手も確認したが、効果はあったものの撃沈を確認する事はできなかった。

 

≪マキナ≫艦橋

 

栗梶「≪ブラックオター≫、敵次元潜航艦を攻撃するも効果はあれど撃沈は未確認。」

金田「仕留めたかどうかは不明ですが、無傷ではないでしょうね。」

多田部「恐らくはですが、あと亜空間魚雷が艦首発射管からしか発射できないのは問題だな。ランチャー型で発射できるよう設計しよう。」

 

ルクツィア(通信)「あ、あの〜多田部艦長❓」

 

多田部「あぁすいません。見つかっちゃいましたかね我々❓」

 

ルクツィア(通信)「恐らく。ボラーがもう次元潜航艦を実戦配備できる所まで言っていたとは驚きでしたよ。」

 

ガミラス諜報部にいるルクツィア艦長の友人から聞いた話によると、第一次デスラー政権崩壊のどさくさに紛れてボラー連邦がガミラスの科学者や技術を誘拐/盗んだという話があり次元潜航艦の技術もそれで得たのではないかと言うのだ。

だが、次元潜航艦特有の推進機関である≪ゲシュ=ヴァール機関≫はその特異性から模倣(コピー)は容易ではなく同じくガミラスの科学者達を「科学奴隷」と称して<瞬間物質位相機>や<反射衛星砲>及びセット運用の<反射衛星>を技術転用と完コピして作らさせたガトランティスでさえ作れなかった或いは不完全な形での実現、所謂(いわゆる)"デッドコピー"という形で開発し、ガトランティス戦役中の地球・ガミラス連合艦隊の戦闘詳報にはそれらしき艦からの攻撃を受けたという報告が少数だが上がっていた。

それに今でこそ4隻が就役しているが、それまでに何度も行方不明事件を起こし「異次元の棺桶」と揶揄されてきた艦をガミラスと並ぶ大国だが工業/技術力は低いとされるボラー連邦がそこまで持ち込めたのかは未だににわかには信じ難い事なのだが実際問題攻撃を受けてるのは事実of事実である。

長々と話して読者の皆様にも申し訳ないが、とりまそのボラー次元潜航艦が船団の位置を味方に通報してるかもしれないっつう事でどげんかせんとな〜ということを理解していただければおけでおなしゃすです❗️

 

第28移民船団と同じ宙域近郊

 

ボラー連邦

第116機甲旅団(正規軍)

旗艦:ボラーヅェ・ラ・バスード(Ⅱ)級艦隊指揮装甲航宙艦

≪ヴォルホミェンゴ≫艦橋

 

艦長「近くにガミラスの船団が❓」

通信手「はい、哨戒中の我が軍の次元潜航艦が捉えたと。位置を報告した後に通信が途絶えました。現在安否不明につき所在確認中。」

副長「いかがいたしますか❓」

艦長「ふむ、明確な宣戦布告は無かったにせよ我らボラーの衛星国であったガルマン星を奪われたのだ。本国からも「ガミラスに属する艦船/船舶に対する攻撃を許可する」とのお達しだ。針路をガミラス船団に向けよ❗️襲撃の準備だ‼️」

 

ガミラス第28移民船団のいる宙域の近郊を哨戒中だったボラー連邦正規軍 第116旅団は次元潜航艦の発信を受け、艦長は旅団所属の全艦艇に襲撃すべく針路を変えるよう指示を出した。

その様子を≪マキナ≫所属のエリントタイガー(コスモタイガーⅡ早期警戒管制型)<シャドー・アイ6>が発見、艦隊に通報する。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「艦隊総数約140隻の艦隊に見つかっちゃうとは、これでも少ない方なんですよねマーイヤ艦長❓」

 

ルクツィア(通信)「えぇ、主力艦隊レベルはさらに倍以上の数を有しています。小回りの利く旅団規模の艦隊なだけ幾分かは、しかしそれでも現状の我々の護衛戦力を大きく上回っている事に変わりありません。」

 

第28移民船団の護衛戦力はガミラス 第1DSS空間装甲師団 第22戦隊と各方面艦隊の寄せ集め、防衛軍 第99特殊戦略戦術機動打撃群(新生BBB戦隊)、第440独立機動防衛艦隊の計3個艦隊だが、対するボラー連邦 第116独立機甲旅団とざっと比較しても約3倍の戦力の開きがある。しかも護衛戦力の何倍もの規模の移民船団を抱えての防衛戦となると厳しい戦いを強いられる事は明白であった。

 

四糸乃(通信)「ど、どうしましょう・・・。」

 

刻崎(通信)「あらあら、どうやらまた私の出番が来たようですわねタクローさん❓」

 

多田部「その声はアサミっちか⁉️」

 

そう通信してきたのは早期警戒管制艦兼解析艦≪ザフキエル≫艦長の刻崎アサミだった。≪ザフキエル≫はボラー第116旅団の前方にワープアウトする。

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「時空停止弾【ザ・ワールド】❗️」

 

≪ザフキエル≫艦中央両舷にある多目的ランチャーの内、右舷の一門からご自慢の「時空弾」の一発が発射される。ボラー第116旅団に向かって真っ直ぐ向かっていく「時空弾」、弾頭が開き灰色の空間がボラーの旅団を包み込むとその動きが止めた。

 

≪イェグズバイム≫艦橋

ルクツィア「敵が・・・止まった・・・❓」

 

≪ザドキエル≫

四糸乃「す、すごい・・・です。」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「これが停止弾【ザ・ワールド】か、実戦で使うとこうなるんだね。」

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「きひひひひ❗️えぇ、その通りですわ。えぇ❗️えぇ❗️その通りですわ‼️最も敵方にとっては止まってる感覚はありません。彼らからしたら「無自覚にゆっくりな動きになってる」としか感じていませんわ。」

 

ルクツィア艦長は瞬間物質移送機や次元潜航艦など我々(ガミラス)の技術力の高さを自負し誇りに思っている節があったが、地球の技術力の飛躍的な向上に驚きを隠さず息を呑む。後に彼女は「彼らが味方で良かった。でなければ我々は手のひらで踊らされるじゃすまない目に遭っていただろう」と語ったという。

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「ですがタクローさん。お忘れではないと思いますが、「時空弾」は乱発すれば波動砲を乱射するのと同じく"宇宙を引き裂く"危険性を持っていますわ。特にこの停止弾はより多くのタキオニウムを使っていますから尚の事、改めてご使用の命令を下す際はご注意を。」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「了解、肝に銘じますよ。確か止められる時間も限度があるんでしたよね❓」

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「えぇ今の艦の状態で放射できる共鳴波装置と発射した弾頭の容量から、約1時間行くか行かないかといったところでしょうか❓そのデータを既に≪ラジエル≫に転送してその時間でどれくらいの移民船がワープできるかどうかを計算してもらってますわ。ですわよね❓ヒトミさん❓」

 

本条(通信)「はいはーい♪こっからは私のターンドロォッ❗️だねあさみん❗️」

 

≪マキナ≫のサブパネルに≪ラジエル≫艦長の本条の顔が表示される。

 

≪ラジエル≫艦橋

本条「今エリカたんに計算させたよ❗️結果、停止弾の効力と我々と敵との距離諸々(もろもろ)を加味すると船団の約6〜7割がワープに入れるって感じだね〜。」

 

半数以上はワープして亜空間ゲートを目指せるが、残りの3〜4割をどうにかして守らないといけないらしい。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「計算ありがとう"ヒトミン"。さてさて約1時間で船団を守りつつボラーを"ボラーレ・ヴィーア(イタリア語で「飛んでいきな」の意味)"❗️しなきゃいけなくなった訳ですが、なんとか追っ払って差し上げましょう。このメンツでも色々と嫌がらせする方法を思いついてますからね。」

 

多田部が少し悪い顔になってるのを見てルクツィア、四糸乃は「うわ、何この人怖い」と思う反面、新生BBB戦隊の面々は「お、出た出た艦長の容赦ない悪巧み」と笑みを浮かべた。

しばらく時間が経って・・・

 

≪ザフキエル≫艦橋

刻崎「そろそろ限界時間が来ます。カウントダウン始めますわよ。10秒前...9...8...7...6...5...4...3...2...1...」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「作戦スターーートッ‼️」

 

刻崎のカウントダウンが終わり多田部が作戦開始を告げると同時に停止弾【ザ・ワールド】の効力が切れる。そしてボラー第116旅団は突如目の前に現れた魚雷・ミサイル群の攻撃を受け混乱する。これは停止弾が消滅する前に≪ザフキエル≫と停止弾の効力が切れた後にワープで離脱するためのブースター役として送られてきた2隻のデリンジャー級無人戦闘艦が搭載数をありったけ放ったものである。そしてその混乱の様子を見届けた後、≪ザフキエル≫はデリンジャー級2隻を両舷に接舷してワープしていった。

レーダーに何も反応せずにいきなりミサイルと魚雷のシャワーを浴びた事に驚くボラー第116旅団の全艦艇。それだけではない、旅団旗艦の≪ヴォルホミェンゴ≫のレーダーは捉えていたガミラス移民船団の船舶数が減っている事に気付く。「どうなっているのだ⁉️突如ミサイル攻撃を受けたかと思えば、ガミラス移民船団の船の数が減ってるし。まるで私達の時が止まっていたかの様だ」と思わずにはいられなかった。まさに正解ジャストミート❗️な訳だがまさか本当に時を止められていたとは夢にも思っていない。

ビュビューッ❗️ビューッ❗️ドドォンッ‼️と間髪入れずに今度は旅団右舷から攻撃を受けた。ガミラス第1DSS空間装甲師団 第22戦隊率いるガミラス艦隊が砲戦を始めたのだ。続いて上方からは新生BBB戦隊所属のコスモタイガーⅡと新たに開発された「試製空間戦闘攻撃機<コスモパイソン>」の合同航空隊が猛禽の如く襲い掛かる。さらにさらに左舷にも新生BBB戦隊 第二群旗艦の≪ネメシス≫と≪アマテラス≫が少数の艦を引き連れ砲戦に参加している。混乱する旅団に「狼狽えるな❗️敵の護衛戦力は少ない❗️一隻も沈めずにこのまま(船団を)逃してなるか‼️」とまともに相手をせずビームとミサイルによる弾幕を張りながらも船団へ向かう。ワープで次々と現宙域を離れていく移民船に対しワープで追いかけようとするも「ワープできません❗️原因不明‼️」とオペレーターに言われまたも「ドユコトッ⁉️」と混乱する≪ヴォルホミェンゴ≫艦長兼旅団長。「ならば近づいて仕留めろ❗️」と旅団の一部を向かわせ攻撃を掛ける。しかし「そうは問屋が卸さないぜ❗️」と巨大な雪の結晶の形を取った波動防壁が移民船を守った。≪ザドキエル≫率いる第440独立機動防衛艦隊だ。

 

第440独立機動防衛艦隊

旗艦≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「ここから先は、通しま...せん❗️」

野水「ふっふふ〜、まさに「私を倒してから行くといい❗️」なんてね。」

 

第440独立機動防衛艦隊は旗艦≪ザドキエル≫と麾下のドレッドノート改級(丙型)にはガトランティスのカラクルム級が装備していた「雷撃ビット」を参考に艦体から分離して波動防壁を展開する「波動防壁展開ビット」が装備されている。これにより更に広範囲に向けて波動防壁を展開する事が可能になっており、艦からの共鳴波装置を照射し続ければ長時間の展開も可能となる。さらに極めつけはガミラスの「臣民の盾」と同じワープ阻害機能もあり、今の様に宙域から離脱する移民船を追撃しようとするボラー艦隊のワープを阻止することができるまさに「鉄壁の布陣」なのだ。

次々とボラー艦のビーム、ミサイルを防ぎ船団を守る第440艦隊。しかし幾ら共鳴波装置があるとはいえ通常の波動防壁と同様に被弾し続ければいずれ消滅してしまう。「守ってばかりでは勝てない❗️」と同じく船団の守りに付いていた新生BBB戦隊旗艦≪マキナ≫の多田部は思う。そして・・・。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫艦橋

多田部「四糸乃艦長❗️そのビットのコントロールを少し貸してくれ‼️」

 

突然に提案に戸惑う四糸乃艦長に「ビットの応用で追っ払います❗️すぐ返しますよ❗️よぉく見て覚えておいてちょッ‼️」と考えを持って言う多田部を信じ麾下のクラスD丙型≪マトリエル≫と≪しゅうう≫の波動防壁展開ビットのコントロールを≪マキナ≫に移してもらう。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「大尉❗️今から私が言う通りにビットを動かしてちょうだいな❗️」

ミホノラ「え⁉️は、はい‼️」

 

ミホノラはビットのコントロールを頂き操作を始める。多田部がそれを確認すると「壁ドンッ❗️」と叫び、ミホノラはビットを波動防壁を展開させたままボラー艦にぶつけ押し潰され2隻が轟沈する。後ろにいた2隻に向かって今度はビットを水平にしてカッター状にし「そぉれ首切り包丁❗️」と多田部が叫びボラー艦の艦橋をすっ飛ばす。そのまた後ろにいた別のボラー艦からミサイルが飽和攻撃をしてくる。「防壁をブレード状に展開させ回転、全艦そこにショックカノンを斉射だ❗️」と多田部が指示する。雪の結晶状からブレード状に変形した防壁はプロペラの様にグルグルと回してそこに新生BBB戦隊と第440艦隊の艦がショックカノンを撃ちまくる。そうするとショックカノンを当てられた防壁から水飛沫(みずしぶき)の様にビームが拡散しミサイルが次々と撃沈される。

 

ミホノラ「す、すごい❗️あれだけのミサイルを❗️」

多田部「名付けて"ウェーブ・コンフューズ"よ❗️まだまだやるよ❗️ビットを今ミサイルを撃ってきたボラー艦の上方に❗️」

ミホノラ「りょ、了解‼️」

 

感心する間も無く次の操作に入るミホノラ。今度は敵艦の上方にビットを向けさせる。そして防壁を再びカッター状にして一気に敵艦の真上から落とす。

 

多田部「"波動ギロチン"だ❗️」

 

カッター状に展開する防壁を受け、まるで包丁で切られた野菜の様にスパッと切断されるボラー艦。まさにギロチンの名に相応しいというか恐ろしい技だ。

 

第440独立艦隊

≪ザドキエル≫艦橋

四糸乃「す、すごいです。」

野水「いや〜なんとも容赦ないね〜。」

 

四糸乃艦長は多田部の波動防壁展開ビットの応用術を見て驚愕と恐れを抱くものの「皆を守る為には自分はまだまだ技量が足りない」と己自身の未熟さも痛感するのだった。

 

新生BBB戦隊

≪マキナ≫艦橋

多田部「お疲れ大尉。よくやってくれましたよ❗️」

ミホノラ「は、はい。お、お見事でした艦長。あんな使い方をするなんて。」

多田部「あぁあれね、実はあのビットと第440艦隊は私が開発と創設に携わったからなんだ。」

ミホノラ「え⁉️そうだったんですか⁉️だからこちらからコントロールしてあんな戦い方を❓」

多田部「ままソユコト、こっちからいつでも操作できる様にね。でもコードさえ知ってれば同じ戦略指揮システムを搭載している他のアンドロメダ級でも操作できるさ。(ドォン❗️(爆発と揺れ))おっと⁉️」

 

話に水を差す様に艦を揺さぶる衝撃が走る。ボラー艦隊の反撃だった。ボラー艦の特徴でご自慢の高収束エネルギー速射砲、通称「ボラー砲」の連続斉射による弾幕だった。

 

ガミラス 第1DSS空間装甲師団 第22戦隊

≪イェグズバイム≫艦橋

ルクツィア「多田部艦長❗️」

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「マーイヤ艦長ですかッ⁉️」

ルクツィア(通信)「申し訳ない❗️奇襲は上手くいったが、敵はすぐに体勢を立て直して猛反撃を受けてしまった。こちらの被害が増えて敵を抑えることがッ❗️」

 

無理に沈めようとせず手負いを増やし続ければ無事な艦は損傷艦を守る動きに手一杯となり撤退すると踏んでいた多田部とルクツィアだったが、互いにボラーとは初対戦と交戦経験の不足でその考えは甘かった事を実感する。

ボラー連邦の常套戦術はガトランティス程ではないものの物量に物を言わせ横隊を左右に上下に目一杯広げてのひたすら攻撃という「スペース・ローラー戦術」が基本だ。それは例え僚艦が損傷しても陣形を崩さない為に無視してひたすら前進して撃ち続けるという「味方の損傷など最初から構うつもりはない」というものなのだ。さらにボラー艦隊は戦艦クラスで纏められている為に総じて※火力が高く装甲も厚い。攻撃の手数も防衛軍のクラスDと同等かそれ以上であり一斉射されると脅威だ。

(※ガルマン星のボラー艦隊が奇襲を許したとはいえ、一方的にやられてしまったのはガルマン本星で建造された本仕様艦よりも性能を落とした廉価版(モンキーモデル)であるからとされているが詳細不明)

奇襲から態勢を立て直し反撃して両翼のガミラス・防衛軍艦隊を蹴散らしボラー砲を船団とそれを守る新生BBB戦隊と第440艦隊に向け浴びせる。ボラー砲自体は波動砲よりも威力は大きく劣るもののショックカノンや陽電子ビーム砲よりも射程が長く高威力であり加えてボラー製対艦ミサイルも同様に射程も威力もあるものを飽和攻撃も良いとこな感じでありったけぶち込んでくるのでいくら波動防壁があっても受け続ければ長くは保たない。遂に≪マキナ≫の波動防壁に限界が訪れ被弾する。まず受けたのは艦首の飛行甲板だった。

 

≪マキナ≫艦橋

ダメコン要員(ダメージ・コントロール室からの通信)「飛行甲板に被弾❗️格納庫損傷ッ‼️」

金田「直ちに隔壁を閉鎖❗️栗梶❗️帰投する航空隊は船団後方の≪コリブリ≫か≪ウルヴァリン≫(クラスD改装軽空母)など近くの軽空母に着艦するよう伝えろ‼️」

栗梶「りょ、了解❗️」

高佐田「こっちが撃てないのを良い事にバカスカ撃ちやがるな。」

持月「艦長❗️拡散波動砲撃とうぜ‼️」

多田部「ダメです❗️準備してる間に木っ端ですよ‼️」

 

≪ザドキエル≫艦橋

野水「艦長❗️このままじゃ≪マキナ≫がやられちゃうよ‼️」

四糸乃「タ、タクローさん❗️共鳴波を≪マキナ≫に...ひゃあッ⁉️」

 

≪マキナ≫に波動共鳴波を放射し機関を活性化させて再び波動防壁を展開させようと試みるもボラー艦の猛攻の前に放射どころか前に進む事すら叶わない。

 

≪マキナ≫艦橋

多田部「≪ラジエル≫❗️本城艦長❗️移民船団のワープはッ⁉️」

 

本城(通信)「89%が終わったよタクロッち❗️今の所は船団に被害は無いよ❗️そっちは大丈夫⁉️」

 

多田部「素直に大丈夫とは言い難いがまだ生きてまっせ❗️おわってぇッ⁉️」

 

≪マキナ≫に更なる衝撃が走る。艦橋、艦体各所に多数被弾したのだ。

 

ミホノラ「ひゃあっ❗️オ、オルケストラが‼️」

 

≪マキナ≫の肝である無人艦管制システム「オルケストラ」が艦橋の被弾により機能を停止してしまい、ハーガワネンが操作するコンソールに火花が走る。それに伴い作戦行動中で制御下にある無人艦の機能が停止する。

 

多田部「無人艦の一部の管制を≪ネメシス≫に移譲❗️一部は自律モードに切り替えて戦闘続行❗️主砲は引き続き三式弾を連続発射❗️波動防壁弾の展開慎重に❗️重力子スプレッド及び対空ミサイルも絶えず撃ち続けろ‼️大尉❗️「M.E.T.I.S」は生きているか⁉️」

ミホノラ「はい❗️こっちのシステムはまだ健在です❗️」

多田部「よし、すぐ切り替えて指揮戦闘続行です❗️」

 

無人艦管制能力が無くなったがアンドロメダ級が本来持つ戦略戦術指揮システム「M.E.T.I.S」はまだ健在であった為、そちらに切り替えて損傷あるもまだ指揮を続行する気概でいる多田部。しかし「無人艦管制システム破損/機能停止」「飛行甲板被弾につき使用不能/格納庫中破」「艦体各所に多数被弾」と状況は芳しくなかった。

 

新生BBB戦隊 別働隊

アンドロメダ改級戦略指揮航宙戦艦

≪ネメシス≫艦橋

冬月「≪ネメシス≫了解、無人艦管制を一部引き継ぐ。こちらも立て直し引き続き砲戦再開する。」

通信手兼レーダー手「艦長❗️アマテラスが‼️」

冬月「ッ⁉️」

 

≪アマテラス≫艦橋

天伝雷「主様の艦になんて事するのよッッッ‼️‼️」

 

≪アマテラス≫は≪ネメシス≫率いる別働隊から離れ、単艦でボラー艦隊に突っ込んでいく。艦首にある波動触角に防壁を集中しつつ全方位に向けて撃ちまくる。道中の敵を手当たり次第に体当たりで悉(ことごと)く砕き押し潰しぶっ壊す。主様と慕う多田部とその乗艦≪マキナ≫の危機に怒りを顕(あらわ)にする天伝雷艦長、こうなった彼女は破壊し尽くすまで止まらない。

 

ボラー第116独立機甲旅団

旗艦≪ヴォルホミェンゴ≫艦橋

レーダー手兼通信手「敵艦一隻、真っ直ぐこちらに❗️あぁッ‼️」

 

≪アマテラス≫艦橋

天伝雷「死んで償いなさぁぁぁぁァァいッッッッ‼️‼️‼️」

 

「ひいぃッ⁉️」と恐怖を感じ震えた後、≪ヴォルホミェンゴ≫は≪アマテラス≫に殴り飛ばされる様な形で押し出され潰された後、爆発した。

「主様に立ちはだかる者は消すわよ」と天伝雷は鬼の様な怒りの形相を浮かべる。

旗艦を失って多少の動揺があったもののボラー艦隊はすぐさま指揮権を次席指揮官の乗る艦に移し交戦を継続する。態勢と統制を立て直した艦隊の弾幕は尚厚く、その中の一撃が≪マキナ≫の第一主砲塔と飛行甲板と格納庫を盛大に吹っ飛ばした。≪マキナ≫が就役して以降、ここまで大きく損傷した事はなかった。過去最大と言っても良い被害とピンチが訪れる。旗艦のピンチに僚艦が盾になって弾幕を張ろうとするもそれさえもさせてもらえず援護に回って即被弾する。「敵の事甘く見ちまったな、あともう少しだってのに❗️」と漏らす多田部。ヤバイヤバイと流石に焦る。

 

ガミラス第1DSS空間装甲師団 第22戦隊

旗艦≪イェグズバイム≫艦橋

ルクツィア「何をやってるッ⁉️地球の艦が我々の臣民に対しあれだけ戦ってるくれてるんだぞ‼️負けずに撃ち返せッ‼️」

オペレーターA「しかし❗️こちらもそこまで戦力の余裕が...。」

ルクツィア「くっ・・・❗️まだか❗️・・・まだなのかッ⁉️」

 

ピュインヨーン(ガミラス艦特有の電子音)

 

オペレーター「ッ❗️少佐❗️」

ルクツィア「ッ❗️来てくれたか‼️」

 

ルクツィアが待っていたのはガルマン星の守備についていたディッツ艦隊からの救援だった。ボラーと先端を開く前に連絡を付けておりガミラス本星消滅による混乱もあって届くかどうか不安だったのだが、今その到着の報せが来たのだ。

 

ガミラス 第8独立空間機動旅団

旗艦:ゲルバデス級航宙戦闘母艦≪ネレディウズ≫

艦橋

ネレディア・リッケ(艦長)「ようやく着いたか❗️全艦対艦戦闘、蹴散らせッ‼️」

 

次々とワープアウトする応援のガミラス艦達。艦隊の先頭に立つ航宙戦闘母艦≪ネレディウズ≫は長大な艦首飛行甲板を裏表ラバーズして戦闘甲板を開きご自慢の砲火力をボラーへの挨拶がわりに浴びせる。艦長は「シャンブロウ会戦」に参加したネレディア・リッケ大佐。同会戦後、彼女を含み指揮する第8警務艦隊の一部の軍人達が生き残ったが艦隊自体は戦闘で消耗し壊滅してしまった。しかし同会戦に於ける艦隊の功績を認められ第8警務艦隊は「第8独立空間機動旅団」へと改名/再編されリッケ大佐も同旅団の司令官に就くこととなったのだ。現在の第8独立空間機動旅団はガルマン星を守る「ディッツ艦隊」の一部に組み込まれており、第28移民船団襲撃の報を受けたディッツ提督は「信頼できる部隊」として彼女の艦隊を送ったのだ。その期待に応えるかの様にガミラスお得意の電撃戦が炸裂し、ボラー第116旅団はパニクって次々と撃沈され火球と化していく。その光景を目の当たりにするボロボロになった新生BBB戦隊旗艦≪マキナ≫の艦橋クルー達、救援の来訪にべらぼう正直にホッと胸を撫で下ろす。

この救援で勝負は決まった。物量によるゴリ押しが得意なボラーも流石に不利を悟ったか引き上げていった。地球・ガミラス側は消耗していた事と移民船を一隻も失わず守り切った事で追撃は不要とした。

 

新生BBB戦隊

旗艦≪マキナ≫艦橋

多田部「損傷箇所のチェックと負傷者の処置は済みました❓」

金田「えぇ、ダブルチェック済みです。派手にやられましたな今回は。」

多田部「えぇ、私の判断ミスでした。ボラーの戦い方を分かっていなかった。

金田「そうご自身をお責めにならないように。よくやりましたよ。本艦を含め他にも損傷艦はありましたが、一隻も失わずに船団を守り切れたんです。」

多田部「ありがとう副長。」

クロンナウア「艦長、≪ネレディウズ≫のリッケ大佐からです。」

多田部「お繋ぎしてちょ。」

 

ネレディア(映像通信)「ガミラスを代表して感謝を申し上げます。移民船を一隻も失わせずよく守り切ってくださいました。」

 

多田部「いえいえ、私らだけでやったのではありません。マーイヤ艦長の22戦隊や四糸乃艦長の第440艦隊にも言ってあげてください。

それと本艦はご覧の通りボロになってしまいましたが、応急修理と負傷者治療の部品や備品の提供感謝いたします。」

 

ネレディア(映像通信)「お安い御用ですよ。"船団の守護者"には足りないくらいかもしれませんが...。」

 

「地球・ガミラス安全保障条約」締結から5年が経ち、地球とガミラスが共有できる艦船等の兵器の部品や艦の運用に必要な備品も共有化が進んでいる。その為、中破した≪マキナ≫もこうやって現地での応急処置等ができているというわけだ。締結前〜後から色々言われてきた安保条約であったが、しっかりとメリットがここで出ている。

 

ネレディア(映像通信)「そちらはこれからどうします❓」

 

多田部「そうですね。派手にやられたもんですから応急処置して着いて行っても足手まといです。指揮を≪ネメシス≫に移譲し本艦を含む損傷の大きい艦は護衛数隻と共に地球への帰路に着く事にします。」

 

その後≪マキナ≫を含む数隻の損傷艦達は四糸乃艦長の計らいで第440艦隊所属艦の内の数隻を護衛に付けてもらい、地球への帰路に着いていた。

 

≪マキナ≫艦内通路

ミホノラ「(オルケストラシステムのプログラム整理手間取っちゃったな〜、やっぱりまだまだ先輩みたいには行かないな〜。)」

 

夜遅くまで損傷した「オルケストラ」のチェックをしていたハーガワネンは仕事を終え自室に戻ろうとしていた所だった。資料室の側を通ると明かりが付いている事に気付きそっと中を覗く。そこにはテーブル一杯に資料を広げ考えに耽(ふけ)っている艦長 多田部の姿があった。

 

多田部「う〜〜〜〜〜ん・・・。」

エレン「根を詰めすぎですよタクロー。」

ミホノラ「(先輩❓あ、クシュナーダさんもいる。)」

アイク「相変わらずこの手の事には熱心だねタクロー。ところで何の資料なんだこれは❓」

多田部「あぁこれ❓これは旧ソ連の戦闘ドクトリンとガミラスの対ボラー戦の戦闘記録。ボラーの戦い方は旧ソ連の戦い方に非常に良く似ている事に気づいてマーイヤ艦長から送ってもらったボラー戦の記録と照らし合わせて何か弱点を見つけれないかと思ってな。こっちは我が艦隊の戦闘記録から出た問題点をまとめた書類、艦隊全体と個艦別にね。それと本艦≪マキナ≫の改装案、まだ大まかだけどさらっと書いてみた。」

エレン「こ、こんなにたくさん...❗️」

アイク「ほぉ〜、中々魅力的な艦容じゃないか。」

多田部「まぁね、≪マキナ≫の改装は皆とまだ詰めるとこあるけどざっとこんなもんよ。今回も勝ったけど艦をズタズタにされた、大勢死なせちゃった、けど次はそうは行かない。あとまたデザリアムの記録も精査しないといけないし、ボラーも含めてまた会わないとも限らんしそれまでに色々やることは山積みよ。」

ミホノラ「(艦長、、、ただ明るくて変わってるってだけの人じゃなかったんだ。)」

 

普段と明るいエキセントリッカーと戦ってる時の姿からは想像できない「睡眠時間を削ってでも物事に熱中し打ち込み次の糧とする姿に驚くミホノラ。エレンとアイクはそんな多田部の様子を心配しながらもどこか楽しそうに見ている。

 

ミホノラ「(まだまだ艦長のことよく分からないけど、あれだけ打ち込んで葛藤できる人だ。もっと食いついていけばエレン先輩みたいき理解できるかも❗️)」

 

と思いながらその場を後にしミホノラは今日一日を終えるため一人部屋へ向かうのだった。




前話と同じく色んな要素をぶっ込みまくったらまたまた文字数記録を更新してしまいました(汗)。
「2205」本編にて登場した第28移民船団の護衛に我らが新生BBB戦隊が就く事になりました。明言はされてませんが恐らく最後のガミラス移民船団ではないかな❓と思いまして護衛のガミラス艦隊は必死です。
「2199」から度々出てきた「デスラー親衛隊」なんですが、「「2205」でもまだ存続してる理由」と「一括りにされてるけどもっと細かく部隊が編成されてるんじゃないの❓」と思い独自に考察して仕上げました。特に部隊名の「第1DSS空間装甲師団"LSSAD"」と所属する第22戦隊のルクツィア・マーイヤはそれぞれナチスドイツの武装親衛隊「第1SS装甲師団LSSAH(ライプシュタンダルテ・SS・アドルフ・ヒトラー)」と「パンツァー・マイヤー」の異名で知られたクルト・マイヤーSS少将がそれぞれの元ネタです(ルクツィアは「ガンダムW」に登場するルクレツィア・ノインから)。
第26戦隊に代わり登場し一緒にガミラス移民船団の護衛をする事になった第440独立機動防衛艦隊は「ガトランティス戦役」での反省から誕生した「機動防御」に特化した艦隊編成となっておりPS2版「暗黒星団三部作」に登場した<主力戦艦丙型>をリメイク版準拠にしアンドロメダにもその設定を逆輸入して≪ザドキエル≫を作りました(模型方でも再現したのでTwitterで検索を)。
デザリアムのお次の相手はまさかのボラー連邦でした。「2205」本編だと前章の冒頭にしか登場しなかったリメイク版ボラーですが、ヤマト率いる第65護衛隊が亜空間ゲートに迫った際のブリーフィングにて山南司令が「ボラーの襲撃に備え、各ゲートには警備のガミラス艦隊が常駐している」と語られていましたから既にボラーが動いていてもおかしくないと思い出演させました。登場させた艦隊は旧ソ連の戦車T-34のカラーリングとマーキングが書かれてる本から適当に取ってそれっぽく名付けました。旗艦の<ヴォルホミェンゴ>もといボラーヅェ・ラ・バスード級は旧作でいう「ラジェンドラ号」の私的リメイクです。第116旅団はこの<ヴォルホミェンゴ>を旗艦としリメイク版<戦艦A>及び<戦艦B>で構成されています。まだ名前の発表が公式からまだなのと個人的に考えてるのがまだ纏まらないので今回は明記はしませんでした。
ボラー型次元潜航艦の存在も語られましたが、「第一次アベルト・デスラー政権崩壊後の混乱に乗じてガトランティスとは違ったやり方で技術者を拉致ったりしてたのでは❓」という史実でいう「ペーパー・クリップ作戦」的な感じの設定にしました(作戦自体はアメリカのですが当時のソ連も似たような事をやっていたとか)。艦名とかはまだ全然考えてないので敢えて書かずにいきました。対処した新生BBB戦隊の新艦と新メカはまたメカ紹介でやります。
ボラーの戦い方は完全に元ネタのソ連軍を意識しています。倒しても倒しても怯まず攻撃してくるボラー艦隊に初めて新生BBB戦隊と旗艦≪マキナ≫が窮地に立たされ大きく損傷してしまいました。最後の方で大改装の話が出てたのでどう生まれ変わるのかお楽しみに。
ネレディア艦長が救援に駆け付けてきてくれました。「2205」本編だと中の人がヤーブの嫁のバルナ役で出演していた為か登場せずでした。「でも実力者なのは間違いないし「2202」でもちょこっと出てたしでディッツ提督の艦隊にいたのでは❓」と思い出演させました。駆け付けてきた時のセリフは「2205」でバーガーがイスカンダルに追いついた時のセリフをオマージュしています。
てな感じで今回も色んな要素を詰め合わせた回、いかがだったでしょうか❓これでとりあえず「「2205」の裏話」を前後編に分けて書き切った訳ですが、自分でもまさかこんなに長い話になるとは思いませんでした(汗)。でも楽しんでいただけたのなら幸いです。次回からは「デザリアム戦役編」が本格的にスタートします❗️どうぞよろしくお願い致します。

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