宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" 作:箕理 田米李
某宙域
第99特戦機群
ドレッドノート級早期警戒管制艦 DPR-963≪ザフキエル≫
艦橋
刻崎アサミ「ヒトミさん、地球との通信はまだ回復しないんですの❓」
同級早期警戒管制艦 DPR-213≪ラジエル≫
艦橋
本城ヒトミ「それがね〜何度も試してるんだけどもダメみたい。ノイズだらけでさ〜、エリカたんもお手上げだってさ〜。」
E.R.I.K.A(≪ラジエル≫搭載高度情報処理特化型AI)「あんたね、その呼び方やめてって言ってるでしょ❗️」
本城「ごめんごめんそんなに怒らないでよ。良い名前でしょエリカたん(ハート)❓」
E.R.I.K.A「またぁ❗️」
対話インターフェースを追加して会話できるようになった≪ラジエル≫搭載のAIとは毎度こんな感じである。≪ザフキエル≫艦長の刻崎は「やれやれ相変わらずですこと」とやや呆れながら地球との通信が繋がらないのを不思議がっていた。この2隻は第99特戦機群本隊と離れ≪ザフキエル≫の搭載特殊兵装である『時空干渉弾』通称『時空弾(時干弾とも言う)』の元となる物質<タキオニウム>を採掘、精製の為に地球圏から遠く離れた所にある時間の異常増進停滞逆行が起こる特異な宇宙気流である『時空乱流(タキオニック・タビュランス)』にいた。十分な<タキオニウム>を収集し後は帰還するのみとなりその旨を地球防衛軍司令部に報告しなければならないのだが、その地球への通信が全く繋がらないのだ。
ピュイーン!ピュイーン!(レーダーの電子音)
≪ラジエル≫通信手/レーダー手「ッ❗️艦長、レーダーに反応あり。艦隊規模。」
本城「エリカたん❗️」
E.R.I.K.A「もう済んでるわよ。パラメーターは防衛軍とガミラスの物ね。」
本城「防衛軍とガミラスの艦隊❓カメラ映像❗️最大望遠で❗️」
本城の指示によりメインモニターに映像が映し出される。そこには「まさかこんな宙域に⁉️」と思う様な艦のビッグパレードがあった。
本城「≪ヤマト≫だ❗️」
≪ヤマト≫の名を聞いて少しピクつく≪ザフキエル≫艦長の刻崎。
E.R.I.K.A「≪ヤマト≫旗艦の【第65護衛機動群】だけじゃないでしょ❓≪シュンラン≫旗艦の遠征打撃群【第7艦隊】にガミラスの方はフォムト・バーガー中佐率いる【第27空母打撃群(別称『バーガー空母戦闘団』】もいるわね。」
本城「≪ヤマト≫に≪シュンラン≫に≪ランベア改≫、なんでこんな艦達が集まって...❓」
≪ザフキエル≫
艦橋
刻崎「只事ではないことが起きている。というのは分かりますわ。こんな大きい顔を持った艦艇、ましてや≪ヤマト≫が集まりの中心にいるなんて明らかに普通ではありえませんもの。」
≪ラジエル≫
本城「地球に何かあったってことアサミン❓」
刻崎「さぁどうでしょう。少なくとも≪ヤマト≫の行くところ戦いありなのは過去の記録で実証済みですから。」
本城「ねぇアサミン❓平気なの❓≪ヤマト≫はアサミンにとって因縁のある相手なんでしょ❓」
刻崎「あら、それを言うのなら貴女も同じではなくてヒトミさん❓」
本城「私はアサミン達に比べて『時間断層』にいた期間はこの≪ラジエル≫共々短かったからさ。そこまで≪ヤマト≫に対して思うとこないよ。でもアサミンにとって『時間断層』は特別な場所だった筈でしょ❓だから...。」
刻崎「きひっ❗️きっひひひひひひひ❗️えぇえぇ、仰る通りでしてよ。でも大丈夫ですわ。それに、私これはとても良い機会だと思っているんですのよ。」
本城「というと❓」
刻崎「地球に何があったのかを聞けるだけでなく、≪ヤマト≫が本当に『時間断層』を破棄してまで救うに値する艦だったのかどうか間近で見て確かめる事ができるかもしれないんですもの。」
本城「ッ⁉️」
刻崎「さぁさぁ参りましょうヒトミさん。英雄さん達にお尋ねとご挨拶申し上げようではありませんの。」
この時の本城は刻崎の心境が分からなかった。それは単に好奇心の興味本位なのかそれとも『時間断層』という名の自分達の居場所を奪った悪魔の艦≪ヤマト≫への憎悪なのか。だが今は地球の状況を知るには≪ヤマト≫らに接触するしかないと思い艦を進めるのだった。
後にこの艦隊が【デザリアム本星殴り込み艦隊】と称されるのは戦役後のことである。
地球圏外縁 オールトの雲
ドレッドノート改級汎用護衛戦闘艦 type-B(大口径連装主砲搭載型)
DDEM-334≪ヘイズル≫
艦橋
≪ヘイズル≫艦長「デザさん、なんだか様子がおかしくなってないか副長❓」
同副長「そうですね。定期便(【デザリアム】の輸送船団のこと)は毎度ですが、輸送船の数に対して護衛の艦艇が少なくなって来ている気がします。」
艦長「ガトさんと違って戦力がほぼ無尽蔵って訳じゃないってことなのかな❓それとも船団輸送どころの話じゃない状況になった。とかね❓」
副長「≪ヤマト≫...でありますか❓」
艦長「たぶんな。理由は分からんが敵はなぜか≪ヤマト≫に倒すのに夢中で躍起になってる。地球も占領しつつ≪ヤマト≫も倒さなきゃで戦力が分散しちゃってるんだろうな。」
副長「これが我々にとっても良い方向に進むと良いですな。」
艦長「ふっ、全くだよ。」
ピピプッ!(レーダーの電子音)
通信手兼レーダー手「レーダーに感❗️ワープアウト反応❗️」
艦長「総員警戒態勢❗️」
ピロピロピロプゥィーン!と警報が≪ヘイズル≫の艦内に鳴り響き、乗員達は各々の部署に走り始め配置に着く。
艦長「相手は誰だ⁉️また【デザリアム】か❓」
通信手兼レーダー手「いえ、このパラメーターは...これって...⁉️」
オールトの雲の補給基地整備ドック
第99特戦機群 旗艦≪デア・エクス・マキナ改≫
艦長室
タクロー「Zzz...。」
天伝雷「主様、主様。起っきですわよ。」
≪アマテラス≫艦長の天伝雷は先のシリウス宙域での戦闘に関する戦闘詳報と消耗した弾幕等の備品のリストを持って≪マキナ改≫に乗艦しているのだが、それはあくまで建前で本当は主様と慕うタクローに世話を焼く為である。
タクロー「天伝雷さんまだ起っきじゃないでしょどうしたんです❓」
天伝雷「≪ヘイズル≫から連絡が来てますの。」
タクロー「なにデザさんがまた絶賛働きアリしに来たって❓」
天伝雷「いいえ、ボラー連邦艦ですわ。」
タクロー「...なんだつて❓」
天伝雷「艦橋に来るよう言っておりますわ。早く支度してくださいまし。」
タクロー「ふわぁあぁぁうぇいうおおおおおごごごごぎぎぎぎ(※あくびです)。分かった顔洗ってカフェインたっぷりのガム噛んで黒酢ドリンク飲んで頭スッキリさせたらすぐ行くよ。」
天伝雷「はい。それで主様❓」
タクロー「なによ❓」
天伝雷「久々に2人きりになったんですもの。下の名前で呼んでくださいまし。それとハグして頭を撫でて褒めてくださいまし。」
タクロー「あぁ分かったよ諏訪(ギュッ)。 よしよしこれで良い❓」
天伝雷「えぇ、最高ですわ主様。」
タクローも含め≪アマテラス≫の蛮勇さと凶暴さは皆が知るところであるが、天伝雷は戦いの時以外は物腰丁寧でお嬢様口調の大和撫子であり、特にタクローの前のみこの様にして甘える姿を見せる。先の戦役で重傷を負った自分を救ってくれた事を大いに感謝しているだけでなく全幅絶対の信頼と愛を寄せているのだ。
また時間が戻って≪ヘイズル≫は...
汎用護衛戦闘艦≪ヘイズル≫
艦橋
≪ヘイズル≫艦長「パラメータ解析済んだか❓」
通信手兼レーダー手「識別はボラー連邦艦で間違いありません。2年前にガミラス第28移民船団護衛作戦で遭遇した指揮艦型と型式が一致しました。」
艦長「総員戦闘配置❗️旗艦≪マキナ改≫にも打電しろ❗️「我ボラー艦と遭遇指示を請う」だ❗️」
アンドロメダ級と同じ40.6センチ口径の連装衝撃砲を主砲とする≪ヘイズル≫を含むクラスD改級汎用護衛戦闘艦[type-B]は12.7センチ連装速射衝撃砲を持つ同級≪ブラックオター≫を含む[type-A]と違い対艦戦向きとなっている。2年前の『ガミラス第28移民船団護衛作戦』にて偶然接敵したボラー連邦艦隊との戦闘の教訓から[type-A]では火力不足が指摘された為に生まれた派生艦で姉妹艦と言える。計算上ではガミラスより提示されたボラー艦の推定スペックから逆算しても十分に装甲を貫徹可能だという。それが今まさにそのボラー艦に向けられているのだ。しかし艦長には懸念があった。変更、強化されたのは主砲のみである本艦で果たして撃沈する前に攻撃の手数の多いボラー艦を仕留められるかということだ。
戦術/砲術長「全火器スタンバイよろし❗️主砲射程圏内❗️」
艦長「撃ち方...」
通信手兼レーダー手「ッ⁉️ボラー艦より通信❗️」
艦長「何⁉️読み上げろ。」
時を同じくして≪マキナ改≫に場所が戻る
≪マキナ改≫艦橋
金田「艦長上がられます。」
タクロー「楽にしてください。状況は❓」
栗梶「ボラー艦一隻が本宙域にワープアウト。≪ヘイズル≫によると黒煙を上げており損傷しているそうです。それと指揮官と話がしたいとのこと。」
金田「艦長...。」
タクロー「応じましょう。損傷してて≪ヘイズル≫に対して攻撃してないということは敵対する意思はないようだからね。かっしー、お繋ぎして。」
栗梶「はい、出します。」
非公式とはいえ、これが恐らく地球連邦とボラー連邦とのファーストコンタクトとなるのだろう。どうなるか分からない不安な空気がある中メインパネルにボラー艦の艦長と思しき男が映し出される。ガトランティス人とは若干色調が異なる緑の肌を持ち、短い頭髪に太い眉毛ともみあげ、年齢は50〜60代だろうか顔に皺(しわ)が多い。
(映像通信)
ボラー艦艦長???「※イゼルニァウダ ザフプィエルン オプショル。ノオウオ オナセルニィアトラフィセ ニエィ フメイエイ。
(※地球語訳:突然の通信、申し訳ない。だが我が方に敵対意思はない。)」
栗梶「言語一致。ボラー連邦。」
(映像通信)
アグォルコ・ラム「私はボラー連邦加盟衛星国 バシウド星系第4惑星【バース民主共和国】艦隊司令兼旗艦≪ラジェンドラ≫艦長 アグォルコ・ラムです。」
タクロー「地球連邦防衛軍 第99特殊戦略戦術機動打撃群司令兼旗艦≪デア・エクス・マキナ改≫艦長の多田部 拓郎です。」
ラム「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。」ペコッ
タクロー「(ボラー本国艦隊じゃなく衛星国の艦のお出ましか意外も意外だ...)。」
【ボラー連邦】は「連邦」の名の如く[本国]と傘下の[衛星国]によって成り立つ星間国家である。今から8年前、西暦2199年のガミラス第一次アベルト・デスラー政権崩壊後の混乱に乗じガミラス傘下の星間/惑星国家を次々と手中に収め勢力を拡大し今やもう一つの巨大星間国家【ゼニー合衆国】と覇権を争う程の大国となっているという。
ラム「我が艦≪ラジェンドラ≫はご覧の通り戦闘で損傷しておりその修理をしたい。貴官らの基地のドックに入渠させて貰いたいのだが...。」
とラム艦長は≪ラジェンドラ≫の修理を申し入れてきた。確かに艦の後部から酷く黒煙が上がっており艦橋部分が見え隠れしてるくらいだ。とても戦闘したり速度も出せそうにないのは外から見ても明らかだ。
タクロー「敵対意思がないのは分かりました。しかし国交のない艦を援助することはできません。それに我々も現在戦争状態なものですから。」
ラム「迷惑を言っているのは百も承知だ。だが我々も出て行きたくても出ていけないのだ。それに乗組員の中には負傷者も大勢いる。食糧も国に帰るまで保ちそうにない。」
金田「艦長。」
タクロー「少し時間を頂いてよろしいでしょうか❓部下達と話をして決めたいと思います。」
ラム「分かりました。」
ラム艦長からの了承を得て時間を頂いたタクローは士官室に副長と参謀クラスを招いてボラー艦≪ラジェンドラ≫をどうすべきか話し合う事となった。
タクロー「さっきはあぁ言ったけど、私は助けて良いと思ってる。」
テーブルに座る副長達「ッ‼️」
艦長であり司令のタクローが≪ラジェンドラ≫への援助をOKして良いと発言をしたのに驚くお集まりの皆さん。しかし副長の金田と参謀のアイクはその決定に笑みを浮かべる。
タクロー「あぁ、あくまで食糧と水の支給と機関系の修理だけ。武器弾薬の修理/補充はなしでの話よ。」
参謀A「私は反対です❗️」
参謀B「そうです相手は敵国ですよ❗️」
アイク「それは【ガミラス】、いや今や【ガルマン・ガミラス連邦共和国(※西ガルマン)】だったな。ボラーが戦争してるのは彼等だ。我々(地球連邦)じゃないそうだろう❓」
(※ボラー派のガルマン人の一部はボラー連邦の支配領の一惑星(いちわくせい)に移住し【ガルマン・ボラー民主共和国(東ガルマン)】を建国(非承認国家)した)
金田「その通り。地球はボラーには宣戦布告していません。ガルガミとの領土紛争には我々はあくまで中立の立場にあります。」
参謀A「防衛軍司令部に掛け合うのが筋だろう❗️」
アイク「その司令部は今機能していないだろう❓電話を掛けても出てくるのは真っ黒々助さ。」
参謀B「ガルガミとのことは⁉️同盟国が聞いたらどう思う‼️」
金田「そのガルガミは今はここにはいません。それとも我々の艦隊にガミラス人が一人でもいましたか❓"元"ガミラス艦はいますが。」
タクロー「はいはい皆さんストップストップ。皆さん私の思い悩んだこと全部言ってくれてありがとう。確かにそれらは憂慮すべきことです。ですが国連宇宙軍だった頃からのモットーを皆さんお忘れでないでしょう❓ほら「目の前で溺れる者を見捨てない」と、これには別に"敵味方"なんて区別は付いてないし誰も言ってないし書いてもいない。尤(もっと)もモットーなんてのは規則というよりかはただの"心得"みたいなもんだけども、、、とにかく我々も苦しい状況なのは分かりますよ。でも私達人間はまだ良いとして艦艇達の方のが補修パーツも減ってきてちょいと危ないでしょ❓でも食糧の方はなんとかなってる訳だ。幸いこの基地には一生どころか私達が1000年生きたって食い切れない量の食糧があります。少しぐらい分けたって構わないでしょう❓
瀕死の相手を倒したり見捨てるなんて夢見も後味も悪いじゃないですか。私達『不良艦隊』や『海賊』『ヴィラン(悪役)』で通ってるけどそこまで非人道的じゃない、皆そのつもりでしょ❓」
タクローのいつもの"節"が効いたマシンガントークで考えを話す。「お互いに苦しい時にこそ助け合うことって大切よ例え敵でもね難しいけどさ」というのを伝え≪ラジェンドラ≫に救援の手を差し伸べるのに難色を示していた参謀達も7艦長がそう仰るなら...」と表情が少し和らぐ。
戻って≪マキナ改≫艦橋
タクロー「お待たせしました。貴殿の申し出をお受けします。どうぞ3番ドックへ入港してください。」
ラム(映像通信)「感謝します。」
クラスD改級汎用護衛戦闘艦≪ヘイズル≫はタクローの司令の下≪ラジェンドラ≫を重力トラクタービーム(重力アンカーを牽引ビームに応用したもの)で曳航し始める。≪ラジェンドラ≫右舷にはパトロール艦≪エゾーケン≫が同航し連装主砲三門を≪ラジェンドラ≫に向ける。
ボラー連邦 衛星国【バース共和国】艦隊 旗艦
ボラーヅェ・ラ・バスード級艦隊指揮型装甲航宙艦
≪ラジェンドラ≫
艦橋
レーダー手「艦長❗️※地球警備艦(※地球、ガミラス側で言う所の巡洋艦・駆逐艦に相当するボラー連邦独自の艦種呼称)本艦と同航。主砲をこちらに指向中。」
副長「艦長❗️」
ラム「狼狽えるな❗️当然の措置だ。我々が妙な動きを見せなければ発砲はしてこない‼️静かにこのままドックに入るのだ。」
狼狽える副長と部下を落ち着かせるラム。歴戦の艦長の言う事ならと艦橋にいるクルー達は徐々に落ち着きを取り戻す。
パトロール艦≪エゾーケン≫
艦橋
浅草「見たまえ金森君よ❗️あの流線的なフォルムなれどドッシリとした重厚感あふれるボディ❗️それに目立つ赤色❗️損傷しているとは言え良い艦だと思わんかね⁉️」
ゴチンッ!(ゲンコツ)
浅草「あいてッ⁉️」
金森「なぁ〜に絵描いてんだ仕事しろオラァッ❗️」
そんな≪ラジェンドラ≫の緊張状態を知ってか知らぬか、≪エゾーケン≫艦長の浅草はスケッチブックを取り出して≪ラジェンドラ≫をスケッチする。副長 金森に怒られるも「まぁいつもこうだから言っても聞かんか」とすぐ説教を諦めた。≪ヘイズル≫に曳航され数十分後、オールトの雲の補給基地に到着し≪ラジェンドラ≫は第3ドックに入渠する。タクローは≪ラジェンドラ≫が入港したドックに宇宙服姿で立っている。≪ラジェンドラ≫から折り畳み式のタラップがせり出し同じく宇宙服を着たラム艦長が降りてくる。
タクロー「第99特戦機群司令兼旗艦≪マキナ改≫艦長、多田部拓郎です。基地へようこそ。」
ラム「バース共和国所属≪ラジェンドラ≫艦長のラムです。御招き感謝します。」
互いに敬礼で挨拶し握手を交わす。ここに非公式なれど地球連邦とボラー連邦の艦長同士が直に顔を合わせたのだった。
基地内士官室
タクロー「どうぞ。」
ラム「おっとこれはどうも。」
タクローはラムのグラスにお酒を注ぎ、「乾杯」とグラスをキンッ!とぶつける。因みにタクローはあまり酒に強く無いのでコーラにしラム艦長も一杯だけにするつもりだ。部屋のドアからコンコンッ!とノックの音がする。「入ってよし」とタクローが言うと給仕係が入室して来たのだが、入って来たのはミホノラ大尉だった。「失礼します」と入ってくるミホノラにタクローは少し驚いて目を丸くし「ちょいちょい」と人差し指を動かしてミホノラを呼ぶ。
タクロー「いつから給仕に転職したの大尉❓」ヒソヒソ
ミホノラ「これも良い機会だと思いまして担当に変わって貰いました。」ヒソヒソ
同盟国【ガミラス】もとい【ガルマン・ガミラス】が敵対する国家の軍人なんて滅多に直接お目にかかる事はできないので「これも自分にとって良い経験になるはず」と思っての行動らしい。確かに滅多に経験できることではないと思うタクローとラムの前でミホノラは慣れた手付きで食事の皿をテーブルに並べていく。
タクロー「(そういえば大尉は故郷のフィンランドでは結構良いとこの軍の家系のお嬢なんての聞いたことあったけ❓給仕さんの一人や二人くらいいてその動作を見て覚えたんだろうな)」
食事の皿を並べ終え「失礼します」と一礼しミホノラは部屋を後にした。
ラム「いやはや驚きましたよこんなオモテナシを受けるとは。しかし良かったのですかな❓助けて貰ってこんなことを言ってはあれですが我々は貴方達の同盟国【ガルマン・ガミラス】の敵ですぞ❓」
タクロー「あぁ、その件については部下達と散々話して来ましたよ。ですが敵対してるのはあくまで同盟国の方なので...。」
ラム「なるほど、ここにその同盟国の方が1人もいらっしゃらないからというのも決め手の一つという事ですかな❓」
タクロー「おっと当たりですよ。」
そう会話を弾ませながら二人の食事と会談は続いた。その頃基地のドックに入港した≪ラジェンドラ≫は≪マキナ改≫技術長の手邦と機関長の呉賀さらに≪エゾーケン≫副長の金森を加えた主導陣の下に修理作業に入っていた。
手邦「損傷の軽微な部分を優先してくれ。大きい所は軽微の部分が終わり次第人をそちらに回すように。修理にはこちらの損害艦を使って良い。金森副長、資材運搬の指示を頼みます。」
金森「分かりました。あぁその資材は艦内へそっちは艦外です。」
手邦「整備担当のお三方、状況知らせ。」(インカム通信)
第3ドック
ロゥジィー・ウェルダース(第99特戦機群 艦隊統括整備長)「突貫でやってます❗️ウィニー❗️」
ウィニー・ウェルダース(同統括整備副長)「はーいこっちももうじき終わるから手が空くよ〜❗️」
シブキ「ウィニーさん、こっちは終わりました❗️」
ウィニー「はいよ〜❗️」
セシリア「お疲れ様です。ウィニーさん、シブキ。」
ウィニー「セシリー、どうしたのこんなとこ来て❓」
セシリア「整備の人は食堂行く暇がないと思って兄と一緒にパンを焼いてサンドイッチにしてきたの。皆の分もあるからどうぞ。」
シブキ「お、ありがてぇ❗️セシリアん家のパンは最高だからな❗️」
ロゥジィー「ロニーザそっちは❓」
ロニーザ・ブレンガー(同統括整備班長)「驚きだね❗️地球製のパーツがピッタシハマるとこあるよ❗️」
整備班長のロニーザはボラー艦に地球製のパーツ規格が通用する事に素直に驚いている。士官学校で火星軍の艦は墜落していたボラー連邦艦と思われる残骸を解析して建造されたというのを習ったのを思い出す。「地球艦のご先祖はボラー艦」という説が正しかった事を今まさに実感している。
ロニーザ「でも幾らハマるからって大丈夫かな❓全然違う星系の艦同士だし。」
???「なぁに心配することはねぇよロニーザ。」
ロニーザ「マッコイ爺さん...。」
心配するロニーザにそう声をかけたのは≪マキナ改≫の主計長で「トイレットペーパーから惑星間弾道弾まで」「金さえ積めばデスラーパレスさえ引っ張ってきてやる」が信条のマッコイ・カーユミだ。根っからの商売人気質な爺さんでこの第99特戦機群の古参でもあり旗艦≪マキナ改≫のみならず艦隊全体の兵站関連を任されており時折強引かつ違法スレスレな物資の調達をするやり手だ。
マッコイ・カーユミ「大昔も作ってる国が違えどパーツの口金さえ合えば直せたって話がある。宇宙に出てもそれは変わらねぇってことじゃて。」
ロニーザ「へぇ〜この広い広い宇宙でも共通することってほんとにあるんだね。本当はウチや440艦隊の損害艦からじゃなくてデザリアム艦の残骸が使えれば良かったんだけどな〜。」
マッコイ「それはそうなんだがほれ、"波動融合反応"とやらのせいで波動エネルギーを受けると奴らの艦とその構成部品は熱を持っちまって役に立たんらしいからな。」
ロニーザ「うちらみたいに"残骸(ほね)になっても役立ってほしい"ね。」
マッコイ「ふ、全くじゃな。」
基地医療区画
ジャック・B・オオツカ(≪マキナ改≫衛生長・艦医)「スペースは空けておけ❗️まだ患者は来るぞ❗️そこ軽傷者を先に❗️重傷者の方は私がやる。」
助手達「はい❗️」
≪ラジェンドラ≫の負傷者で溢れかえった基地の医療区画では≪マキナ改≫衛生長で艦医のジャックが重傷者を治療しつつ助手達に指示を飛ばしている。ガミラス人以外の異星人を治療するのはオオツカ艦医を含め医療スタッフも初めてのことであるが、≪ラジェンドラ≫から入港する前にメディカルデータを受け取っていたこともあって対応はスムーズだった。
助手「衛生長、負傷者全員分のチェックを終えました。」
オオツカ「ご苦労。ボラー人いや正確にはバース人の身体構造が我々と同じで助かったな。」
助手「えぇ、驚くべき一致率です。≪ヤマト≫が初めてガミラス人を解析した時もこんな感じだったんでしょうね。」
オオツカ「あ、四糸乃艦長(敬礼)。」
助手達「(敬礼)」
四糸乃「あ、敬礼はいい、です。」
オオツカ「どうかされましたか❓何か不備でも❓」
四糸乃「い、いえ。私も手伝いたくて、来ました。」
オオツカ「え、いや大変ありがたい申し出でありますが、一艦隊司令(いちかんたいしれい)のお手を煩わせては...。」
四糸乃「オオツカ先生、みたいな本格的な外科手術はできませんけど、私も治療くらいは、お手伝い、できます❗️」
助手「どうします先生❓」
オオツカ「そこまで言うなら良いだろう。四糸乃艦長は医療コースを受けていたとタクロー艦長からは聞いているしな。ではあちらの患者からお願いします。」
四糸乃「は、はい❗️」
艦修理ドック、医療区画それぞれのスタッフ達が奮闘し≪ラジェンドラ≫とその乗員達は順調に修理/回復していき約半日を賭けてこれを全て完了した。
第3ドック
ラム「大変お世話になりました(敬礼)。」
タクロー「いえ、自分達のモットーに従ったまでです。感謝を述べられることでは(敬礼)。」
ラム「瀕死の我々の相手があなた方で良かったです。地球の方がこんなに素晴らしい人達がいるとは、ボラー連邦にも教えてやりたいものです。」
タクロー「恐縮であります。」
ラム「そういえば最後まで聞きませんでしたな。我々がどこの誰と戦い損害を受けたのか、我が国そしてボラー連邦の情勢についてなど。」
タクロー「おやおや、そういうラム艦長こそ我々地球連邦の事をお聞きにならなかったでしょう❓おあいこですよ。」
ラム「おっとそうでしたな。私達と貴方達の祖国は互いに微妙な政治関係ですが、時が経って遠慮なく話せる時代になれたら良いものですな。」
タクロー「はい、全くですよ。」
そう互いに最後の挨拶を交わしラムは≪ラジェンドラ≫に乗艦し第3ドックから出航していく。「バース共和国旗艦≪ラジェンドラ≫の航海の無事を祈って、全員敬礼❗️」とタクローの指示で第3ドックや基地にいるスタッフ、各艦の艦長と乗員それぞれが≪ラジェンドラ≫に対し敬礼を贈る。タクロー達からは見えないがラム艦長ら≪ラジェンドラ≫のクルー達も敬礼に応え送る。≪ラジェンドラ≫は第99特戦機群所属パトロール艦≪ペネムエル≫が誘導のため前衛に、側面を≪ザドキエル≫以下第440防衛艦隊がエスコートを受け無事オールトの雲の宙域を離脱していったのだった。
いかがだったでしょうか❓タクローら第99特戦機群本隊と離れている≪ザフキエル≫と≪ラジエル≫の視点から≪ヤマト≫と≪シュンラン≫の動向を描きました。ps2「暗黒星団帝国の逆襲」と同じく無事合流できたようです。そこにバーガー乗艦の≪ランベア改≫率いる【第27空母打撃群】も加わります。番号は≪ランベア≫が旧作で言う「第二空母」からとバーガーが第6空間機甲師団所属時に「第7駆逐戦隊」戦隊長だったとこから来ています。せっかくリメイクでガミラスが同盟国になったんですからガミラスさんも連れて行きませんとね。
≪ザフキエル≫艦長の刻崎さんは『時間断層』という居場所を奪った≪ヤマト≫と因縁があるらしく今後ギクシャクしないかどうか心配ですね(汗)
一方の第99特戦機群本隊の方では突如出現したボラー連邦の衛星国【バース共和国】艦隊旗艦の≪ラジェンドラ≫と艦長のラムと相対します。「Ⅲ」に登場したラム艦長がファーストネーム付き(ラム酒の種類から取ってもじった)で登場です。地球連邦とボラー連邦の非公式のファーストコンタクト(「星巡る」のオマージュ)に当初は「支援できない」と断るタクローでしたが、内心は助けるつもりでいたようです。【ガミラス】改め【ガルマン・ガミラス連邦共和国】が知ったら黙ってないでしょうが、まぁそこは「戦争中だし何より敵をさらに増やすのは得策じゃない」というタクローの判断は間違いではないとは思います。
それとガルガミの国家体制は「3199」では旧作通り「帝国」になるそうですが本作では「連邦共和国」にしました。理由としては「もう新たな移住先の星を探す為の侵略戦争をする必要もなくなったし、【デザリアム】のせいで人口も減って国力も低下したしでもはや「帝国」を名乗るほどの国家体制にはならないしなる必要もない」と解釈したからです。一方で「ガミラスが解放したは良いけどボラーに付いていた方が得する」というガルマン人達もいると思うのでその人達がボラー連邦領の惑星で【ガルマン・ボラー民主共和国】というのを建国したという事にしました。"ガルガミ(西ガルマン)"と"ガルボラ(東ガルマン)"、史実で言う所の西ドイツと東ドイツの様なものだと思っていただければ幸いです。
さて話を戻して≪ラジェンドラ≫を機関系の修理と水と食糧の補給及び負傷者の治療のみ行う事を条件に基地への入港を許可しました。これを機に≪マキナ改≫の主計長や整備長、衛生長などを設定しました。4人とも本話初登場ですが最初から乗艦していた設定です。それとシブキの整備工とドレルスとセシリア兄妹の実家パン屋設定をここで活かさせていただきました。こんな時でもなければせっかく設定を作った意味がないのでね。
「ボラー艦と地球艦の繋がり」「デザリアム艦の残骸を修理に使わない訳」など色々と謎というか疑問についてもサラッと程度ですが書いておきました。ご納得頂けたら幸いです。
さてさて短い交流でしたが、タクローとラム艦長の仲は良さげなままお別れしました。今度会う時は恐らく敵同士ですね。ん❓出る予定あるかな❓ちょっとスケジュール確認してきますね。ではまた次回に。