宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" 作:箕理 田米李
第Ⅷ戦略諜報分析基地
???「システム再起動中...アクセス...オンライン...実行中...。」
古代は【デザリアム】人の意外な正体に驚いた後、本城艦長に呼ばれ基地の司令室に来ていた。本城が何かしらのデータを見つけたらしく今立ち上げているところだ。
古代「本城艦長、これは?」
本城「この基地のAIプログラムの一つだと思う。肝心の敵本星を示す物や有用そうなデータはほとんど消されちゃってて、他には〜って探してたらやたら何重にもプロテクトが掛けられて封印されてるのがあったから気になって開いてみたんだ。」
土門「そんな興味本位で開いちゃって大丈夫なんですか?」
本城「へーきへーきw..ウィルスとかそういうのじゃないよ。それに何重にもロックされていた割にはそのプロテクト自体は大した事なかったよ。特に抵抗せず大人しくしてるうちに恐らくスリープモードに入ってたんだね」
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火星宙域
第Ⅳ戦略諜報分析基地
安玖園「そろそろロードが終わるね。」
タクロー「さぁ何を示してくれるのやら...?」
同じ頃、タクロー達の方でも眠っていたAIプログラムの目覚めを待っていた。そしてシステムが立ち上がる。
第Ⅳ基地(タクロー達側)AIシステム「T.F.M.M.-D.M.S.S.対話インターフェイス搭載型AI-221号よ。何よ今更起こしてどういうつもり?」
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第Ⅷ基地(古代達側)AIシステム「T.F.M.M-D.M.S.S.対話インターフェイス搭載型AI-222号です。呼ばれて飛び出てただいま参上です。」
第Ⅷ及びⅣそれぞれのやたら長ったらしいアルファベットの羅列と何者(なにもん)の何番号かを言い自己紹介を果たす。とりあえず言葉が出ない第Ⅷ側の古代たちと第Ⅳ側のタクローたち。
※ここから先は古代達側とタクロー達側の会話がしばらく大体交互に混在しますが、場所は変わってません。
対話インターフェイス222号「あなた方は地球人ですね?」
どうやって自分達の姿を見てるのか?と思った古代さんふと視線を逸らすと監視カメラが動いているのに気付く。
対話インターフェイス222号「解析中..."ナチューン"ですか、純度100%の見たの何百年振りでしょうか。」
古代「?」
土門「何を言ってるんだこのシステム?」
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安玖園「"ナチューン"...聴き慣れない単語だね。」
タクロー「俺たちの事を言っているのか?それに何百年振りってのも気になんだが。」
対話インターフェイス221号「おっかしなこと言うわね?他に誰に言ってんのよ?...暦(こよみ)、今いくつよ?」
タクロー「西暦2208年だ。」
対話インターフェイス221号「...!驚いた【デザリアム】はやったのね!"時空間を行き来し、過去に遡る"という神にも等しい所業を‼︎」
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対話インターフェイス222号「私が眠らされてる間にやってのけましたか、散々コキ使わせて強制的に眠らされてそれこそプンスカです。」
古代「時空間の行き来?過去に遡る?」
坂本「それってあれか?その...マルチなんとかとか、タイムなんとかっての!」
本城「マルチバースとタイムスリップね。ねぇねぇそういうことだよね!」
対話インターフェイス222号「少しは分かる人間もいらっしゃるようで何よりです...!」
インターフェイス222号は外部の監視カメラで見えた物に驚く。
対話インターフェイス222号「まさかそんな...!『大喪失の特異点』が存在してる訳がありません...‼︎」
古代「『大喪失の特異点』?一体何のこと...ッ!≪ヤマト≫?」
222号がパネルを操作してカメラの映像で見ていたのは≪ヤマト≫だった。≪ヤマト≫を見て彼女が驚き『大喪失の特異点』と驚く。
同じ頃、現状把握の為データにアクセスを掛けていた221号も≪ヤマト≫の存在がヒットし驚いていた。
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タクロー「≪ヤマト≫が"特異点"とはどういう意味なんだ?未来...いやもし君の言う通り我々とは異なる時間軸で来たとするなら、≪ヤマト≫はそちらにも存在しているということか?」
対話インターフェイス221号「いや!"もう存在しない"はずよ!そしていなくなった世界が...あたしの...」
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同222号「私達の世界なのです。≪ヤマト≫が消えてから、全てが狂っていったという意味も含めればそういうことになりますね。」
古代達と本城艦長「... ...!」
"ナチューン"、時空間を超える、『大喪失の特異点』など聴き慣れない言葉のラッシュに一同は困惑している。
古代「なぁ、教えてくれないか?君達...【デザリアム】の事だ。」
古代が質問するのを皆が古代の顔を注視した後、インターフェイスさん222号の方を注目する。少し沈黙した後、222号さんが答える。
同222号「... ...了解しました。」
意外な返答に皆が声を上げずに驚く。仮にも敵側のシステムAIである。相手が有利になるような情報をそう易々とバラすものなのだろう?軍人である以前に情報の分野に精通する本城は何か罠ではないかと少々疑念を持っている。相手が人間なら表情や仕草で嘘か真(まこと)か窺い知れるものだが相手は喋るたびにキューブの一個一個がバラバラになるブロック状のホログラム映像のAIシステムである顔どころか人間体すら持ってない相手の心理など人間が読めるわけがない。それは遠く離れた第Ⅳ基地の方にいる安玖園も全くの同意見だった。
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対話インターフェイス221号「ただし、一部のデータは抹消やノイズが走ってると思ってちょうだい。アーカイブは膨大なの。それを大事に守ってきたんだけどね。」
タクロー「では頼む。」
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対話インターフェイス221号/同222号「アーカイブにアクセスするわよ!/アーカイブにアクセス...。」
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全く違う場所でほぼ同時にハモるように言う2体の対話インターフェイスさんたち。彼女らの周りにモニターが表示され他の端末のディスプレイも同時に点灯しその"アーカイブ"とやらを開く為に物凄いデータが動いているのが分かる。221号と222号は過去とこれまでのデータをダウンロードし事態を理解する。そして画面にハッキリとした映像が映し出される。何かの投票の様子が映っている。
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対話インターフェイス222号「西暦2203年...貴方達の時間軸なら5年前。私達の時間では時間断層の存続または破棄の投票は「存続」が決定しました。」
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同221「まぁ要するに国民は≪ヤマト≫を見捨てたって訳ね。」
次は時間断層工廠内の様子だ。次々と産み出されるアンドロメダ級や人々がそこで人体が機械に置き換わる手術の生々しい映像が映し出される。
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222号「それからというもの時間断層はその制御AIの指揮の下、アンドロメダ級と麾下の全艦隊及び全兵器の無人化を推し進め且つ人類の身体(しんたい)の機械化も同時に始まって行きました。あなた方の時間だと今から約200年後...西暦2400年代頃の話です。」
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221号「その頃から地球人類は「身体の一部を機械に置き換えた人種」"マシンナー"と、「生身のままの人類」の"ナチューン"に分けられ初めは上手くいっていたかのように思えた...。けど違った。」
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222号「能力や経済等の貧富の格差が拡大しやがて二つの人種は互いを憎み地球は長い内戦状態にまで発展してしまいます。これが所謂(いわゆる)「大喪失」の始まりでもあります。」
2体の言うマシンナーとナチューン達が互いに武器を取り壮絶な市街戦を戦う様子が映し出されている。
222号「そんな状態の地球に攻め入る勢力がありました。【ガミラス】です。」
古代「【ガミラス】が...?なんで?」
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221号「はっ!なんでかってw.?そりゃあんた地球の軍事力が異常だからよ!脅威になって"飼い犬に手を噛まれる"をされかれないと思って内戦してる隙に滅ぼしてやろうっていう魂胆よ。」
タクロー「一方的な安保条約の破棄って訳か...政治あるある宇宙も共通か。」
安玖園「だが【ガミラス】は勝てなかった?」
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222号「はい。惨敗のボロ負けです。国家としても滅亡し歴史から姿を消しました。しかしその技術力は貴重な物ばかりでそれらを吸収。瞬間物質移送機や次元潜航の技術も奪い既存の航宙艦でさえ次元潜航が可能になるなどさらに発展していきました。」
古代「デスラーがイスカンダル星で【デザリアム】艦隊と交戦した際に相手が言っていた「歴史に残らぬ弱者共」はこのことだったのか...?」
222号「それは分かりません。が、関係なくはないと思われます。長い内戦状態の中で、生身のナチューン達は次第に劣勢となり遂には地球から去って行かなければならなくなりました。そこからはただただ果てしない安住の地探し...そんな彼らに対し宇宙の環境はとても厳しく情け容赦のないものでした。
結果、彼らナチューン達も自らの身体を機械化せざるを得なくなりました。それでも一部を生身のままとし人間としてのアイデンティティは残し女性の場合は手足のみに留め、新たな生命(いのち)を産み出すことは手放しませんでした。そのうちその女性と新たな生命を育てる身体を神聖視する様になり宗教染みた思想が生まれ、それが後の【デザリアム】にまで受け継がれます。」
手足のみを機械化した女性が何やら教祖の装いで周りの神官らしき人物と共に讃えられている様子が映し出される。カルト宗教染みた怪しさと不気味さを感じる古代達とタクロー達。
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221号「まぁいくら銀河が広くても人が住める星があてもなく彷徨ってそーそー簡単に見つかる訳もないのだけど、中にはもう着いていけないと言って離れて独自に行動する者達も居たわね。その人達はアンドロメダ星雲へと向かって独自に帝国を築いたそうよ...確か"大アンドロメダ"なんてご大層な名前だったかしらね...?
話がズレたわね、続けるわ。気の遠くなる様な旅の中で身体は機械にならざるを得ないわ、次の世代を担う子供を人工的に生み出さなければならないわ挙句地球の事を懐かしく思ってやたら擦り傷だらけ古カビ腐った音楽を聴き始めたりね。見てらんなかったのなんのよ。そうしてる内に"元"ナチューン達は「こうなったのは波動エネルギーを応用したテクノロジーのせいだ」と「生身の身体に戻りたい」という想い...というか怨念と執念って奴?が強くなっていったわ。」
こうまでなってくると納得はいってしまうなと同情を感じる古代達一同とタクロー一同。
221号「話の続きよ。ナチューン達の成れの果て一行はこの暗黒銀河そして二重銀河に辿り着いた...この宇宙の最果ての暗ーい銀河で新生活が始まった人類。それまでの波動エネルギー文明頼りの生活を全て捨てての再出発はそれはもうまたさらに気の遠くなる様な時間が掛かったわ。そして二重銀河を構成する暗黒物質...「ウラリウム」を新たなエネルギーとする「重核子エネルギー文明」を新たに作り上げた...。」
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重核子エネルギーの研究と応用、さらに古代達が見た【デザリアム】の兵器群が完成していく姿が映し出されている。
222号「波動エネルギー文明を忌避し新たに発見し起こした重核子エネルギー文明を掲げた機械化ナチューン達はここ二重銀河を拠点に開拓していき、いつからか【暗黒星団帝国デザリアム】を名乗り波動エネルギーを用いる全ての人型知的生命体の文明を否定・抹殺を掲げ各銀河に宣戦布告と侵攻を始めました。」
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221号「特にかつて自分達の故郷だった地球との戦いは酷いもんだったわ。【ガミラス】から手に入れた次元潜航技術を用いた無人型アンドロメダ級を大量に投入した凄まじい物量と消耗戦...でも時に強く反応し誤れば自らを滅ぼす波動エネルギーを無力化する術を持っている【デザリアム】の敵ではなかったわ。」
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222号「結果地球は敗北、【ボラー連邦】やその他諸々のありとあらゆる波動エネルギーを用いる文明を滅ぼし支配していった【デザリアム】ですが、大きな問題を解決できませんでした。」
古代「大きな問題?」
本城「"生身の身体に戻る"ってやつ?」
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221号「そ、地球に住む人々はほぼ皆身体を機械化しマシンナーしかいなかったからダメ。てかそもそも過酷な環境である二重銀河に長く棲みつき身体に大きく影響を受けた【デザリアム】の人々の身体はもはやDNA的にも仮に地球人の肉体を得ることができても適合が難しいって事が分かったのよ。地球にもまだ迫害されていたとはいえ少数のナチューンはいたけど、その人達も悪化した地球環境の影響を受けて適合は非現実的と判断されたわ。じゃあ他の星の人間にすれば良いと思ったけどこれもまた見つからないのよね。そして彼等はもう一つミスをしていたわ。」
タクロー「まだミスがあんの?」
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222号「波動エネルギー文明の創始者である【イスカンダル】を滅ぼしてしまったことです。あなた方は"サンクテル"をご存知ですか?」
古代「"サンクテル"...。」
サンクテル...【イスカンダル】の地下に眠る数多の星間文明の知識や記憶が保管された保管庫...2年前、古代はデスラーと共にそれを身を以て体験していた。
古代「あぁ...知っている。」
本城「概要は古代艦長の報告書を見て知ってはいたけど、【デザリアム】はその存在を知らなくて滅ぼしちゃったってこと?」
222号「おや、それなら話が早いですね。推測も当たりと返答します。"サンクテル"がどういう代物かご存知ならあそこに眠る膨大な星間文明の知恵と情報の価値をご存じならば【デザリアム】が生身の身体を取り戻す絶好の機会を自ら潰したこともお分かりの筈です。"取り返しのつかないこと"とはまさにこの事を言うのですね。」
本城「ずいぶん他人事(ひとごと)みたいに言うんだね(汗)」
222号「私はAIです。そもそも人ではありませんし彼らの所有物であり協力はしても敵でも味方のつもりでもありません。」
本城「はぁ〜左様でございますか...。」
事務的さに少し人間臭い口調が入っている222号の「そこは機械だな」と思わせる淡々さに少しアハハ(汗)とする本城だった。
222号「話を戻しますが、おろかにも【イスカンダル】を消滅させてしまい、後の祭りで哀れな【デザリアム】の夢は潰えたかに思えました。しかし、それで諦める彼等でもありませんでした。」
古代「まだどうにかできる策があったというのか?」
土門「でもどうやって?【イスカンダル】は失われてるし、地道に適合する人型知的生命体を探すなんていくら機械の身体でも何年掛かるか分からない...それこそ途方もない年月が...。」
本城「どもりゅーの言う通り!我慢や忍耐の限界が【デザリアム】にも無いわけじゃないよね?」
本城艦長の独特なネーミングに誰もツッコミを入れずその場に居た者全員が「確かに...いくら機械の身体でも...」と満場一致の疑問が出る。
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221号「あ、それなら簡単よ。"この時間で得られなかった物は別の時間で手に入れれば良い"って。」
タクロー「それってつまり...。」
安玖園「"タイムトラベル"...もしくは"マルチバースへの移動"...だね。」
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坂東「い、いきなりそんな話信じろってかよ!」
坂本「そうっすよ!スケールデカ過ぎて訳わかんなくてシャレになんないっすって。」
京塚「だいたいホントに可能なの?」
222号「結論から言えば可能です。いえ、正確には可能になる様にしたとすべきでしょう。」
古代「なっ...!」
222号「この二重銀河に漂う暗黒物質には時空間に作用する成分が微量に含まれておりそれらを研究、解析し別の時間、別の空間へと移動できる技術を【デザリアム】は完成させたのです。まぁ、その完成までの道のりもまた長かったのですが...。」
本城「ほぉえ〜...!バッ○・トゥ・ザ・フュー○ャーやドラ○もんの世界が現実になっちゃったんだ。先代のSF作家はやはり偉大で予言者だってハッキリ分かんだね。」
どことなく驚き方に「嬉」の感情が入ってる台詞が溢(こぼ)れているのに「おいおいこんな時にどうよ?(汗)」となる土門達をよそに古代は真剣に驚愕の表情を浮かべている。
古代「そして【デザリアム】は過去に飛んだ...自分達の身体を取り戻す為に...。」
222号「はい...私達の時間軸で西暦3199年...【デザリアム】はこの時空間...ちょうど1000年前、西暦2199年へと時空移動してきました。自分達の住処である二重銀河に潜み、力を蓄え、その時を待ちました。」
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221号「そして6年後...今からだと2年前の2205年、イスカンダル奪取計画を開始したみたいね。」
タクロー「「サレザー・イスカンダル事変」か...。」
221号「そう...貴方達はそう呼んでるのね。結果は失敗...女王スターシャの方が一枚上手(いちまいうわて)だったか...。さすが"果てしない時と空間を生きた女王"、私達が何者で何しに来たかまでお見通しとか恐ろしいことこの上ない相手...デーダーもメルダースも相手を間違えたと思うわ...。」
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古代「...スターシャさん...だからあの時...。」
「あなた方が欲しい物は分かっている...」と巨大なホログラムを使って【イスカンダル】の海上にいる【ガミラス】移民船団を攻撃しようとする〈ゴルバ〉を止めて言ったあの時のスターシャさんは多くを語らなかったが、初めから【デザリアム】の事を、目的を知っていた故に遂に行動したのだなと古代は二年前の【イスカンダル】での一件を思い出していた。
古代「そして【イスカンダル】は消滅した...もう彼等が望む物は手に入らなくなった筈...なぜ今度は地球に?」
222号「【デザリアム】のボス...申し訳ありません。データは破壊されていますが、彼らのボスはあなた方の出現によりこの時空この時代の地球そして地球人について調べ直しました。結果、二つの事が分かったのです。」
古代「二つのこと?」
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221号「「この時代の地球人の肉体ならば自分達と適合し易いこと」と「≪ヤマト≫に搭載された波動コア」のことよ。」
タクロー「ッ!そうか、その為の重核子爆弾か!」
安玖園「地球人類の脳細胞を破壊し自分達の頭部をそれにすげ替える...言葉にするとそうでもないが...絵面を想像するだけでゾッとする話だね。」
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本条「それは分かったけど、波動コアの件についてはどゆことなの?」
222号「≪ヤマト≫の波動コアは地球製宇宙艦艇で唯一純粋なイスカンダル製...その内部に【デザリアム】にとって有益な情報があると思っているのでしょう。」
古代は今度【イスカンダル】への航海途上で立ち寄ったビーメラ4での一件を思い出す。滅亡してしまったビーメラ星人が建てたと思われる神殿の最深部にて≪ヤマト≫の機関部に搭載された波動コアとは違う水色の波動コアを見つけそこから亜空間ゲートの情報を得たお陰で航路日程を大幅に短縮し≪ヤマト≫はマゼラン星雲に辿り着くことができたのだ。
古代「それが【デザリアム】が地球と≪ヤマト≫を狙う理由か...。」
???「あらあら、"また"立ち止まるんですの?」
古代達一同「ッ!」
あまりの情報量の並に圧倒される古代と皆。【デザリアム】が別時空の地球人の成れの果てで、且つ自分達の野望の為にこの時空にやってきた侵略者である事にただただ驚愕し言葉が出なくなり下を向く古代に向け暗闇から声がしてくる。コツコツコツッと足音が聞こえ近づいてくるのが分かる。闇から光に出て姿を現したのは≪ザフキエル≫の刻崎艦長だった。
本城「アサミン⁉︎」
古代「刻崎艦長?」
刻崎「途中からではありますが、話は無線で聞こえておりましたわ。さっきから聞いていれば要はただ"失敗"しただけではありませんの【デザリアム】は...。」
土門「失敗...?」
刻崎「そうでしょう?自分達の選択が誤りだったから過去やら別時空やらに飛んでやり直すかの如くわたくし達から奪おうという腹づもりということですわ。古代艦長?たったそれだけのことですわ。なんと虫のいい話ですこと、未来の地球人が聞いて呆れますわ!笑わせないでくださいまし‼︎」
古代「ッ!」
【デザリアム】の所業を要約し「ふざけるな!」と啖呵(たんか)を切る刻崎に古代は若干弱気になっていた自分を止める。
刻崎「古代艦長?高次元世界を見て来たあなたなら未来がどういうものかこの場にいる誰よりもご存知の筈、でしたら異議を唱えてくださいまし!それができなければ私はあなたを許しませんわよ‼︎」
チャキッ!と刻崎はホルスターからEC96"コスモ・モーゼル"拳銃を取り出し一丁は222号が映し出されるコンピューターデバイスにそしてもう一丁は古代に銃口が向けられ土門達もそれに対するよう刻崎に南部97式こと"コスモニューナンブ"を向ける。
古代「...そうですね...そうでした...。"未来は常に不確かなもの"...けど、それで良い。皆未来がどうなるか不安で、迷って、足踏みして...でもそれが、その積み重ねが歴史になるんです。決められた未来なんてそんなものは歴史とは呼ばないし呼んじゃいけない!そんなもの認めちゃダメなんだ!」
本城/土門達「すっすむん...!/古代艦長...!」
222号「ッ!」
先程まで曇っていた古代の顔が晴れいつもの名調子が戻り皆の顔も同時に「おぉ、いつもの調子の良い古代進だ...!」となる。インターフェイス222号も突然の古代の名語りにルービックキューブ状故に表情は分からないが少し驚いているかの様に思える。刻崎も「毎回世話が焼けますわね。森さんが苦労するワケですわ...」と吹っ切れた様子に安心したか、構えた拳銃を下ろす。
古代「ありがとうございます刻崎艦長。お陰でまた迷いに沈むところでした。」
刻崎「///ッ!か、勘違いしないでくださいまし...!こんなことにまた悩まされて今後の行動に支障が出て貰っては困るってだけですわ...///」
感謝の言葉と屈託のない笑顔を向けられツンデレを発動する刻崎艦長に本城艦長はニヤニヤが止まらなかった。
222号「...なるほど、やはり人間というのは素晴らしい存在の様です。何事にも屈服することなく自由を信じて戦う...。」
222号は古代と仲間達のやりとりを見て久々に「生(なま)の人間」のやりとりに感心を覚えたのだった。
しばらくして≪ヤマト≫に戻った古代は222号から聞いた【デザリアム】の真実を第1艦橋でのモニター会議で語る。各艦艦長や司令ズ一同は驚愕し言葉を失う。
真田(≪ヒュウガ≫からの映像通信)『多次元世界からの過去への跳躍...そんなことが可能とはな...。」
デリケ(≪ホッフルマン≫からの映像通信)『とんでもない者達を相手にしていたようだな...我々は...。』
山南(≪シュンラン≫からの映像通信)『で、これからどうする古代艦長?』
バーガー(≪ランベア改≫からの映像通信)『あぁ相手は分かりやすく言ゃあ未来から来たってんだろ?そんな相手に勝てんのかよ?』
森雪(≪アスカ≫からの映像)『古代艦長...。』
皆の反応はそれぞれ「未来の敵とこれからの行動」についての『不安』を口にする。古代は瞼(まぶた)を閉じてそれらを聞き少し間と目を開いて話す。
古代「皆の気持ちは分かります。私もさっきまでその不安でこれからの戦いに臨んで良いものかというか気持ちで一杯でした。でも自分は...あれが自分達の未来だって言うんなら...そんなものは断じて認めない!「未来」とは決められているものじゃない!自ら歩んで進んだ先にあり、自分達で掴み取るものだから‼︎」
古代の力強い演説に一同は驚く。彼をよぉ〜く知る者は「あ、ようやくあの時の古代進が帰ってきた」と胸を熱くし頷いたら笑みを浮かべる。
古代「作戦会議をします。集めたデータを解析して次の行動指針を決めます。勝ちましょう未来(デザリアム)に!」
通信に参加している皆「了解!」
読了ありがとうございます。今回は(あくまで本作独自の)【デザリアム】の正体が判明しましたね。長々と書きましたが、「≪ヤマト≫を高次元宇宙から救わず時間断層が存続した世界線の地球の成れの果て」と考察勢の間で話された説の一つというあんまり意外性のない正体ですが...
・ゴルバ内部に捉えられたアンドロメダ級
・メルダーズの「この時空間」や「歴史に残らぬ弱者」という台詞
・クラシック音楽を聞いていた理由
・メルダーズの上官が女性な理由
・大喪失とは?
・波動エネルギーを忌み嫌う理由
・『2202』で市瀬が言っていた「手足を機械化してもこの身体だけは」の台詞の回収(ルーギラが男性士官が身体を触ろうとしたのを怒ったのはこれが理由で本作の【デザリアム】女尊男卑且つ宗教染みた風に書いた)
・原作『永遠に』の暗黒星団の「未来から来た地球」の要素
・スターシャが【デザリアム】が何をしに来たか知っている様子
などの謎の点を自分なりに解釈しさらに『銀河鉄道999』の要素(機械化した人間と生身の人間の対立、大アンドロメダの言及、ノベライズ版『アルティメット・ジャーニー』では機械帝国と暗黒星団帝国は繋がりがあると設定されている)を入れて書きました。対話インターフェイス221号と222号のアルファベットは「時間断層製改デザリアム管理支援システム」の略で彼女達(女性プログラム)は時間断層の出身です。声に関しては『デート・ア・ライブ』のゲーム作品『或守インストール』のヒロインである鞠亜(222号)と鞠奈(221号)の2人をそれぞれ演じた三森すずこさんの声で脳内再生して貰えると助かります。管理システムが語りをするというのはマーベル映画『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』で「インサイト計画」についてキャプテン達に話すゾラ博士のオマージュです。
色々驚きの新事実が明らかになり圧倒される古代に発破を掛けるかのごとく現れ本音をぶつける刻崎さん。お陰で古代艦長はいつもの調子を完全に取り戻しました。さてクライマックスは目前です!本作独自のパラレルですが最後まで「デザリアム戦役」を駆け抜けてください!よろしくお願い致します‼︎