宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" 作:箕理 田米李
地球近傍宙域
防衛軍残存艦隊・本隊【ライジング・サン】
総旗艦≪アルデバラン≫
第2艦橋(CIC:戦闘情報センター)
レーダー/通信手「全艦、有視界戦闘用意!超長距離雷撃戦に備え!各艦は魚雷の装填急げ!別動隊【D4C(ディーフォーシー)】の合図があり次第攻撃、雷撃第四波後に機動部隊は艦載機を発艦されたし。」
地球奪還及び帰還に燃える防衛軍残存艦隊、作戦名『オペレーション・サンライズ』の本隊【ライジング・サン】を率いるは防衛軍総旗艦≪アルデバラン≫だ。本隊参加の全艦艇に作戦要項に従った指令を出すオペレーターの姿を見る艦長の谷そして副長。
副長「多田部司令の作戦、上手くいくのでしょうか...?もし失敗すれば地球奪還の機を逃します。」
谷「副長、彼とその艦隊を甘く見るな。我々よりも遥かに優れた科学力を持つ【デザリアム】に対しただ戦って生き残っただけではない、我々だけでは手に入れられなかった数々のデータも取ってきたのだ。そしてそれを活かす術を他の誰よりも心得ている。」
副長「は、それはそうですが...。」
谷「この作戦はこちらにも影響があるらしいが、≪銀河≫の方は準備できているのか?」
副長「は、それは滞りなく。」
谷「よろしい。各艦の雷撃戦用意遅いぞ!艦載機隊も最終チェックはちゃんと済ませてな‼︎」
≪銀河≫
第1艦橋
藤堂早紀「まもなく【D4C】隊の作戦が始まる!連動良いか⁉︎」
ホワイトアナライザー(≪銀河≫付き指揮補助AI)「イツデモドウゾデス艦長。」
神崎「またもやとんでもなさそうな物を用意して来ましたね多田部艦長は...。」
藤堂早紀「ついこの間まで私達も似た様なモノだったけど...。」
「ふふっ...」と早紀と神崎は互いに微笑む。それは5年前、「ガトランティス戦役」の末期のこと...人間性よりも合理性を、効率を重んじて機械染み、人間の弱さを克服しようとしていたあの頃をだ...。一時(いっとき)とはいえ過去の暗い思い出を蘇らせても浸ることはせず二人はまたキリッとした顔に戻り作戦に集中した。CRS(コスモリバースシステム)のせいで相変わらず武器は使えないが、その電算・情報処理能力の高さが今回は必要となる。遠く離れた場所にある≪マキナ改≫及び≪アクエリアス≫からの送られて来るデータを精査しそれを使った作戦に移行できるように準備を進める。
地球近傍宙域(本隊【ライジング・サン】とは別の宙域)
防衛軍残存艦隊・別働隊【D4C】
旗艦≪デア・エクス・マキナ改≫
第2艦橋(CDC:戦闘指揮センター)
クロンナウア「全艦、雷撃終了!」
タクロー「ヨーソロー。(カチャッ ピッピーッ!:手元の艦内無線機を操作する音)「テック、≪ネメシス≫ら第二群【ダークサイド・ムーン】とミュージックの用意は?あと敵さんはどんなんなん?」
第1艦橋
手邦「先程、冬月司令からシグナルOKのサインあり。曲の方はいつでも聴かされますと同隊所属の≪アクエリアス≫から返信あり!敵さんは三方(さんほう)をしっかり囲っています。北米、欧州そして極東それぞれの管区の上空にいます!」
手邦はレーダー/通信手席で密かに地球圏にある監視衛星や戦闘衛星のカメラをハッキングし地球上及び衛星軌道にいる敵の様子を覗き見している。けどられないように【デザリアム】式のアルゴリズムで操作している為もちろん気付いていない。
戻って第2艦橋
タクロー「よろしい。では聴かせてあげよう!【デザリアム】にとっての破滅のメロディーを‼︎『※Information high(情報に呑まれて死ね)』発動‼︎」
クロンナウア「っしゃあ!ミュージィィィック スタァァァァァァトゥッ‼︎」
ツゥニィ(AI-221号)「承認、作戦参加の全艦隊に共有!行くわよ‼︎」
※『マクロス』シリーズのOVA『マクロスプラス』(94〜95年)の楽曲。自我を持ったヴァーチャルアイドル(分かり易く言えば初音ミ○の大先輩)シャロン・アップルが地球に住む人々を洗脳する際に歌った(『シャロン・アップル事件』)。ここからはこれを流しながらお読み下さるようお願い致します。
クロンナウアがコンソールを操作し同時にツゥニィもそれに合わせるかのようにプログラムを作動させる。≪マキナ改≫と同じ【D4C】に属する≪アクエリアス≫、そして本隊の≪銀河≫もそのシグナルを受け取り各艦の艦長である安玖園、早紀がそれぞれ号令を出し作戦を実行する。それは【デザリアム】側にしたら何の前触れもない本当に突然のことだった。病気に例えるなら初期症状が出ず突然発症するようなものと言えば良いだろう。ではその様子を見てみよう。
地球・極東管区
【デザリアム】地球攻略特別編成派遣軍司令部(旧地球連邦防衛軍司令部)
司令室
カザン「グァアァァァォアァゥゥゥァァァァァァァァっ!アゥッウォォォォォッ‼︎‼︎⁉︎」
【デザリアム】の地球攻略軍司令であるカザンは司令室で突然の身体の不調に倒れ頭を抱えながら悶え苦しんでいた。だが彼だけではない、司令室に報告に入り込んで来たデザリアム兵とまた同じ耐え難い苦痛を受けながら「し、司令官...!」と言いカザンも「な、なんだこの身体中の痺(しび)れのような痛みはぁッ⁉︎」と問うが「分かりません!突然のことで他の皆も我々と同じように...ぐおぉぉぉぉッ‼︎」と返すしかないデザリアム兵。
同管区・重核子爆弾外周
宗像「ッ⁉︎隊長、奴ら様子が変ですよ(双眼鏡を手渡す)。」
古野間「ん?(双眼鏡を受け取る)ッ!なんだ⁉︎ありゃ、まるで痙攣(けいれん)か発作でも起こしてやがるみたいだ。」
空間騎兵隊隊長古野間率いる<パルチザン>は攻略・解体目標である重核子爆弾外周を取り囲みその周囲にいる警備のデザリアム戦力の様子を遠くから双眼鏡で確認していた。陸上げされた魚が地面をピチピチッ!と跳ね上がるようにも思えるその異様で奇妙な光景に戸惑うというか軽くドン引きしてる者すらいる。そんな中ピピーッ!×2と古野間のヘルメット内蔵の無線機から電子音が鳴り「俺だ」応答する。
古野間「分かった(ピッ!:通信を切る音)。宗像、どうやらあれが合図らしい。いくぜ!」
宗像「はっ!全隊!援護射撃と同時に突撃ィッ‼︎」
古野間ら空間騎兵隊を中心に<パルチザン>は一斉に走り始める。同時に遥か後方から援護射撃の砲撃やミサイルが飛ぶ。それは海上にいる<パルチザン>の司令部となっている既に退役の身でありながら文字通り「老骨に鞭打つ」を体現し活躍する金剛型宇宙戦艦≪キリシマ≫と【デザリアム】の目を盗みし海中に隠匿(いんとく)させていたアンドロメダブラック(BBB)級や無人ドレッドノート級などの防衛軍艦艇やそれらと同じく旧時間断層工廠で建造されていた【ガミラス】の艦艇群による艦砲射撃だった。その上空をこちらも※モスボール保存または一部基地で現役だった九九式空間戦闘攻撃機<コスモファルコン>が飛び、制空権を確保すべく【デザリアム】の"イモ虫"こと襲撃戦闘機<カタピラス>を撃ち落としていく。
宇宙戦艦≪キリシマ≫
第1艦橋
オペレーター「長官、地上部隊攻撃開始しました。」
藤堂「うむ。こちらは引き続き艦砲射撃による支援を継続せよ。」
芹沢「一体、敵に何が起こっているのでしょうか...?」
藤堂「分からん。だが敵が怯んで隙が生まれているのは確かだ。何がどうあれこの機を逃すことはできない、この戦いで【デザリアム】とは決着を着けねば。」
芹沢「同感です。」
※ここからは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のBGM♪『SALLY』を流しながらお読み下さい
決意の表情と意を述べる長官に芹沢もまた気を引き締める。火器管制担当のオペレーターが地上の<パルチザン>から送られてきた座標データを元に照準を合わせまた艦首VLS(垂直発射装置)から対地ミサイルが放たれる。それに続いて簡易的とはいえ少人数で運用可能な有人仕様となったBBB級及び無人クラスDから密かにかき集めた三式融合弾が主砲から次々と放たれる。放物線を描いた実弾はヒュウゥゥゥゥゥゥッと音を立てつつ重核子爆弾周辺を守護する【デザリアム】の歩兵や掃討三脚戦車<ガバリア>、殲滅多脚戦車<ガーム・ビゥ>がその音を聞き空を見上げた次の瞬間には最後にこの世で見た光景が真っ赤な爆炎と感覚は着弾の衝撃波のみである。木っ端微塵かはたまた吹き飛ばされてボロ雑巾になるかのどちらかである。それまでのゲリラ戦とは違い激しさを極める地上戦と空中戦はここ極東管区だけでなく同じく重核子爆弾を撃ち込まれた北米管区と欧州管区でも同じだった。
突然の謎の激痛と地上での<パルチザン>の攻勢に対処しようにもできない【デザリアム】側...それは宇宙にあり地球を取り囲むようにいるゴルバ型浮遊要塞と付近にいる艦隊もだった。
地球・極東管区軌道上
ゴルバ型浮遊要塞≪ニィデ・ドゥ・ディアブルⅠ≫
司令室
司令「グゥッうぅぅ...!地上...司令部の...カザン総司令は...繋がらんの...かっ...⁉︎」
オペレーターA「ダ、ダメです...!地上はおろか...他の浮遊要塞...や...付近の艦隊とも連絡...が...!」
ビュンウィン!(電子音)
同B「ッ!敵魚雷!数は...多数...ッ⁉︎」
全身に走る激痛に悶(もだ)え苦しみ中の≪ニィデ・ドゥ・ディアブルⅠ≫に大量の魚雷が舞い込んで来る。≪ディアブルⅠ≫自体は直撃を受けても膨大な※⑴重核子エネルギーからなる位相変換装甲では蚊に刺された程にも感じないが、付近にいる艦隊はそうはいかない。プレアデス級の発展指揮型の改級や通常型などは※⑵位相装甲を最大出力にすれば防げるが機関出力の限界もあってゴルバのように常時展開させることはできない。より小型の※⑶タイゲタ級巡洋艦やプレイオネ級レーダー・ピケット巡洋艦、ヒアデス級護衛艦、ケラエノ級駆逐艦では尚更でたった一発の魚雷でも撃沈もしくは中〜大破は免れない。その隙に≪アルデバラン≫率いる【ライジング・サン】本隊がワープアウトし損傷したデザリアム艦だけでなく健在ない艦も片っ端から攻撃し始める。
※⑴『3199』のデザリアム艦のエネルギーは「位相エネルギー」ですが、本作は『3199』公開前に執筆したので「重核子エネルギー」と設定しています。
※⑵『3199』の位相変換装甲は実弾も軽く防げますが、本作は『PS版』の設定に準拠している為、「ビーム等のエネルギー兵器には強いが実弾には基本弱い」となっています。ただし出力が強ければ防げる設定となっています。
※⑶『3199』のタイゲタ級は大型輸送艦の艦級名ですが、本作では『PS版』暗黒星団巡洋艦級に使用しています。
本丸のゴルバ型≪ディアブルⅠ≫の攻撃を知った北米管区軌道上にいる同型の≪ニィデ・ドゥ・ディアブルⅡ≫は自分達も苦しいながらも救援に向かおうとするも、それに待ったを掛けるが如くこちらにも魚雷の嵐が舞う。≪ディアブルⅠ≫と周辺の艦隊と同様被害を受けた≪ディアブルⅡ≫の艦隊。そこにワープし殺到するは第99特戦機群第二群旗艦≪ネメシス≫率いる別働隊【ダークサイド・ムーン】の艦隊だった。「すまんが、救援には行かせんよ。釘付けにさせて貰う」と≪ネメシス≫艦長 冬月は言う。自身も老体故まもなく引退する身、これが最後の務めと思いその表情は一層厳しい。放たれる衝撃破エネルギーのラッシュ、突然の攻撃に多くのデザリアム艦は避けきれずボコられるかデブリの一員と化す。
≪ディアブルⅠ≫と≪ディアブルⅡ≫と来て欧州管区軌道上にいる最後の一基である≪ニィデ・ドゥ・ディアブルⅢ≫も混乱していた。自分達も悶え苦しんでいるがそれを同じとして敵の出現にも苦しむ同胞をなんとかすべきとは思う≪ディアブルⅢ≫の司令官とその構成クルーだが、自分達の方にもいつ敵がやってくるか分からん状況だ、迂闊(うかつ)には動けない...そしてその予想は【デザリアム】にとって不幸にも当たってしまう。まず最初にやって来たのはトランスワープ法(艦の両舷にワープブースターとして艦艇を接舷させる方法)でワープして来た臨戦態勢でいつでも主砲や魚雷をぶっ放せる状態にある無人艦隊だった。意思なき漆黒の操り人形(マリオネット)達は無慈悲にそれを撃ちただ命令のままに敵を屠(ほふ)る。本当なら拡散波動砲で一網打尽(いちもうだじん)にしたいところだが、敵に地球を背にされている以上は無闇に撃てば地球に被害が出てしまうので使用は避けられたのだ。奇襲にさらに慌てる≪ディアブルⅢ≫とその艦隊にはまだ狼狽える間も与えん!とばかりに今度ワープして来たのはワープブースターを取り付けたコスモタイガーⅡの大編隊だった。ブースターには上下に4機ずつ計8機が磁力で張り付いてブースターを接続している1機と共にワープしてくる。小判鮫の如く張り付いていたコスモタイガーⅡはワープアウトと同時にバラけ、ブースターを取り付けている本体のコスモタイガーⅡもブースターを切り離しミサイル代わりにデザリアム艦に対しポイ捨てならぬポイ投げをしてぶつける。敵艦隊が怯んだ隙を突いて地球へと向かいそのまま大気圏へ突入していく。
戻ってまた地球近傍宙域
≪マキナ改≫
第2艦橋(CDC)
クロンナウア「艦長!敵艦隊、作戦通り混乱が生じてます!先にワープし交戦中の【ライジング・サン】、【ダークサイド・ムーン】からも同様の報告が来てまっせ!」
ミホノラ「す、すごい... ...一体何をなさったのですか艦長?」
タクロー「なに、奴ら【デザリアム】事情を利用させて貰っただけさ。サイボーグな彼等のね。」
エレン「ッ!まさか...⁉︎」
黒異士「そのまさかだ。全くやる事がエゲつないったらありゃしないな。」
ツゥミィ(AI-222号)「ホントね。【デザリアム】の高度に発達したコンピューターとサイボーグの身体に影響を与える"ウィルス"を≪銀河≫と≪アクエリアス≫と共同で開発したのよね。」
金田「そんなものを用意していたと...。」
エレン「なぜ通用するのですか?【デザリアム】が未来から来た者達なら彼等よりも遥かに過去の存在である我々の電子技術など玩具(オモチャ)も同然では...?」
アイク「それは逆だよエレン。」
エレン「どういうことですか?」
アイク「相手の科学力が優れているからこそ逆に可能性があるんだ。彼等は半有機半機械の生命体だ。地球で天然痘(てんねんとう)ウィルスが絶滅したように彼等の文明では機械に悪影響を及ぼす物...即ちコンピュータウィルスの類そのものが絶滅している可能性が高いと踏んだんだ...そうだろタクロー?」
タクロー「そゆこと、これまでの【デザリアム】への電子妨害や拾った暗号表などのこれまで得てきた情報や成果、そしてツゥミィの存在に≪銀河≫と≪アクエリアス≫という最高の頭脳を持った艦が揃ったからこそできたことさ。」
エレン「な、なるほど... ...。」
タクロー「それに俺達別働隊の名称にピッタリだろ?」
ミホノラ「え?」
黒異士「"Dirty Deeds Done Dirt Cheap"... ..."いとも容易く行われるエゲつない行為"という意味だ。」
タクロー「それが本来だけど、"汚れ仕事を安く請け負う"ってのも含めてる。」
相変わらずの敵への情け容赦なさとサブカルクソ野郎っぷりを発揮しているフリーダムな艦長タクローにアニメ演出的な大きな汗が後頭部に描かれるミホノラ。それにもうそこまで驚いておらず慣れている自分もいるのでますます複雑だ。
タクロー「さて、そろそら我々も敵前大ワープのお時間の為にそれをしなきゃならんですよ?タッキー!クレクレ!用意は?」
鷹乃目「座標固定済み、いつでもワープできます。」
呉賀「機関正常。ワープ可能出力安定してます。」
タクロー「全艦ワープに入れ!地球デザリアム占領軍にご挨拶あそばせよ‼︎」
タクローの指示で【D4C】所属の全艦隊が≪マキナ改≫を先頭にワープ空間に次々と突入していく。行き先は帰りを待ち侘びた故郷であると同時に戦場だ。
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その頃、≪ヤマト≫は同じ65隊の≪アスカ≫、≪ヒュウガ≫そして99特戦機群の早期警戒艦≪ザフキエル≫、≪ラジエル≫を加えた計5隻はようやく辿り着いた【デザリアム】の本星に向かい聖総統スカルダーナを討つべく敵守備艦隊を≪シュンラン≫等に任せていた。がしかし、それでも敵本星からの阻止火力は厳しく且つ"ある艦"に追われていた。
≪ヤマト≫
第1艦橋
西条「敵超弩級戦艦、本艦隊を高速で追尾中!」
島「クソッ!なんて加速だ!引き離せないぞ‼︎」
古代「各艦!針路そのまま‼︎応戦可能な後方火力で足止めする‼︎」
古代がそう言うと≪ヤマト≫他4隻が後方に指向できる火力を向けショックカノン、空間魚雷をぶっ放す。全艦が最大戦速を掛けており照準なんかまともに付けられない筈だがそこは百戦錬磨の≪ヤマト≫と僚艦ズである。ほぼ全弾を命中させる。が...敵のヘヴィー級戦艦≪グロデーズ≫のその黒光りを濁(にご)らせることはできていない。「堅ぇ!だが‼︎」と≪ヤマト≫砲術長 仁科が「波動カートリッジ弾」こと七式波動成形炸薬弾を第三主砲と第二副砲に装填し照準をつけ直し発砲する。全弾が着弾する。「やった!さすが仁科さん‼︎」と喜ぶ土門だったが、爆炎に包まれた中から少し焦げつき傷がついたくらいでほぼ無傷に近かった。
土門「なっ!」
仁科「おいおい嘘だろぉ⁉︎」
古代「くっ!波動成形炸薬弾も効かないか...⁉︎」
北野「なんて奴だ...!こちらの武装のほとんどが無効化された...‼︎」
市川「艦長!≪ザフキエル≫が‼︎」
古代「ッ⁉︎刻崎艦長⁉︎」
≪ザフキエル≫は反転し≪グロデーズ≫と相対する。「弾種"停止弾"!てぇーっ‼︎」と第一主砲に時空停止弾<ザ・ワールド>を装填し発砲する。ご自慢で最強の「対象の時間を止める」時空弾...度々自艦だけでなく≪ヤマト≫ら【デザリアム本星殴り込み艦隊】の窮地を救い、敵である【デザリアム】には猛威を振るった特殊弾。三発が真っ直ぐ≪グロデーズ≫に向かい着弾、モヤっとした黒く暗い空間が広がり包み込む。急いでセットした為、長く時間を止めれないがこれで時間を稼げる...と思っていた。
が、≪グロデーズ≫はヌッとその空間を抜けて来たのだ。「なっ⁉︎」と≪ザフキエル≫艦長の刻崎、「ありえませんわ!10秒以上は止まっている筈でしてよ⁉︎」と驚く≪ザフキエル≫戦術/砲術長。
≪グロデーズ≫
艦橋
サーグラス「これが例の時を操る艦の特殊弾か...フッハハハハ!残念だったな!この≪グロデーズ≫は時間の中を航行できるのだ!その様なチャチな手品などでは止められぬわ‼︎」
高笑いしながら≪グロデーズ≫を透明化ステルスさせる。「また消えた⁉︎」「どこに⁉︎」と言う≪ヤマト≫ら艦艇ズのクルー面々。すると右舷から赤と黒の粒子の混じったビームの閃光の束が襲う。「いつの間に⁉︎」と驚いてる暇もないがとりあえずは波動防壁があるお陰でどうということはない。砲塔を旋回、指向させ応戦に入る≪ヤマト≫達。≪グロデーズ≫も位相装甲がある為もちろんこちらとて決定打にはならないただ叩き合い宇宙をしているだけだ。このまま同行砲撃戦を続けても文字通り平行線(戦)...なんとかこの状況を打開したいと額に汗を垂らしながらどうしたものかと焦り始める古代ら艦長ズ...そんな中、それでも余裕を見せ動いたのは刻崎と乗艦≪ザフキエル≫だった。戦列から離れ再び≪グロデーズ≫の正面に出る≪ザフキエル≫。先程は停止弾が効かなかったが、それだけでへこたれたり怯まないのが彼女だ。「でしたら何発でも何種類でもぶち込んで差し上げれば良い話でしてよ‼︎」と停止<ザ・ワールド>、遅延<エコーズ>、劣化<グレイトフル・デッド>、逆行<バイツァ・ダスト>とあらゆる時空弾を駆使し≪グロデーズ≫の行手を阻む。「くっ!次から次へと小癪(こしゃく)でちょこざいな‼︎」と言うサーグラス。無論時間の流れを進めるよう設計された≪グロデーズ≫に大きなダメージを与えることはできない。ただこうも時間に影響を及ぼす複数の攻撃を受けているのだ。それに反応してか装置が対応する方法が変わる代わりして狂っているのだ。
≪ザフキエル≫
第1艦橋
レーダー/通信手「敵艦、動きが僅かに鈍っています!効果は多少あるようでしてよ‼︎」
刻崎「よろしいですわ!古代艦長!皆さん!ここは私が時間を稼ぎますわ‼︎お先にどうぞ‼︎」
またもや自ら敵を引き付ける役割をしようとする刻崎に「しかし単艦では...!」と相手が強力な戦闘力を有する新鋭艦なだけに心配する古代だが、「古代!ここは彼女の言う通りにして先に進もう‼︎」「そうだよすっすむん!アサミンなら大丈夫!敵本星中枢への入り口だと思う南極点への案内はこの≪ラジエル≫がするよ‼︎」と真田と本城の進言により古代はそのまま≪ヤマトを走らせることにする。あの刻崎艦長と乗艦≪ザフキエル≫のことである。そう簡単にやられはしないしいつだっていつの間にかひょっこり出てきては手助けしてくれていた。今回も大丈夫と自分に言い聞かせて。
≪ラジエル≫
第1艦橋
本城「(アサミン!私もこっからはマジモードやるかんね‼︎)エリカたん!ツゥミっち‼︎」
E.R.I.K.A「はいよ!」
ツゥミィ(AI-222号)「了解しました艦長。」
※ここからは♪「Yell Dead Cell」(『メタルギアソリッド2/サンズ・オブ・リバティ』より)を流しながらお読みください。
本城は自身の席の机をタッチしそれが反転してキーボードを出す。備え付けのヘッドセットを帽子の上から被り「こっからはマジモード(CV.城之内くん)❗️」と自分を奮い立たせキーボードを高速タイプし「戦闘用BGM」を流しながらデザリアム本星へのハッキングを試みる。以前、電子機械化惑星<マディノアルパⅡ>でのデータがある為、【デザリアム】のアルゴリズムはより精密に掴んでいるので侵入はそう難しくなかった。いや、それとプラスして元【デザリアム】側の対話インターフェイス搭載型AI-222号ことツゥミィもいるなら尚の事だ。
ツゥミィ「このBGMなら私も知っています。実にクラシックでレトロフューチャー的ですが、今の私達には"死の細胞"の名に相応しいことがやれているかもしれませんね。」
E.R.I.K.A「ふん!あんたもだいぶ分かってきたわね(いや、喜んでいいのか?)」
ツゥミィ「当然、優秀ですからね実際私は。」
E.R.I.K.A「ッ!そこんとこホンっと可愛くないわよねアンタって(怒)‼︎」
本城「はいはい喧嘩しないよ〜2人とも。さぁそろそろ開くよ‼︎」
デザリアム本星内部への入口と思われる南極へのゲートが開く。それを確認した古代は「全艦突入!」を合図し≪ヤマト≫を先頭に突入し始める。道中、それを阻止せんとする砲台が迫り出して砲撃を始めるがこれも≪ラジエル≫のハッキングにより照準をズラされたり、砲台のハッチの展開を阻止されたりの妨害をして長い回廊を抜けていく。先に明るい光が見え出口だと感じ増速を掛ける≪ヤマト≫ら、そして抜けたそこには鍾乳洞のように水晶が幾重にも重なり連なって聳え立つ思わず美しいとさえ感じでしまう都市群がデザリアム本星中枢をなしている【水晶都市クリスタリ・アリス】だ。
「これが...敵本星の中枢都市...」と古代が声を漏らす。直後「人工都市に動きあり!」「これは、ミサイルです!水晶型の大型ミサイルが迫ってきます!数7‼︎」と林と西条が報告する。「あの都市自体が迎撃要塞だというの⁉︎」と驚く≪アスカ≫艦長の雪。「各艦!迎撃しつつ敵都市部へ艦砲射撃‼︎」との古代の指示の元に攻撃を始める≪ヤマト≫、≪ヒュウガ≫、≪アスカ≫、≪ラジエル≫の4隻。しかし攻撃は人工水晶都市部の一歩手前で止まりエネルギーは霧散する。
≪ヤマト≫
第1艦橋
仁科「なっ!」
土門「効いていない!」
古代「くぅ...!」
『≪ヒュウガ≫からの映像通信』
真田『古代!あれは位相装甲じゃない!』
古代「真田さん⁉︎どういうことですか...⁉︎」
真田『あの障壁はこれまでの位相装甲とは違う方式でこちらの攻撃を完全に消滅させている!恐らくは無尽蔵の重核子エネルギーがあるからこそできる位相装甲のさらに上を行く能力を待った超強力な中和フィールドだ!あの様子では実弾も通らないぞ‼︎」
古代「ではどうすれば...⁉︎」
新見「手ならあります!」
古代/真田「『新見技術長⁉︎/新見君⁉︎」』
新見「あの都市は周囲の外殻から完全に独立して浮いています。しかしあの都市部の動力源では都市部機能を維持するだけの能力が限度であの中和フィールドを展開できる程の出力はありません!」
真田『ッ!そうか!あのフィールドを形成している無尽蔵の重核子エネルギーが外から供給されているのだとしたら、それを伝達している中継ユニットがどこかにあるということだな...⁉︎』
新見「はい!」
古代「林!西条!技術長及び≪ラジエル≫と協力してエネルギー中継伝達ユニットを捜索!見つけて破壊する‼︎」
林/西条「「了解!」」
補給母艦≪アスカ≫
第1艦橋
南部「我々はどうしますか艦長?」
森雪「本艦は≪ヤマト≫ら僚艦を敵都市の攻撃から防ぎつつ偵察機を飛ばして伝達ユニット捜索を援護します!あの様子じゃ艦載機を使っての攻撃も効かないでしょうから≪ヒュウガ≫も同じ事をする筈よ!各艦との連携を密に!味方には指一本触れさせないつもりでやるわよ‼︎」
全艦橋クルー「了解!」
各艦クルーはここが正念場と決め、敵本星中枢を破壊可能にすべく艦と艦載機隊は水晶都市上空をエネルギー中継伝達ユニットを探し走らせる。最初の伝達ユニットを見つけ攻撃を加え破壊する≪ヤマト≫ら。喜んでる暇もなく次の伝達ユニットを探す。途中≪ラジエル≫に衝撃が走る。左舷の補助エンジンに被弾したようだった。補助エンジンが止まるだけなら問題ないが、メインエンジンにも影響を与えたかノズルからの光が徐々に失われて推力も低下し落ちていく「あ!≪ラジエルが‼︎」と言う土門に「構うな!本城艦長なら大丈夫だ‼︎」と集中を乱すなと言う艦長の古代。心配なのは誰も同じだったが古代の言う通り≪ラジエル≫はなんとか姿勢を保ち内部空間の外壁に艦首から斜めに突き刺さる形で停止する。「こちら≪ラジエル≫!私らはなんとか大丈夫!エンジンを修理しつつ引き続き情報支援するからね‼︎」と言う本城の声にとりあえずホッとして次のエネルギー伝達ユニットを探しに向かうのだった。
読了ありがとうございました。今回はタイトルや冒頭からしていきなり『マクロスプラス』ネタが来てますねw.これも前々からやりたかったネタです。コンピューターウィルスでどうこうするは『二重銀河の崩壊』や『2199』にもありましたね。他作品で言うなら『ドラえもん』の『ブリキの迷宮(ラビリンス)』ですね。地球を取り囲むゴルバとデザリアム艦隊への攻撃シーンの一部は『逆シャア』もモチーフに入ってます。いよいよ地球に帰ってきて後は蹴散らして重核子爆弾を無力化するだけですね。だがここまで来ても【デザリアム】はタダじゃやられないと思うんで苦しんでるとはいえ油断できんかも?
一方、≪ヤマト≫ら【デザリアム本星殴り込み艦隊】の戦いもいよいよ終盤。仲間に託され本星中枢に到達。硬過ぎる且つ≪ザフキエル≫の時空弾もほとんど通用しない新鋭艦≪グロデーズ≫に追われるも≪ラジエル≫のハッキングにより水晶都市にまで到達。果たして≪ヤマト≫らは水晶都市の強固な中和フィールドを突破し【デザリアム】を打ち破れるのか?
ではまた次回、次で物語にケリが着くかな?って感じ。もし着いたらエピローグやって登場人物、メカ、用語やって「デザリアム戦役編」は終わりです。