宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" 作:箕理 田米李
地球・軌道上
【地球連邦防衛軍】
『オペレーション・サンライズ』/別働隊【D4C】
第99特戦機群/第一群
旗艦≪マキナ改≫
第2艦橋(CDC:戦闘指揮センター)
タクロー「クロン!下はどうなってるの⁉︎」
クロンナウア「爆弾の起爆回路解体の報を最後に切れてますぁ!ぐおっと⁉︎」
タクロー「爆弾が機能しなくなっても敵の抵抗は激しいのか...おぉっと⁉︎」
99特戦機群は地球を囲む【デザリアム】のゴルバ型<ニィデ・ドゥ・ディアブルⅢ>と麾下(きか)の艦隊の中に飛び込み乱戦になっている。遠くからでの撃ち合いでは軌道上にある敵の放つビームのせいで電磁波が発生しているため通信波が届かないので近くまで行く必要があったこと、そして敵の懐(ふところ)に敢えて飛び込むことによりゴルバ型の強力な重核子ベータ砲やその他アルファ砲、ミサイルの攻撃を同士撃ちする可能性を生み出させるのだ。これにより実質ゴルバは無力化できるわけだが乱戦になれば当然被害を受ける可能性があるわけだから一概に正しい戦法とは言えずコンピューターウィルス攻撃により敵が混乱し組織的にまとまった反撃ができない状態であろうと実に危険な賭けであることにも留意すべきであるからしてもしもしだ。タクロー達の真下には欧州管区...重核子爆弾の一基が腰を据えている。それを地上の防衛軍残存地上軍からなる【レジスタンス】が爆弾の起爆装置の解体を済ませたとの報告を降下させ航空支援に参加させていたタクロー達【D4C】隊の航空隊から中継で≪マキナ改≫に伝えられたがその後には通信が来なくなった。【デザリアム】も少しは態勢を立て直して電波妨害を実施していると思われる。心配だが、今は敵の数を減らすのが先である。
クロンナウア「ッ!【ダークサイド・ムーン】旗艦≪ネメシス≫より入電!「我、北米管区の爆弾解除の報を受ける!敵さらに混乱と認む‼︎」」
金田「艦長!冬月司令達が...‼︎」
タクロー「えぇ、さすが...。」
北米管区の重核子爆弾の無力化の報が別働隊【ダークサイド・ムーン】を率いる99特戦機群/第二群旗艦≪ネメシス≫から齎(もたら)され艦橋クルーに明るい表情が浮かぶもガチガチの交戦中につき直後の振動でその顔も苦に変わる。
クロンナウア「ッ!≪ネメシス≫!どうした≪ネメシス≫⁉︎艦長!≪ネメシス≫からの通信が...‼︎」
タクロー「切れたのか⁉︎」
金田「冬月司令に何か...⁉︎」
タクロー「心配は後で!欧州そして北米が堕ちた今...残るは極東管区の新都にある奴だけです!敵はさらに全力で守りに掛かるでしょう。そして同時に北米そしてここ欧州軌道上にいるゴルバと残存艦隊が≪アルデバラン≫率いる【ライジング・サン】の下(もと)に殺到するでしょう!こちらもそれを全力で阻止しますよ‼︎冬月司令らも同じ考えで同じ事をする筈です!」
北米管区攻略の報せの矢先に途切れる通信。【ダークサイド・ムーン】率いる99特戦機群 第二群 旗艦≪ネメシス≫の冬月艦長らの安否が気になるところではあるのは同じ艦隊の仲間として皆同じだったが現在進行形で本命本丸を攻め落とし中の≪アルデバラン≫ら【ライジング・サン】の所に敵を集めさせない為にもこちらに留まらせておくよう暴れ回って時間稼ぎをしなくてはならない...のだが既に長い時間乱戦をやってる身としては皆傷だらけで消耗している。この決戦に挑むにあたり万全の準備をして来たつもりだが、度重なる戦闘と補修パーツの不足で応急処置程度で満足に修理ができなかった艦もある。ここに来てさらに延長となると例えこれがカラオケであってもキツいだろう。そんなことを考えてる時だった。クロンナウアから「後方に重力震多数!ワープアウト反応‼︎」と報告すると赤い十字のワープアウトの光が多数浮かび上がる。それは【ガミラス】もとい【ガルマン・ガミラス】の艦特有の物だった。そこに通信が入りメインパネルに現れる。それは見覚え聞き覚えのある顔と声だった。
ガイデロール級航宙戦艦≪フリヴィエルト≫からの『映像通信』
ルクツィア『タクロー司令!』
タクロー「ルクツィア艦長...⁉︎あなたでしたか‼︎」
ルクツィア『遅れて申し訳ありません!ルクツィア・マーイヤ!第12DSS空間装甲師団【デスラーユルゲンス】を引き連れ、ただいまこの戦闘に参加致す‼︎』
そう言って映像通信に出てきたのは2年前の第28ガミラス移民船団護衛作戦で一緒だった【ガミラス】第1DSS空間装甲師団【LSSAD】第22戦隊の戦隊司令だったルクツィア少佐だった。現在(いま)は同師団の人員から一部を教官として引き抜き旧ガミラスの青少年組織であった「デスラー少年団」と「ガミラス少女同盟」二つまとめて「デスラーユルゲンス(デスラーの青少年達)」の構成員で編成された新設の第12DSS空間装甲師団【デスラーユルゲンス】の師団長として彼等を率い地球の危機にようやく馳せ参じたのだ。
タクロー「お久しぶり...と言いたいところですが、再会を喜ぶのは後にします。ここもピンチですがあと二箇所も大ピンチなんです。」
ルクツィア『大丈夫です"大所帯"で来ましたから。』
彼女の言う大所帯は今まさにそれぞれの現場に既に到着して任務を果たしていた。一つはネレディア大佐の第8独立空間機動旅団、通信が途絶えた第99特戦機群/第二群旗艦≪ネメシス≫ら【ダークサイド・ムーン】の応援に駆け付けていた。≪ネメシス≫は敵の反撃で中破し通信機器その他がイカれてしまっていたのだ。艦長の冬月は負傷するも指揮は可能、ネレディアと情報を共有し残敵の掃討について軽く打ち合わせる。途中二人の乗艦≪ネレディウズ≫、≪ネメシス≫の二艦が敵からの攻撃を受けるも四糸乃艦長の≪ザドキエル≫率いる第440独立機動防衛艦隊がこれまで幾度とも味方のピンチを救いチャンスに変えてきた波動防壁展開ビットが赤黒い粒子が放電する【デザリアム】特有の重核子のビームの束をフィンファンネルバリア...じゃなくて...久々に発動しました波動防壁防御結界陣"ジェントリー・ウィープス"で防ぎ、撃ってきた艦に対してはすかさずビットの波動エネルギーをナイフや手裏剣、丸鋸状に変えて串刺しにしたりスパッと切って調理してみたりまた反射衛星砲の容量で跳ね返して死角から当てたりと時間としては3秒くらいだろうかタクロー仕込みの防壁ビット戦術をすっかり取り入れマスターしている四糸乃艦長たち。自分達も艦もビットも度重なる戦闘で消耗しているにも関わらずやれることをやっている。成長を実感する様相で案件だが今はお互いそうは言っていられないので互いの仕事をこなし始める。
それと同じ頃、本隊の【ライジング・サン】の下にはバレル大使の座乗艦ゼルグート級≪バレラウド≫率いるガルガミ在地球(テロン)駐留軍の一部が増援として向かい到着していた。月面で大使として働くローレン・バレルは5年前のガトランティス戦役でも同艦と共に地球最後の砦として≪ヤマト≫を援護した。その艦隊は【デザリアム】地球侵攻時は防衛軍と共に共同防衛戦線を張ったものの破れ藤堂長官からの命もあり、この事を※【ガルマン・ガミラス連邦共和国】に伝えるべく本星へ撤退し戦力を整えてやって来たのだ。
(※本作の【ガルマン・ガミラス】は原作『Ⅲ』やリメイク『3199』とは違い「帝国」ではなく西ドイツっぽく「連邦共和国」という国号をしようしています。)
タクロー「素晴らしく用意が良くてパーフェクトですよ少佐ぁ!」
ルクツィア『それとですね...こちらにもう一人"特別な客"がきてるんです...」
タクロー「特別な客...?」
ルクツィア『えぇ、なんというか...すごい複雑でどう説明していいか...』
クロンナウア「ッ!艦長!後方に大量のエネルギーとミサイルの反応が‼︎」
タクロー「ガルガミ製の⁉︎」
クロンナウア「いえこれは...!」
タクロー「鷹乃目!回避運動任せる!全艦に通達!当たりそうな艦は各個に退避しくよろぉ‼︎」
ルクツィアが言っていた"特別な客"が放ったとされるエネルギーとミサイルの束。だがそれはそれぞれ色合いは黄緑で巨大でどれもこれも【ガルマン・ガミラス】の艦艇が用いる物とは一致していないのは防衛軍に携わる者なら誰でも容易に見分けれることだった。大型対艦ミサイル群は艦艇にエネルギーの束はゴルバに向かう。前者は敵艦を大半を轟沈させデブリに帰し後者は度重なる攻撃の数々の飽和攻撃に耐えられず位相変換装甲が機能を消失し破られ遂にその分厚い装甲にも蜂の巣とまではいかないが穴が複数空く。そこに通信が入る。それはクロンナウアにとって見覚えのある周波数帯だった。「映像通信、メイン(パネル)に出します!」とスイッチを切り替え今メインパネルに映っているルクツィアが左半分にズレて右半分にこれはこれはと懐かしくも意外な人物が映し出される。
ラム『お待たせしたかな...タクロー提督?』
タクロー「ッ!...これはこれはラム艦長...(敬礼)」
※アグォルコ・ラム...【ボラー連邦】の数ある衛星国の一つ【バース民主共和国】の大公にして艦隊とその旗艦≪ラジェンドラ≫の艦隊総司令兼艦長という多くの肩書を持つ"猛将"である。明確には彼の国が属する【ボラー連邦】とは友好も敵対もましてや国交もない【地球連邦】とその防衛軍に属するタクローが知り合ったのは数ヶ月前、大マゼランから銀河中心部核恒星系へ引越しの後、規模を縮小して再出発を果たした【大ガミラス帝国】改め【ガルマン・ガミラス連邦共和国】との戦闘で大敗を喫し緊急ワープでたまたま太陽系の最果て「オールトの雲」まで飛んでしまったことによる偶然の遭遇(ファーストコンタクト)だったのだ。タクロー達は協議の末、彼等に条件付きで救助の手を差し伸べたことでテレサ的に言う彼等との"縁(えん)"が出来たのだ。あれから少し時が経ち、星理(せいり:地理の宇宙版)離れていることや戦ってる戦場や相手が違うだけに余程のことがない限り会うこともないと思っていた。
(※本作が『3199』公開前に執筆し始めた物なのでラム酒から捩(もじ)った独自の名前を使用しています)
タクロー「驚きましたよ。意外な組み合わせでおいでになるんですから...。」
ラム『いやはや私らも彼等に困っていましてね..."敵の敵は味方"...というわけではありませんが、戦いの続きは彼等を倒してからにということで落ち着いたものでご同行(同航)させていただきました。』
ルクツィア『今は敵対する気がなく敵が同じならまぁ良いでしょうということで話の折り合いはバレル大使が着けてくださりました。』
タクロー「事情は分かりました。話はまた後で!さぁ押し潰しますよ‼︎」
同・地上/新都・防衛軍司令部
カザン「くぅぅぅぅ、す、少しは動けるように...なった...か...?」
タクロー達が【ガルガミ】と珍客【バース】の増援が訪れた頃だいぶ痛みが退いたのか慣れたのか不明だが、少しずつ動けるようになり立ち上がろうとする【デザリアム】地球攻略特別編成派遣軍総司令長官のカザン。そんな絶賛呻きスタンドアップトゥザヴィクトリー?中であとは生まれてたての小鹿のように足をプルプルさせてク○ラが立ったするだけのことだがそこまで難しいようだ。そんな立つんだジ○ー!に難儀してるカザンの下にある一人の男がパシューと開いた扉から入ってくる。
カザン「ア、アルフォン...か...」
アルフォン「これはこれは総司令...そこまで足腰が弱っていたとは驚きです。几帳面な司令ですから潤滑油は定期的に指(さ)していたのでは?」
カザンがまず真っ先に頭に浮かんだことは「なぜ私も含め他の皆が倒れてるのにこやつは平然として普通に立って歩いているんだ?」という今この場にいるのが自分でなくても悶え苦しみ中のデザリアム人なら誰しもが思う疑問だった。少尉でありながら身体の機械化による他のデザリアム人の思考までも筒抜けにできる権限を持つアルフォンにとってカザンがそれを考えてるのは部屋に入って顔を合わせ会話した瞬間に読み取れていたので「神経接続の一部を切りました。聖総統...マザーとの繋がりは残しています。これだけでも充分動けますよ?」と「これぐらい早くできて当然では?」と呆れた表情を浮かべ地面に伏しているカザンを見下ろすアルフォン。するとカザンはハッとし何かを感じ取る。それはアルフォンもらしい。
アルフォン「...感じましたか?どうやらマザーが倒されたようですね。まもなくここ新都にある重核子爆弾も占拠され無力化されます。どうやらあなただけでなくマザーもこの時空間に負けたようです。」
まるで「自分は負けていない」と言いたげなアルフォンに「何を言ってるんだコイツはぁ...?」なカザン。そんな疑問な表情と視線を向けているのを気にも留めずに話を続けるアルフォン。
アルフォン「これより地球派遣軍の指揮は私が執ります。軍は地球を撤退し増援としてこちらに向かっている友軍と指定座標で合流します。カザン総司令、あなたの役目はここで終わりました。」
カザン「キサマァ!ウィルス攻撃で脳がおかしくなったかぁッ‼︎⁉︎指揮権剥奪の越権(えっけん)行為に加え軍を退かせマザーの導きのないまま漂流してなんとするかッ‼︎」
淡々と「あなたは用済みです」と宣言し腰のホルスターからハンドガンサイズのレーザー銃を取り出しその銃口をまだ立ち上がれないカザンに向ける。無論そんな勝手をカザンが許すも納得もできるはずもなくキレる。
アルフォン「我らより過去の存在に後れを取ったあなたは生きていようといまいと、どちらにせよ重罪は免れません。このまま放置するのも良いでしょうが、同胞としてそのような醜態(しゅうたい)は見るに耐えません。せめて私が楽にいたしましょう。最後に、我々は聖総統に...マザーに頼り過ぎたのです。」
カザン「うっ、ぐぅ...!キサマァァァァァァッッ‼︎‼︎」
カザンの叫びを止めるが如くビャァウビャァウビャァウ!と三発のレーザー銃独特の発砲音が部屋に鳴り響いたが、周りが既に銃声や砲声、爆撃による建物の倒壊音と凄まじく掻き消され他の者の耳には誰一人届かなかった。
場所はまた地球軌道上にいるタクローら別働隊【D4C】に戻る。本隊【ライジング・サン】の≪アルデバラン≫から一報が届きクロンナウアは艦長であるタクローに報告する。
≪マキナ改≫
第2艦橋(CDC)
タクロー「敵が撤退を始めたの?」
クロンナウア「そのようだぜ艦長。地上から複数のプレアデス級と共にゴルバと艦隊も逃げ始めてるらしい。あ、≪ネレディウズ≫の方からも同じ報告だ。」
「新都にあった最後の重核子爆弾が堕ちたか...? 敵も遂に諦めたと見るべきか...」と確信は禁物だが何にせよ膠着状態から抜け出されることに関しては朗報と取るべきではあるかな?とタクローは感じる。そんな時、航海長兼操舵手の鷹乃目から「艦長!敵が攻撃を掛けつつ前進してきます‼︎」と報告する。すぐさま「反撃!回避運動任せるヨーソロー‼︎」と艦を動かし轢き逃げされようにする。他の艦隊の者たちも見えてるので同じく避けてやる。どうやらやぶれかぶれの"神風"(カミカゼ)"での道連れではなく「道を開けろ!逃げるんだよォォォォォーッ‼︎」であった。
烈禍「どうする艦長⁉︎追撃してやっちまうか!」
高佐田「既に照準は付けている。」
呉賀「エンジンはまだいけますよ?」
タクロー「いいや三人とも、こっちも手負いが多い放っておいて!艦隊集結をさせ損害報告!地上にいる部隊とも連絡を取れるようにする!キョウキョウ!大尉!無人艦隊は艦隊外周を固め周辺を警戒、敵の再襲撃に一応備えさせて。」
黒異士/ミホノラ「分かった/りょ、了解!」
タクロー「ツゥニィ、どう思う?」
ツゥニィ(AI-221号)「確定したことは言えないわ。【デザリアム】のネットワークとは完全には切れてないけど私はバージョンの古いAIだから。けど通信量の頻度具合や波長的にはまぁ何かあったと見て良いんじゃないかしら?」
敵が蜘蛛の子を散らすが如く地球から「出てくがいい(CV.海原雄山)!」してった【デザリアム】をとりあえずは放っておくことにしたタクロー。≪アルデバラン≫の谷艦長兼司令も≪ネメシス≫の冬月艦長兼司令もきっと同じことを命じているだろうと思う。敵も消耗したがそれは自分達も同じだ。後顧(こうこ)の憂(うれ)いを断つ為にも敵は徹底的に叩くべきでありその為にも追撃は必要かもしれないが、そんな状態では返り討ちに遭う可能性も決してなくはないのだ...例え相手がコンピューターウィルスでヘロヘロのクタびれボロ雑巾野郎と化していてもだ。こういう時にはまず味方の状況を確認すべく艦隊を集め互いに連絡を取り情報を共有し然る後に地上にいる味方とも通信を繋げ状況を確認して敵の再襲撃に備えなければならない。
「敵の目的は地球人の生身の身体だから例え重核子爆弾が全基無力化されるようなことがあっても、それを得る為に全滅覚悟で死に物狂いになって最後まで地球から離れず抵抗するもんだ」とタクローだけでなく防衛軍艦隊に皆がそう思っていたが、実際にはそうではなくそそくさと逃げてったような感じだった。ツゥニィに言われたのもあるが、タクローはこれにかつて≪ヤマト≫が※①「カレル163の戦い」で途中で撤退していったドメル将軍の第6空間装甲師団の状況と重ねて見て「敵に何かあったのか?」と根拠はないが直感的にそれを感じていた。まぁ...もし敵がスタコラった理由が≪ヤマト≫にあるのだとしたらその時は帰還した後にいくらでも土産話(レポート)を聞くとしよう。さぞ面白いのが聞けそうだ、とその行動や理念には思うところあり全肯定はしないなれど一応は≪ヤマト≫とその艦隊のファンであるタクローはそうも思った。
ではその≪ヤマト≫達の様子を見に行くとしましょうか、※②良いかな諸君?それは鋼鉄の基地よりも価値あるものだ...歴史とは勝者が記すものだ...さぁ始めよう。
※①西暦2199年の「イスカンダル航海」に於いて銀河系外縁からビーメラ星系へ向かう途上にある中性子星で「カレル163」の名称はガミラス側が付けたもの。ドメル将軍と麾下(きか)の第6空間装甲師団が待ち伏せを仕掛けあと一歩のところで≪ヤマト≫を撃沈寸前まで追い詰めながらも、ヘルム・ゼーリック国家元帥によるアベルト・デスラー総統暗殺事件が発生した為に問答無用の帰投命令が下された。≪ヤマト≫側もとい【国際連合】改め【地球連邦】はこの事態をガミラス戦争後、民主化した【ガミラス】との和平条約締結後の情報交換で初めて知ることとなった。
※②『Coll of Duty Modern:Warfare 2,』冒頭のシェパード将軍の一節より
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≪ヤマト≫
第1艦橋
西条「エネルギー伝達ユニット、全基破壊!」
林「伝達ユニットからのエネルギー供給弱まる!まもなく停止すると思われます‼︎」
古代「よし!波動砲発射準備‼︎市川!≪アスカ≫に波動共鳴支援要請!≪ヒュウガ≫には周囲警戒を伝えろ‼︎」
市川「は、はい!」
【暗黒星団帝国 デザリアム】の本拠地デザリアム本星の中心核 水晶都市 クリスタリ・アリスは波動砲ですら無力化する位相変換装甲よりも更に強力な中和フィールドに覆われている。それにエネルギーを送っている伝達ユニットを破壊すれば外部エネルギーの流入が絶たれフィールドは消失するというのを≪ヤマト≫技師長の新見が突き止めそのユニットの破壊に艦を走らせる。途中、早期警戒管制艦≪ラジエル≫が敵砲台に機関をやられ制御不能となり離脱。そのまま壁に突き刺さってしまうもののハッキングで≪ヤマト≫、≪ヒュウガ≫、≪アスカ≫の手助けを継続した。その甲斐あってか電子的な妨害はほとんど受けずに済み伝達ユニット破壊に専念できたわけでつい先程三つ目のユニットを破壊し中和フィールドへのエネルギー供給を停止させその隙に波動砲を撃ち込むべくポジションを変える≪ヤマト≫。その後ろに≪アスカ≫が着き艦首の波動共鳴導波装置を作動し波動エネルギーを増幅させ波動砲の威力を極限まで高めさせる。≪ヤマト≫の機関室では太助が≪アスカ≫からの共鳴波エネルギーを受け取り漏らさぬよう操作ボタンやレバーやパネルをあっちらこっちら操作しまくる。一方の≪ヒュウガは≪ヤマト≫と≪アスカ≫の左舷(後ろから見て)に配置して警戒に当たる。
北野「古代艦長!トリガーはそちらに預けます!決めてくださいよ‼︎」
古代「感謝する戦術長、トリガー頂いた!」
「今回はそちらに譲ります。決めてくださいよ!」と戦術長である北野から波動砲の引き金を頂く古代。「ターゲットスコープ、オープン!」と言うと古代が座る艦長席のコンソールの中央が開きトリガーとターゲットスコープが迫り出す。「目標、デザリアム水晶都市中心部‼︎」と叫びトリガーを握り本物か人工物(にせもの)などこの際どうでもいいしそんな余裕もこの状況なら本来無い筈だが、思わず綺麗と感じてしまうその水晶都市をスコープ越しに凝視する。「この一撃で決めてやる!」ただそれだけを考えていた矢先だった。自分達が通って来た通路の方からドカーンッ!という大きな爆発と建物が崩れる音が聞こえ粉塵が舞う。視線がそこに注がれると姿を現したのは追っかけをしていた【デザリアム】の新鋭艦≪グロデーズ≫とそれを足止めしていた≪ザフキエル≫であった。≪グロデーズ≫艦長のサーグラスは≪ヤマト≫の波動砲を阻止すべく主砲の照準を向けさせる。「させませんでしてよ!」と散々だがここでも邪魔をしてやると言わんばかりに第一主砲に三式弾を装填し発砲、≪グロデーズ≫の右舷(後ろから見て)に直撃させる。しかし既に≪グロデーズ≫は主砲を撃った後だった。その主砲一基の砲撃はなんとか≪ヤマト≫から逸れたが、もう一基からの攻撃は波動砲発射態勢の≪ヤマト≫を狙った。それを守ろうと真田の戦闘空母≪ヒュウガ≫が盾となるべく上方に推移する。「波動防壁、飛行甲板に最大集中展開!」と真田が叫ぶ。≪ヒュウガ≫の艦体が青白い光に一瞬包み込まれた後、飛行甲板の部分が強く発光する。≪グロデーズ≫の主砲の重核子の紅いビームを受け止め眩(まばゆ)く。しかしここに来て≪ヒュウガ≫も艦のエネルギーを消耗していたが故に波動防壁も限界が来たか貫通され飛行甲板に穴が空き格納庫内部が爆炎に包まれる。同時に艦が大きく揺さぶられ報告が来る前に真田は艦が大きなダメージを受けたを感じ星名(百合亜)が告げる前に「ダメージコントロール!」と叫ぶ。
古代「真田さん!」
真田(無線通信)『心配するな古代!波動砲発射を急げ‼︎」
刻崎(無線通信)『申し訳ありません!できるだけ足止めしたつもりでしたの‼︎」
古代「了解!≪ヒュウガ≫と≪ザフキエル≫は≪ラジエル≫の救援に!市川!≪アスカ≫に共鳴波増幅を要請‼︎」
真田/刻崎/市川『『「了解!」』』
被弾した≪ヒュウガ≫はもはやまともに戦闘できないと判断した古代は≪ザフキエル≫と共に離脱させ壁に突き刺さった≪ラジエル≫の救援に向かわせる。
≪アスカ≫
第1艦橋
森雪「戦術長!さらに共鳴波を上げて‼︎」
南部「しかしこれ以上は装置の限界を超えます!」
森雪「この際壊れても構わないわ!一撃で消し飛ばすつもりでやって‼︎」
雪はさらに共鳴波を≪ヤマト≫に向け照射し続ける。既に導波装置は限界近くで悲鳴を上げているがさらに照射レベルを上げていく。パネルのゲージがみるみる上昇していくのが分かるが同時に危険域を示す赤表示も目立つようになり警告音も鳴っている。南部は「ホントにこれ以上はマズイぞ...」と苦悶の表情を浮かべる。雪自身も無理を言ってるのもさせてるのも承知で内心は南部らと同じ気持ちだがこの気を逃せばデザリアムとの決着は着けられない。今は心を鬼にして≪ヤマト≫に一発決めて貰わねばと...。
≪グロデーズ≫
艦橋
サーグラス「波動砲で決着を着けようと言うか、なればこちらもそれに応じよう!無限ベータ砲発射準備‼︎」
≪グロデーズ≫は≪ヤマト≫らの魂胆(こんたん)を悟り側を横切って下方へ向かうと艦首を≪ヤマトらに向け回頭し無限ベータ砲の砲門を開きそこから紅い光が見え始める。
≪ヤマト≫
第1艦橋
西条「敵艦、真正面!エネルギー反応増大中!波動砲クラスです‼︎」
古代「くっ...向こうもやる気か...⁉︎カウントダウン続行!奴諸共(やつもろとも)ケリを着ける‼︎」
互いに決戦兵器を使っての最終決戦。カウントダウンも同じ時を刻んでいき数字はどんどん減っていく。そしていよいよカウントは3秒前になり≪ヤマト≫と≪グロデーズ≫の艦首決戦兵器砲口部が違いに青くと赤くの光が溢れる。
古代「艦首波動砲!」
サーグラス「無限ベータ砲!」
古代/サーグラス「「発射ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ‼︎‼︎」」
と二人の声が重なり破滅を招く光が放たれ違いに一直線に向かい合う。交差したタキオン粒子エネルギーと重核子エネルギーの束同士が重なり性質の異なる物質同士がぶつかり混じり合うのかと思えばグニャンッ!と曲がりまた互いの方向へ向かう。軌道が逸れ≪ヤマト≫に向かってくる重核子エネルギーを避けるよう操舵手の島に言うも「ダメだ!相手のエネルギービームのが早い‼︎」とここまで来て万事休すかと思ったその時、「こんなこともあろうかと!」と誰かが言ったわけではないがいざという時に多目的ランチャーに予(あらかじ)め仕込んでおいた波動防壁弾を≪アスカ≫が敵エネルギー砲の威力も考慮して贅沢にも三発も放ち自艦と≪ヤマト≫を波動エネルギーの傘が守る。一方の≪グロデーズ≫は思いっきし直撃していて位相変換装甲で耐え忍んでいたものの波動共鳴波で並大抵じゃない強化がされた波動砲を位相装甲の限界値に徐々に迫り遂には臨界を突破して機能は消失し青白い光は艦そのものと断末魔を叫ぶサーグラスをも呑む。強化波動砲のエネルギーの流れはその勢いのまま水晶都市をも呑み始め同じく断末魔を上げるサーダと聖総統スカルダーナもその姿と声をも消滅させた。
同時刻・【デザリアム】本星宙域
【デザリアム本星殴り込み艦隊】防衛軍 第7艦隊
≪シュンラン≫
第2艦橋(CIC)
ピピーッ!×2(通信音)
レーダー/通信手「ッ!艦長!≪ヤマト≫より入電!「敵本星中枢の破壊成功、ワープにて本宙域を直ちに離脱されたし‼︎」です‼︎」
山南「艦隊全艦に緊急通信!戦闘を切り上げ直ちにワープの態勢に入れ‼︎」
そう言うと山南は乗艦の≪シュンラン≫を反転180°させ緊急ワープに入る。第7艦隊所属艦、一部残存した≪ヤマト≫率いる第65護衛機動群の艦艇も順次戦闘を切り上げ次々とワープに入る。バーガー率いる第27空母打撃群もキリのいいところを見つけて離脱していく。バーガー指揮の≪ランベア改≫は殿(しんがり)を務め艦隊所属全艦のワープを見届けるまで踏みとどまっていた。「全艦ゲシュ=タムジャンプ完了!」という通信士の報告に「よし!俺達も行くぞ‼︎」と掛け声を掛けるバーガー。その時、複数の紅い閃光の束が≪ランベア改≫に迫り直撃を覚悟する。しかしそれはどこからか放たれたミサイル群が間に入り防ぐ。それは同じく殴り込み艦隊を形成せる【ボラー連邦】の衛星国【ガルマン・ボラー】第9防空指揮管理中隊 旗艦 重航宙母巡洋艦≪ハイルタ・ホッフルマン≫からだった。その艦長のデリケから「お先にどうぞ、後から追い掛けます」との通信に「すまねぇ、じゃあ先行くぜ!」とお礼を返して先にワープして行く。
白色銀河外縁
≪シュンラン≫
第2艦橋(CIC)
山南「全艦ワープアウトしたか⁉︎」
レーダー/通信手「はい!65隊残存艦、27空母群、第9防空隊全艦のシグナル来ました!」
戦術/砲術長「艦長!見て下さい!二重銀河が‼︎」
山南「ッ!」
自分達の後方にある闇と光の銀河が交差する美しき二重銀河がその形と色を徐々に失い、渦の流れは止まって霧散していく。敵本星中枢に突入していった≪ヤマト≫を含む5隻はまだ帰還していない...「間に合わなかったのでは...」と生存を危ぶむ気持ちを抱く者もチラホラ出始める中、山南、バーガーら≪ヤマト≫とそのクルーを知っている者達の額には汗はかいてもまだ諦めの気持ちは抱いていない。
ピロロンッ!(電子音)
レーダー/通信手「ワープアウト反応!これは...‼︎」
山南「ッ!」
バフゥゥゥンッ!という音と共にワームホールが開き氷に包まれた艦隊が飛び出す。先頭に我らが≪ヤマト≫と後方に≪アスカ≫さらに後方に飛行甲板を損傷し艦体の一部を黒く焦がした≪ヒュウガ≫と同じく艦首と機関を損傷した≪ラジエル≫、それを曳航する≪ザフキエル≫が並んで現れる。「地球の英雄であり希望」の無事な姿に歓声が沸き立ち山南、バーガーそしてデリケらが安堵の表情を浮かべ艦長席に深く腰掛ける。
この瞬間、目的をほぼ同じとする奇妙な縁と様々な思惑の寄り合い所帯の【デザリアム本星殴り込み艦隊】の任務はこれにて終結するのだった。「現在(いま)」が「未来」に打ち勝ったのだ。
読了ありがとうございました。地球とデザリアム本星それぞれで【デザリアム】との決着を着けれました。長かった〜(疲)。【ガルガミ】と【ボラー】が「敵の敵は味方」として一時休戦の共同戦線は少し現実味に欠けますが、胸熱演出で皆好きですよね?ラム艦長もどこかで再登場させたかったのでちょうど良かった。『3199』第五章もそういう展開になりそうなので楽しみですね。そして久々の登場のアルフォン。カザン総司令を暗殺し艦隊を引き連れて逃亡しましたが、果たして彼の真意とは?
≪ヤマト≫側は概ねPS版『暗黒星団三部作』のストーリーに沿って作ったので≪グロデーズ≫の扱いが悪かったらや聖総統が少し空気になってしまいました(汗)。これは致し方なしとしてご了承ください。
さてこれがこれで戦いは終わりましたが、次の話でエピローグを書いて『デザリアム戦役編』を終了したいと思うのでまだお付き合いくださると助かります。ではまた次回。