宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" 作:箕理 田米李
土星沖 ガトランティス残党軍 機動部隊側の宙域
スコルプ・クロウ3「いいぞそのままやっちまえ❗️」
ウォーウルフ1「ジェリコ2❗️ケツに着かれてる‼️」
スチェッキン6「ダメだ❗️振り切れない‼️」
バラクーダ4「対空砲火激し過ぎッ❗️照準ブレるッ‼️」
フォッカー2「誰かあの※"サボテン(※ゴストーク級の事)"を殺れるかッ⁉️」
ダーク・ハイディング5「クッソォッ❗️仕留め損なった‼️」
ヘルダイバー7「どっちが旅立っちまうか分からんな❗️」
バラライカ8「ガーネット5❗️持ち堪えて❗️今行くわ‼️」
土星沖は無数の閃光がちらついては消えちらついては消えを繰り返す。アンドロメダ級戦闘空母型5隻の航空隊がガトランティス残党軍 機動部隊に攻撃を開始して数時間が経ったが、艦隊の20%程の敵艦を沈めただけで空母等の主力艦には未だ決定的なダメージを与えられないでいた。ガトランティス艦特有の主砲「速射輪胴砲塔」は対艦/対空に優れた両用砲であり、砲塔をガトリング砲の如く回転し撃ちまくり濃密とも言える弾幕を張っている。さらにガトランティス主力艦載機 デスバテーターの迎撃隊の抵抗も激しくその防空網の厚さに防衛軍パイロット達は舌を巻き、経験不足なパイロットは窮地に陥ったり攻撃が失敗やそれどころじゃない者も多かった。
地球連邦防衛軍
第1艦隊"ブループルミエ(青の一番)"
旗艦:アンドロメダ級前衛航宙武装艦 アルデバラン
CIC(戦闘指揮所)
副長「かなり粘りますねガトさん。」
谷「そうだな。少しずつではあるが戦力は削れてる。だが...。」
副長「どうされました艦長❓」
通信手「第2艦隊 旗艦 アキレスより入電、「突撃はまだか❓」。」
谷「待てと伝えろ。今飛び込んだら最悪同士討ちになる。」
「雷王作戦」本隊を指揮する総旗艦艦隊の旗艦 アルデバラン艦長の谷と艦橋(ブリッジ)クルーは第1艦橋下方のCICに移り戦闘の様子をディスプレイで見守る。粘り強く抵抗する敵だが、戦力は少しずつ消耗している。その事実が現在進行形でいるのだが、谷は表情を曇らせている。
谷「妙...だと思ってな。」
副長「敵が...という事ですか❓」
谷「そうだ副長。君も私の隣であの戦いを見てきたから分かっていると思うが、ガトランティスらしくないとは思わんか❓」
副長「確かに、あの電光石火の様な攻撃を得意とするガトランティスが防戦一方とは...いくらこちらの航空戦力が圧倒的だからといってもそんな状況も構う事なく攻めに回る。それが本来の彼らの戦い方のはず。」
「機動型攻撃一辺倒」と評しても微塵(みじん)も間違いでないガトランティスの戦術を先の戦いで目の当たりにし続けてきた谷にはその攻撃的な姿勢が見受けられないどころか真逆の「防御一辺倒」な戦闘に違和感を感じずにはいられないのだ。
谷「(まるで何かを待っている様な...。嫌な予感がするな。)」
通信手「艦長❗️"デア・エクス・マキナ"より入電が❗️」
副長「"デア・エクス・マキナ"⁉️11番惑星にいる新生BBB戦隊の旗艦から⁉️」
谷「読み上げろ。」
通信手「「"逃がした魚は大きい"備えられたし」と。」
副長「"逃がした魚"...❓どういう意味でしょうか❓」
副長は艦長に尋ねる。だが答えはすぐ向こうから目の前にやって来た。
レーダー手「ワープアウト反応❗️巨大です‼️」
谷/副長「なにッ⁉️」
フワワワン❗️フワワワン❗️とガトランティス艦特有のワープアウトが不気味に響いてアルデバラン達防衛軍艦隊の頭上に現れる。その巨体は影を作り艦影に見覚えのある者ない者問わず唖然とさせられ思わず息を呑む。
エンケラドゥス守備隊
旗艦 ドレッドノート級航宙戦艦 えぞ
CIC
副長「艦長ッ❗️」
尾崎「ま、まさかこいつはぁッ⁉️」
エンケラドゥス守備隊司令 尾崎の脳裏に土星沖の戦いが蘇る。その艦影を初めて見たのは紛れもない自分と自身の指揮する守備隊の者達であり、その艦の攻撃で多くの艦と仲間を失ったのだ忘れようがない。その白く巨大な平たい艦体をした「イングリッシュマフィン」と誰かが称したその艦を。
ガトランティス残党軍艦隊 総旗艦
"ガイゼンガン兵器群"アポカリクス級航宙母艦"ナグモー"
艦橋
レーダー手「艦長❗️地球艦隊の上方につけました‼️」
レーダー手からの報告に静かに頷く艦長。背後にいる副長が静かに側による。
キチェ・トールギン("ナグモー"副長)「遂にこの時が来ましたな、パラカス殿。」
イスラ・パラカス("ナグモー"艦長)「うむ、よく間に合った。ナグモー司令の艦隊もよく耐えてくれた。それに報いる為に地球艦隊大将の素っ首、我らの手で上げようぞ❗️」
副長以下艦橋クルー「オォォォォッ‼️」
艦長のパラカスと副長のトールギン、かつて"グダバ遠征群"で"キスカ遊撃隊"同隊旗艦 ナスカ級打撃型航宙母艦「キスカ」の艦長兼指揮官と副長だ。イスカンダルから地球への帰路にある「ヤマト」を襲撃し、後に地球艦とガミラス艦隊初の共闘戦となり「ヤマト」の経験した戦いでも最も奇妙かつ名高い「シャンブロウ会戦」でガミラス側の旗艦 ゲルバデス級戦闘空母「ミランガル」所属のツヴァルケの急降下爆撃を受け「キスカ」は戦闘不能となったが、撃沈は免れなんとか戦線を離脱することに成功した。
それから月日が経ち「ガトランティス戦役」では修理した「キスカ」に再び乗艦し遊撃隊も戦力を補充され冥王星での陽動作戦を指揮した。幸いナチュルガトランであったパラカスと彼の指揮する艦隊の者達はゴレムの発動で死なずに済んだものの、都市帝国の崩壊とガトランティスの滅亡の報を聞き驚愕した。
帰るべき所を失ったパラカスは地球への復讐を誓い生き残ったガトランティス人(ナチュルガトラン)の同胞を集めて力を蓄える事にした。その中でかつて自身の機動部隊戦術の師であったナグモーと再会した。ナグモーは建造途中だった自身の名を持つアポカリクス級4番艦"ナグモー"を密かに回収し、地球沖で撃沈波された同級1〜3番艦と多数のカラクルム級からパーツをかき集め共食い整備を施しながら完成させようとしていた。しかし「自身はもう老いぼれでこれからは若いお前がこの艦を駆って指揮を取れ」と艦をパラカスに譲り渡したのだ。
パラカス「攻撃開始❗️雨を降らせろッ‼️」
パラカスがそう言うとアポカリクス級の長大も長大な飛行甲板上の搭載火器が一斉に下方にいる地球艦隊に向け緑の雨を降らせる。虚を突かれ反応が遅れた何隻かは攻撃をまともに食らって損傷または爆沈する。
「やましろ被弾❗️」
「アイル・オブ・スカイ、損傷❗️」
「みょうこう、轟沈❗️」
「ホーキンス、大破❗️」
「イェットミンスター、戦列を離れるッ❗️」
「バトラーがやられた❗️」
各艦隊から次々と被害報告の無線が飛び交うアルデバランの艦橋。艦長の谷はハッと我に返って指揮を再開する。
第1艦隊 旗艦 前衛武装航宙艦 アルデバラン
CIC
谷「各艦回避運動しながら応戦しろ❗️航空隊をすぐ呼び戻せ‼️」
レーダー手「艦長❗️ワープアウト反応❗️艦隊下方です‼️」
谷「なにっ⁉️」
今度は地球艦隊の下方からガトランティス艦隊が出現する。それはさっきまで航空隊と激しい戦闘を繰り広げていたナグモー率いる機動部隊だった。
ガトランティス残党軍 機動部隊
旗艦 ナスカ級打撃型空母 アギカ
艦橋
ナグモー「ようやく来たかパラカス。待っておったぞ。上手く敵の頭を抑えた、さすが我が弟子。攻撃開始だ❗️上下で挟み撃ちにしてしまえ‼️」
地球艦隊の下方に陣取ったナグモー機動部隊が地球艦隊の下っ腹に向けて火線を放つ。上と下で完全にサンドイッチされ、また艦底部に殆ど武装を施していない地球艦隊は圧倒的に不利であった。これでは上にも下にも行けず左右のどちらに行ったとしても逃げきれない。
そんな状況を察した第4艦隊"コールドウォー"旗艦のアンドロメダ改級戦闘空母 エンタープライズの艦長 エメラルダは操舵手にこう言い放つ。
第4艦隊"コールドウォー"
旗艦 アンドロメダ改級戦闘空母 エンタープライズ
※CDC(※戦闘指揮センター、空母版CICでCICに航空管制能力を付与したもの。アンタレスとマキナは空母型であるがアンドロメダ級の初期生産型に属する為、まだCICなのである)
エメラルダ「ッ❗️操舵手❗️艦体上下反転180°❗️ひっくり返るんだ‼️」
操舵手「は、はいッ❗️」
副長「艦長ッ⁉️」
エメラルダ「こっちは下に武装はほとんどない❗️なら上と下を逆にすればいい❗️それにこの艦の艦橋構造物の大きさなら盾になるだろッ‼️他の空母型や皆にも今何をすべきか我が艦が行動で伝えるんだ急げッ‼️」
副長「は、はいッ‼️」
エメラルダの指示の下、エンタープライズは艦体の姿勢制御スラスターを噴かし敵艦隊から見れば上下逆さまの体勢になってショックカノンをバキュルバキュルと撃ちまくる。第4艦隊に属する全ての艦も旗艦の行動にならい艦体を上下反転させる。
第3艦隊"ポイズンテール"
旗艦 アンドロメダ級戦闘空母 アンタレス
CIC
副長「艦長❗️エンタープライズと艦隊の僚艦が上下逆さまに‼️」
富山「なるほど考えたな。若いながら柔軟な発想をする。我々も続くぞ❗️」
副長「はい❗️」
富山「第5艦隊は総旗艦艦隊及び第2、第6艦隊の"傘"となれと伝えろ❗️」
第5艦隊"キングス&ケーニヒ"
旗艦 アンドロメダ改級戦闘空母 アークロイヤル
CDC
キャメラ「なるほど、確かに雨には傘がないとな。よしやるぞ❗️」
副旗艦 同級 グラーフ・ツェッペリン
CDC
サオリナ「※雨が降っても傘は差さない国出身の私が傘になれとは。まぁいいだろう。しっかり差してやろうではないか❗️」
※ドイツでは雨が降ってもすぐ止むので人々は傘を持ち歩く事はないらしい。
エンタープライズに続いて各A級空母群が動き始める。一部は艦隊下方、一部は艦隊情報にそれぞれ展開し防御態勢を取る。
しかし一時的に過ぎず今は凌げるかもしれないが長くは保たない事は明白だとアルデバラン艦長 谷は思わずにはいられなかった。「なんとかこの窮地を打破しなければ❗️だがどうやって❓」と自問自答している時だった。
第1艦隊 旗艦 前衛武装航宙艦 アルデバラン
CIC
通信手「艦長❗️マキナより入電です❗️作戦内容とかッ‼️」
谷「なに⁉️よし、こっちに回してくれ。」
谷は新生BBB戦隊旗艦 マキナから送られてきた作戦内容を艦長席のディスプレイに移す様言うと目を右往左往させて読む。こちらの状況を聞き急いで逆転の一手を考えたものらしい。
谷「重力子スプレッド弾、発射用意❗️」
副長「え⁉️」
谷「重力子スプレッド弾だ❗️"黒い不良たち"に考えがあるようだ。それに賭ける❗️全アンドロメダ級にも伝えッ‼️」
副長「はっ❗️」
アンドロメダ級の波動砲口上下に装備する「重力子スプレッド発射機」の射撃準備を整えるよう言う谷艦長。着弾すると重力フィールドを発生させるエネルギー弾を放つこの発射機は攻撃に使えば小惑星群を一瞬で消滅させ、防御に使えばシールドとして機能する。これに向けて収束波動砲を撃てばさらに強大な威力の波動砲にする事ができるという攻防一体の兵器だ。先のガトランティス戦役の土星沖会戦での使用した際の活躍が記憶に新しい(❓)読者の諸君もいる事だろう。まだ観てない人は今すぐ「2202」をレンタルか円盤を買うとイイだろう❗️
おっとと話が少しそれかけましたが、アンドロメダ級全艦が重力子スプレッド弾の発射用意を進める中、そんなのお構いなく防衛軍艦隊の上下からビームのシャワーを浴びせて浴びせて浴びせまくってらっしゃるガトランティス残党軍の背後からワープアウトする艦影が三つあった。新生BBB戦隊所属のハヴォック級航宙駆逐艦の無人艦仕様、コールサイン"ハルバード"の01〜03だ。しかもただ3隻がワープアウトしただけではない、艦体に"小判鮫(こばんざめ)"の如く張り付いてきた乗客を乗せてだ。
新生BBB戦隊 旗艦 デア・エクス・マキナ
戦闘攻撃飛行隊"クレイジー・スカル"
飛行隊長 ロイ・カミヤ(コールサイン:CSリーダー)「"戦術DE"完了❗️全機散らばれ❗️"特急列車"が突っ込むぞッ‼️ミサイルを全弾発射した後、上空へ退避だッ‼️」
無人ハヴォック級"ハルバード"に同乗していた航空隊"クレイジー・スカル"隊は機体をハヴォック級から離して散開する。無人ハヴォック級3隻はそのままガトランティス残党軍旗艦 アポカリクス級"ナグモー"に向かって突っ込み、一隻は艦橋下部に後二隻は両舷それぞれのエンジンに向かって突き刺さった。それと同時にクレイジー・スカル隊のコスモタイガーⅡ4機が装備する対艦ミサイルを全弾放つ。「傷口に塩を塗る」を読んで字の如く表現するかのように鮮やかにやった。
ガトランティス残党軍 旗艦 アポカリクス級航宙母艦"ナグモー"
艦橋
パラカス「何事だッ⁉️」
トールギン「後方から空間跳躍した艦が艦尾に衝突したようです❗️それに艦載機からミサイルがッ❗️」
オペレーター「艦長❗️真上と真下にも空間跳躍の反応ッ‼️」
パラカス「なにッ⁉️」
同じ無人ハヴォック級の"ハスタ"が真上から"ホルカンカ"が真下から同じくコスモタイガーⅡを4機貼り付けた状態でワープアウトしクレイジー・スカル隊と同じ手順で攻撃して散開、無人駆逐艦はそのままナグモーの艦体に突き刺さり皆それぞれ自爆プログラムに従い自爆する。
ガミラスの「瞬間物質移送機」を使った奇襲戦術「デスラー戦法」を参考に※ワープ機能を持たない航空機(※コスモタイガーⅡのオプション装備として往復2回分のワープが行える使い捨て装備の"ワープブースター"があるが、単機にしか装備できない)を艦艇に磁力で吸着してそのままワープする。そして艦艇と航空機によるダブルパンチを持って一撃離脱の奇襲を敢行する。これを無人仕様の駆逐艦で行い艦はそのまま敵艦に体当たりして自爆する。これが「戦術DE」、"デストロイヤー・エクスプレス(駆逐艦特急)"だ。
ダメコンオペレーター「パラカス殿❗️艦体上下部が中破❗️メインエンジンが損傷し攻撃航行共停止しましたッ‼️」
パラカス「ぐぬぬ...目の前の敵に注意が向き過ぎたか❗️」
レーダー手「後方よりさらに空間跳躍の反応❗️」
トールギン「まだ来るのかッ⁉️」
第1艦隊 旗艦 アルデバラン
CIC
副長「艦長❗️新生BBB戦隊がきましたッ❗️」
谷「アンドロメダ級全艦、重力子スプレッド弾発射ッ❗️」
無人駆逐艦の自爆後、空母ナグモーの背後に新生BBB戦隊本隊がワープアウトする。それを確認した防衛軍艦隊のアンドロメダ級全艦が装備する重力子スプレッド弾を前方に放ち防御膜を展開させる。クラスD2隻を両舷に連結させワープブースターにさせてやって来た旗艦 デア・エクス・マキナとその指揮管制下にあるBBB級は拡散波動砲発射態勢を取っている。艦長兼司令の多田部の「発射ッ❗️」の指令と同時にそれが炸裂する。それは瞬く間にガトランティス残党軍艦隊を飲み込み、機動部隊とそれをナスカ級空母 アギカで指揮していたナグモー司令は断末魔の叫びを上げる暇(いとま)もなく乗艦ごと蒸発する。一方新生BBB戦隊の正対する位置にいる地球艦隊は重力子スプレッド弾の防御膜に守られているお陰で全艦無傷であった。
死の閃光の尾が切れた後に残ったのは無数のガトランティス艦の残骸と無数の弾痕と黒煙を上げ今にも爆沈しそうなアポカリクス級ナグモーだけだった。
谷「通信手、敵艦と交信できるか❓」
通信手「え❓あ、はい可能ですが。」
副長「艦長❓」
谷「もう戦いは終わったも同然だ。降伏を呼びかける。」
副長「しかし相手は...❗️」
谷「彼らは"あの手(クローンガトラン)"のガトランティスとは違うのだろう❓メンタリティが同じなら話が通じる筈だ。」
そう副長を諭(さと)すと通信手に映像通信を繋ぐよう言う。どうやら答えたらしく映像がメインパネルに映される。
パラカス(映像通信)「当艦ナグモー艦長の"疾風"のイスラ・パラカスである。」
谷「地球連邦防衛軍 総旗艦 アルデバラン艦長の谷だ。もはや残党軍の艦は損傷した貴艦しか残っていない。降伏したまえ、その様な状態ではもはや戦えまい。兵の事を考えるならば...。」
パラカス(映像通信)「なぜ私の首を取らぬッ❗️ここまで追い詰めた貴官らにその資格あり❗️なぜ最後まで戦わぬのだッ⁉️」
降伏勧告を受けるか受けないかの答えの前に「そちらの方が上手(うわて)だったのだ、瀕死の相手とて遠慮なく首を取れ❗️」と一喝(いっかつ)するパラカス。その気迫に少し押され表情がピリッとする谷。
谷「しかしそれは...」
パラカス(映像通信)「くどいッ❗️我らは既に故郷を無くした身❗️戦いで散る覚悟はとうにできている❗️そちらも軍人いや"戦士"ならば遠慮は無用❗️最後までこちらと一戦交えてもらうぞッ‼️」
そう言って通信を切るパラカス。その後突如に新生BBB戦隊の無人駆逐艦の突撃で破壊した筈の空母 ナグモーの機関部が再起動し動き始めた。
新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ
CIC
烈禍「おい❗️アイツまだ動いてるぜ❗️」
多田部「破壊が内部にまで至らなかったのか⁉️」
栗梶「いえ、先程敵艦のレーダー反射率の変化を確認してんですが数値がマイナス方向に変動していました。」
多田部「なんだつてぇ❓」
手邦「こっちも微(かす)かですが機関部に反応がありました。この反応の後、機関が再起動しています。」
金田「まさか、"自動修復機構"があるのか❓」
手邦「はい、そうとしか...。」
多田部「考えられますね。"生体兵器"染みたガイゼンガン兵器群なら。なんと厄介な。それならまだ戦意を失ってないのと頷(うなず)けます。」
金田「いかがされますか艦長❓」
多田部「機関が直っただけでなく艦体と艤装も直されちゃさらにヤバいです。その前に全力で撃ち込みます❗️向こうがまだ戦うなら存分にやってやろうじゃないですか、どうやら遠慮はいらないと言ってる事ですしね。」
金田「その返事をお待ちしてましたよ。戦術,砲術全力応射だ❗️」
防衛軍本隊と新生BBB戦隊は前と後ろで挟み撃ちする形でアポカリクス級にショックカノンと魚雷とミサイルとありったけの武装で撃ちまくる。対する空母 ナグモーも損傷を免れた武装で応戦するが、その手数は全力発揮よりも劣ってたかが知れており火力の差は歴然であった。
新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ
CIC
多田部「機関長、波動砲を撃った後だけど機関は平気で⁉️」
呉賀「えぇ❗️まだまだ暴れ足りないと言ってますよ❗️」
多田部「そりゃ大変結構❗️どんどん唸(うな)らせてやっちゃって❗️」
栗梶「地球艦隊本隊の航空隊をレーダーで確認、戻って来たようです❗️」
多田部「よし❗️こっちも出せる隊は全部出してください❗️とどめで仕上げです‼️」
第2艦隊"ファスト・ライトニング"
旗艦 前衛武装航宙艦 アキレス
CIC
仁科「もうすぐ航空隊の奴らが来る❗️それでも撃ちまくれ❗️本艦が仕留める‼️」
第6艦隊"重桜"
旗艦 前衛武装航宙艦 アマギ
CIC
沢城「怯(ひる)まず撃ち込みなさい❗️じゃなきゃやられますよ‼️」
エンケラドゥス守備隊
旗艦 主力戦艦 えぞ
CIC
尾崎「雪辱戦だ❗️ここで散った仲間の手向けにするぞ‼️」
地球艦隊本隊のアンドロメダ級空母群から発艦した航空隊がやっと戻った。ほとんど装備を使い切った機や損傷した機も多いが、それでも彼らは自分達の家である艦が心配で急いで急行し瀕死のナグモーを喰ってかかろうと躍起(やっき)になっている。新生BBB戦隊も負けじと旗艦 マキナから稼働機を全機出して支援するよう多田部が命じる。空母ナグモーは前後を挟まれただけでなく制空権も完全に失いもはや逃げ道はなく残りは死への真っしぐらロードだけだ。ナグモーはなにぶん全長が1㎞もある巨体なのでめちゃんこ攻撃されてるが中々沈まないもののダメージは確実に蓄積されていく。それは遂に艦橋にも及び爆発と火の手が上がり次々と死傷者が出る。残ってるのはもうパラカスとトールギンの2名のみだ。
ガトランティス残党軍艦隊 旗艦 アポカリクス級空母 ナグモー
艦橋
パラカス「トールギン。」
トールギン「はっ。」
パラカス「ここまでついて来た事...礼を言うぞ。」
トールギン「ふっ、当然です。艦が変わっても私は貴方の副長ですよパラカス殿。」
パラカス「よしでは副長❗️最後の戦(いくさ)、存分に味わい向かおうぞ❗️」
トールギン「ウラァァァァァッ‼️」
パラカスはこれまで自分に付き従ってくれたトールギンに感謝を述べるとナグモーを加速させ地球艦隊に突撃していく。もはや被弾による損傷が大きく自動修復も間に合わない。被弾に被弾を重ね遂に使用できる火器も尽きた。被害はナグモーはもうもうと大きく広がる炎に包まれていき、そしてそれへパラカスとトールギンの2人も遂に飲み込み強烈で巨大な閃光となって暗闇の宇宙に一筋に現れ消えた。
「星巡る」に登場した空母キスカのパラカスとトールギンがここで再登場です。「2199」で監督だった出渕裕氏のお気に入りで次回作に登場させる余地の為わざと明確な撃沈死亡描写が描かれなかったパラカスですが、結局次作の「2202」ではファンの期待も虚しく残念ながら登場することはありませんでした。劇中「土星沖海戦」の前にガトランティスが冥王星や海王星など太陽系の各惑星で陽動作戦を展開していたと語られていたので「パラカスもその内のどこかにいて指揮ってたんじゃないかな❓」と誰もが考察したと思います。
しかし乗艦はキスカではなくアポカリクス級航宙母艦"ナグモー"です。アポカリクス級もとい旧作における「彗星帝国超大型空母」は「さらば」ではバルゼーが「2」ではゲルンがそれぞれ乗っていた艦ですが、原案では「ナグモーの乗艦」という設定があります。アポカリクス級は「2202」の終盤で3隻が登場しましたが、「ガイゼンガン兵器群の大量スピード建造であんなデカい空母が最終的に3隻になったんだから4番艦くらいいても良いよな❓」と思い「建造中にガトランティスは滅亡したけどなんとか艦は回収できて同型艦やカラクルムなパーツぶん獲りして作った」という事にしました。その艦影から「ハンバーガー空母」と呼ばれていますが、そのまんまだと面白くないしなによりハンバーガーは白くないので「イングリッシュマフィン」、冒頭でパイロットが前期ゴストーク級を「サボテン」と勝手にあだ名を付けさせていただきましたw.
最後はパラカスとトールギンそしてナグモーは戦死してしまいますが、彼らの関係性とドラマが少し垣間見えるよう書いたつもりです。特にパラカスが降伏勧告を受けて「勧告をしてきた事」に怒ったのではなく「殺すのになにを躊躇ってる❗️」とキレた所と「トールギンにここまで付いてきてくれてありがとう」と感謝を述べるシーンはパラカスの武人らしさを表現できたかと思います。
変わって防衛軍側ですが、本隊も新生BBB戦隊も「どう戦うか❓」という事で戦術面を強く意識して書きました。 A改級戦闘空母 エンタープライズ艦長のエメラルダの機転で上下に挟まれながらも地球艦の「下部に武装がない」という弱点をカバーする事に成功しました。空母型アンドロメダのあの頭デッカちを活かさない手はないでしょうw.
新生BBB戦隊の戦術DE(デストロイヤー・エクスプレス:駆逐艦特急)は「無人艦の特性を活かした戦術」を考えてるうちに思いついたもので、地球側には瞬間物質移送機なんて便利な物はないですしかといってワープブースターでは割に合わないので「無人艦に航空機を貼り付けて一緒にワープする」という形になりました。新生BBB戦隊こと第99特殊戦略戦術機動打撃群はただ試作艦や装備の試験のみならず艦隊名にある通り非正規な戦略と戦術を研究し実践する部隊でもあるという面がここで披露されたわけです。彼らは部隊章として髑髏を掲げてるのは「残骸になっても戦う」のと「海賊の様にルール無用」という意味合いもあります。
これで「雷王作戦」も終了となります。原作ゲーム版の「ヤマトを中心とした戦艦戦隊と宙雷戦隊による包囲殲滅戦」ではなく「空母を中心とした機動部隊戦」となりましたが、「2202」ではあまり発生しなかったというか映らなかった空母同士の対決(「2」のフェーベ沖はついぞリメイクされず)や原作ゲーム版のネタ(攻撃された艦の名前など)も盛り込み個人的には満足いく形になりました。読んでくださる方もそう思っていただけたら幸いです。次回でエピローグとなり、「対ガトランティス残党編」は終了となります。お楽しみに。