宇宙戦艦ヤマト外伝 "BLACK BAD BUTCH" 作:箕理 田米李
ナレーション(多田部)「「雷王作戦」が辛くも防衛軍の勝利で終わって数ヶ月が経った。あの戦いでガトランティス残党軍は主戦力のほとんどを失い、例え残存戦力がいたとしても組織的な抵抗ができないと防衛軍本部は判断した。ガトランティス残党軍がどれほどの規模の組織なのかは戦役中の混乱もあってか正確な数は分かっていないが、少なくとも旗艦と思われるアポカリクス級を失ったことで大きく士気を低下させる事には成功した筈だ。
しかし「備えあれば憂いなし」と星間航宙路を通る輸送船団が襲撃される可能性もある為、防衛軍は護衛戦力の強化と所謂(いわゆる)"残党狩り部隊"の編成が行われる事が決定した。その中には我々新生BBB戦隊の第11番惑星での戦闘レポートにより、「カラクルム級の再活性化の可能性」を懸念して修理中のアンドロメダ級初期型21番艦"アルフェラッツ"は修理完了後に二個パトロール戦隊(一個戦隊:パスファンダー級2、エスコート/フォレスター級4)を付けた臨時編成の特務艦隊(通称"ファントム・スイープ")が編成されることが決まったという。
地球 地下工廠エリア 修理ドック
新生BBB戦隊 旗艦 戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ
艦橋
多田部「副長、全艦の修理終わりました❓」
金田「はい、元々本艦は損傷が軽微でしたし他の艦も大した被害では無かったですからね。ただパトロール艦一隻を失ったのは痛いですな。」
多田部「ですね。彼らの"再就職先"の方は❓」
金田「あちらで整備しております。」
金田の手で指した左手の方を見る多田部。マキナが腰を据えているドックの隣の隣のドックにその艦は鎮座している。見た目は「クラスD」こと「ドレッドノート級主力航宙戦艦」だが、艦橋トップ、艦橋部連装パルスレーザー砲、艦底部エアインテーク部にレーダーが新造/増設されている。
金田「ドレッドノート改級早期警戒管制艦 試作第一号艦 DPR-71"ダンタリオン"、クラスDをパスファインダー級の様な早期警戒任務に就かせれるよう改装した艦ですね。」
多田部「そ、戦役中も戦後もバンバカ優先で作られまくった無人型クラスDの一隻。本来艦隊の目となったり地球圏早期警戒網を構築しなければならないパトロール艦が不足も不足で大不足してる訳だから、「だったら有り余ってるクラスDを改装すればいい」と思って設計したんだ。」
早期警戒型クラスDは多田部が提案し設計した艦だ。多田部は戦役後に艦の設計について学び、新生BBB戦隊旗艦 デア・エクス・マキナの設計もした。しかしそれだけに留まらずこうして防衛軍の再建計画に必要であろう艦の設計も行っており、この早期警戒型クラスDも彼の設計案のほんの一つに過ぎず彼の頭の中には様々な艦の設計/改装案が巡り巡って湯水の如く溢れている。
金田「まさに「発想の転換」ですね。お見事です。」
多田部「ありがとう副長。ですがまだあの艦は試作第一号艦とある様にまだまだ改善の余地ばかりです。単にクラスDにレーダーを貼り付けただけなんですからね。まだ最適化には至ってません。」
金田「ハハハ、いやでも立派なものですよ。」
そんな話を交えながら新生BBB戦隊の全艦艇は修理に入っている。完了次第次の任務の事もあるからだ。そして、その日が来た。
艦隊所属の全艦艇の修理と補給を終えた新生BBB戦隊は発進準備を整えていた。旗艦 デア・エクス・マキナでは艦長兼司令の多田部が艦橋に上がり艦橋要員から敬礼を受けて応えて腰を掛ける。副長 金田から「全艦発進準備完了」との報告を受け「新生BBB戦隊、全艦発進せよ❗️」の号令の下、マキナを始めに漆黒の艦(ふね)達は次々とドックから離れて上昇していく。だが、そこに華やかな見送りをする人々の姿はない。
新生BBB戦隊
戦略指揮戦闘空母 デア・エクス・マキナ
艦橋
鷹乃目「大気圏離脱、操舵コントロールをオートからマニュアルに戻します。」
栗梶「全艦の大気圏離脱を確認。レーダー及び通信機器問題なし。」
呉賀「機関、内圧に異常なし。」
高佐田「火器管制も問題ない。オールオッケーだ。」
金田「全システム良好です艦長。」
多田部「よろしいです。え〜っと副長、今後の我々の予定を再確認したいんだけどよろしくて❓」
金田「今回の航海の主な目的は「クラスD改装型早期警戒艦 ダンタリオンの試験とそれを交えた演習」と「地球・ガミラス・ガトランティス艦問わずの残骸(デブリ)回収」です。損傷の少ない艦は回収後に工廠で修理するとのことです。」
多田部「「新型艦の試験かつ演習」と「廃品回収」ね。これからあの改装クラスDも必要になってくるだろうからね。残骸(デブリ)も地球や各惑星にもあっちこっち散らばってるから大変だな。それと艦と資源の再利用って事か、まぁ必要ですわな。」
烈禍「ったく、なぁ艦長ひでぇ話と思わねぇか❓任務の事はともかくよぉ、俺達を見送る連中が1人もいねぇなんてよぉ❗️」
多田部「無理もないよ砲術長。なんせ私達は秘密の実験部隊だ。正規軍を"表の光"とするなら我々は"裏の影"さ。華々しさとは無縁だけど、うちらは存在してない訳じゃないさ生きてここにいるのだから。それを忘れなければ良いんだよ。」
不満をこぼす烈禍を諭す多田部。艦隊が出撃する際には大なり小なり見送りがあるものだが、新生BBB戦隊は「バリバリの実戦部隊」ではなく「秘密の独立実験部隊」だ。それゆえ例え家族や友人であってもその存在は秘匿しなければならない。それに先の戦役が終わり疲弊した今の地球人類は「しばらく戦争関連のものなんか見たくない」という感情もあるだろうからと思っている。
多田部「それに見送りがなかったのは他に用事があるからだと思うよ。」
烈禍「え、なんだよそれって❓」
なんの話か分からない烈禍だったが、艦隊後方から黄色い眩しい光が現れて照らしてきた。「おいおいなんの光だよ⁉️」とざわつく新生BBB戦隊所属の全艦艇だが、多田部や副長 金田はなんのことだか理由は分かっているので特に驚かない。ただ「帰ってきた様ですな」「そうみたいですね、やっぱり"あちら"が光で"我々"は影ですな」と2人が会話を交わす。
西暦2203年 12月31日 宇宙戦艦ヤマト 古代 進・森雪の両名を乗せ高次元宇宙から帰還する。
オカエリナサイ
多田部「通信長。ヤマトに電文を頼む。」
栗梶「え❓は、はい。」
ヤマト型宇宙戦艦 BBY-01 ヤマト
艦橋
ピピーッ❗️ピピーッ❗️(電子音)
通信長:相原 義一(あいはら よしかず)「これは...❓副長、通信が。」
副長:真田 志郎(さなだ しろう)「ん❓前にいる銀河からか❓」
相原「いえ、別の艦からです。読み上げます。「ヤマトの帰還、我々は影からお祝い申し上げる。ヤマトはやはり光、そのまま地球人類を希望で照らされたし。今後ともヤマトの行く道に幸のあらんことを、第99特殊戦略戦術機動打撃群 旗艦 デア・エクス・マキナ」。」
真田「ッ❗️」
相原「聞いたことのない部隊ですね。真田さん、知っていますか❓」
真田「いや、私もよくは...な。」
そういう真田であったが、「そうか、あの部隊のあの指揮官からか...」と内心微笑んだ。
戻って新生BBB戦隊 デア・エクス・マキナ
金田「なかなか詩人ですね艦長。」
多田部「いやいやそんな事ないですよw. ありのままを書いたつもりです。さて、私らはひたすら影に徹して進んでいきましょう。音楽(ミュージック)スタート❗️」
そう言うと多田部は艦長席のデスクの音楽機能をONにして艦隊全艦艇に繋がる様にした。流れる曲のタイトルは「Taking off❗️」だ。
金田「艦長、作品を間違えてないでしょうか❓」
多田部「えぇ❓良いでしょう❓これは軍艦で銀河○道じゃないけど同じ関係者の作品なんだから、それに我々の新たな航海にピッタリでしょうさ❗️」
金田「それもそうですねw.」
多田部「さぁ気を取り直して歌いますよぉ❗️」
細かい事(メタ的な)は気にしない多田部に「相変わらず自由ですな」と思う金田であった。前奏が一通り流れ、歌い出しが来る。
多田部「♪明日の汽笛が君にも 聴こえるだろう〜」
金田「♪汗ばむ夢の切符を 握りしめ〜ろ〜」
栗梶「♪年老〜いた〜」
鷹乃目「♪大地を〜」
手邦「♪思いっきり〜」
烈禍「♪蹴って〜」
高佐田「♪星たちの〜」
呉賀「♪彼方へ〜」
マキナ艦橋クルー全員「♪さぁ飛〜び〜立〜て〜 ♪I'm leaving I'm flying I'm taking off to the unknown(私は旅立つ 私は飛び立つ 私は未知の世界へ旅立つ)〜 ♪新しい〜星を〜探す〜んだ TAKING OFF〜TAKING OFF〜 ♪誰も行かない未来へ〜」
声高らかに歌い漆黒の闇広がる宇宙へと向かう新生BBB戦隊であった。
ナレーションで語られた様に本話は「雷王作戦」後の話となっています。「2205」にて登場し第11番惑星でカラクルム級の再活性化を監視する事になるアンドロメダ級初期型21番艦"アルフェラッツ"の名前がここに登場です。「この艦がこの任務に就く事になった過程」はこれまでの話で個人的に丁寧に書けたとは思います。ただTwitterでフォロワーさんと話した時に「いくら強力なアンドロメダ級でも一隻だけなのはおかしくない❓」との事で二個パトロール戦隊を編成に入れました。「「2205」の劇中では映ってなかっただけでいた」という事にしておけば辻褄が合いますからねw.名称の"ファントム・スイープ"は「機動戦士ガンダム戦記(PS3版)」とそれを原作とする漫画「機動戦士ガンダム戦記U.C.0081-水天の涙-」に登場する連邦側主人公ユーグ・クーロ大尉率いる対ジオン残党遊撃部隊の名前から取りました。同じく「残党を狩る部隊」ですからピッタリと思いましてねw.
新生BBB戦隊は新たな任務に向け旅立っていきます。新型とクラスD改装艦はTwitterの#新生BBB戦隊で見てもらえれば分かります。
ヤマトが高次元宇宙から帰還してきましたね。本話で正確な時系列が判明した訳です。実は匂わせ程度で登場させないしキャラも喋らせないつもりでしたが、「表のヤマト、裏のマキナ」という形で我が新生BBB戦隊の立ち位置を表現するにはこれくらい出させないとダメかなと思い急遽書きました。「オカエリナサイ」は「トップをねらえ!」最終話のオマージュです。
最後に新生BBB戦隊の皆が歌っているのは劇場版「銀河鉄道999」の挿入歌です。今年の一月に"ドルビーシネマ版"を観に行ってそこで大きく影響を受けたのと同じ松本零士先生関係の作品だから入れてみました。
本話をもって「対ガトランティス残党編」は終了となり次は「2205」にて絶賛盛り上がり中の「デザリアム戦役編」ですが、まだ自分が後章を観てない(コロナで劇場に足を運べなかった)のと「3199」の情報を待ちシナリオを整理したいのと模型の方で世界観を広げてから本格的に書き始めたいと思います。ただ「リメイクの設定を取り入れつつも話の大筋はゲーム版の「暗黒星団三部作」で進めていく」のでここからリメイクアニメ版と異なる"本作独自のパラレルワールド"になっていく事をご理解くださいという事は言っておきます。この話の次は「登場人物」と「メカニック」のそれぞれを紹介するので、気長にお待ちいただけると幸いです。では、また会いましょう。