俺たちと謎と青春と   作:ちゃんま2

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前回のあらすじ
ついに同窓会会場のホテルで弱音と対峙した廻たち。
そして、廻が順を追って復讐の内容を話し出す。
いよいよ、物語も佳境へ!

それでは、本編どうぞ!


過去と今 その7

 

ホテル 調理場

 

廻「まず、この同窓会宛に脅迫状が届いたんだ。」 

 

俺は、事件を時系列順に追って説明し始めた。

 

廻「そして、その脅迫状を届けたのはあの三人だったんだよ。」

 

信条「そうだったのか。けど、何のために?指紋つかないようにして自分で出せば良くないか?」

 

廻「これが、第一の復讐だよ。あいつらが中学時代にやっていた窃盗を何かしらの手段を使って撮影していた。それで、脅していたってわけだ。」

 

信条「だから、従わざるを得なかったと。」

 

廻「あぁ。じゃないと、あいつらが従う理由がないからな。」

 

弘人「けど、さっき慎重に動くって言ってただろ?あの三人が誰かに相談するって思わなかったのか?」

 

廻「それを言ったらどうなる?正直に言えば、自分たちが過去に窃盗していたことがバレてしまうだろ?だから、言えないのが分かってたからあの三人を利用したんだよ。それに、弱音も恨みがあるだろうからな。少しでも、『相談したいけど、できない。いつバレてしまうかもしれない恐怖』を感じてほしかったんじゃないか?」

 

ここまでしないと、人に無条件で従うようなやつらじゃないからな。

 

菊「…」

 

弱音は黙って俺の話しを聞いている。

 

廻「で、その脅迫状に俺の名前があったから、この事件に巻き込まれたわけだが…」

 

弘人「それが、第二の復讐ってわけか…」

 

廻「あぁ。けど、正確には、第三の復讐も同時にだけどな。」

 

信条「どういうことだ?」

 

廻「それがさっき言った俺と『お兄さん』への復讐だよ。」

 

灯「けど、同時にってどういうこと?協力者でもいるの?」

 

廻「いいや、協力者はいない。全部一人でやるつもりだよ。」

 

それはさっきもいった通り、弱音は慎重な性格だから、少しでもバレることはあんまりしたくないはず。

 

灯「じゃあ、どうやって?」

 

廻「昨日、灯が見つけた封筒があるだろ?あれ、何が入ってたと思う?」

 

弘人「確か、何かの『告発文』だったよね?」

 

廻「そうだ。そして、その内容は、」

 

俺はみんなに聞こえるように告発文の内容を話す。 

 

廻「まず一通目。『探偵として活躍している音咲廻氏が、依頼を頼まれていたにも関わらず、止めれなかったことを知っています。それどころか関わろうともしなかった。』」

 

廻「次、二通目。『〇〇ホテルを経営している菊兄氏は、〇〇ホテルの食材の管理・衛生ができていなかった。だから、今回の事件を起こした。』」

 

灯「ち、ちょっと、どっちも事実と違うじゃん!」

 

廻「そう。だけど、これが世間に知れ渡ればどうなるかはわかるだろ?」

 

多分、いや絶対にバッシングの嵐にあい、SNSは炎上するだろうな。

 

弘人「けど、お兄さんのほうはなんとなく、嫉妬で復讐したいってのは分かるけど、何で廻まで?」

 

廻「それは、色々な要因があるけど、主に、『嫉妬』と『思い込み』からだろうな。」

 

信条「ますます、どういうことが分からねえ…」

 

廻「まず『嫉妬』って言うのは、中学時代、茜に告白していたらしい。」

 

菊「ッキ!」

 

俺がそういうと、弱音は俺を睨みつけてきた。やっぱりこのことも関係してたか。

 

廻「そして、断られた。」

 

灯「まさかそれで嫉妬したっていうの?」

 

廻「それもあるだろうが、あれだけ過去に酷い目に合った俺が、探偵として活躍しているのも気に食わなかったのかもな。」

 

廻「で、もう一つの『思い込み』っていうのは、弱音のお母さんが言ってたんだろ?『被害妄想が激しくなった』って。」

 

灯「そうだけど…」

 

廻「で、そんな被害妄想が激しくなった時に、探偵として活躍している俺たちの記事を見つける。そうして、こう思ったんじゃないのか?」

 

廻「『もしかして、中学時代の時の事件を調べるために探偵になったのでは?』ってな。」

 

まあ、探偵になった理由は全く違うんだけどな。

 

菊「!」

 

また驚いた表情で弱音は俺を見つめてくる。

 

廻「確かに、中学時代、やらされたとは言え窃盗の手伝いをしてしまってるからな。バレたらまずいだろうな。それに、お前は、父親の跡を継ぐんだし、大手の跡取りがそんなことしてたなんて大問題だからな。それに、父親にバレればどうなるかわかったものではない。」

 

廻「だから、俺をこの事件に巻き込んで、俺の社会的信用を『今度』こそなくそうとしたんだろうな。どうだ、認めるか?」

 

俺は弱音に質問する。

 

菊「けど、仮に『青酸カリ』を買ってたとして、何に使おうってんですか?」

 

……どうやら、まだ諦めてないようだ。

 

廻「…なあ、弱音、何でお前ここにいるんだ?」

 

菊「何って…。さっきも言ったでしょ。『手伝ってる』って」

 

廻「企業グループの跡取りが直々にか?…」

 

菊「…」

 

俺がそういうと弱音は黙ってしまった。

 

一応確認するか。

 

廻「…皆さん、グループの偉い方がこの調理場にくるのはあるんですか?」

 

調理師リーダ「いや、たまにならあるけど、そんなにないですね。それに菊様のようにプライベートで来られることなんて今までなかったです。」  

 

俺が質問すると、調理師のリーダっぽい人が質問に答える。

爪が甘かったな、弱音。口封じするなら調理師の人たちまでしておくんだったな。

 

廻「ありがとうございます。ということは、プライベートで初めてお前が来たわけだが…。さて、もう一回聞くぞ、どうしてここに居るんだ?」

 

菊「…」

 

やっぱり、話さないか……

 

廻「理由は一つ。今日この日、同窓会を狙ってたんだろ?『青酸カリ』を食材に混ぜて、皆に提供するために。」

 

調理師「そう言えば、朝いきなり来て、『今日は手袋をつけて調理してください』って言ってました。」

 

そうか。素手で青酸カリに触れたら皮膚がボロボロになって分かってしまうからな。

 

信条「なるほど、それで青酸カリを購入したのか。確かに、青酸カリを混ぜた料理を出して死亡したら、問題になるからな。」

 

廻「そうだ。そして、事件が表沙汰になった時に、さっきの告白文を送り込めば…」

 

弘人「そのまま、二人共社会的信用を失うってわけだ。」

 

廻「だから、『青酸カリ』を購入したんだよ。…もう諦めろ、調べたら、青酸カリが入っていた袋も探せば見つかるだろうし、ここの防犯カメラを見ればすぐにお前が青酸カリを食材に混ぜたことが分かるぞ。それに、お前がこの同窓会の日付を知りたがっていたこと、会場をこのホテルに変えたことも知ってる。」

 

〇〇ホテルに会場を変えたのは、調理場に入りやすくて、青酸カリを仕込みやすいからだろうな。仮に入れなくても父親の名前を出せば、入れるだろうからな。

 

菊「…」

 

廻「…何か言ったらどうだ?」

 

菊「……デス」

 

廻「?」

 

菊「俺は、捕まるわけにはいかないんだーー!!」

 

廻「!」

 

くそ、こんな狭い空間で暴れやがって……

しかも…

 

菊「どけ!」シュン!

 

弱音は近くにあった包丁を持って振り回す。

これじゃ、捕まえようにも捕まえられない……!

そして…

 

 ガチャ!

 

卒業生「おい、いつまで待たせるんだ!早く料理を……!」

 

最悪のタイミングで会場にいた卒業生の奴らが、調理場のドアを開けてしまった。

 

灯「早く逃げて!!」

 

ドアの近くにいた奴に灯が声をかける。

 

卒業生「ひぇ~~~!」

 

卒業生は叫びながら逃げていった。けど……

 

菊「!」ダッ!

 

弱音が開いたドアから、出ていってしまった。

急いで俺たちも会場に出ていく。

 

__________

 

〇〇ホテル 会場

 

俺たちが、会場に行くと最悪の事態になっていた。

弱音が茜を人質に取っていた。茜の首筋に包丁を当てていた。

 

茜「…!」

 

会場にいるやつらは、叫びながら逃げている人、怖くて腰を抜かして、逃げれないでいるやつらと阿鼻叫喚だった。

 

泊「やめろ、弱音!」

 

泊が止めていくれている所に俺たちも合流する。

 

廻「そうだ、弱音。これ以上、罪を重ねるな!」

 

菊「うるせーよ!動くなよ!動いたら、茜さんの命がないからな。」

 

茜「どうして…」

 

菊「どうしてだって?ふざけるな!」

 

茜「!」ビク!

 

いきなりの大声に、ビックリしている。

それだけじゃない。俺たちが知る弱音とは全く違うからだ。

 

菊「あなたが、あなたが!僕のことを見てくれないから!」  

 

茜「え?」

 

菊「ずっと、あなただけに見てもらいたかった。どんなに酷い目にあっても茜さんを見れば、そんなことも忘れるくらい、僕の心の中心にいたんだ!けど、あなたはいつも、先輩のことだけだった……。それがどれだけ悔しかったか…」 

 

菊「あんなことまでしたのに!!」 

 

弘人「あ、あんなこと?なんのことだ!」

 

「あんなこと」、多分「あのこと」だろうな…

 

廻「やっぱりか…」

 

泊「やっぱりってなんだよ!」

 

廻「さっき『俺の社会的信用を『今度』こそなくそうとした』って言ったの覚えてるか?」

 

泊「そりゃ、さっきのお前の説明は良く聞こえてたから、覚えてるよ。それがなんだよ?」

 

廻「『今度こそ』ってことは今回が二回目。つまり、一回目は…」

 

泊「ま、まさか…!」

 

そのまさかだ。

 

廻「お前、中学の時のあの暴行事件、嘘をついたのは、あのときも俺の信用を無くそうとしたから。そうだろ?」

 

菊「そうだよ!流石、先輩。探偵をやっているだけのことはありますね。」

 

ムカつく言い方で弱音が認める。

 

茜「!なんでそんなこと!」

 

廻「…多分、その時も茜を手に入れるためだろう。」

 

菊「そうだよ!そうして、成功したと…そう思ってたのに!」

 

弘人「何があったんだ?」

 

信条さんが「応援を呼んでくる。それまでもってくれ!」と言われてるから、なるべく刺激しないように弱音に質問して時間を稼ぐ。

 

菊「先輩が、引っ越ししたあの日でした。あの日、僕は茜さんと一緒にいたんだ。けど、急に泊先輩から電話がかかってきたんだ。そして、通話が終わるなり、走って行った。慌てて着いていったら、どこに行ったと思う?」

 

泊「そ、そうか!」

 

菊「そうだよ!先輩の引っ越しに間に合うように走って行ったんだよ!」

 

そう言えば、あの日、泊が茜に電話を掛けてくれてたな。あの後来てくれてたのか…

 

菊「そして、泣いてたよ。…『廻、ごめん。信じてあげれなくて』って。…俺はその時思ったね、『あー、この人はこの程度じゃ俺を見てくれない』ってね」

 

イラツイてきたのか、弱音の一人称が『僕』から『俺』になっていた。

そして……

 

廻「(…茜、お前は俺を信じてくれてたのか……)」

 

今思うことではないかもしれないが、その話しを聞いて嬉しくなった。が、次の菊の発言で気を引き締められる。

 

菊「だから、また今回の事件を起こそうとしたのに。……あのクソ野郎共が失敗しやがって……」

 

菊「あー、そうだ。いい機会だから、言っときますね。泊先輩に近づいたのは、茜さんに近づけるからだよ。」

 

廻「じゃあ、最初から…」

 

菊「そう。DJなんてやる気なんてなかったんだよ!ま、思いがけず、人気がでたから長く続けてしまったけどな。あんなのどうでも良かった」

 

こ、こいつ!泊が真剣にDJやってるの知ってて!

 

泊「お、お前!」プルプル

 

廻「落ち着け。今、冷静さを失ったらあいつの思うつぼだぞ。…もう一度言う。茜を離せ。曲がりなりにも好きな人を傷つけるつもりか?それにこんな騒ぎを起こして、逃げれると思ってるのか?」

 

菊「うるさい!だいたい、どいつもこいつもうざいんだよ!あのクソオヤジだってそうだ!いつも偉そうに指図しやがって!それに、廻ー!一番はお前だよ!お前さえいなければ!」 

 

…ったく。逆恨みもいいところだ。 

 

菊「俺は捕まらないよ。茜さんと、逃げてみせるさ。…さて、お話しはここまでだ。…おい、そこの女!」

 

灯「わ、私!?」

 

いきなりの指名に驚く灯。一体灯に何をさせようってんだ……

 

菊「そうだ。来い!お前がスマホで、連絡するんだよ!女なら力が弱いからな、何もできないだろ。」

 

灯「ま、廻…」

 

廻「…灯…」

 

不安な表情で俺を見つめてくる灯。

くそ、どうすれば……

 

菊「早くしろ!近くに来て通話するんだよ!そして、逃走用の車を用意させろ!」

 

灯「…」

 

すると、灯はさっきとは打って変わって俺を真剣な眼差しで、俺を見てくる。そして…

 

灯「…私、廻のこと信じてるからから!」

 

そう言って、スマホの『ライト』を触る。

 

廻「…あぁ。分かった。…茜!お前、今も俺を信じてくれるか?」

 

茜「え?」

 

いきなりの質問でキョトンとした表情をする。

 

廻「いいから、答えてくれ。」

 

茜「…うん。今度こそ信じる!」

 

…よし、やるか。この距離ならいけるな

 

菊「何、わけわかんないこと言ってるんだよ!早く来い!」

 

灯「分かった。今行く。」

 

そうして、灯が歩いていく。

 

菊「よーし、それでいい下手な動きはするなよ?したら茜さんがどうなるか分かってな?」 

 

廻「…」

 

菊の言葉を無視して、灯の動向に注目する。

 

……チャンスは一度っきりだ。慎重にな、灯…

 

そうして、遂に、灯が弱音の元にたどり着く。

 

菊「それでいい。じゃ、電話をかけろ。」

 

そうして、灯がスマホを振りかざす。そして……

 

 ピカ!!

 

菊「ウワ!」

 

スマホのライトが眩しくて弱音が、目を閉じる。

その瞬間俺たちが一斉に走り出す。

 

菊「しまっ!」

 

菊も事態に気づいたようだが、気づいたときにはもう遅く、俺たちは菊に近づいていた。

 

菊「っ!」 

 

そして俺は、菊の腕を掴み、包丁を取って床に投げる。

更に逃げようとした弱音を掴み、動けないようにする。

包丁は弘人が蹴って遠くに飛ばしていた。

 

菊「クソ、何で、誰も俺のことを分かってくれないんだ!」

 

廻「そりゃお前が一途に茜のことを想ってるのは分かったよ。けど、お前の行動を見たら誰もお前を理解しようとは思わないだろうな。」

 

廻「だってお前は、自分の気持ちだけで、相手の気持ちを全く考えてないんだからな。そんなやつを理解しようとはしない。」

 

茜「…騙された私も悪いから言えることじゃないけど、私は廻だけじゃなくて、他の人も騙して陥れようとした貴方を絶対に許さない!」 

 

菊「っ!…」

 

そこまでくると弱音は、諦めたのか座り込んで動こうとしなかった。

 

信条「おい、お前ら大丈夫か!?」

 

そこでタイミング良く信条さんが警察官を連れてきて会場に入ってきた。

 

廻「遅かったな。見ての通り、もう解決したよ。」

 

信条「遅くて悪かったな。応援呼ぶのに手間取ってな。……さてと、あとの詳しい話しは別の場所で話そうか。」

 

そうして、弱音は信条さんたちに連れて行かれた。

 

弘人「やっと、終わったな…」

 

廻「そうだな…」

 

いろいろ、話したいがその前に……

 

廻「…二人とも、無茶させて悪かったな。」

 

灯「そんなの今更だよ。それに私が廻を信じて動いたんだから、気にしないで!」

 

茜「そうよ。それに、私こそごめんなさい。今まで信じてあげれなくて…」

 

廻「もういいよ。俺こそ信じてくれてありがとうな。」  

 

廻「…さて、それじゃ、…帰るか!」

 

弘人「そうだな!」

 

そうして俺たちは帰ることにした。

 

皆笑顔で帰る、その様子を見て俺はこう思った。

 

廻「(ようやく、あのときの時間が戻ってきたのかもな)」フッ

 

灯「何してるの、廻置いてくよ!?」

 

廻「あぁ、今行く!

 

 





事件メモ
事件の真相は中学時代のことが探偵をやってる廻にバレると思ったこと。そのために、廻と(本編では書いてないが、本人に取ってはついでに)お兄さんの社会的信用を落とすことだった。そのために同窓会を利用した。

以上です。

次回予告
事件を解決したことで、中学時代のわだかまりも解け、茜と和解した廻。今の二人の間でどのような会話がされるのか!

次回いよいよ、最終回です。
それでは、最終回をどうぞお楽しみに!
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