俺たちと謎と青春と   作:ちゃんま2

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今回は春田家でのお話です。
シリアスが続いたから羽休めみたいなものです。
それでは本編どうぞ!


初めての依頼 その8

現在 春田家

 

廻「ただいま」

 

「あらおかえり、今日は随分遅かったわね?」

 

そう言ってリビングに行くと俺の義母である春田実(はるだ みのり)さんがテレビを見ていた。

 

灯「お邪魔します。」

 

実「あら?そちらのお嬢さんは?」

 

廻「あぁ、電話で言ってた友達だよ。月本灯さん。同じ大学の人」

 

実「こんばんは〜、灯さん。ゆっくりしていってね。友達って女性だったのね。廻くん全然女気ないから男だと思ってたわ」

 

実さん、一言余計です。しかも事実だから言い返せないのが悔しい…

 

廻「あれ?大輝さんは?」

 

実「主人なら今買い物に出かけてるわよ。廻くんが友達連れてくるって言うから急いで食材を買いに行ったの。もうすぐ帰ってくると思うわよ」

 

灯「急に押しかけてご迷惑をおかけしてすみません…」

 

実「謝らなくていいのよ。寧ろ歓迎するわ!廻くん、今まで弘人くんと玲央しか連れてきたことなかったから大学でちゃんとやっていけてるか心配してたの」

実「それがこんなかわいい友達を連れてくるなんてね。安心したわ」

 

そう言われて照れているのか顔が赤くなる灯。

大丈夫か?熱でもあるんじゃねえのか?

 

廻「灯、顔赤いぞ?大丈夫か?」 

 

灯「あ!だ、大丈夫!何でもないよ!」

 

廻「そうか?ならいいけど」

 

実「…廻くんはもう少し女心を学んだほうがいいかもね」

 

と、話しているのを面白くない顔で見ている人が一人。

 

綾「ちょっと何楽しそうに話してるの!?」

綾「おにいは私のモノだから!渡さないよ!」

 

灯「…えぇっと、廻、もしかして綾ちゃんって…」

 

廻「あぁ、多分考えている通りだと思うぞ。この場合ブラコンと言っていいのかわからんがそうだろうな…」

 

そう、何を隠そう。自分で言うのも恥ずかしいが綾は俺のことが好きすぎるのである。もっとも俺としては綾は家族で妹としてしか見れないと本人に伝えたのだが、本人は諦めてないようである。

まあ、あと何年かすれば俺よりもいい人と出会うだろうからその時になったら忘れるだろう。

………多分

 

灯「何か廻も大変なんだね…」

 

廻「…あぁ」

 

綾「何おにいのこと呼び捨てにしてるの!見せつけてるの!ムキー!!」

  

廻「綾、落ち着け。実さんも見てないで止めてくださいよ」

 

実「いいじゃない?廻くんモテモテね〜あんまり女の子泣かすようなことしたらダメよ~」

 

と笑いながら言って「夕飯の準備するからごゆっくり〜」と台所に行ってしまった。

 

…はぁ、だから連れてきたくなかったんだよ。

 

灯「覚悟ってこういう意味ね…」

 

廻「まあな。でも、夫の大輝さんが帰ってきたらもっと大変だからな」

 

灯「」

 

そういうと灯は何とも言えない表情をしていた。ここまできたら腹をくくってもらうしかないな。

 

ガチャ

 

っと噂をすればってやつか。大輝さんがかえってきたな。

 

大輝「ただいま〜」

 

廻「お帰りなさい」

 

大輝「おっ!廻帰ったか。友達が来るって言うからな食材たくさん買ってきたぞ!」

 

廻「ありがとう。助かります」

 

大輝「で、その友達は?」

 

灯「あ、お邪魔してます。月本灯です。」

 

大輝「……は?」

 

灯「?」

 

大輝「廻が女性を連れてきただとーー!」

 

廻「近所迷惑だから声抑えて大輝さん。」

 

実「あら、あなた。帰ってきたのね」

 

大輝「ただいま。それより母さん、まさか廻が女性を連れてくるとはな」

 

実「ええ、私も驚いたわ、明日は赤飯の方がいいかしら?」

 

廻「何言ってるんですか、実さん、別に俺たちはそんな関係じゃないですよ」

 

灯「そ、そうですよ、まだそんな関係じゃないんで。」

 

顔を赤くしながらも灯も否定する。

 

実「あら〜『まだ』ってことは気になるのかしら?〜」

 

灯「お、お母さん!?」

 

実「あら〜お義母さんだなんて、気が早いわね~」

 

灯「本当にそ、そんなじゃないですから」カオマッカ

 

綾「!!私はおにいに彼女なんて認めないからね!おにいは私とずーと一緒にいるの!」

 

大輝「そうだ廻!お前には綾というものがありながら一体どういうつもりだ!」

 

だから声がうるさい。ていうか灯と会ったときは「お前にも彼女が…」みたいな顔してたくせに綾の一言で変わり過ぎだよ。大輝さん、娘に弱すぎるのどうにかしたほうがいいですよ

 

 

廻「よし、取り敢えずご飯にしよう。実さん、今日の献立は?」

 

綾「あー!おにいが話し逸した!」

 

実「まあまあ。綾ちゃん、落ち着いて。そこのところも食べながらでもじっくり聞けるでしょ?それに今日は焼肉よ〜」

 

実さんがそう言うとしぶしぶといった感じだが一応納得してくれたようでご飯を食べることになった。

 

灯「あ、準備手伝いますよ。」

 

実「あら〜お客様なのにごめんね。せっかくだから手伝ってもらおうかしら。」

 

灯「いえいえ、急に押しかけてきたんです。このくらいどうってことないですよ」

 

 

そう言って二人は台所で準備をしにいった。

 

廻「取り敢えず、俺たちは焼肉プレートの準備しましょう」

 

大輝「そうだな」

 

そうして俺たちは俺たちの準備を始めた 

 

数分後

 

大輝「よし!肉も焼けたし食べるか。」

 

全員「いただきます」

 

実「それで〜?灯さんとはどういう関係なの?」

 

廻「どういうって言われてもただ大学が一緒だとしか言えないですよ」

 

灯「実は今廻さんに助けてもらってるんです」

 

廻「!灯、話していいのか?」

 

灯「うん、大丈夫。私の口から説明するね。」

 

廻「分かった。灯がそうしたいなら俺は止めない」

 

そうして俺たちは事の経緯を全て説明した

 

大輝「なるほど。そんな事情があったのか」

 

実「それにしても灯ちゃんも災難だったわねぇ。ストーカーなんて。」

 

灯「えぇ。でも、廻さんのおかげで解決しそうです。」

灯「でもその為に廻さんを巻き込んでしまってすみませんでした!」

 

廻「気にすんな。俺が好きでやったことだから。」

 

大輝「そうだな。俺も廻が好きでやったことなら止めはしないぞ。それに廻ならそこらへんのチンピラ共ならまず負けはしないだろうし、大抵の奴は返り討ちに合うだろうから大丈夫だよ」

 

灯「そう言えば、マンションで戦ったとき凄かったよね?何か武道習ってたの?」

 

廻「いや、習ってはないよ。ただ、大輝さんに基本的な護身術は叩き込まれたから、それと応用して自己流アレンジしたのを使ってるだけだな。」

 

灯「じゃあ大輝さんが柔道とか習ってたんですか?」

 

大輝「あー、実は俺元警察官なんだよね。今は違う仕事してるけど。だから一通りの護身術は知ってるからそれを廻に教えただけ」

 

灯「ヘェ~そうだったんですね!」 

 

 

そうして賑やかな食事が進んで行った

 

 

数分後

 

廻「ふぅ〜、ご馳走さま」

 

灯「ご馳走さまでした。美味しかったです」

 

実「それならよかったわ~。っと灯ちゃん、先にお風呂入ってきていいわよ。」

 

灯「いいんですか?」

 

実「えぇ。私は洗い物するし、男性二人はあとに回すし、綾ちゃんはもう先に入って部屋に行っちゃったからね。」

 

灯「私も洗い物手伝いますよ」

 

実「いいわよ〜。後はお風呂に入ってゆっくりしてきて。」

 

灯「分かりました。お言葉に甘えてお風呂に行ってきますね」

 

実「どうぞ、ごゆっくり〜」

 

 

数分後

 

実「あら〜いけない。私ったらタオルを持っていくのを忘れちゃったわ~。」

 

実「廻くん〜?」

 

廻「何ですか?」

 

実「灯ちゃんにタオル渡すのを忘れたから脱衣所に置いてきてくれない?」

 

廻「分かりました。」

 

 

脱衣所

 

さっさと置いて部屋に戻るか。

 

ガラガラ

 

この時何故俺はノックをしなかったのだろうか…

そのことを後になって後悔することになる

 

廻「おーい、灯タオルここに置いと…」

 

灯「……え?」

 

俺は衣服を脱いでいる灯と目が合った。いや、合ってしまったのだ

 

廻「…」

 

灯「…」

 

灯「キャーーーッ」

 

  バチンッ

 

その日春田家に絶叫が響き渡ったのであった…

あと俺は顔に季節はずれの紅葉を作ることになった…

…すっごく痛え

 

 

廻「本当にすまなかった」土下座

 

実「私もごめんね、廻くんに頼まなくって私が行けばこんな事にならなかったから」

 

灯「もういいですよ。私は大丈夫ですから廻も土下座やめて。」

 

実「そう?でも、廻くんに責任取らせたかったらいつでも言ってね?」

 

廻「ちょっと実さん、責任ってなんですか。」

 

実「事故とはいえ女性の裸を見たんですもの〜、それ相応の責任を取らないとね〜」

 

灯「いや、ほ、本当にいいですから!?」カオマッカ

 

廻「?何か知らんけどいいみたいだな。」

 

まあ、許してもらえるならそれでいいけど…

 

実「廻くん〜?今回は灯ちゃんが許してくれたから良かったけど、次からは気をつけるようにね~」

 

廻「…はい、すみませんでした」

 

 

 

そうこうしているうちに寝る時間になってきた。

 

廻「さて、寝るか。」

 

灯「そうだね。明日も早いし。で、私はどこで寝ればいい?」

 

廻「そうだな、実さんと大輝さんは二人で寝てるから、綾の部屋がいだろ」

 

綾「はぁー!?なんで私の部屋なの?」

 

廻「仕方ないだろ?他に部屋ないんだし。ソファーに寝せるわけにも行かないだろ?」

 

綾「だからって何で私の部屋なの!?いくらなんでもおにいの言うことでも聞けないよ?」

 

廻「しゃーない。俺がソファーで寝るから灯は俺の部屋のベッドを使ってくれ。」

 

灯「え?でも…」

 

綾「だ、ダメーー!」

綾「おにいのベッド使うなんてあたしが許さないから!」

 

廻「じゃあどうするんだよ?灯の寝る場所がないじゃないか」

 

そうすると、少し綾が考え始めた。

そして数分後

 

綾「分かったわよ!今回だけ特別に私の部屋で寝ていいわよ」

 

廻「何でお前はそんなに上から目線なんだよ…」

 

結局綾の部屋で寝ることに決まったらしい。何としても俺の部屋は使わせたくないんだな…

 

灯「綾ちゃんありがとう!」

 

話はまとまったみたいだな。これでようやく寝れる…

疲れた。早く寝よう…

 

廻「じゃ、お休み」

 

灯「お休み!」綾「お休み、おにい!」

 

 

 

綾の部屋

 

灯「綾ちゃんの部屋可愛いね!」

 

廻と別れてから綾ちゃんに話しかけてみたけど、全然聞いてくれない。全部「ふ〜ん」とかそっぽむかれるかのどっちか

お世話になるから仲良くなってたほうがいいと思って話しかけたけどこれは無理そうかな?…正直泣きたい…

そんなことを考えてると

 

綾「…ねぇ、おにいのこと好きなの?」

 

正直無視されてると思ったから綾ちゃんから話しかけられたことにビックリしたし、突拍子もない質問がきたから不意をつかれてしまった

 

灯「え?い、いきなりどうしたの?そんなこと聞いて」

 

綾「いいから答えて!」

 

灯「…正直分からない…」

 

綾「…」

 

灯「私ね、不安だったの。ストーカーに合って周りにも相談できなくてね。で、藁にもすがる思いで廻に相談してみたの。でも、廻は笑わずに私の話を聞いてくれて、相談にのってくれて。嬉しかった。今までの不安が少しずつ無くなって行くのを感じた」

灯「だからね、廻には感謝してる。してもし足りないくらいにね」

 

綾「ふ〜ん。そうなんだ。」

 

灯「綾ちゃん?」

 

綾「…ま、また遊びにきてよ。」

 

灯「!綾ちゃんいいの!?」

 

綾「か、勘違いしないでね。大学でのおにいのこと知りたいだけだから!それに大人になって美人になってお姉ちゃんのことなんて眼中にないようにしてやるんだから!」

 

灯「ありがとう、綾ちゃん!ふふっそしたら私ももっとキレイにならないとね?」

 

綾「負けないからね!」

 

良かった、綾ちゃんと仲良くなれて。

…ってちょっと待ってこのままだと綾ちゃん私が廻のこと好きだと思い込んだままでいるってこと?

ど、どうしよう!誤解解くべきかな?い、いや誤解ってことでもないけど、いやでも。あーー!本当にどうしよう!

そうこう考えているうちに綾ちゃん寝ちゃたし…

 

 

 

そうして悶々としたまま夜が明けていった…

 

 




次回1話クライマックス!(の予定)
また次回もよろしくおねがいします!

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