『……チッ。もう少しでオレ様が
「も、申し訳ございません……。あそこにいるのは、金で雇った忠誠心の低い連中でして……」
邪教徒のアジトである別荘。そこに突入する退魔師たちを、少しばかり離れた山の中腹より見下ろす大きな影がひとつ。
そして、その影に対し、心底申し訳なさそうな声を上げる黒いローブ姿の男たち。
『フン、まあいい。奴らがこっちに気付いても、今からじゃ間に合わねえだろうしな』
「はい、それは勿論ですとも! あと少し、あと少しで儀式は終わりますので……!」
その影、巨大な亀のような姿をした妖魔──否、妖怪は、男の言葉を聞くと、その
『ああ、いいぜ……。力が高まってくるのが感じられる……。お前たちに声をかけて正解だったな……』
「勿体ないお言葉です、
かつては全長2mほどの上級妖魔であった彼は、邪教徒たちに接触したことで、みるみるとその力を高め──現時点で既に妖怪の領域にまで上り詰めていたのだ。
しかも、最新にして最強と謳われる機械型の特性を取り入れた、言わばサイボーグのような姿へと自身を作り変えるというオマケ付きで。
「この地の霊脈より集めた力と、我々上級術師の魂。これらを糧に、貴方様は妖怪の領域を超えた妖怪……即ち、伝承上の存在にすら匹敵する大妖怪として再誕なされるのです。そして、その暁には……」
『ああ、わかっているさ。人間どもの数を減らして、文明レベルを引き下げてやればいいんだろう? 安心しな、契約は違えねえよ。オレ様は、嘘ばかり吐くお前ら人間とは違うんだ』
「ありがとうございます……。どうか、どうかこの地球を食いつぶす害虫どもに、目に物を見せてやってください……!」
感極まった様子で頭を下げながらも、同時にその裏で極めて高度な儀式を進行させ続ける男。
滅亀はそんな男に対し、凄いのだか凄くないんだかよくわからん奴だという評価を下しながら、再び別荘の方へと目をやった。
そして、ちょうどその時。滅亀が退魔師たちを誘い込む罠である別荘へと意識を向けたその瞬間。
一人の美しい少女が、歩いて別荘の内部へと入っていく姿を、滅亀は目撃した。
『あれは、あの小娘は……。ククク……なんだなんだ、お前まで来たのかよ。わざわざ俺にやられるために出向いてくれるなんて、随分と気が利いてるじゃねえか……』
「どうかなされましたか?」
楽しげな声を漏らす滅亀を見て、疑問の声を上げる男。
『ああ。前々から気にしてた奴が、ここに来ているのを見つけてな……。不知火緋乃って人間を知っているか?』
滅亀より緋乃の名前を聞いた男は、すぐ合点がいったかのように頷くと口を開いた。
「ああ、あの少女ですか……。彼女も哀れなものですね。我々より先に、退魔師たちに目を付けられてしまい……その結果、彼らの犬として動く羽目になるとは。薄汚い人間ではなく、救世主たる妖怪として変生できる資質を持つ希少な存在だというのに、本当に残念です……」
(あの時は妖怪だと思っていたが、まさか人間だったとはな……。いや、放っておいたら勝手に妖怪化──いや悪魔化だったか? するらしいから、ほぼこっち側の存在と言っていいらしいが……)
男の言葉を聞き流しつつ、思索にふける滅亀。
かつて、初めて緋乃を目撃した際は、その体の奥深くより感じる妖気より、緋乃のことを人間に化けた妖怪だと誤認していた滅亀であったが──邪教徒たちと行動を共にしている間に、その誤解は解けていたのだ。
『そうだな、丁度いい。あの小娘にオレ様の力を注ぎ込み、巫女としてやるのも一興か』
「それは……素晴らしいことですね。退魔師に使い潰され、裏切られる未来。滅亀様のおかげでそれを回避できたと知れば、きっと彼女も喜ぶことでしょう」
ぽつりと零した滅亀の言葉を聞き、男は嬉しそうな声を上げた。
男のその反応を見た滅亀は、満足気に深く頷いて見せる。
(あの誰よりも強く、誰よりも美しい娘を完全にオレの所有物とし、屈服させる……。クク、最高じゃねえか。想像するだけでゾクゾクするぜ……)
最も、その内心は、男の想像するような慈悲深い上位者のそれではなく。
非常に俗物的な、下卑たものであったわけなのだが。
「ハァ……ハァ……。あと少し、あと少し……」
『…………』
それからどれだけの時間がたっただろうか。
時間にしてはそこまで経過していないはずだが、いつ退魔師たちにこちらがバレるのか。
儀式が終わるまで、別荘の捨て駒たちが持つのか。
不安と焦燥感に追われる男たちの放つ、重い空気が儀式の場を埋め尽くしていた。
「滅亀様……。私はですね、自然が大好きなんですよ……。草や花や動物たちが好きでね、昔は、それを危険に追いやる妖魔って存在が大嫌いだったんです……。だって、妖気で汚染された土地からは動植物が消えてしまいますから……」
『…………』
儀式に生命力を捧げているからであろう。苦しそうに息をしながらも、自分の心中を吐露する男の言葉を、滅亀は黙って聞いていた。
「しかし、私が退魔師として活動しているうちに、人間の自然破壊やら環境汚染の問題がどんどん出てきて……ある日、ふと思ったんです。『妖魔よりも人間の方がこの星を汚してないか?』『技術の進歩を言い訳に、やりたい放題している人間こそ真の悪なのでは?』『倒しても倒してもキリがなく湧いてくる妖魔は、もしかして人間を排除しようとするこの星の意志なのでは?』と……」
『それで、オレたちを保護する側に回ったってことか』
滅亀の反応を聞いた男は、軽く頷いて同意を示す。
「滅亀様、大変身勝手なお願いだとはわかっているのですが……。天敵がいなくなり、調子に乗った人間は、言い逃れのできない完全な悪ですが──自然と共存していた頃の人間は悪くないのです。ですので、文明のレベルを下げた後は……」
『皆殺しはやめて飼い殺しにしろってか。面倒な要求だな……』
殺すのはいいけど滅ぼすのはやめて欲しい。人類の敵対者である妖怪に向けるには、あまりにふざけた言葉だ。
男の言葉を聞いた滅亀は、思わずといった様子で呆れた声を漏らす。
『……だがまあ、一応は覚えておいてやるよ。一応、な』
「滅亀様……!」
しかし、それでも男たちには借りがある。
せいぜい上級妖魔どまりだった自分を、妖怪まで押し上げてくれたのは彼らなのだから。
滅亀のその返事を聞いた男は、消耗にその顔を歪めながらも、何とか笑顔を作り出すと明るい声を上げた。
「ありがとうございます、滅亀様。これで、安心して逝けます……。それでは滅亀様、ご武運を!」
「ご武運を!」
『……!』
この場の代表である男が、滅亀の活躍を祈る言葉を口にすると同時に、儀式を行っていた他の男たちも一斉に同様の台詞を吐く。
その直後、滅亀を囲む結界が強い光を放ったかと思うと砕け散り──滅亀は、自身へと大量の力が流れ込んできたのを感じ取る。
『ぐ、おお……。おおおぉぉ──!』
大量の陰の気を流し込まれたことで、それに合わせて滅亀の身体が巨大化していく。
滅亀の体が赤い光に包まれ、その中で一回り、二回りと徐々に大きくなっていく滅亀。
それと同時に、制御しきれなかった妖気がその体から溢れ──周囲の木々が枯れていき、まだ山に残っていた鳥たちが一斉に飛び立った。
『ふぅ、なんて力だ。これが大妖怪の領域、か……。まさか、こんな強大な力をオレ様が手にすることになるなんてな……』
やがて光は治まり、その中から、文字通りに倍の大きさとなった滅亀が姿を現した。
その大きさ、およそ12m。大型のトラックに匹敵する巨体を得た滅亀は、自身の中から湧き上がる圧倒的な力に酔いしれる。
そうして、そのまま数秒ほど呆けていた滅亀であったが、ふと我に返ると、倒れ伏した男たちへと目をやった。
『それもこれも、こいつらのおかげ、か。……文字通りに、自分たちの全てをオレ様に捧げたんだ。少しくらいは、言うこと聞いてやるか。……ありがとよ』
男たちに対する感謝の言葉を口にした滅亀は、その目を光らせながら、その視線を別荘へと向けた。
結界が砕けたことで、滅亀の妖気を感じ取ったのであろう。別荘周辺にいた、突入部隊のサポート役と思われる退魔師たちが、一斉にその目を滅亀のいる山へと向けてきていた。
『だがまあ、その前に。あの邪魔者どもを排除しなくちゃなあ……!』
滅亀はその口を開くと、口内に妖力を集中させる。
一か所に集中させ、高めた妖力による砲撃。妖魔時代から使っていた、滅亀の必殺技だ。
もっとも、大妖怪と化した今。その威力は、かつてのそれとは比べ物にならないほど上昇しているのだが。
『挨拶代わりだ、喰らいな! こんにちわぁ!』
妖気が急激に高まったことや、また激しい赤光を見て滅亀が遠距離攻撃を行おうとしていることを理解したのだろう。
慌てふためく様子を見せる退魔師たちを尻目に、邪教徒のアジトである別荘へと滅亀の妖力砲が放たれ──巨大な閃光が別荘を飲み込んだ。
◇
「キャアアア──!?」
「う、うわああぁぁ!」
「ええい、もうちょっと待っててくれても……!」
緋乃たち突入班が、別荘の地下施設から何とか脱出し、地上の別荘内部へと帰還した直後。激しい閃光と轟音が緋乃たちを歓迎した。
廊下や部屋が真紅の閃光に染まり上がり、ガタガタと別荘そのものが激しく揺れる。
緋乃は悲鳴を上げる六花や他の退魔師たちへ苛立ちながらも、自分たちを嵌めてくれた邪教徒たちへの文句を言う。
「ラッキー。終わったみたいだね」
「お、収まった……?」
「助かった……のか? いけない、早く外に!」
やがてその攻撃が止んだのか、赤い光は消え、振動も収まった。
謎の攻撃から身を守るため、各自で気や霊力による防御を固めていた退魔師たちは、この隙に別荘から脱出せんと廊下を駆ける。
そうして退魔師たちが駆けていくのを見て、緋乃も六花に声をかけた。
周囲の退魔師たちが逃げ出しているというのに、六花だけはなぜか動く様子を見せなかったからだ。
「ぐずぐずしてないで行くよ、六花」
「ま、待って下さい緋乃……。あ、足が……」
この場からの離脱を急かす緋乃の声に対し、弱弱しい声で返事をする六花。
六花の声を聞いた緋乃が、何事かと目をやれば、六花の足は生まれたての小鹿のようにがくがくと震えているではないか。
「……ええい、仕方ないなぁ!」
「きゃ!? す、すいませんわ……!」
六花が自力で走れそうにないことを確認した緋乃は、六花を横向きに抱きかかえると、別荘の出口へと向かって駈け出した。
そうして他の退魔師たちに遅れること数秒。緋乃と六花が別荘の外へと脱出してみれば──。
「無事か! 六花、緋乃!」
「お、お兄様……」
先ほどの攻撃の余波で土煙が舞う中、この作戦の責任者である総一郎が出迎えに現れた。
心配した様子で二人の名を呼びながら駆け寄る総一郎を見て、緋乃は抱いていた六花をゆっくりと地面に降ろす。
「一体何があったの? こっちは罠だって聞いたけど、今の攻撃は?」
「ああ、すまない……。どうやら、奴らはこの別荘ではなく、あの山の方で妖魔を強化する儀式を進めていたようだ」
総一郎の説明を聞いた緋乃は、土煙越しに、山の中に潜む、強大な妖気を放つ存在の方向へと目線を送りながら、ゆっくりと口を開く。
「情報、漏れてた?」
「そうかもしれんし、重要な儀式ということで、たまたま向こうが備えていただけかもしれん。現状ではなんとも言えないな……」
「そっか」
総一郎の言葉に対し、緋乃は気のない返事を返すと、あたりを軽く見回して周囲の状況を確認する。
妖魔──いや、この妖気の強さをみるに、恐らくは妖怪か──が潜んでいるであろう山と別荘との間に、大勢の退魔師が固まっているのを見るに、先ほどの攻撃は彼らが受け止めてくれたのだろう。
(あの人たちに助けられたのかな? 助かったよ、ありがとうね)
攻撃を防いでくれた退魔師たちに、内心で感謝する緋乃。
しかし、ちょうどその時。山の方から感じる妖気が、より一層の高まりを見せる。
恐らく、目標である別荘が無事だったのを見て、自分の攻撃が防がれたことを理解したのであろう。
「第二射、来ます! 先ほど以上の妖気です!」
「防御は出来るか!?」
「さっきので呪符やら使い過ぎました! 無理です、逃げましょう!」
(どうやら、わたしの出番みたいだね……)
高まる妖気を前に、慌てた様子で話し合う退魔師の男と総一郎。
二人の会話を横から聞いた緋乃は、山に潜む妖怪からは見えないよう、こっそりとその場を後にした。
「いよっと……。ほいさっ! ふぅ、これくらい離れればいいかな……」
建物の影に隠れ、木の影に隠れ。別荘より距離を取った緋乃は、今だ山中にて妖力を溜めている妖怪へとその目を向ける。
「間に合ったみたいで良かった良かった。さぁて、それじゃ……行きますか!」
緋乃は自分に気合を入れると、その尻尾を自身の右手首にくるくると巻きつけてから、更にその尻尾を伸ばして自身の顔の横にまで持ってくる。
「目標まで結構離れてるからね……。よーく狙わないと……」
狙うは妖怪本体……といきたいところだが、相手の能力がわからない以上、あまりうかつな攻撃はしたくない。
まずは距離を詰め、連続して攻撃を仕掛けることで、
そう考えた緋乃は、狙いをあえて妖怪から外し、その近くの地面へ向けて尻尾を勢いよく伸ばした。
緋乃の見守る前で尻尾はグングンと伸び──木々を避け、露出した山肌へと突き刺さる。
「よし……。イイ感じに刺さったね」
尻尾に力を込め、くんくんと何度か緩めては引っ張りということを繰り返し、しっかりと地面深く刺さっていることを確認した緋乃は、軽く深呼吸をするとその目を見開いた。
「それじゃあ、不知火緋乃。行きます!」
緋乃は決意の言葉を口にすると、その尻尾を急速に縮めていく。
その尻尾の伸縮に伴い、緋乃の足が地を離れ、そして緋乃本体も山に向かって宙を舞う。
重力操作で飛ぶよりも遥かに消耗が少なく、また高速で移動できるという、緋乃愛用の移動技だ。
そのまま尻尾を伸縮させるのでは、背中を向けて移動するという少し間抜けな絵になってしまうのが欠点だが……それも尻尾を手首や足首に巻き付け、経由させることで解消できる。
「さてさて、一体どんなやつが相手なんだろうね」
そうして緋乃は猛スピードで飛翔しながら、相手がどんなタイプの敵なのかを確認しようと、木々に隠れる妖怪へと目を凝らす。
灰色を基調としたメカニカルな体に、大型のトラックにも匹敵する巨体。
討伐目標であるその妖怪──緋乃はその名を知らないが、邪教徒の下に身を寄せたときに
(あれは……亀? まーたメカタイプかぁ。見る分には格好いいんだけど、相手にするのは面倒なんだよね……)
その特徴的な外見より、相手が機械型であることを理解した緋乃は、軽くため息を吐いた。
尻尾による遠隔攻撃手段を手に入れたとはいえ、緋乃の基本戦闘スタイルは蹴り技を主体とした近接格闘型。
多彩な攻撃手段を持ち、多少のダメージでは止まらない機械型の相手との相性はあまり良いとはいえず、また本人も好みではなかった。
もっとも、滅亀は半機械型とでも言えばいいのだろうか。生物型の妖怪が自己改造で機械型の特徴を取り入れた結果、両方の特徴を持つに至った特殊なタイプであるのだが──外見からそれを判別することは不可能であるため、緋乃は完全な機械型だと誤認しているのだが。
(うわ、なんかキョロキョロしてる。尻尾の刺さった音、聞かれたかな? こっち見るな~こっち見るな~)
まるで何かを探すかのように、口内に妖力を溜めたまま首を動かす滅亀を見て、緋乃は内心で祈りを捧げる。
ローコストかつ速度も速いという、一見すると便利な緋乃の尻尾移動ではあるが、欠点も存在する。
それは、尻尾を刺したり巻きつけたりするものが移動先に必要だということ。
そして、もう一つは尻尾を刺した際に、どうしても音が発生してしまうということだ。
今回は目標地点との距離が相当に離れていたため、能力発動に必要な精神力や移動速度を緋乃なりに考慮した結果、尻尾移動を使うことに決めたのだが──。
「見つかった……か! 仕方ないね!」
緋乃の祈りも空しく、滅亀は自身目掛けて高速で飛翔する、緋乃の姿を捕らえたようだ。
膨大な妖力を溜めたその口を、別荘付近に陣取る退魔師たちではなく、緋乃へと向けてきた。
(まあ、この技って見るからに方向転換が苦手だしね。しかも、ここは空中。周囲に蹴ったりするものは何もないし、この状況ではどうあがいても回避不能。哀れ、超絶に可愛くてセクシーな緋乃ちゃんは、この砲撃を受けてジ・エンド……なーんて、向こうは思ってたりしちゃうんだろうね)
どこからどう見ても絶体絶命なこの状況。
しかし、そんな状況にあってもなお、緋乃は慌てる様子を見せない。なぜならば──。
「甘いんだよねっ!」
滅亀より妖力の砲撃が放たれたその瞬間。緋乃は尻尾を消し去ってフリーになると、重力操作の異能を発動した。
その効果により、宙を舞う緋乃は急激に浮き上がり──見事、妖力砲を回避してみせる。
自身を覆うかのように、周囲の重力を反転させ、なおかつ倍加させたのだ。
「さて、バレたなら仕方ないね。ここはド派手に、わたしのドリルで貫いてあげちゃおう……!」
そうして滅亀の攻撃を回避した緋乃は、再び尻尾を出現させると、その先端の形状を変化させる。
捻じれた刃が高速で回転するその姿は、まさしくドリル。
かつて廃村にて最上級クラスの妖魔を葬った、緋乃の使える技の中でも、最大の貫通力を誇る一撃だ。
派手に音がするので、奇襲には絶望的に向かないという欠点こそあるものの──もうバレてしまった今ではそんなことは関係ない。
緋乃はニヤリと笑みを浮かべると、砲撃を放った反動で後ずさる滅亀に向かって、その尻尾を勢いよく放った。
(そしてすかさずギフト発動! これがわたしの必殺コンボだよ! 逝っちゃえ!)
そして、緋乃は尻尾を放つと同時に、再び重力操作の異能を発動。
尻尾がギリギリ通り抜けられる程度の、小さい円柱状の高重力場を、滅亀に向かって作り出す。
その重力の働く向きは勿論、尻尾の伸びる方向と同一方向だ。
高重力のトンネルを通ることで、緋乃の尻尾は一気に加速。圧倒的な速度で、滅亀目掛けて
『グオオォ──!?』
滅亀の背負う甲羅型のパーツへと、深々と突き刺さった。