目指すは地球の最強種   作:ジェム足りない

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4話 お片付け

「オ―、怖い怖い。地面からの奇襲とは、中々に厄介な攻撃ネ……」

 

 公園より数kmほど離れたマンションの屋上。茶色い髪をした一人の中国系の少女が、小さな単眼鏡を手に呟きを漏らす。

 つい十数分ほど前に、緋乃たちが和久たちのしつこいナンパから救ったその少女は、真剣な表情で公園における緋乃の戦いを観察していた。

 

「地面に尻尾を撃ち込んだかと思えば、次の瞬間には地面からドーン。至近距離から飛び出てくる関係上、回避は困難。ムムム……これパパならともかく、ワタシじゃ詰んでない? アレ使われたらその時点で終わりでは?」

 

 少女は時折吹く強風に髪を靡かせ、腹部に大穴を開けた不良少年(和久)へと目をやりながら、今しがた観察した緋乃の戦いの内容を思い返す。

 銃弾を凌駕する速度で伸びてくる尻尾に、その小さな体に見合わぬ圧倒的なパワー。

 そして、小さな体とパワーが組み合わさったことによる、異様なまでのスピード。

 何もかもが厄介な相手だが──その中でも、特に気を付けるべきはやはりあの尻尾だろうと少女は考える。

 

(主力の蹴り技もかなりヤバいけど、やっぱり殺傷力という意味ではあの尻尾が飛びぬけてるネ。まあ、武器を振り回しているようなものだから当然だケド……。……それにしても、試作段階の物とはいえ、最新型肉体強化薬(ヴァンパイア・ブラッド)で強化された肉体をあんな簡単に貫くとはネ)

 

 肥大化していた筋肉がしぼんでいき、元の身体へと戻っていく和久を眺めつつ、少女はため息を吐く。

何の変哲もない、平凡な不良であったはずの和久の突然の変貌。もちろんそれは偶然でもなんでもなく、この少女の手によるものだ。

 少女は緋乃たちが接触してくる直前に、和久に極秘開発中の肉体強化薬をこっそりと投与していたのだ。

 特殊なウイルスが全身の筋肉を限界以上に強化し、脳のリミッターを外すことで爆発的に気を増加させ──試作品故に限定的なものではあるが──肉体の再生能力すら得られるという、劇薬を。

 

「……おお? なんか治ってくネ? ムムム、ギフトとはちょっと違うカンジ……? ああ成程(ナルホド)、あれが魔法かぁ! へー、初めて見たネー」

 

 そうして考え事をする少女の視界に、緋乃の連れである少女が和久の怪我を癒していく光景が映る。

 異能(ギフト)とは非常に似通っているものの、細部が違う癒しの力。

 和久の胴体を優しげな光が包んだかと思うと、逆再生でもするかのようにその大穴が塞がっていき──そんな不思議な光景を見た少女は関心の声を上げる。

 

「いよう。どうだ、うまく行ったか? 蘭花(ランファ)

 

 少女が初めて見る魔法という力に目を輝かせていると、ふと屋上にあった扉がガチャリと開き、そこから坊主頭にサングラスをかけた男が姿を表す。

 男は少女に対し、親しげな声でその名を呼び──またその名を呼ばれた少女も、男へと笑顔を向ける。

 

「あ、パパ。うん、無事に薬を投与した相手を、緋乃に──じゃなく、半魔の娘(ターゲット)にぶつけられたヨ。撮影も完璧ネ」

 

 蘭花と呼ばれた少女は、男を父と呼ぶと笑顔のまま駆け寄り──手のひらに収まるサイズの、非常に小さなビデオカメラを取り出して手渡す。

 

「よーしよしよし。上出来だ。相手さんも、これなら満足だろう」

 

 男は蘭花からそのカメラを受け取ると、笑顔を浮かべながらその頭をワシャワシャと撫で回した。

 

「ニシシ……。上手くいって良かったヨ。それにしても、なんであの子と戦わせたんだろネ? いやまあ、確かに異様なまでに強かったケド……」

 

 頭を撫でられた蘭花は嬉しそうに笑っていたが、ふとその顔に疑問を浮かべると──なぜ薬物投与をした不良に緋乃を襲わせたのか、その理由を父に尋ねる。

 

「ま、そういう依頼だからな。なんでかは知らんが奴さんたち、あの娘にかなり執着した様子だったからなぁ……」

「……む。その反応、本当は何か知ってるネ?」

 

 蘭花の問いに対し、男は惚けた様子でその答えをはぐらかす。

 しかし蘭花はその反応を見て、父が何かを知った上で隠しているということに気付き、その理由を問い詰める。

 

「あの子、ビックリするぐらい可愛かったネ。連れの子たちも可愛かったケド、でも一人だけ明らかに格が違ったネ」

「そうだな。顔とスタイルの良さだけで、かなりの人気者みてえだしな……」

 

 いきなり緋乃の外見を褒める蘭花に対し、男は訝しげな表情を浮かべながらも、当たり障りのない答えを返す。

 

「そして明らかに人間の領域を超えたレベルの気の大きさに、ギフトのオマケまでついているとか──ちょっと出来過ぎネ。なんとなくだけど不自然ネ。やっぱり、あの子はあいつらが……」

「──おっと、それ以上はやめとけ蘭花。どこで誰が聞き耳を立ててるかわからねえんだからな。藪蛇はごめんだ」

 

 男は蘭花の言葉を遮るように声を上げ、それ以上の詮索をやめるよう態度で示す。

 

「……ごめんだよパパ。うん、気にしない。もう気にしないことにするネ」

 

 蘭花は父の反応より、自分が知らなくていいことに首を突っ込もうとしていた事を理解。

 しょんぼりと肩を落としながら、父ヘと謝罪の言葉を告げる。

 

「わかってくれて何よりだ。まあ、あれだ。世の中には、知らない方がいいことが沢山あるんだ。知っちまえば、俺みたいに逃げられなくなっちまう……」

「…………」

 

 遠い目をして空を眺める男。

 蘭花はそんな父の姿を見て、悲しそうに目を細め──娘のそんな様子に気づいた男は、慌てて手を振り明るい声を出す。

 

「おっとっと、辛気臭い話はここまでだ。さあて、折角だし美味いもんでも食いに行こうじゃねえか」

「オオー! いいねいいね、何食べるの?」

「そーだなー、蘭花は何か食いたい物でも──」

 

 そうして会話を切り上げた二人が、街へと繰り出そうと屋上のドアへと歩を進めたその瞬間。

 

「いやいや、そこで話を切るのはないじゃろ? 続きが気になって仕方がないではないか!」

 

 二人の背中に向けて、女性の声がかけられた。

 

「何者ね!」

「チッ、気配には気を付けてたはずなんだがな……」

 

 いつでもその拳を振るえるよう、二人が臨戦体制を取りつつ振り返ると──そこには、露出度の高い着物に高下駄を履いた黒髪の美女(刹那)が一人佇んでいた。

 

「ふふん。分身を家において、緋乃ちゃんをストーキングしておったら……まさかこんなチャンスが巡ってくるとはのう。これも日ごろの行いの良さってやつかの? わっはっは!」

 

 突如現れた刹那に対し、最大限の警戒を向ける二人。

 しかし、対する刹那はそんな二人の反応など知ったことかとばかりにその警戒を無視し、上機嫌に笑い声を上げていた。

 

「この国の妖怪、か……。ここらに住んでるとは聞いていたが、まさかいきなり遭遇するたあな……」

 

 男は刹那の正体を一瞬で見抜いたようで、瞬時に気を練り上げるとその身に纏う。

 それに遅れること数瞬、蘭花の方も慌てて気を纏うと構えを取る。

 

「くふふふふ。そう警戒するでない。儂はただ、ちょっとお主らから話を聞きたいだけじゃ」

「貴女に話す事なんて、ワタシたちには無いネ!」

 

 一触即発の空気が流れる中。刹那は男に対し宥めるかのように話しかける。

 しかし男が反応するよりも早く、蘭花がその言葉に対し反応を示す──が。

 

「小娘、お主に用は無いので黙っとれ。話の邪魔をするなら殺すぞ?」

 

 そう口にすると、男との会話に割り込んできた蘭花に対して強烈な殺気を飛ばす刹那。

 1000年以上の時を生きる妖怪からの殺気を受けた蘭花は、小さく悲鳴を上げると父の影に隠れ──そんな蘭花の様子を見た刹那は、クックックと笑いながら今度こそ男に対し問いかけを投げる。

 

「儂が聞きたいこととは無論、我が未来の嫁である緋乃ちゃんについての事じゃよ。さあ、先ほどの話の続きをしてもらおうかの?」

「嫁ぇ? お前さん、どう見ても女じゃ──」

「儂は美しいものは男女問わずに愛でる性質(たち)での。あと儂は妖怪じゃ。生やすも無くすも自由自在よ」

 

 刹那の言に対し、思わず突っ込みを入れる男。

 しかし男のその言葉に対し、刹那は得意げな表情で胸を張りつつ回答を行う。

 

「そんなことより、さっさとあの子について知っていることを話すがよい! もしあの子自身ですら知らない、特別な情報を手に入れられれば──好感度が激烈にアップすること間違いなし……!」

「ケッ、美しさが仇になったか。妖怪に魅入られるたあ、あの娘も不憫だなぁオイ」

 

 ぐふふとニヤける刹那を見て、思わず緋乃に同情してしまう男。

 例え姿かたちが似ていようと、妖怪と人間は別の種族。恋愛なぞ上手くいくわけがない。

 そのような考えから漏れ出た言葉だったが、刹那は男のその言葉が気に食わなかったらしく、額に青筋を立てながら男に向けて殺気を飛ばす。

 

「黙れハゲ。こう見えても、緋乃ちゃんからは好感触なんじゃぞ? マジ惚れしちゃったからの、絶対に嫌われないよう、慎重に接しとるんじゃ。……まあ緋乃ちゃんがベタベタしてくるおかげで、ムラムラが溜まって大変なんじゃがの!」

「ああそうかい……。だが悪いな、生憎と()()()()()()()()。他をあたってくんな」

 

 男はそう言い切ると、背後に隠れる娘に対して離れるようジェスチャーで促し──これ以上語る言葉は無いとばかりに構えを取る。

 

「さすがにアンタほどの実力者相手に勝つってのは厳しいが……それなりに痛い思いをさせることぐらいなら出来るぜ? 我が奥義、受けてみるか?」

「ふん、たかが数十年程度しか生きていないガキが吼えよるわ……」

「パパ、負けちゃ駄目なんだからネ!」

 

 男のその態度を見て、刹那もまた胸の谷間から羽団扇を取り出すとそれを構える。

 二人が構えを取ったのを見て、蘭花は父の邪魔にならないようにと、マンションの屋上から飛び降りて姿を消す。

 蘭花がいなくなったことで、これで本気を出せるとばかりに男と刹那の闘気が高まっていき──。

 

「言いたくないというのなら、力づくで聞き出すまでのこと! さあ、儂と緋乃ちゃんの輝かしき未来の為の──礎になれい!」

「ええいクソッ! 今日はツイてねえぜ……!」

 

 刹那の巻き起こした暴風と、男の拳が激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく。未許可の決闘が行われていると聞いて、駆けつけてみれば……まーたお前かい、不知火」

 

 刹那と蘭花の父親が人知れず戦闘を開始したちょうどその頃。

 緋乃たち三人は公園にて、通報を受けて駆け付けてきた顔見知りの警官からお叱りの言葉を頂戴していた。

 ──とはいえ、怒られているのは主犯である緋乃のみであり、明乃と理奈は緋乃から一歩引いた場所で片や呆れ顔。片や心配そうな表情を浮かべているのだが。

 

「てへへ……喧嘩売られたから、つい買っちゃった☆」

「『つい買っちゃった☆』じゃねーよこのバカちんが。聞いた限りじゃあ、どうやら派手に歩道やらガードレールをぶっ壊してくれたそうじゃねーか? ったく、人は簡単に治るけど、物はそういかねえって──」

「んぅ? なにそれ知らないよ? 確かに未申請で決闘をしちゃったのは悪いけど、わたしは()()()()()()()よ? ねー、理奈?」

「あ、あはは……」

 

 誤魔化しの照れ笑いを浮かべる緋乃に対し、容赦なく突っ込みを入れる警官。

 しかしそんな警官の小言に対し、緋乃は余裕たっぷりの笑みを浮かべながら割り込みをかけ──そんな緋乃から話を振られた理奈は、苦笑しながら言葉を濁す。

 

「ああ? お前みてえな大雑把な暴力魔人が、何も壊してないとかんなワケ──いやちょっと待て、水城さん家のお嬢さんって確か……」

 

 緋乃の反論を受けた警官は、緋乃の背後に立つ理奈へと目線を向け、考え込むこと数秒。すぐに結論に至ったのか、緋乃を指差しながら少々大きめの声を上げた。

 

「ああー! やりやがったなお前! お前アレだろ! 水城さん家のお嬢さんに、壊したところ直させやがっただろ! やられた、道理で壊れた箇所が見当たらねえわけだ……!」

 

 頭をがりがりと掻きむしりつつ、悔しげな声を上げる警官。

 そんな警官に対し、緋乃は勝利宣言でもするかの如く、勝ち誇ったかのような表情と声を向ける。

 

「ふっふっふ……わたし、おじさんが何を言ってるのかさっぱりわからないな~? とりあえず物は壊れてないんだし、中学生と高校生の可愛らしい喧嘩ってことで、早く開放して欲しいな~♡」

「ええいクソ、相変わらず悪知恵の働く奴だなお前は……。わかったわかった、とりあえず今回もまた厳重注意って事にしとくから、帰っていいぞ」

 

 甘えた声を出す緋乃に対し、警官はしっしと追い払うかのように手を振って、この場から去るように促す。

 

「あれ、もういいの? 事情聴取とか無いの? 前はもっと長かったような……」

「ああ、ないない。無いから帰っていーぞー。ぶっちゃけここだけの話、お前を見逃すように上から圧力がかかっててな……。お前が直してくれたおかげで、こっちも助かったわ」

 

 自身の要求があまりにもあっさりと通ったことに対し、疑問の念を抱く緋乃。

 さっさと開放されるのは嬉しいんだけど、なんか納得いかないとばかりに眉を顰める緋乃であったが──そんな緋乃に対し、警官は小さな声でその理由を告げるのであった。

 

「理奈、なにかやった? よく緋乃の問題行動、揉み消してるんでしょ?」

 

 警官のその言葉を聞いた明乃が、理奈に対して疑いの目を向ける。

 理奈は緋乃が中学に上がってからというもの、たびたび起こす無許可の決闘や破壊活動といった問題行動を何度か揉み消した実績があるからだ。

 

「ううん、まだ何も。緋乃ちゃんの処分を聞いてから動くつもりだったから……」

「あれ、そうなの? じゃあいったい誰が口利きしてくれたんだろ……」

 

 しかし、理奈から帰ってきたのは自身の関与を否定する言葉。

 それを聞いた明乃は、疑問の表情を浮かべながら頭を悩ませる。

 

「こらこら。お嬢さんたち、仮にも警官の目の前でそういう事は口にしないでくれ。いやほら、こっちにも面子とか建前とかそういうのが……」

「あ、ごめんなさーい」

「えへへ、すいませーん」

 

 明乃に釣られて、同様にうんうんと唸り始めた緋乃と理奈。

 そんな三人に対し警官が呆れ顔でツッコミを入れ、明乃と理奈の二人が即座に謝罪で返す。

 

「でもそれにしても、今回は水城家も絡んでないんだな。俺もてっきり、また水城さんとこからお願いが飛んできたのかと思ってたんだが……。不知火、お前さん今度はどんなコネを手に入れてきたんだよ? あのクソ署長が『絶対に注意で済ませろ』ってマジ焦りするとか相当だぞ」

 

 しかし、一応注意こそしたものの、やはり誰が裏で糸を引いているのかは警官も気になるようで。

 興味津々といった様子で、緋乃に対して軽口を叩きながら三人の会話に割り込んできた。

 

「結局おじさんも気になってるじゃん。でもうーん、そうだね……もしかして総一郎とか六花とか、あそこら辺かなー? なんかすごい名家(めいけ)だとか聞いたし」

 

 警官に対して軽口をお返ししつつ、緋乃は思い当たる人物の名前を上げる。

 大神総一郎と大神六花。二人の生家である大神家は長い歴史を持つ退魔の名家であり、政治方面にも強い影響力を持つと上司の野中から聞かされていたからだ。

 

名家(めいけ)じゃなくて名家(めいか)よ、緋乃。あとは刹那さんも相当に顔が利くらしいし、その辺じゃないかしらね」

「あー、刹那さんもか。もしそうだったら、お礼しないとだね」

「むぅ、あの人かぁ……」

 

 緋乃が大神家の二人の名を出すと、明乃も同様に一人の人物の名を上げる。

 明乃の口より刹那の名を聞いた緋乃は納得した様子で頷き、逆に理奈は困ったような声を上げて考え込む。

 

「誰の話をしているかはわからんが、お前さんたちって本当(マジ)でやべーコネ持ってんのな。なんかこれ以上聞いたらヤバそうだし、俺は何も聞かなかったことにしてクールに去るぜ。……ああそうだ、できれば俺のお賃金でも上げるよう、その人に言っといてくれや」

 

 緋乃たち三人の話を聞いていた警官は、そう口にすると公園の出口へ向けて歩いていく。

 そんな警官の背に向けて、緋乃たちはねぎらいの言葉をかける。

 

「考えとくねー。じゃあねおじさん」

「お疲れさまでした~」

「えっと、お疲れ様です」

 

 そうして警官が公園から出ていき、姿が見えなくなった次の瞬間。

 まるでタイミングでも計っていたかのように、明乃の腹の虫が大きく鳴った。

 その音を聞いた緋乃と理奈は、最初はきょとんとした表情を浮かべていたものの──すぐに顔を見合わせると、その顔にニヤニヤとした笑みを浮かべながら明乃へと向き直る。

 

「ふっ、ふふふ、凄い音だね明乃ちゃん」

「くふふ、トラブルに巻き込んじゃってゴメンね明乃~」

 

 手を口元に当て、笑いを堪えながら明乃を煽る理奈と緋乃。

 そんな二人に対し、明乃は顔を赤く染めながら反論をする。

 

「う、うるさいわね! 生理現象なんだからしょうがないでしょ!? そう、これは普通のことなんだからね!」

「はいはい、普通普通。さて、それじゃあ無事に騒ぎも解決したことだし、今度こそご飯食べにいこっか」

「そうだねー。明乃ちゃんもお腹ペコペコみたいだしね~。ふふふっ」

 

 拳を震わせながら力説する明乃に対し、からかい半分の言葉を返しつつ歩き始める緋乃と理奈。

 明乃は羞恥心に頬を染めながらも、そんな二人を小走りで追いかけ──そのまま理奈の背後に立つと、その首に腕を絡めて締め上げる。

 

「おらー! 乙女を笑う悪いやつはこうだー! 思い知りなさい!」

「ぐぇー! なんで私!? なんで私なの!?」

「いや、緋乃は技量高いから普通に抜け出してくるし……尻尾があるから背後とっても平気で反撃してくるし……」

「そんな理由で!? ぐえぇ、明乃ちゃんギブ、ギブ! 緋乃ちゃんお助けー!」

 

 歩きながらじゃれ合う明乃と理奈に、それを見てあははと笑う緋乃。

 つい十数分前にあった戦いのことなど、すっかりと忘れた三人はバーガーショップ目指して歩を進めるのであった。

 

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