目指すは地球の最強種   作:ジェム足りない

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地下基地はメタスラやEDFに出てくる感じでめっちゃ広いです
中からガンダムでも発進してくるのかな?ってくらい広いです
安心してドンパチできますね!


20話 吹き荒れる暴威

「撃て! 撃てーっ!」

「手当たり次第にガードロボを起動させろ! 全機だ! 全機出げ──施設の保護ぉ!? んなの気にしてる場合かよ!!」

「敵を近付けさせるな! 撃ちまくれーっ!」

 

 広大な地下基地の内部に、怒号と銃声、そして爆発音が断続的に鳴り続ける。

 昼休憩に入り、基地に属する人間が思い思いに休息を取っていたその時に、突如現れた襲撃者たち。

 その襲撃者たちを相手に、基地の人間たちは混乱の最中にありながらも、必死に立ち向かっていった。

 

「うおおおーっ! 死にやがれーっ!」

「俺たちの職場から出て行けっ!」

 

 ある者たちは即席のバリケードに身を隠しながら、手持ちの銃火器をぶっ放し。

 

「丁度いい、実戦における使用データが欲しくてですねェ!」

「そんな旧式ごときにっ!」

 

 またある者たちは、メカメカしい造形をした剣や槍といった特殊な近接武器を手に、侵入者たちへと飛び掛かる。

 彼らの士気はおおむね高く、使う装備もまた、襲撃者たちの握る表側の兵器(それ)とは比べ物にならない程の高性能。

 先制攻撃こそ許しはしたものの、このまま順当に行けば戦況はひっくり返せる──そのように彼等は思っていたに違いない。だが、しかし。

 

「なぁーにが職場だあ! ふざけやがって!」

「調子に乗るなよ、犯罪者共が!」

 

 押し寄せる侵入者こと、管理機構に属する者──と、その彼らがかき集めた有志や傭兵たちの連合軍。

 彼らの士気もまた、基地を防衛しようとする結社の構成員に負けず劣らず。いや、むしろ上回る威勢でもって、次から次へと怒涛のように押し寄せてきた。

 

「行くぜェ! ついて来いやカス共ーッ!」

「進めーッ! 傭兵どもに遅れを取るなーッ!」

「娘の仇だ、死ねぇーっ!」

 

 “武器の性能で負けるなら、それを握る人間の性能で上回ればいいじゃない”というストロングな理論の元、金に糸目をつけずに集められた歴戦の勇士たち。

 果たして、彼ら連合軍はその目論見通り。結社の防衛組と、互角以上の戦いぶりを見せつける。

 

「こ……こんなところで……」

「いでえ……いでえよ……」

 

 しかしそのように勇ましく戦うものたちもいれば、敵の攻撃を受けてその命を散らすものもまた、当然ながら存在し。

 数刻前まで平和だったであろう基地は、あっという間に死体や瓦礫が散らばる鉄火場へと変貌していた。

 

 

 

 

「どけどけー! 緋乃さまのお通りだーい!」

「ぐわーっ!」

「なんだあの子供は!?」

「うぅ、勇ましい顔で銃を構える緋乃ちゃん……カッコかわええのう……!」

「よだれ垂れてますよ、師匠……」

 

 その地獄のような戦場と化した基地の一角。

 大型の車両ですら、余裕をもってすれ違えるほど幅の広い通路を、緋乃・刹那・恭二の三人で構成されたチームが駆け抜ける。

 

「ぐぁっ!」

「があぁっ!?」

「三つ、四つ……! いぇい、全弾命中(フルヒット)!」

 

 チームの先頭に立った緋乃は俊敏に動き回りながら、右手に携えた大型ライフル──銘はアンタレス。全長約1.5m、総重量五十キロ。 “気や魔力を打ち消す金属”こと、結社が新開発したD1合金製の特殊弾の発射も可能──を撃ちまくり。

 

「やるのう緋乃ちゃん! 儂も負けてられ──」

「くそっ、これでも食らえ!」

「──させるわけなかろっ! 斬ッ!」

「ギャアアァ!! う、腕が……!」

 

 そうして主力を務めるが故に、敵兵からのヘイトを最も集める緋乃を──ちょうど今、手榴弾を投げつけられるところだった──刹那が背後より風の妖術でサポートする。

 

「フン、儂の緋乃ちゃんを傷つけるなど千年早いわ!」

「ありがと刹那さん♪」

「クソッ、まずあのふざけた格好の女から始末しろ!」

 

 しかし、その動きが目立ったのか。今度は刹那が敵から集中的に狙われてしまい、四方八方から銃弾が飛んでくる──のだが。

 

「っと、させないよっ!」

 

 そうはさせじとアンタレスが火を吹いて、刹那目掛けて放たれた銃弾のうち、直撃するルートを取っていたものの全てを撃ち落とす。

 

「ば、馬鹿な!」

「相殺しただとぉ!?」

「ふふーん! どんなもんだい!」

 

 驚愕の声を上げる敵兵たちを目にして、緋乃は淀みない動きで銃弾をリロードしながら勝ち誇る。

 普段から勝手気ままに振る舞い、他者を顧みることをあまりしてこなかった緋乃ではあるが──しかし今回に限っては、自分からチームのリーダーに立候補したという経緯もあってか、真面目にその任をこなしていた。

 

(む、斜め前の扉からライフル弾いっぱい。あ、前の連中も撃ってきた。弾種は通常のっぽい? 弾道は……前のやつはほぼハズレで斜めの連中のはわたしへの直撃ルート。前の連中は囮か)

 

 自分たち目掛けて飛んでくる弾を、その弾道から弾種に至るまでしっかりと目視で確認し。

 その上で、回避しても問題ないか。防御して弾を止めるべきか。それとも掴んで投げ返すべきか。自身はどう動くべきなのかを判断して、行動に移す。

 身も蓋も無いことを言ってしまえば、圧倒的なスペックに物を言わせたインチキムーブだ。

 

(でも射線上に味方はいない、と。よし、なら回避だね! 撃ち落とすのは弾が勿体ないし!)

 

 こうして自分へ殺到する銃弾をあっさりと避けた緋乃は、続けて放たれた銃撃も、残像を残しながらの高速ステップでこれまた回避して。

 

「そこっ!」

 

 腕一本で雑にアンタレスを構えると、前方の通路の出っ張りや物陰に隠れた集団を狙い撃つ。

 アンタレスの銃口から巨大な銃声が響く度に、敵兵たちは身を隠している障害物やアーマーもろとも、その胸部を貫かれて絶命していき──。

 

「な、なんだあの子供は!」

「あんなふざけた撃ち方で、何故当たる!?」

 

 その理不尽じみた破壊力と異様なまでの命中率に、相手側から慄きの声が次々と上がりだす。

 

「うーむ。儂が動くより、緋乃ちゃんが撃つ方が早いから出番が……。でも緋乃ちゃん楽しそうだしのう……」

「師匠の活躍はともかく、扱い辛い大型ライフルを練習無しでこれですからね。しかもこの状況下でも精神は安定しているとか……本当に彼女は、戦うための──不知火さん、次の通路を右に!」

 

 後から後から湧いてくる敵兵たちを処理しつつ、緋乃たちは通路の先へと進んでいく。

 今回の作戦にあたり、三人に与えられた役割は、敵の遊撃と撹乱。

 つまり“いい感じに暴れて敵の目を引け”ということであり、この任務を遂行するにあたり、あまり戦闘力の高くない恭二が、ナビゲート役を買って出ていた。

 

「右だね、わかった──ってヤバッ!」

 

 恭二の指示に従い、他のメンバーの安全を確保すべく、一足先にT字路へと突っ込んだ緋乃であったが──ついにと言うべきか。

 結社の保有する自立兵器が戦線へと投入されたらしく、通路のど真ん中へと飛び出した緋乃を、軽自動車サイズの多脚戦車──結社内部ではアラクネの愛称で呼ばれているとか──が迎え入れた。

 

「敵、待ち伏せっ! 来ちゃダメーッ!」

 

 かつて緋乃が遭遇したタイプより、二回り以上は大きいその機体と、機体の中央部に搭載された大型の機関砲(リボルバーカノン)をその目で確認して。緋乃は驚愕と焦りの混じった声を上げ、遅れてこの死地に飛び込んでくるであろう、刹那と恭二へとこの危機を伝えようとする。

 

「ずいぶんと好き勝手やってくれたようだが……これで終わりだ!」

「行け、アラクネ! お前の火力を見せてやれ!」

 

 冷や汗を流しながらも、敵の目の前で足を止め、仲間たちのために声を張り上げる。

 緋乃のそんな健気な姿を見て、アラクネの側に立つ二人の男はニヤリとその口端を吊り上げて。

 

「撃てぇー!」

 

 男たちが号令を下すと同時に、アラクネの機関砲が盛大に火を吹いた。

 

「キャアアアアーッ!?」

 

 手持ちの武器とは比較にならないレベルの、圧倒的な火力が悲鳴を上げる緋乃を襲い。さらには緋乃から逸れた弾丸が周囲の床を大きく抉り、大量の土煙が巻き上げられる。

 

「緋乃ちゃん!?」

「し、不知火さん!」

 

 いくら現行人類を凌駕する、圧倒的な性能を誇る人造人間とはいえ。

 いくら悪魔の力をその身に取り込み、半人外の肉体を手に入れたとはいえ。

 流石にこの火力を受け止めるのは危険すぎると、土煙に飲み込まれた緋乃へと向けて、刹那と恭二の二人は大きく叫ぶ。

 

「へっへっへ……まだまだ小さいってのに、可哀想な子供だったな。貴様らが戦場(こんなとこ)に連れてくるからだぞ?」

「およそ十秒でビルをバラバラにする破壊力だ。死体も残るまい……」

 

 そのように叫び声を上げる二人に向けて、土煙を眺めていた男たちが、責めるような発言をしながらその身体を向ける。

 彼らの体を覆うのは、漆黒のアーマーにボディースーツ。

 かつて緋乃や理奈が報告に上げ、捕虜にしたライナスも認めた──装着者に達人級の動きを与える、結社の開発したバトルスーツだろう。

 

「貴様ら……楽に死ねると思うなよ……?」

「戦闘は苦手だけど……あの子のカタキ、取らせて貰おうか……!」

 

 男たちの煽りを受け──ある意味その言葉通りではあったのだが、本人が着いてきたがった上に、何故か上からの許可も下りてしまったので連れてこざるを得なかった──刹那は額に青筋を立てながら、嵐のように大量の妖気を解き放ち。

 恭二もまたそんな刹那に追随し、なにやら術式の刻まれたナイフをホルスターから取り出すと、そのまま両手に構え。いつでも斬り込めるよう、体勢を整える。

 

「それはこちらの台詞だ。よくもここまで好き勝手してくれたな」

「だが、貴様ら管理機構の快進撃もここで終わりだ。ようやく、俺たち上級戦闘員にも出撃許可が……な、なんだぁ?」

 

 刹那たちの動きを見て、男たちもそれぞれ空手らしき構えと、ボクシングのような構えを取り。両者の間に、一触即発の空気が流れ出し──かけた。

 

「これは……黒い玉?」

「一体なにが……」

 

 その空気を打ち壊したのは、土煙が少しずつ晴れていくことでその姿を現した、黒い球体だ。

 緋乃が立っていたそこに、突如現れた謎の球体。それを目にしたことで、一同の意識が困惑に染まり上がり。

 

「うおおぉぉ!? クソ、床から!?」

「あ、アラクネが!?」

 

 そうして生まれた、意識の空白。

 その虚を衝くかのように、アラクネの鎮座する床の真下から、激しい勢いでドリルが飛び出してきたかと思えば──その勢いのままアラクネの中央胴体部を一気に貫き、機能停止へと追い込んだ。

 

「ふっふっふ……。なんかヒートアップしてるとこ、悪いんだけど……」

 

 刹那と恭二と、そして敵である男二人が見守る前で。

 はらはらと黒い球体が上から(ほど)けていき、その中から無傷の緋乃が現れる。

 

「最強無敵であるこのわたしが、あの程度の攻撃でやられるわけないでしょ?」

「緋乃ちゃん! ああもう、心配させおって……!」

「そうか、尻尾を使って防護壁を……! 成程、研究所の自爆とやらもこうやって……」

 

 傷一つない緋乃をその目で確認し、刹那と恭二は歓喜と感心の入り混じった声を上げ。

 逆に敵である男たちは、自慢の兵器が敵に一切の損害を与えることなく、あっさりと破壊されてしまったというまさかの事態に、焦燥に満ちた表情をその顔に浮かべた。

 

「化け物め……!」

「あらひどい。こんなに可愛い女の子捕まえて、そんなこと言っちゃうの? これはおしおき確定だね」

 

 緋乃は伸びた尻尾をシュルルと回収しつつ、男たちの物言いに肩をすくめて見せ。そのあとすぐに、男たちへ向かってアンタレスを構え直す。

 

「それじゃあ、さよなら」

 

 そうしてアンタレスを構え直した緋乃は、その銃身を横薙ぎに振るいながら、男たちへ向かって発砲。

 12.7mmという大口径の弾丸が、秒速千五百メートルの速度で男たちの心臓へと迫り。

 

「──ッ! そんな玩具で!」

「舐めるなァ!」

 

 一人は体を捻ることで。もう一人は首を傾けると同時に、銃弾を下から拳で跳ね上げることで、何とかこれを回避──したのだが。

 

「はい、チェックメイト。残念だったね」

 

 一瞬。男たちが銃弾の回避に気を取られた、その一瞬の隙を突いて、緋乃は重力操作の異能を発動。

 緋乃の瞳が青い光を帯びると同時に、二人の男は重力の戒めから解き放たれる。

 

「なっ! 体が……!」

「し、しま──っ!」

 

 地から足が離れ、何とも無様な体勢のまま、無防備な状態で空中に浮き。

 そうなってしまえば、男たちに待ち受ける運命はもはや一つだけだ。

 

「死ね」

「ギィ──ッ!」

 

 瞬時に男たちとの距離を詰めた緋乃が、宙を漂う男の一人に向けて、跳び上がりながらその脚を大きく振り上げ。弧を描くよう放たれた鋭い蹴りが、男をアーマーごとその胴体から両断し。

 

「ま、待て。降参だ! 投降す──」

「もう遅いわ、この戯けめ!」

 

 緋乃と同様に距離を詰めていた刹那が、命乞いを始めたもう一人の男へと、飛び掛かりながら両の拳を一気に突き出し──。

 

「終わりじゃ!」

 

 男の腹に拳がめり込むのと同時に、圧縮空気の砲弾をゼロ距離でぶちかます。

 

「──ウボォアアァーッ!」

 

 刹那の必殺技を喰らった男は、猛烈な勢いで吹き飛んでいき──その勢いのまま、通路の壁へと激しく激突。周囲に瓦礫や土ぼこりを撒き散らしつつ、盛大にその身をめり込ませた。

 

「くふふ、わたしに歯向かうからこうなるんだよ? お馬鹿さん☆」

「んん~、スッキリするのう~! やはりストレスはその場で解消するに限るわい!」

「やだ……うちの女性陣、怖すぎ……?」

 

 物言わぬ躯と化した二人の男を見て、満足気に頷く緋乃と刹那。

 彼女たちの圧倒的暴威を目の前で見せつけられた恭二は、一人戦慄の呟きを漏らすのであった。




前世の記憶が吹っ飛んだ理由の一つに“感性が前世とあまりにも違いすぎて、上手く同調できなかったから”というのがあったり。
あとクソデカライフルことアンタレス君の元ネタはアーマードコアに登場する051ANNRというライフルです。
デカい!武骨!格好いい!みたいな。
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