目指すは地球の最強種   作:ジェム足りない

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EDF6のDLCにドハマリしていて投降遅れました!!


21話 また一難

「こっちだ! みんな来てくれ──ギャア!?」

「ちっくしょう、なんだあのライフルは! 金属盾(シールド)ごとぶち抜きやがるぞ!」

 

 敵の大型兵器と上級戦闘員を片付けた緋乃たちは、通路の前後から断続的に襲い掛かってくる敵兵や小型の自律兵器群の対処に追われていた。

 

「いい加減に沈めよ小娘!」

「あーもう! 弱いくせに数ばかりぃ……!」

 

 前方から来るものは、緋乃がアンタレスと尻尾で撃ち抜き。

 

「風の刃……!? くそっ、こいつ異能者(ギフテッド)か!」

「惜しいのう、ハズレじゃ! そらそら!」

 

 後方からから来るものは、刹那が風術で切り刻み──というように、それぞれ手分けをして、何とか押し寄せる敵兵たちを処理していた。

 ちなみに緋乃と刹那が戦う中、恭二は何をしているのかというと。

 

「ええ、はい。成程……。そんな……!」

 

 緋乃と刹那に守られながら、無線機を片手に本隊との通信の真っ最中であった。

 

「チッ、あの男たちと兵器の処理に時間をかけすぎたかの……。次から次へと集まってくるわい」

「わたしの方も、残弾がちょっと心配かな。弾切れになったら、恭二さんを守る余裕が無くなっちゃう」

 

 一人、別の戦いを繰り広げている恭二はさておき。

 緋乃が刹那の漏らす愚痴に付き合いつつ、弾切れになったマガジン──内部空間が拡張されており、従来の数十倍の弾丸が装填できる特別仕様(なお重量は弾数相応)──を手早く交換していると。

 

「よくやった、あとは俺たちに任せろ!」

「おお、来たか! 助かったぞ!」

「あっちには風の異能者がいる! 手投げ弾の類は使うな! 跳ね返されるぞ!」

 

 ガシャガシャという独特の歩行音と共に、通路の先から二台のアラクネと、その随伴歩兵が姿を現し。強力な増援の姿を確認した、敵兵たちが一気に沸き上がる。

 

「たかが三人、さっさと片付けて中央の連中と合流するぞ!」

「場所が場所だ、ミサイルは使えないが……30mmの特殊徹甲弾を食らえい!」

 

 そうして現れた増援部隊は、通路の中央部で立ち止まると、緋乃たちに向かってその火力を集中させる。

 普通ならば絶体絶命を通り越し、死亡確定と言ってもいい程の絶望的な状況なのだが──。

 

「緋乃ちゃん、任せた!」

「うん、任された!」

 

 その攻撃への対処を刹那より頼まれた緋乃は、冷静にその弾道を見極めると、射線上に尻尾で作り上げたシールドを割り込ませ。豪雨の如く襲い掛かる弾丸の、悉くを防ぎ止めて見せる。

 

「なんだあの四角い盾は……!?」

「しまった、奴も異能持ちか!」

「あれはワイヤーだ! ワイヤーを操る異能者だ!」

 

 アラクネの機関砲を易々と弾き返す緋乃のシールドを目に、敵兵たちが驚愕の声を次々と漏らす。

 一部の敵兵たちは、緋乃の尻尾を異能の一種だと勘違いしているようであったが──それも仕方のない事だろう。

 たった今戦場に到着したばかりの、増援部隊の人間が情報不足なのは当然の事として。先ほどの緋乃と上級戦闘員との戦いを見ていた者も、既に全滅してこの世にはいないのだから。

 

「慌てるな! 異能を使ったという事は、アラクネの機関砲は素手では捌けないという事! つまり……」

「このまま撃ち続ければ勝てる!」

「そういう事だ! 撃ち続けろーッ!」

 

 故に、緋乃が全ての手札を使い切ったと勘違いをして。

 必殺を期して、足を止めての制圧射撃を続行してしまい。

 

異能(こっち)は精神的に疲れるから、あまり使いたくないんだけどね……!」

「うわあぁーっ!?」

「な、何が起き──」

 

 緋乃の繰り出した防御技を、異能だと誤解したまま。

 足を止めてしまった彼らを、緋乃の本当の異能によって発生した、横向きの高重力場が飲み込んで。

 

「──ぷぎっ!?」

「うわあああぁ! た、助け──!?」

 

 重力の導きに従うまま、通路の壁面に勢いよく()()し、全幅の信頼を向けていたアラクネに押し潰される。

 こうして二台のアラクネとその随伴歩兵からなる増援部隊を滅した緋乃たちであったが、しかしそれでも、敵の数は一向に減る気配を見せず。

 緋乃たちの弾薬や気力が尽きるのが先か、それとも結社側の人員が尽きるのが先か。事態はそのような、我慢比べのような状況に陥っており──その現状に対し、いい加減にしろとばかりに刹那が吼えた。

 

「ええい、このままではらちが明かんッ! 無理矢理にでも突破するぞい! 小僧、そっちの方はどうじゃ!?」

 

 刹那は強行突破を提案すると同時に、本隊との連絡役を任せていた恭二に対し、もう待ちきれないとばかりに語気を荒げながらその成果を尋ね。

 

「確認取れました! 本隊の方にも、上級の戦闘員や自律兵器が多数現れたそうです! 状況は不利!」

「やはりか……」

 

 恭二から帰って来た、予想通りの言葉に眉を顰める。

 そう、先ほど緋乃と刹那の始末した上級戦闘員の語っていた“ようやく、俺たち上級戦闘員にも出撃許可が下りた”という言葉。その言葉の真偽を確認すべく、刹那は恭二に本隊へ連絡を取らせていたのだが──どうやら、その言葉は真実だったようだ。

 

「あとは本隊に任せて、儂らはおさらば……というわけにはいかんかったか!」

「それと、我々も至急本隊と合流せよとのことです!」

 

 当てが外れたと言わんばかりの、残念そうな声を上げる刹那に対し。恭二がさらに、本隊の指揮官から賜った、非常にありがたくないお言葉を告げ。

 

「ええい、そっちの都合で遊撃なんぞに押しやっといて、ピンチになったら助けろとはのう!」

「それは仕方ないでしょう!? 師匠も不知火さんも、命令無視の前科が……」

「あーあー聞こえなーい! 仕方ない、救援に行ってやるからルートを出さんかい!」

 

 命令を出した指揮官ではなく、ただそれを伝えただけの恭二に、見当違いの怒りを撒き散らす刹那へと。恭二は純然たる事実を突きつけて、黙らせる。

 

(へー、刹那さんもわたしと同じタイプかぁ……。ふふっ、なんか親近感を感じちゃうね)

「了解です! ではまず、あの角を右に曲がって──」

 

 刹那の知られざる過去を耳にして、緋乃が内心で好感度を上げているなどとは露程も思わずに。

 無事に刹那から協力の言葉を引き出した恭二は、本隊との合流ルートを示すべく、前方のT字路を指差した──が。それと時を同じくして。

 

「おおっとぉ! 悪いけど、ここから先は通行止めっすよぉ!」

 

 緋乃が持つアンタレスをも超える、巨大かつ独特な形状の銃身を持つ──カタカナの“コ”の字の横棒部分をひたすら伸ばしたような形状だ──ライフルを構えた、オレンジ色の髪をした女が前方側の通路より。

 

「残念ですが、あなた達の快進撃もここまでです」

 

 鮮やかな金髪をショートカットにした、真紅の瞳を持つ女が、後方側の通路より姿を現した。

 

 

 

 

「……刹那さん。あいつら強いよ。特に金髪のほう」

「うむ。オレンジ髪のほうはともかく、金髪のほうはヤバい気配がプンプンじゃ」

 

 新たに表れた二人の女を目に、警戒を示す緋乃と刹那。

 二人が警戒の眼差しを送る先には、時折光のラインが走るレオタードのような服の上から、黒いロングコートを着込んだ金髪の女がいた。

 

(あのレオタード、きっとバトルスーツだよね。一人だけスーツの形状が違ったり、なんか“私強いです”オーラをバンバン出してるとこから察するに──重要ポジの強敵! つまりこの基地のボスキャラ!)

 

 クスクスと上品に微笑みながら、緋乃に対して愉し気な目線を送ってくる金髪の女の、その正体について緋乃が考えを巡らせていると。

 

「このミリアム様を微妙扱い!? ひどい、ひどすぎる! いやまあ、確かにベアトリスと比べたら劣ることは認めるけどーっ!」

 

 背後より巨大なライフルを構える、オレンジ髪の女ことミリアムがギャーギャーと騒ぎ出す。

 そのやかましさに、緋乃がミリアムの方へと、意識の一部を割いたその瞬間。

 

「ミリアム。人の名前を勝手に明かすの、やめてくれません?」

「ひぎぃ!?」

 

 突如として目の前から金髪の女──ベアトリスの姿が消失したかと思えば、ミリアムの真横にその姿が現れ。そのまま騒がしいミリアムの頭に、肘打ちを叩き込んで悶絶させた。

 

「あ、あがががが……頭が割れるぅ……! ミリアム様に大ダメージぃ……!」

「なんてスピードじゃ、いつの間に……」

「これは厄介っぽいね……」

 

 ベアトリスの見せたその圧倒的なスピードに対し、刹那と緋乃は驚愕の声を上げる。

 確かに今緋乃たちがいる通路は、縦も横も異様に広い幅をした通路ではあるものの──高速移動をした際に発生する空気の流れや、衝撃波を誤魔化せるほどの広さは無いのだ。

 なのに、この女はそれをあっさりとやってのけた。緋乃たちにすれ違ったことを一切気付かせずに通り過ぎ、ミリアムの真横に移動してみせた。

 今はただ、騒がしいミリアムへ突っ込みを入れる為だけに動いたからいいものの──もし、この高速移動が攻撃を目的にしたものだったら。

 

 防御力や攻撃力を目的とした肉体の外部強化と、身体能力全般を大きく引き上げる内部強化。

 通常ではどちらか片方に注力するのが基本の身体強化を、その膨大な気と繊細なコントロール技術に物を言わせて、両方同時に行うことで異常なまでのスペックを発揮できる緋乃や。

 妖怪であるが故の、素の状態でも高い身体能力に加え、再生能力をも併せ持つ刹那ならば。

 この二人なら、何とか致命傷は避けられた()()()()()()が、せいぜい二流程度の戦闘能力しか持たない恭二に関しては、間違いなく即死。

 

 つまりベアトリスがその気になっていれば、ここで仲間を一人失っていたのだ。

 まあ生憎と、緋乃は感性や人格面(そのあたり)に関しての調整は念入りに受けていたりするし──刹那もまた、人外故の殺伐とした感性の持ち主。

 恭二の死に動揺した隙を突かれ、連鎖的に撃破されて全滅……などという結末が訪れる事は、決してないのだが。

 

「まあ、そう警戒しないでください。大人しくこちらの指示に従ってもらえれば──命までは奪いませんから。……ね?」

 

 そのような言葉を口にしつつ、ベアトリスは緋乃に対しクスリと微笑みかける。

 しかし、確かに口元こそ微笑んでいたものの──その目には、嘲りの色が濃く浮かんでいたのであった。

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