最狂の転生者がモルモットになる話。   作:最弱神

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今回はヤベーイ不審者の登場です。次回恋愛要素出したいと思っているのですが正直自信ありません。
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第十二話 「修羅、相談する」

周りはすっかり暗くなり、星空が見え始める夜。尚人は会議室で人を待っていた。

 

「…失礼します。」

 

「私なんかの為にこんな夜遅くに来て下さって感謝します、樫本トレーナー。」

 

彼女は樫本理子(かしもとりこ)トレーナー。数年前に理事長がアメリカへ出張した時に理事長自ら推薦して理事長代理になった。

その時に『徹底管理主義』というものを掲げ一悶着あったらしい。その内容は『生徒の判断を「無計画」「情動的」として全て切り捨て、ウマ娘を肉体・精神その他あらゆる面で徹底的に管理して育成する』というものだった。

結局計画はとあるチームとのレースで決着を着けて頓挫&理事長が帰ってきたことで理事長代理を離任。今は前から見てたチームファーストの面倒を見てる。

 

(ランダム要素(刺激)があるから生きるのは楽しいと思ってる俺からしたら徹底管理主義は御免だが、怪我を避けるという部分だけは見習う必要がありそうだ。)

 

「それで…何故こんな時間に来るように言ったのですか?濱田トレーナー。」

 

「生徒には聞かれたくなかったから。確実に面倒な事態になる。」

 

「そうですか…」

 

「とっとと本題にいきましょう。俺の担当であるタキオンの脚は…一般的なウマ娘と比べてとても力強く、そしてとても脆いんです。」

 

ここまで聞いて樫本トレーナーは理解と困惑が混ざったような表情をする。おそらく何で分かったのかが気になっているのだろう。

 

「何故新人であるあなたがそれを?」

 

「肉体の壊れかたとかは過去の経験上理解してるから、それの応用です。で、何か対処法は?」

 

今のところ用意出来る対処法は3つある。

1つ目は尚人の本来の力を使う方法。これは一瞬でこの問題を解決出来るが絶対に怪しまれるし、彼女の今までの努力を踏みにじる行為になるから出来れば使いたくない。

2つ目はこの世界の医学で何とかする方法。一番怪しまれないのはこれだが多分それで何とか出来るならタキオンは病院に行っているだろう。

3つ目は尚人の技術をどこかの企業とかに売る方法。何か言われても金掴ませて黙らせれば良い。

 

(この中だと多分3かな…)

 

「…彼女の場合遺伝である可能性が高いのでなんとも…」

 

「…そうですか…」

 

二人は苦虫を噛み潰したような表情をしてしまう…と何故か足音が聞こえてきた。

 

「…今俺ら以外に居るのは…」

 

「…ひとまず確認してみましょう。」

 

そうして息を殺しながら扉を開けて足音がする方を見る。そこに居たのは…

 

「う~ん…流石に遅すぎたかしら…でも朝まで待てばあんし~ん、よね!!」

 

赤いボディコンスーツと白衣と仮面を見に纏い、えらく太い針を持った不審者だった。

 

「樫本トレーナー、彼女は…」

 

「不審者ですね。」

 

「紐かなんか探してきて下さい。俺が押さえておくので。」

 

「分かりました。」

 

そう言って樫本トレーナーは一度離れる。

 

「…で、不審者さん。何用でこんな時間に?」

 

「ワォ、見つかっちゃった☆でもあんし~ん、して!まだ針1本触ってないから。施術のイメトレをしてただけなのよん。ウマ娘の輝かしい未来を思いながらね☆」

 

「そうですか、続きは署で聞くから。」

 

取り敢えず脅し目的で指をポキポキ鳴らす。不審者相手なら多少強引な手を使っても文句は言われないだろう。

 

「ストップ、ストーーーップ!まずは会話をしましょ?(自称)笹針の至宝、安心沢刺々美(あんしんざわささみ)をここで失ってもいいの!?」

 

「今のところ全く問題無い。」

 

「ワォ、辛辣☆…でもこれだけは信じて。あたしはただ、ウマ娘の活躍と成功を心から願っているだけ…。そう、あなたと同じようにね。」

 

そうして安心沢は仮面越しにこちらを見る。眼は悪くないが…

 

「…残念だが見た目の胡散臭さで全部台無しになってるよ。」

 

「ホームページに寄せられたコメントも見て!」

 

そう言って安心沢はスマホを取り出し笹針関連のサイトを見せる。

『笹針のおかげで1着になれました!』『施術してから毎日がウハウハでーす♪』

そんな感じの感想がびっしり書かれていた。彼女では無い別の誰か宛に。

 

(こういうのサクラの場合も結構あるんだよな…というか誰?)

 

「ワォ、喜びの声がいっぱ~い☆…師匠宛てだけど!」

 

「師匠宛てかよ!!」

 

そんな話をしてると樫本トレーナーが長めの紐を持って来る。

 

「濱田トレーナー。持ってきました。」

 

「ああ樫本トレーナー、すみませんが今回は厳重注意で済まそうと思います。見た目は色々アレですが悪いことしそうな奴じゃ無いので。」

 

「…そうですか。分かりました。」

 

「キャー、見逃してくれるの!?話が分かるじゃなーい☆…そうだ!お礼にブスッとしてあげる!パワーアップのチャンスよ~!…上手くいけは。ワォ、あんし~ん☆」

 

「いらん。俺はパワーアップする必要無いし、樫本トレーナーは耐えられるか不安だしな。あと次からは不法侵入は辞めて正面からアポ取って来いよ。次不法侵入したら突き出すからな。」

 

「は~い、じゃ退散☆」

 

そう言って二人は安心沢を追い出す。

 

「…貴方はどうして彼女を警察に突き出すのをやめたのですか?」

 

「さっきも言いましたよ、見た目はアレですが悪い奴じゃ無いのでって。あと医療関係者と関係を持っておくのもアリだと思ったのですよ。使える手は増やしておきたいので。」

 

いくら尚人でも医療知識はまだプロよりかは下だ。もしタキオンに何かあった際にただの病院では対応しきれない場合、他に頼る場所が必要になる。そんな時は尚人よりも安心沢の方が顔が利いたりして良いだろう。

 

「優しいと思っていたらそういう事ですか…自己中心的なのですか?」

 

「他人に迷惑をかけない自己中が俺のモットーの一つなので。」

 

「そうですか…ではそろそろ私は帰りますね。お疲れ様です。」

 

「お疲れ様です。」

 

そうして樫本トレーナーは尚人と別れ、帰っていく。

 

「…本当に、これ以上パワーアップして何をするってんだよ。使い方間違えたら世界どころか何もかも滅ぼせる化物じみた力を。」

 

そう自虐するように溢してしまう。色々溜まっているのだろうか。そんなこともありながら、尚人は自宅へと帰っていく…




『樫本理子』
URAの幹部職員でチームファーストのトレーナーで元理事長代理という結構すごい経歴を持つ。昔は衝突もあったが今はだいぶ丸くなったらしい。因みに運動神経はかなり残念でレベルは2。

『安心沢刺々美』
笹針という器具を使う医学をウマ娘に勧めてくる怪しげな人間。師匠の腕は確かだが、本人は色々危なっかしい感じがする。たづなさんから逃げ切ったという噂があるが真意は不明。
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