最狂の転生者がモルモットになる話。   作:最弱神

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すみません、大変遅くなったのに今回短いです。内定が決まったのでこれから投稿スピードを戻せるように頑張ります。シンボリルドルフを書くのが非常に大変なので今後あまり出番は無いと思います。


第十七話 「修羅、説明する」

トレセン学園 トレーナー室

 

「多少遅いが明けましておめでとうタキオン。」

 

「そうだねぇモルモット君。さて早速帰省中に作成した新薬を…」

 

そんな新年の挨拶を掻き消すように放送が流れる。

 

『濱田尚人トレーナーは、至急生徒会室にお越しください。』

 

「悪い、呼ばれちまった…」

 

「構わないよ、出来るだけ手短に済ませたまえ。ところで要件の予想は出来てるのかい?」

 

「思い当たる節が多すぎて分からん。」

 

「ふぅン…」

 

「んじゃ終わったらトレーナー室で。」

 


 

生徒会室

 

コンコン

 

「失礼しまーす…」

 

ノックした後そう言って入ると、普段の姿からは想像出来ないような機嫌が悪いと一発で分かる顔の皇帝が居た。

 

「急に呼び出してすまない、かけたまえ。」

 

「…用件はなんですか?」

 

ソファーに座り置いてあった紅茶を一気飲みすると尚人は皇帝を見ながら聞く。

 

「…単刀直入に聞こう、彼女は…ファーザーモアは何者だ?」

 

「予め言った通りですよ、俺の師匠でウマ娘。」

 

「そうは聞いたが未だに信じられなくてね…実力も、走り方も。」

 

口調は変わっていないが、本来レースの時にしか発してこない威圧感を全力で向けてくるあたり、相当怒らせてしまったようだ。そんな姿を見て尚人は彼女への認知を改めた。

 

「…走り方に関しては俺が頼んだ。敵役(ヒール)の走りをしてくれってな。説明しとけば良かったな、悪いな。」

 

「そうか…では、あの実力は?ウマ娘の最高時速が70km前後と言われているが彼女は明らかにそれ以上出ていたぞ?」

 

「…それ話すには師匠の過去を話さないといけないけど…師匠過去知られるの嫌がるんだよな…もし話したのバレると確実に殺される…」

 

尚人は顔を真っ青にしながら会話をすることで事実だと相手に誤認させる。

やはりこの男、演技が上手である。

 

「…そんなに恐ろしいのかい?」

 

「空腹の人食い熊の巣に放り込まれた時は流石に死にかけたかな…絶対に他言しないと約束してそれを守れるなら言っても良いが。」

 

「…その条件で構わない。話してくれないか?」

 

「ああ、一度しか言わねぇからな。」

 

そんな訳で尚人はファーザーモアの過去(という名の作り話)を皇帝に話した。

 

「そんな事が実際にあるとは…未だに信じられないよ、あの走りを見なかったら。」

 

どうやら皇帝の怒りはある程度収まったらしい。ファーザーモアの過去に同情でもしたのだろうか?

 

「だろうな…あまりにも現実離れが過ぎるし。」(まぁ俺が経験した現実はもっと現実離れしてるがな…)

 

「しかし…そんな事を経験した者の弟子って事は君もかなり強いのかい?」

 

「期待されても困る。『人間はウマ娘には勝てない』ってのが常識だろ?」

 

「それもそうだったね…私たちは()()を目指して走っているが君は()()の方が得意なのかな?」

 

皇帝にいきなりそんな洒落を言われて尚人は一瞬ポカンとしてしまった…が、すぐにいつもの調子を取り戻す。

 

「…ぷっ、俺としては()()よりも()()の方が好きだし得意かな。デカイからのんびり浸かれる。まぁそれより好きなのは船に乗ることだが。一番前で進んでいくのを見るのが良いんだ。」

 

()()から()()の景色を見ているのか…フフッ。」

 

「ああ…しかしいきなり洒落をぶっ込まれるとは思ってなかったな。」

 

「相手を畏怖させないようにするためにしてるのだが…これがなかなか難しいんだ。」

 

「そうか…多分タイミングだろ。使い時が悪いと場は白けるだけだからな。」

 

「なるほど…これからはそこも気を付けよう。ところで先ほどから敬語が外れているが、理由を教えてくれるかな?」

 

「あー…俺本来敬語が壊滅的に苦手で…問題無さそうと判断した時は外すんだ。嫌なら戻そうか?」

 

「フフッ…別に構わないよ。君は益者三友(えきしゃさんゆう)な人間に見えるしね。」

 

「今まで友人も彼女も居たことがないボッチ歴=年齢(とし)な俺がか?」

 

実際はボッチと言うより孤高と言う方が正しいかもしれないが、友人も彼女も居た試しがないのは確かである。

 

「少々意外だね…コミュニケーション能力は高いと思っていたのだか。」

 

「昔色々あったんだよ…」

 

そう言って適当に誤魔化していると、ノックの音がした。

 

「客か?」

 

「いや、多分エアグルーヴだろう。」

 

「副会長だったっけ。流石に長居し過ぎたか。もしまた俺の師匠と戦いたいなら言ってくれ、タイミングが合えば来るかもしれん。」

 

「それは御免被らせて貰うよ…流石に一敗塗地(いっぱいとち)に感じるしね…彼女と同じ道を歩めばもっと強くなれるだろうか?」

 

「…分かってるかもだが一応言っとくぞ…」

 

その後何かを言って入れ違いになるように尚人は生徒会室から出ていく。

 

「失礼しま…会長、確かあの男は…」

 

「ああ、私が完敗した者の弟子だそうだ。」

 

「…私には未だに信じられません。会長が芝、しかも2000mで大差で負けるなんて…」

 

「…彼女は、どうやら私よりも途轍もなく重いものを背負ってきたらしい。それが敗因だと私は思っている。」

 

「背負ってきた…?」

 

「ああ、しかし彼はこうとも言っていた。」

 

『師匠は途轍もなく理不尽なゲームに勝たなきゃ死ぬから必死になって強くならざるを得なくなった。それに強いことと人生で幸せになることは決して(イコール)じゃない。』

 

「…」

 

「…これは彼なりの警告なのだろうと私は思う。これ以上踏み込ませない為の…すまない、暗くなってしまったな。紅茶でも淹れよう。」

 

「私も手伝います、会長。」




『ファーザーモア』
濱田尚人がウマ娘になった姿
やはり異常な強さを持っている

ここから先は偽装した設定である。
ファーザーモアは中央トレセン卒業後、世界へ挑みに日本を旅立った。だが海外は甘くなく、レースで結果を残せず、しかも騙されて地位と名誉を失った。
失った後に待っていたのは地下の違法賭博場だった。そこではドーピング、機械、何でもありのレースが行われており、そこの出場選手として金を稼がなければ奴隷、もしくは死が待っている。
ファーザーモアは機械やドーピングに頼る金も無く、自身を壊れる寸前まで鍛え上げ、他の選手よりも速く走った。時に襲われ、怪我を負ってからは武道も学び、誰にも負けないようにした。
そうして5年間、彼女は勝ち続けた。この違法賭博場で3年以上生きた者はそれまで居なかった。負けた者は殺されるからだ。他者を負かし、他者が死ぬことで生き延びてきたことから、彼女は『死神』と呼ばれた。
こうして自由を買い取った彼女は、今は自身の技術の継承と失った時間を取り戻す為に世界を回っている。
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