最狂の転生者がモルモットになる話。   作:最弱神

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ファーザーモアの立ち絵を知り合いに描いて貰いました。
ただ挿し絵の貼り付け方が分からないので調べて分かったら本文の最初の行にでも貼ります。


第二十話 「修羅、制裁する」

ファーザーモア 立ち絵

 

【挿絵表示】

 

 


 

天皇賞(春)が終わり、理事長室で謹慎処分を受けたあと、尚人はとある別空間に来ていた。

 

「…よお、7000年ぶりか?最近はやっと反省したかと思ったらこれだよ。相変わらず趣味が悪いな運命(クソッタレ)が。」

 

…修羅、貴様はまた運命(我々)に抗おうと言うのか。もう諦めたまえ、貴様がどう抗おうと運命(我々)は世界のために試練を与える。

 

「今の俺は濱田尚人だ、それに世界のためが方便だってことはもう分かってるんだよ…結局てめぇが誰かの苦しむ姿を見たいってだけだ。滅ぼしたい程俺はてめぇら運命(クソッタレ)が憎い、けど滅ぼしたら世界が崩壊する程てめぇらが世界に食い込んでるから滅ぼさないでおいてるだけだ。」

 

あまり運命(我々)を舐めるなよ、修羅。運命(我々)は何度でも…

 

そんな演説(言い訳)を聞く気は尚人には一切無く、ブン殴って黙らせた。

 

「黙れよ、俺みたいな存在は本来1人も居ちゃいけねぇのにまた誰かを人の道から落とす気か?」

 

貴様…!!

 

「てめぇらが仕込んだ事全部言え、いつ誰をどうやって傷付ける?今度は誰を敵役(ヒール)に仕立てて殺すんだ!?」

 

そう運命の首もとを掴みながら叫んでいる尚人の眼は怒りと殺意にまみれていた。

 


 

「…さて、運命(クソッタレ)への制裁は終わったしやらなきゃいけない事をちゃんとやらないとな…」

 

尚人が運命(クソッタレ)交渉(拷問)して手に入れた情報は、サイレンススズカ、ライスシャワーのレース中の事故死。それによる不特定多数の人間とウマ娘の人生を狂わせる事だった。

サイレンススズカについては沖野トレーナーとの仲が進展した時点で運命(クソッタレ)の予定とは異なる結果になってしまっている為心配はいらないが、問題はライスシャワーの方だ。天皇賞(春)で大きな罵声を浴び、汚名返上の為に宝塚記念に出た時にようやく歓声を浴びれたと思ったら転倒し死亡…というのが運命(クソッタレ)の描いてる構図であり、今のところ概ねその構図に沿って話は進んでいる。サイレンススズカのように仕込まれる前に前提を変えてしまうなら楽だが、仕込まれた後だと流れに逆らうのは非常に困難となる。もう転倒する未来は避けようが無いだろう。

 

「…あれ作るしかねぇか…もうあんな運命(クソッタレ)のせいで誰かの涙を見るのはまっぴらだ。」

 

そう呟くと尚人は自宅まで戻り、倉庫から様々な材料を取り出してなにか作り始めた。

 


 

一週間後 トレセン学園廊下

 

「やっと謹慎解除か…まぁトレーニングの指示や弁当渡すのはドローン使ってなんとかしたが…」

 

「…あっ!」

 

「ん?ライスシャワーか、天皇賞お疲れさん。」

 

「…やっぱり、痛かったです…」

 

「…まぁそりゃそうだ、どんなに強い奴でも傷付かない訳じゃない。お前はよくやったよ、お前の強さは俺が保証する。」

 

そんなことを話してるとライスシャワーのトレーナーが近付いてきていた。

 

「なに人の妹を勝手に口説いてるのよ?」

 

「口説いてるつもりはねぇんだが…それに今のところ彼女作る気も結婚願望もねぇし。」

 

「あっお姉様!この人がこの前言った尊敬してる人だよ!」

 

「あら、貴方が…って貴方あのアグネスタキオンのトレーナー!?ライスちゃんを実験台にはさせないわよ!」

 

そんな感じでライスシャワーの前に塞ぐように立たれて尚人は少しため息を吐き出す。

 

「その予定はねぇよ…それに無理強いはしない主義なんだよ俺。」

 

「あらそう…ありがとうね、ライスを助けてくれて。」

 

「ありがとうございます!」

 

「前にも言ったが俺がやりたくてやってるだけだからな…あ、そうだ。これやるよ。」

 

そう言うと尚人は懐から木の板のようなものを取り出して渡す。

 

「うわぁ…綺麗な青い薔薇…」

 

「青薔薇の護符、まぁ御守りだな。一度だけ奇跡を起こしてくれる…らしいぜ?」

 

「これ多分高いでしょ…良いの?」

 

「良いんだよ、大して質の良い物を使われてる訳じゃねぇしな。優勝の賞品代わりとでも思ってくれ。あと…担当の脚は、念入りに見とけよ。」

 

「ええ、分かってるわ。本当にありがとうね。」

 


 

トレーナー室

 

「…一週間ぶりだな、今度掃除しねぇと…」

 

「やぁモルモット君、謹慎中はどうだったかな?」

 

「タキオン…生憎大して面白いことは無かったよ、あとあの時の行動に俺は一切後悔してない。」

 

「…言うと思ったねぇ、けど大丈夫なのかい?あれだけ派手なことをするとインターネットで晒されてもおかしくないと思うがねぇ。」

 

「大丈夫大丈夫、確かにああいう奴は人への暴言をネット上とかで言いまくるのが大好きな場合が多いが、それ以上に保身を気にする。『私はライスシャワーに向けて集団で暴言を吐いたらその事を指摘されて逆ギレして皆で殴りかかったら一人残らず返り討ちにされました』なんて大声で言う奴なんてそうそう居ない。居たらそいつはただのバカ…いや極め付きの愚か者だろう。」

 

「結構ボロクソに言うねぇ…」

 

「それほどの事をしたってことだよ…」

 

「そういえばあの場に居たのが人間だけでは無いだろう?ウマ娘も居たはずだがどうやって切り抜けたんだい?」

 

「ウマ娘は『自分は筋力や体力で人間より強い!人間なんかウマ娘に勝てる訳がない!』って固定概念があるからな、戦場で相手が油断してる時ほどのボーナスタイムは無い。確かにあの筋力からくる強烈なパンチとかは効くだろうが、当てる技術が無ければなんの意味も無いからな、人間がウマ娘と喧嘩して勝つなら合気道辺りを覚えれば相手の強大なパワーを利用出来るから良いと思う。」

 

実際これは事実だが、尚人の場合元が途轍もなく強いのであまり参考にはならないかもしれない。そもそも一般人にウマ娘のパンチを避けれる動体視力は無いだろう。

 

「君って結構格闘技とかについては真剣に説明してくれるねぇ。」

 

「元本物(プロ)だからな。その辺は真面目にやる、普段が不真面目って意味じゃねぇからな?」

 

「それは分かってるよ。そういえばトレーナー君が謹慎中の時に私に弁当を渡す際にドローンを使って居たが君って結構多芸なんだねぇ。」

 

「今まで色々あってな、大抵の事なら経験してきたから多分だいたいそつなくこなせると思う。」

 

実際600万年間で様々なことをしているので、やらない事は多々あれど、出来ない事は無いと言っても良い。

 

「君の器用さは本当に凄いよ…寮長よりも上かもしれないねぇ。」

 

「独り暮らしが長かったからかな?まぁただの経験からくる慣れだけどな。さて、そろそろ雑談も終わりにしてトレーニング行かないか?」

 

「確かにそろそろ行った方が良いねぇ…先に向かってるよ。」

 

「おう、分かった。んじゃグラウンドで集合ね。」

 

こうして平和な日々は続いて行く…男の静かな決意と共に。




『運命』
尚人が最も嫌悪する概念の一つであり、尚人を人の道から外した要因。彼の前で運命について語ると修羅としての殺意が抑えきれなくなる。
世界を第三者として見て、時々ガス抜きとして誰かに理不尽な不幸を背負わせる。そしてその誰かを人々が攻撃することによって世界のガス抜きが完了する…というのは全て方便であり実際は誰かの泣き叫ぶ姿や苦しむ姿を見るのが単に大好きというだけの最低最悪の存在。
因みに今はもう「気に食わなければ捩じ伏せる」事が尚人には可能らしい。

『青薔薇の護符』
薔薇の形になるようにカットされたアクアマリンとサファイアで飾り付けされた木製の護符。
絶望するような現実を奇跡を起こすことで一度だけ無かった事に出来るらしい。
但し絶望するような現実かどうかの判断が不明の為心強い御守りとして持っておくのが良さそう。
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