最狂の転生者がモルモットになる話。   作:最弱神

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お久しぶりです。高校を卒業し仕事を始めてだいぶドタバタしてたら4ヶ月も経過してました。誠に申し訳ありません。これからも気長に待ってくれると嬉しいです。


第二十四話 「修羅、奇怪する」

ついに来た菊花賞当日。これを制すれば『クラシック三冠』という名誉はタキオンの物になるだろう。

 

「今回でクラシックの最後の冠を持つウマ娘が誰か決まる。当たり前だが俺らは既にその内の2つを手に入れた。最後の1個だけは渡さんと全力で潰しにかかるだろう。酷い場合参加選手全員がタキオンだけをターゲットにしてくる可能性も十二分にあり得る。かなり厳しいレースになるだろう。」

 

「ふぅン…確かにそれは興味深い、だがそれでも問題無い…トレーナー君ならそう言うだろう?」

 

「よく分かってるじゃねぇか、俺がどういう奴か。相手が例え三女神とやらであろうが負ける道理はねぇ。」

 

「トレーナー君は相変わらずだねぇ…」

 

そう呆れも多少入った言い方で溢すが尚人は全く気にしない。

 

「変わる気が無いもんでな、そろそろ時間だ。紅茶用意して待っとくぞ。」

 

「サバラガムワかキーマンを希望するよ、無ければアッサムでも構わないがね。」

 

「了解、良いのを用意するよ。タキオンの場合飽和状態越えても砂糖入れることもあるしあまり変わらないかもだけど。」

 

「私は味覚を楽しませてるだけだよ。私の味覚を最大限楽しませる為に融解度の限界を突き詰めてるだけさ。トレーナー君もどうだい?」

 

「そんなのばっか飲んでたらいつか糖尿病なりそうだな…俺は遠慮しとく。」

 

そんな感じに話していると、ノックの音が響く。

 

「アグネスタキオンさん、そろそろお時間です。」

 

「もう時間か…準備は良いな?」

 

「勿論だねぇ。記録をしっかり頼むよ。」

 

「ああ、タキオンもちゃんと無事に帰ってこいよ?」

 


 

「注目の1番人気、6番、アグネスタキオン。」

 

「これ以上ない仕上がりですね。得意の先行策で、クラシック3冠の名誉を手にして欲しいですね。」

 

…彼女の相手となる17人のウマ娘達、その全員がタキオンを見ていた。警戒するように、観察するように、敵視するように、じっと見ていた。

 

(…やっぱり警戒されてるか、上手く抜け出せねぇと厳しいな…ただステータスはこっちの方が上みたいだ、掛からなければ勝機は充分ある。落ち着いていけ…!!)

 


 

他の選手が全員一人を警戒するという異常な状態でレースは開始した。

現在400m地点、タキオンの順位は8位と先行にしてはかなり下の方であった、その理由は…

 

「…ブロックし過ぎだろ…最早肉壁だぞ…これセーフなのか?」

 

前方の7人はタキオンの行く手を徹底的に塞ぎ、後方の8人はタキオンに向けてプレッシャーを放ちまくっていたからだ。

 

「予め仕込んでねぇと絶対出来ねぇ動きだぞ…密会でもして打ち合わせしてたのか?だとしたらあまり気分良くねぇな…」

 

まぁ他のトレーナーを見ても驚いている表情がちらほら見えるので大半の選手は独断で行っているのだろう。実際無理をしてるからか顔が苦しそうにしている者も多い、壁が瓦解するのも時間の問題だ。だが一人だけ余裕そうな顔をしている者も居る。恐らくそいつが発案者だ。そいつのトレーナーも特に驚いていないからトレーナーもグルの可能性が高い。

 

(…実力じゃ厳しいから策を練り自身が有利な状況にする、確かに正しいな。だがそんな甘い策で負けるほど…柔な鍛え方はしてねぇんだよ…!!)

 

壁に穴が開き、瓦解し始めた瞬間に余裕そうな顔をした選手が一気に追い込みをかける…が、タキオンはそれ以上の速度で穴から壁をぶち抜きグングン差を縮めていく。

 

(私は誰よりも練習してきたんだ…3冠を取るために…!!それなのにあんな問題児に2冠も取られて…最後の冠も取られるなんて…認めない…!!認めない認めない認めないぃっ!!他のを踏み台にしてでも…絶対に取らせないっ!!)

 

(多少邪魔は入ったがね…ここで抜かせなきゃ最高のその先なんて夢のまた夢だねぇ…さあ、可能性を導きだそう!!)

 

負けじと相手も前に立とうとするが塞ぎ切れず差し抜かれそのままの勢いでタキオンは1着をもぎ取った。

 

「よぉし…!!流石タキオンだな…!!」

 

そうして尚人は録画していたカメラを仕舞い、タキオンお気に入りの紅茶のセットとアイシング用の氷袋を持ってタキオンの元へ向かった。

 


 

控え室

 

「お疲れさん、三冠おめでとう。脚冷やしとくぞ。」

 

そう言ってタキオンの脚に氷袋を置いて炎症を抑えると同時に脚の様子を確認する。

 

(思ったより疲労が蓄積してるな…直後にウイニングライブに行かせるのは危険だな。)

 

「トレーナー君、紅茶は用意出来てるかい?」

 

「ああ、今淹れる。」

 

尚人はタキオンに氷袋を渡して予め蒸らしておいた紅茶をティーカップに注ぎ、角砂糖と一緒に持っていく。

 

「ほい、サバラガムワ。あと砂糖ね。」

 

「ありがとうトレーナー君…良い香りだねぇ…」

 

「結構良いの買ったからな。まぁタキオンの家は結構良いとこらしいしこのくらい普段から飲んでるのかもしれんが。」

 

「特に気にしたことは無いねぇ…何だか眠たくなってきたよ…」

 

タキオンはうとうとした様子でそう呟く、紅茶を飲んだことでリラックスしたのが原因だろう。

 

「なら少し寝たら?寝てる間にマッサージもしてやるよ。」

 

尚人はタキオンが正月の頃に通販で買っていたらしい仮眠用のハンモックを広げる。結構気に入っているようでしょっちゅう荷物の中に入っていた。

 

「そうさせて貰うことにするよ…30分ほど経ったら起こしてくれると助かるよ。」

 

「了解、ライブに遅れる事は俺から言っとくから安心して休みな。」

 

メールで遅れることを手早く連絡してからマッサージを始める。眠りを邪魔せず、疲労を抜き取るようにしっかりと。

 

(ちょっと本気でやるか。疲れが全部消し飛ぶくらいので。)

 


 

25分後…

 

「うぅ…ん…」

 

「お、おはようタキオン。よく眠れたか?」

 

「トレーナー君…?身体がとても軽いが今何分経ったかい…?」

 

「25分ってとこだな。」

 

時計を取り出して見せると確かに眠り始めてから25分が経過したところだった。

 

「…本当にかい?時計が壊れてるとかではなく?」

 

「ああ、もう少ししたら起こすつもりだったぞ。」

 

「…信じられない…こんな短時間でここまでの疲労回復効果が…!?」

 

「インド辺りに行ってた頃に教えて貰ったのをやっただけだよ。めっちゃ効くって評判だったんだ。」

 

嘘である。インドで教えて貰ってなどいないし独学で見つけた超回復のツボなどを刺激して疲労を追い出しただけである。

 

「…君の経歴には未だに謎が多いねぇ…」

 

「あまり言いたくねぇってだけだよ。」

 

(…ここまで拒否されると逆に気になってくるねぇ…彼には何処か普通とは違う()()がある…あまり実家に頼りたくないのだが…トレーナー君について調べられるか聞いてみようかねぇ。)

 

なお、この後ウイニングライブは問題無く踊れました。

 


 

数日後 旧理科室

 

「…まさかここまで成果が得られないなんてねぇ…」

 

タキオンは実家に居る執事やメイドに頼んで尚人に関する情報を調べて貰ったが、殆ど何も分からなかった。経歴を調べても通っていたとされる学校は既に廃校になっており、海外での動向も不明。尾行をしても必ず撒かれ、自宅を調べようとしても防犯トラップで一網打尽にされる、と打つ手無しの状況だった。

 

「…貴女のトレーナーについて、調べてたんですか…?」

 

「そうなんだよカフェ…でも全くと言っていいほど何も分からなくてねぇ…」

 

「…彼は…何処か違う気がします…普通の人間とは…というかこの世の存在とは…」

 

そう言いながらマンハッタンカフェは日本ダービーで会話した事を思い出す。自身を裏方と言うならともかく、裏側と言う者を知らなかったからなぜそう言ったのか彼女には分からなかった。

 

「…完全に否定しきれないのがトレーナー君の不思議なところなんだよねぇ…」

 

「…貴女が直接調べてみては…?貴女なら…警戒されにくそうですし…」

 

「…そうするしかなさそうだねぇ…けど手掛かりになりそうなものなんて…」

 

そう言ってる時にタキオンは思い出す、尚人が絶対に入るなと釘を刺していた部屋があることを。

 

「…一つだけ心当たりがあるねぇ…」

 

「なら…」

 

「彼には決して入るなと言われてるが…まぁ後で謝ろう。」

 

そう言うとタキオンは扉を無理矢理開ける為に特製の溶解液を作成して、尚人の家に向かう。その先にある尚人の秘密がどれだけ危険かも知らずに。




『アグネスタキオン』
スピードC+ 522
スタミナD 349
パワーC 422
根性D 315
賢さD 322
所持スキル 『introduction:My body』『根幹距離◯』『好位追走』『中距離直線◯』『栄養補給』『先行コーナー◯』『直線◯』『独占力』『鮮明になる畏怖』
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