次はもう少し早く書けるようにしたいですね。
尚人の自宅
「えっと…メモにトレーナーライセンス…昼飯…念のため警棒も持っていくか?」
尚人は自宅で今日から始まるトレーナー生活の準備をしている。
「もうそろそろ良いですか?」
「ああ、もう終わる!」
そう外に向けて言って必要そうな荷物を持ち外に出る。
「悪いな、たづなさん。最低限必要な物のメモとかくれたり、わざわざ迎えに来て貰っちまって。」
「いえいえ、理事長からのお礼と言っていたので。」
「そうかい、んじゃ向かいますか。」
そう言って二人はトレセン学園へ向かう。
トレセン学園 新人研修会
「…以上ッ!解散ッ!」
今日は一日研修をした。が正直三ヶ月前にやった事の復習みたいなものだった為あまり収穫は無かった気がする。
(取り敢えず帰る前に歩き回って道とか暗記するか…)
三ヶ月の間には様々な変化があった。具体的に言うならウマ娘の能力の見方が変わったのだ。今までは
レベル・攻撃力・防御力・瞬発力
などが見えていたが、最近は
レベル・スピード・スタミナ・パワー・
という表記になっていた。
創造神に聞くと「トレーナーとしてやりやすくするためじゃ」と言っていたがこれじゃ本当にゲームみたいになっている。
(ここはあくまで現実だ。ゲームの中じゃ無い。それを間違えないようにしないと…)
「さて…だいたい分かったし一度帰るか。」
なんか若干薬の臭いがするが…まぁ多分気のせいだろう。
悪魔が!消え失せろ!!
死ね。
殺し合いを楽しもうぜ…?
AHAHAHAHA…HAHAHAHAHAHA!!
「…またか…やっぱり消えねぇな…」
その夜、尚人は久しぶりに睡眠を取ったが、悪夢を見た。過去に虐げられた記憶、人を殺した感覚、突き刺したナイフの重さ、殺戮の快感…それらが眠ると必ず夢に出る。だから尚人はあまり眠らない。
「…今日は来週の選抜レースの説明だったな…準備して行くか。少々早いがまぁ良いや…」
AM2:30 トレセン学園職員用玄関口前
「…当たり前だけど開いてねぇや、どうやって入るかな…」
そんな感じで立っていると後ろから誰か近付いて来る。この気配は…
「…どなたでしょうか?」
たづなは尚人を不審者かもしれないと勘違いして警戒する。
「たづなさんか、悪いな。やっぱり早すぎたよな?」
「尚人さんでしたか…どうしてこんな時間から?」
「俺ってあまり眠れないんすよ、体質的なもんで。かといって家に居ても資料を漁るくらいしかやること無いし。」
そう言うとたづなさんは心配そうな顔をした。
「大丈夫なのですか?」
「慣れましたし大丈夫ですよ。体力とかは自信あるので。」
「そうですか…そういえば、来週は選抜レースですが、どんなウマ娘を育てようと思ってるのですか?」
「そうですね…」
一般的なトレーナーはここで脚質とか才能とか言うのだろう。だが尚人は違った。
「取り敢えず、引く手あまたなウマ娘はパスですね。」
「えっ?」
たづなさんは驚いた顔をしていた。が気にせず続ける。
「実力や才能、適正はやろうと思えば努力でどうとでもなるからその辺は割とどうでも良い。だが俺は新人だから他にトレーナーとしての経験がある奴はごまんと居る。だから俺以外に欲しいと思ってる奴が居るならそいつに譲るよ。一度手にしたら決着がつくまで手放す気はねぇがな。」
尚人はこれまでの経験で上へ行きたくても行き方が分からずに燻ってる者たちを何人も見てきた。そこから生まれた考え方だろう。まぁ理由はそれだけでは無いが。
「そうなのですか…」
「それに、気にも止めてなかった奴が気付いたら真横に立ってて座ってた玉座ごと蹴り落とされて頂に立たれる…そっちの方が面白そうじゃないか?」
「ふふっ…確かに面白そうですね…尚人さんってロマン派なのですね。」
「まぁな。と言っても暫くはどっかのチームのサブとして勉強させて貰う事になるだろうがな。」
そんなこんなで話をしてたら空がだいぶ明るくなってきていた。もうそろそろ気の早い奴は仕事をしにここに来るだろう。
「もうこんな時間ですね。」
「そうっすね…開けて貰って良いかな?」
「ええ。」
そうして職員用玄関が開けられる。
「さーて、仕事の時間だな。」
説明後の昼休み
「さーて、昼飯どこで食うかな…」
ドコーン!!
「!?」
爆発音が聞こえて周りを見てみると別の棟から黒煙が上がっていた。
「待て待て待て…取り敢えず状況把握が先だな…」
教室棟
「黒煙が上がってたのはこっちだったな…」
「こらこらこらぁーー!!そこのタキオンさん、お待ちなさぁーーーい!!」
廊下に大きな声が響き渡る。おいかけっこか何かでもしてるのだろうか?
(声でけぇ…何なんだ一体…)
「おやおや、バクシンオー君!そんなに慌ててどうしたのかな?君の愛する教室が黒焦げになったわけでもあるまいに。」
「ハイ、黒焦げにはなりませんでしたともッ!!」
「よし、平和平和。では私はこれで。」
「委員長ストォーーーップ!!全然平和じゃありませんよ!?」
「確かに黒焦げにはなりませんでしたがッ!!その前段階くらいにはたどりついてましたよッ!?」
どうやらあのボヤ騒ぎはタキオンと呼ばれた生徒が原因のようだ。そしてそれを委員長が咎めようとしてるらしい。
(おいおい…何をやったんだよ…?俺でもそんな真似しねぇぞ…)
「教室のほんの一角で、少~しばかり煙が立っただけだろう?学級委員長ほどの人物が、目くじらを立てるようなものかな。」
(いや立てるだろ、あと音と煙的に絶対そんなレベルじゃねぇだろ…)
「むぅ!?む、むむん…そう言われてしまうと…」
委員長は考え込んでしまっていた。
(考え込まなくて良いんだよ、委員長!しっかりしろ!!)
「教室全体をもうもうと黒煙が覆った程度、寛大な心で許すべき…?」
(駄目だ!この委員長あまり頭良くねぇ!!)
「寛大さは美徳だよ、委員長君。それでは、今度こそ私はこれでー」
そう言ってタキオンと呼ばれた生徒は去ろうとする…
「……ハッ、いえ!『何を言われてもとりあえず捕まえてこい』と、そういえば先生から8回ほど言いつけられていました…!!」
(8回も言いつけられるって…)
「というわけで逃がしませんよッ、タキオンさぁーーーん!!」
が、再び委員長においかけられてしまった。
「アッハッハッハ!さすがに誤魔化されないか!!」
(むしろそれで誤魔化せると思われてるのか…委員長…)
「待て待てえぇーーーぃ!!バクシンバクシィィィイイイン!!」
そうしておいかけっこをしながらこちらに向かって来る。
「ハッ…そこのトレーナーさん!タキオンさんを通さないでくださぁーいいッ!!」
「え?俺!?」
そうしてタキオンと呼ばれた生徒がこちらに向けて突っ込んでくる。そして…
「ん?おわっ!?」
「よっと!」
腕を掴んで怪我をしないよう軽く投げた。三ヶ月の間に手加減の技術も上がっており、今では一般人より少し上程度に手加減出来るようになっているのだ。
「咄嗟に投げちまったけど…怪我とかしてないよな…?とりあえず保健室連れていくか…」
そう言って伸びたウマ娘を背負って保健室に行った…が…
保健室
悪魔の子め、死をもって償え!
いいぞ…この兵器があれば世界を取れる…!
(…頭が痛ぇ…あれ…悪夢を見た…ってことは何で俺寝てんだ…?)
眠っていた意識を覚醒させ、起き上がろうとする。
「ーおや。目が覚めたかい?」
「お前は…さっきの…?」
さっき投げた筈のウマ娘が目の前に立っていた…
「多少の混乱状態にあるようだね。意識を取り戻したばかりなんだ、あまり無理をしない方が良い。ほら、椅子に座って。リラックスすべきだ。」
言われるままに保健室の丸椅子に座る。
「さて…自分が何故ここにいるかは?思い出せるかな?」
「えーっと…確か…」
「トレーナーさん!ご協力ありがとうございましたッ!」
「おう、とりあえず怪我とかしてないか確かめる為にこいつ保健室に連れてくから。」
「分かりました!では!」
そう言って保健室まで背負って行って…
「やっと着いた…とりあえず寝かせとけば良いか…腹減ったな…飯食わない…と…あれ…?」
ここで多分体力尽きて倒れたんだっけ…
「ーふぅン、ことの経緯までどうにか思い出せたようだね。」
「ああ…って俺は何でこんなバカみたいな理由でぶっ倒れてんだよ…」
グゥ~…
「そういえば昼飯もまだだった…まぁ良いや、何で教室でボヤ騒ぎを起こしたんだ?」
「奇妙なことを訊ねるね君は。そんなモノ、『研究の一環』以外にどんな解答が存在するんだ?」
どうやら俺の目の前で立っているウマ娘は倫理観か常識か、または両方をドブにでも捨ててきてしまったもしれないようだ。
(俺も褒められる程この世界の常識や倫理観に詳しい訳じゃないし黙っておこう…)
「おうそうか…んじゃ、俺はこれで…」
ギシッ…
と立ち上がろうとしたけど上手く立てない。確認してみるといつの間にか椅子に縛り付けられていた。
「君、考え事に没頭すると、他に意識が向かなくなるタイプかい?いや私もそこに関しては同類だ、気持ちは分からなくはないがね。」
どうやら俺は彼女に縛られていたようだ。やろうと思えば力ずくで抜け出せるが…余計なエネルギーを消費するのは正直嫌だな。
「とはいえ親切心から忠告しておくけれど、自分の状態ぐらいは、常に気を配ることをお勧めするよ。"健康で元気な成人男性"という被験体を求めてやまない研究者と、いつどこで巡り合ってしまうかわからないだろう?」
彼女が科学者…いや、研究者気質なのが言葉から十二分に分かった…
「被験体って…」
「もっとも私にとっては、幸運が両足で歩いてやって来たと言うほか無いがね。たまには神様とやらにも感謝しておくとしよう。何しろ私の噂は、すっかり学園中に知れ渡ってしまったようでね。今となっては被験体を頼む所か、目が合うたび逃げられる始末だ。」
「そりゃその言い分だと何回もボヤ騒ぎとか起こしてるらしいし有名にもなるだろ…」
若干呆れながらそう溢す。
「だというのにーーハーッハッハ!まさか目の前に噂を知らぬ新人が現れるとは!なんたる幸運!」
「人の話聞いてねぇな…」
「という訳でモルモット君。間違えた、新人トレーナー君。」
堂々とこっちをモルモット呼ばわりされて少々動揺する。
「ちょっと待て、今『モルモット』って言ったか?」
「大の大人が些末なことを気にするな。それよりも、これから1本…いや健康だしもっとイケるな…3本ほど薬を飲み干してもらうぞ。」
「…色々ツッコミ所はあるが…とりあえず、何の薬だよ?」
薬物、毒物に関する耐性は600万年間でもう鍛える余地が無い程に鍛え上げてある。やろうと思えば強力な自白剤とダイオキシン500gを一気のみしたあと王水のプールで三時間泳ぐくらいは余裕だ。まぁ耐性も弄れるようになってるから一般人程度の耐性にするのも出来るが…
「ククククッ、それは、飲んでからのお楽しみというやつだよ。あぁ大丈夫…最悪の結果になったとしても精々数時間、両脚の皮膚が黄緑色に発光するぐらいだ。可愛い副作用だろう?」
「いやその副作用の起こし方が分かんねぇよ…」
普通発光するためにはエネルギーを発しなきゃいけない。放射線だか何だか詳しくは忘れたけど、とにかくライトなどが光るにはエネルギーを光る力に変換する必要がある。その変換する部分が人体には存在しない。なのに薬の副作用で発光すると言ったのだ。訳が分からん。
「そんなことよりも重要なのは、この薬によって観測されるであろう人間の大腿四頭筋の収縮データだ。ウマ娘と人間の身体構造がほぼ同一であることはよく知られた事実だが、その両方のデータを比較することによって新たなー」
ガララッ
保健室の扉が開かれ黒髪のウマ娘が入ってくる。彼女を見ても逃げたりしないところを見るに何か彼女に用事でもあるのだろう。
「タキオンさん…またそんなことやってるんですか…」
「おや、カフェじゃないか!どうしたんだい?ましや実験に協力をー」
「しません。先生が呼んでいるので、伝えに来ただけです…。次の選抜レース参加について…話が、あるそうですよ…。」
どうやら二人は仲が良さそうだ。彼女は変わり者だと思うが友人と呼べる存在が居るなら大きな問題は無いだろう。
「早く…行ってください。ほら…すぐに…」
「おっとっと…わかったわかった、そう睨むなよ!しょうがない、実験は次の機会にしよう。新人トレーナー君、また会おう!」
そう言って彼女は保健室を出ていった。
「…実験しないというルートは無いのね…」
「はぁ…縄…解きますね…。」
そう言って拘束を解かれる。
「ああ…彼女は一体なんだったんだ…」
「タキオンさんを知らないのですか…?」
「あいにくこの学園来て二日目なんでね…名前は?」
「マンハッタンカフェです…彼女はアグネスタキオンさん…」
「そうか…とりあえず、食いそびれた昼飯食わないと…ありがとな。今度何か礼するよ。」
「いえ…」
そう言って保健室を出たあと、かなり遅めの昼飯を食べる為に場所を探しに行った…
『アグネスタキオン』
周りからはレースも授業も出ない異常者として見られてるウマ娘。彼女に悪意はあまり無い。
『マンハッタンカフェ』
黒髪で落ち着いた雰囲気のウマ娘。守護霊的な何か(彼女はお友達と呼んでる)が一緒に居て、見えているらしい。
『サクラバクシンオー』
熱意を持って仕事に取り組む学級委員長ウマ娘。でもあまり頭は良くない。