オラリオに神の子が来るのは間違っているだろうか? R 作:ケツアゴ
実際の時間は一週間程度だったけれど、僕にとっては何年もに感じたステンノ様と会えない日々、相変わらず夢の中に現れて指導してくれるお祖父ちゃんに頼んで夢を繋げて貰おうとも思ったけれど、女神の寵愛は自ら希う物ではなく、与えられる為に己を高め続けた先に与えられる褒美みたいな物だ。
ステンノ様から言い出したなら良いけれど、僕の口からはとてもとても。
「相変わらず面倒な恋愛観と信仰心の混ざりっぷりだな、君は。見ていてもどかしいという祖父としての面があるが、同時に娯楽としては最高だと個人的に思うよ」
まあ、お祖父ちゃんからはそんな評価を貰った訳で、母さんはグイグイ押して行ったらしいけれど、これが僕のあり方なのだから笑わないで欲しいのと、そんなのだから母さんも僕もアイツも、父さん以外の家族はお祖父ちゃんを好きだし尊敬している一方で何をするか分からないからと信用していないんだ。
父さんも僕が生まれる前は同類でも、父親になってからは身内には突飛な行動を(前に比べて)減らしたらしいのに・・・・・・。
「……疲れました。私Lv.3にまでなったので多少の事では疲れないと思っていたのですが、肉体的には兎も角、精神的に……」
「それは仕方ないんじゃないかな? 敵を招き入れてしまっても困るし、恩恵持ちには手続きが厳しくなるさ」
オラリオに到着した僕達だけれど簡単に入る事は出来ず、アナに関する手続きで手間取ったアナは疲れた様子だ。
僕も入る時には結構疲れたし、元々人間が苦手で身内と呼べる極僅かな数人以外とは言葉を交わすのも嫌だという程だ、ステンノ・ファミリアに入るのだからって僕も同席したけれど、僕が居なかったらどうなっていた事やら。
「まあ、ホームに戻って休んでいる間に甘い物でも買って来てやるよ。それからギルドにお前の登録をしないといけないし……」
「未だあるのですね……」
気が滅入る、そんな感じで肩を落とすアナの姿に同情した僕だけれど、励ましの言葉を掛ける前に僕はその場で跪いた。
何故かって? 目の前に愛しの女神様が御自らの足を運んで僕達の前までやって来てくれたからさ。
「使い魔から連絡があったから迎えに来たけれど待ちくたびれたから運びなさい。ああ、アナは久し振りね」
「はい、姉さ……ステンノ様」
「ふふふ、姉様って呼んで良いのよ? だって私がそんな風に呼べって言ったのだもの」
手を伸ばすステンノ様を抱き上げるとステンノ様は微笑みをアナに向ける、美しい慈愛に満ちた笑みが間近にある一方、その笑顔が僕ではなくアナに向けられる事に嫉妬を覚える。
……むぅ、今後は僕に向けられる意識がアナにも割かれるのか。
「あっ、それとティオ、貴方にはフレイヤのお願いを聞いたご褒美をあげる予定だったのよ。口付けを許すわ。頬でも手の甲でも額でも好きな所にして良いわ」
「……唇でも?」
ステンノ様は返答をしないけれど、微笑みで肯定を示す。
歓喜に打ち振るえ高鳴る鼓動を抑えつつ粗末な失敗、それこそ歯がぶつかってステンノ様に痛い思いをさせない為に慎重に唇を重ねた。
ああ、本当に幸せだ。
数秒間唇を合わせ、そっと離すけれど足りない。
もう一度、そんな風に思い上がって唇を近付けたけれど、感じたのは指の感触、人差し指で防がれた。
「駄目よ? キスはご褒美だもの。次の機会を待ちなさい」
アナに向けた物と同じ笑みを僕に向け、僕の唇を防いだ人差し指にキスをしながらステンノ様は叱って来る。
よし、頑張ろう!
「アナの好物はこれだけ買えば良いか。後は紅茶の茶葉を新しくして、武器を新しく買わないとな……」
ケイローン先生との組み手の時に持っていた武器は殆ど壊されてしまったし、またヘファイストス・ファミリアで大量に買い求めないといけないけれど、予算がちょっと心許ない……。
「アナの登録もしなくちゃいけないし、共同生活のルール作り……はどうしよう。彼奴、家事はそんなに得意じゃないからな」
料理は僕が下拵えをして、温めたりサラダを作ったりする程度なら出来るだろうし、掃除洗濯は僕が率先すれば良い。
ステンノ様の身の回りのお世話は僕の役目であって欲しいし、彼奴の役目は僕が不在の間の護衛役。
「あっ、アレンさんのランクアップの件を代わりに報告してと頼まれていたんだった」
ちょっと野暮用を済ませてからオラリオに戻りたいからってフレイヤ様に直筆の委任状を渡されたし、アナの登録の時についでに担当アドバイザーに頼んでおけば良いか。
……大変だろうなあ、
「……しかし驚きでした。ステンノ様が唇を許すだなんて」
「あら、そうかしら? あの子は頑張って成果を出している。私の期待に応えてくれているわ」
ティオが出掛けている間、私はステンノ様とお茶を飲んでいた。
彼が選んだだけあってお茶請けのクッキーは残り少ないけれど美味しい。
それにしても……。
「人前でキスをするのはどうかと思いますけれど」
「私は女神よ。人目なんて気にしないわ」
他の神様はガウェイン副団長の尻に敷かれているフレイ様と、マーリン団長の同類のヘルメス……様、残りは叩き潰して来たその他大勢の神様達、ステンノ様みたいな神様が普通なのでしょうか……。
「はい、それでは登録完了です。アナさん、これから宜しくお願いします」
「……どうも」
アナの担当になったのはエイナさんというアドバイザー、ハーフエルフの優しそうな人だった。
明るそうな笑顔で差し出された手を少し戸惑いながら握る姿に今後は少し位は人に慣れてくれたら嬉しいと思う。
日の射さないダンジョンで生まれ、周りは自分に襲い掛かるモンスターだらけ。
太陽に憧れていたけれど人に捕まり暗い地下牢に捕らわれた。
折角オラリオにやって来たんだ、ステンノ様との時間が減るのは嫌だけれど、凄く凄く嫌だけれど、仲間は家族、家族の世界が広がってくれるのは僕としても嬉しいんだ。
「所でフレイヤ様から頼まれ事があって……アレンさん、ランクアップしたから登録お願いだってさ」
この時期、ギルド職員は忙しい、そんな状況で面倒な事を押し付けるのは凄く心が咎める、実際話が聞こえたギルド職員の顔が引きつったけれど……頑張って。
さて、今日は久し振りにステンノ様と一緒に寝られる、お風呂で髪や背中も……。
「あっ、今日は私がステンノ様と一緒に寝ますし、髪と背中を洗うことになりました」
なん…だと……!?
精霊 誰? 活動報告でも
-
自称姉
-
手が綺麗な騎士
-
その他 メッセージ下さい