オラリオに神の子が来るのは間違っているだろうか? R 作:ケツアゴ
危機に瀕している者が目の前に居るのなら助けたくなる、それが真っ当な人間の感性らしいですが、私はラミアなので完全には理解しかねます。
……逆の人間も多く見て来ましたし、偶発的な事態や偶然魔石の味を知った以外では同族は襲わない(人間だって幾つかの種族に分かれていますし、モンスターだけ一纏めには疑問ですが)モンスターと違い、欲望や嫉妬、時には損益無関係で親兄弟すら手に掛ける人間の方が私は恐ろしい、だから積極的に関わりたくは無いのですが……。
「これならば助けない方が良かったかも知れません……」
ダンジョンの中、防具も着けずに如何にも素人という感じの拙い動きでモンスターに立ち向かう姿からは考え無しとしか思えない。
ロキ・ファミリアの彼女には会話の内容が不愉快でしたので少々辛辣な言葉を向けたものの、非は欠片も存在しないでしょう。
とても五階まで行くには分不相応な実力、アレでは力を見誤って引き際を見失い死んでいただけ……ああ、大怪我をする前にダンジョンの怖さを身を持って知れたのですし、彼はロキ・ファミリアに感謝するべきなのかも知れませんね。
だからまあ、殆ど自殺同然の行為をしている彼を助ける理由は思い当たらない、ダンジョンに入って富と名誉の為に命を元金にするのが冒険者、ですが彼は少々自棄になっているとしか思えない。
……それでもまあ、私はモンスターとしてではなく、ご恩を受けた人達と一緒に人間の真似事をしながら生きると決めましたし、あの下品な男の嘲笑で誰かが死ぬのも不愉快。
「貴方、勇気と無謀は別物ですよ。死ぬのは自己責任として、貴方に死なれたら困ったり悲しんだりする人も居るでしょうに」
「……へ? あっ、ああっ!?」
「また逃げるのですか……」
まさか何らかのスキルで私の正体を見抜いている事も危惧しましたが、どうもそんな感じでもない。
一度パニックで逃げたせいで気まずさから再度逃亡の悪循環なのでしょうが……好い加減不愉快です。
多少素早かろうが人間でLv.1にしてはの部類、モンスターでLv.3の私なら即座に前に回り込み、硬直した彼に
……尚、期限切れ間近の物でしたが、使えはするでしょう、多分。
使えなかったら其処までと言う事で。
「では、私は帰りますので。……精々命はお大事に」
ああ、彼の後を追うまでの事では無かったのに手助けまでしたのは何故か引っかかっていましたが、今みたいに間近に寄った事で理解しました。
彼、あの屋台で働いている如何にも善神って感じの女神の匂いがするからですね。
私が小さいから沢山食べて大きくなれとばかりにオマケを貰いましたし、それが理由で彼が気になったのでしょう。
背後からお礼の言葉が昨日のことも含めて聞こえた気がしましたが、適当に手だけ振って私はダンジョンを後にします。
「……おや?」
ホームに戻る最中、豊穣の女主人を覗き込めば少し殺気立った様子のエルフさん達をフレイヤ様が宥めています。
彼、食い逃げをした上にフレイヤ様が演じるシルさんを悲しませたと同僚から怒りを向けられているらしく……。
「助けたのは無駄だったかも……」
明日、彼が水に浮かんでいるかどうかは支払いを思い出してちゃんと謝れるかどうかですが、流石に其処までは面倒を見切れませんね。
私は何も見なかった事にして去っていく。
しかし、彼の名前が”ベル”だと言っていますが、何処かで聞いた覚えがあるのですが。
「はて、誰に何処で聞いたのでしたっけ……?」
まあ、別にどうでも良い事だと考えるのを止め、私はホームへと急いだ。
何せ今日は私がお風呂のお世話と添い寝をする順番の日、姉様を待たせる訳には行きませんから。
「買い物ですか? はい、ご一緒します!」
次の日の朝、寝ぼけ眼を擦る私に姉様から買い物のお誘いがあり、当然快諾です。
ティオ?
彼は忙しそうなので……。
「えっと、妹の名前はアルトリア、僕はアルって略して呼ぶ事が多いかな? 向こうは兄さんって呼んで……」
「そう、会ってみたいわね。私、姪っ子の存在を昨日アレンがポロッと漏らすまで知らなかったもの。甥っ子が薄情で悲しいわ」
はい、フレイヤ様が朝からいらっしゃってアルトリアについて話を聞きに来ています、お店の方は何とでもなるとか。
今はフレイヤ様として来ていますし、私は姉様との買い物を楽しむとしましょう。
笑顔の圧力が凄いですし、巻き込まれる前に行きましょうか。
あと、アレンさんはご愁傷様です、苦労したって顔ですし、”さっさと報告しろや、ああん?”的な事でもあったのでしょうね。
「じゃあ、夕方には戻るわ。ティオ、お留守番はお願いね」
ティオにはお姫様抱っこで運ばせますが、私と姉様の場合は手を繋いで歩きます。
お疲れになった場合は背負いますけれどね。
「……あ」
「……どうも」
姉様との買い物は可愛い雑貨やお酒、邪魔になるから後でティオが取りに行く予定、彼の魔法は便利ですからね。
その後でカフェや屋台を巡った後、服を選びに行ったのですが……。
まさかロキ・ファミリアと遭遇するだなんて……面倒です。
「あっ! 君が
アマゾネス姉妹(貧乳の方)、どうもティオに興味を引かれたらしいです(恋愛的な意味では無い)。
それにしてもトトロット……曾曾祖母をモデルにした物語の主人公の名前が二つ名になるとか。
正直笑えるんですよね……ふっ。
どうも金髪の彼女……アイズ・ヴァレンシュタインさんは昨夜のことを仲間には伝えていないみたいですし、此処はさっさと会話を切り上げませんと。
「あら、これも似合うわね」
「次、こっちはどうかしら?」
切り上げて分かれる筈だったのですが、何故か私はアイズさんと一緒に着せ替え人形にされています。
……はぁ、面倒臭い。
「あらあら、ガウェインも上手だったけれど、ティオもそうなのね」
漸く、漸く一応解放された……。
僕は今、フレイヤ様とアレンさんとご飯を食べているけれど気に入ったみたいだね、母さんに習っていて良かったよ。
「それで未だ続ける気?」
「ええ、当然じゃない」
妹の事を話すのは別に良いんだ、可愛い妹だ。
でも、だからって何時間も続けて話す程の事は思い付かず、だからって適当なでっち上げは神には通じないし。
アルトリア・アヴァロン、今年で十歳になるお転婆な妹。
お祖父ちゃんに魔法を中心に習っていて、魔法関連なら僕より才能が上、まあ同じ年だったとしても戦えば僕が勝つんだけれど……いや、妹と戦うとか有り得ないけれど。
「アルの奴、ちょっと前まで”お兄ちゃん、お兄ちゃん”とカルガモみたいに後を追って来てたのに、此処最近は一人で本でも読んでいる方が好きみたいでさ」
「あら、寂しいのね。私も甥っ子に隠し事をされていて寂しいわ。……ねぇ、ちょっとお願いがあるのだけれど、料理を教えてくれないかしら?」
……はい?
「寂しい……か。彼奴、神の血を僕より濃く受け継いでいるから嘘が分かるんだ。何をしてやれば良いのかなって悩むよ」
……うん? 料理を教えて…欲しい……?
精霊 誰? 活動報告でも
-
自称姉
-
手が綺麗な騎士
-
その他 メッセージ下さい