オラリオに神の子が来るのは間違っているだろうか? R   作:ケツアゴ

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頼み

「オバ…様……?」

 

 先日助けられた礼を言いに来た、そんな風に告げた血縁者に僕は敬意を持って様付けで呼んだけれど、何が悪かったのか固まってしまう。

 隣の子もアタフタしているし、オバさん、とかの方が堅苦しい感じが無いから良かったか?

 

「……いや、別に間違いではないな、うん。お前の母が従姉妹なのだし、その息子からオバ様呼ばわりされるのは間違ってはいない」

 

「……あっ、成る程。見た目は若いから普段はオバ様とか呼ばれないのか。じゃあ、リヴェリアさん、で」

 

「まあ、別に若く扱って欲しい訳ではないが、オバ様呼ばわりは……まあ、これ以上この話題に触れないでおこう」

 

 元が長命種のエルフな上に恩恵の効果もあって見た目は若いけれど、ヒューマンなら成人した子供が居ても不思議ではない年頃だ、王族ってのもあって周囲も敢えて若い扱いをしているのだろう、そんな風に思ったけれど正解だったか。

 微妙そうな表情の後、リヴェリアさんは咳払いと共に表情を切り替える。

 

「本当ならもう少し早く礼を言いに来たかったのだが、何度か行かせても迷って此処まで辿り着けなくてな。団員を助けられた礼とはいっても幹部が出向くのは体面上のあれこれが有ったのだが、身内である私ならば構わないと思って同行したが……予想したが、人払いの結界とはな」

 

「王族だって事でお世話するとか言って来るエルフが鬱陶しいから。身の回りの事は僕達だけで終わらせるのに、知らない相手がペコペコしながらしてくれても戸惑うだけだから」

 

 僕は王族らしい事は何一つしていない。

 貴族や王族としての扱いは義務を果たしてこその物だし、父さん達と居た頃は習った家事を分担していたからな。

 

 だから旅先でエルフに王族だと知られた時の扱いって本当にむず痒い、様付けとか違和感しかないんだよ。

 

「まあ、気持ちは分かるさ。私は幼い頃からされていたが、お前は旅をしていたし、スカサハは王族だからと下手に出て甲斐甲斐しく世話をするタイプでもあるまい。おっと、話が再び逸れたな。うちの団員が助かった」

 

「ほ、本当に有り難う御座いました! あっ、私はレフィーヤと申します、ティオ様」

 

「別に気にしなくて良いよ。一つ貸しだと思っているし、その内返してくれたら良いから。……それと様付けは何か落ち着かないから止して」

 

 さてと、話の為に手が止まったけれど洗濯物を干さないと。

 

「あっ、洗濯物を干すのならお手伝いしますよ」

 

「別に良い。同じファミリアなら兎も角、男物の下着とか肌着だって混ざってあるんだから」

 

 手伝って貰う理由は無いから僕は構わず洗濯カゴに手を入れる。

 アナの色気の欠片も無い下着とか、ステンノ様の取り扱い注意な物とか……あれ? レフィーヤさんは真っ赤になってるな。

 

 

「それって女性用のじゃ……」

 

「そりゃ僕はこんなの穿かないさ。アナは洗濯苦手だし、ステンノ様にはさせられない。ハウスメイドを雇う気も無い。なら、僕がするしかない」

 

「あわわわわわわ……」

 

「落ち着け、レフィーヤ。さて、今度改めて礼の品でも持って来よう。……おっと、忘れる所だったな。これを落としていたぞ」

 

 真っ赤になったまま固まるレフィーヤさんを連れて帰ろうとしたリヴェリアさんが手渡したのは丁寧に折り畳んだ紙、魔法陣が描かれて、僕の魔力が込められた品だ。

 

「良かった、君が拾ってくれたのか。助かったよ、レフィーヤさん」

 

「さ、さんだなんて恐れ多いっ! 呼び捨てで! 呼び捨てでお願いします!」

 

「えー……」

 

 本当、この反応は慣れないなあ……。

 

 

 

 

「”通行証”、これが兄さんから聞いた奴ね。有り難う、ティオ。これで可愛い姪っ子に会えるわ」

 

「可愛いかどうかは別だけれど。すっかりお転婆な上に生意気な子になっちゃてるしさ」

 

 お昼過ぎ、豊穣の女主人の裏でシルとして休憩を取って出て来たフレイヤ様に落としてしまっていた紙を手渡す。

 通行証、その名前の通りにお祖父ちゃんが夢を渡って現れる時に必要な物だ。

 僕も渡る魔法は兎も角、枕元に置いて寝れば使えるこれを作る程度なら可能で、本当はもう少し早く渡す予定だったけれど……。

 

「あら? 兄妹仲は良いのでしょう?」

 

「それは否定しないけれど、年々ズケズケ言い出してさ。又従姉妹のリリィちゃんは見た目が似ていても礼儀正しいのに」

 

「うふふふ。甘えて貰えなくて寂しいのね。ティオも可愛いわ。……じゃあ、そろそろ戻りますね」

 

 誰かが呼びに来たらしくフレイヤ様からシルの顔に戻って店内に入って行く。

 さてと、用事も済んだ事だし……ステンノ様とのデートだ、デート!

 

 

 今日はお昼過ぎからステンノ様とお出掛けの予定、喫茶店に入って、服を見て回って、後は予定を決めずに気の向くまま歩き回る。

 当然、僕が抱いた状態でだ。

 

 一刻も早く帰ろうと路地裏に足を踏み入れホームへと向かって進む中、僕は不意に足を止め、槍を取り出した。

 

「……誰? 僕に何か用?」

 

 気配を消して僕の様子を伺う相手、お祖父ちゃんに習った感知系の魔法でさえ途中まで誤魔化されていたし、並の相手ではないだろう。

 相手が潜む場所に視線を向ける事数秒、フードを深く被った不審者が姿を見せた。

 

「警戒しないで欲しい、妖精騎士(トトロット)。君に依頼がある。……どうした?」

 

「いや、その二つ名の元ネタがどんな人か知っているからさ。そして依頼だったら正式にギルドを通して……うん? ああ、成る程。神ウラノスの部下か」

 

 ガクッと肩を落としながらも目の前の妙な相手に似た相手の事を聞いた覚えがあるな。

 

「……知っていたのか。ああ、君はマーリンの孫だ。私と奴とは友じ……顔見知りだったからな」

 

 ああ、成る程、どんな関係だったのか大体察した。

 お祖父ちゃんだからな……。

 

 言葉の途中で何かを思い出した様子の相手……確か”フェルズ”だったっけ?

 不死を手に入れる為の薬を作ったとか何とか。

 

 

 

 

「それで依頼って?」

 

 まあ、魂を見る限りじゃ何か企みがある風には見えない、ウラノス様の部下なら報酬も期待出来るか。

 

「受けてくれるのか、それは良かった。それで依頼なのだが……三十階層にてモンスターの異常発生が起きている。調査し、何か手がかりになる物を見付けて持ち帰って欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃……。

 

 

「サポーター?」

 

「はい! 是非リリを雇って下さいませんか、お姉さん」

 

 

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