オラリオに神の子が来るのは間違っているだろうか? R   作:ケツアゴ

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ご褒美

「……ちっ」

 

 女神フレイヤ、敬愛し己の全てを捧げし美神。

 それが何を間違ったか先代団長のやってる酒場で従業員の真似事だ、だから俺は護衛として様子を見に来ているんだが……何で彼奴が居るんだよ!?

 

 ティオ・アヴァロン、ハイエルフだろうが俺には無関係でフレイヤ様に敵対しないならどうでも良い雑魚だったんだろうが、此奴は別だ。

 何せ半神半人、しかもフレイヤ様の甥っ子だ。

 

 一緒に居る女神はステンノって呼ばれているが、確かフレイヤ様のご友神でフレイ・ファミリアで食客やってるって話だったな。

 ……来るって話は聞いてないが?  

 フレイヤ様も驚いた顔しているし、知らないみたいだよな。

 

「いや、せめて事前に知らせておけってんだ。……熱っ!」

 

 呟きながらスープを飲んだら冷ましが足りなくて熱かった。

 取り敢えず”話し掛けるな”と視線とジェスチャーで伝えておくか、フレイヤ様も知らない振りを貫くみてぇだし、どうする気なのか分からないからな。

 

 

 

「アレンさん、久し振り! ……あれ?」

 

「机に突っ伏しているわね、あの子。何か対応を間違えたのね、ティオ」

 

 フレイヤ様と出会ってから数年、父さんの方針で世界中を旅しているから会うのは初対面の時以来、今は神の気配を消しているみたいだけれどシルと呼ばれていたのは間違い無くあの人で、店の端でスープを飲んでいるのはアレンさんだ。

 フレイヤ様は他の店員に見えない場所から人差し指を唇に当てているから初対面の振りをするとして、アレンさんに話し掛けたのは間違いだったかな?

 でも、もう話し掛けちゃったし、近くに行こうか。

 

「……止めておきなさい。此方に気付いた時から話し掛けて欲しくないみたいだったわよ、あの子。ほら、今は食事の時間にしましょう」

 

「え? そうだったんだっ!? 流石ステンノ様、聡明でお優しい」

 

 アレンさんには悪い事をしたかな?

 それはそうとステンノ様はお美しい。

 

 僕とステンノ様が出会ったのは……僕が生まれた日、父さんの友神だったらしく一緒に行動していたんだけれど、僕は物心付いた時から心奪われていて、ある日決心して伝える事にしたんだ、僕を眷属にして下さい、ってね。

 

 

「ステンノ様、将来僕と結婚して下さい!」

 

 いやぁ、いざ本神を前にしたら遠回しな真似はしたくなくって、ストレートに想いを伝えたくなったんだ。

 でも、ちょっと不安だったよ、”女神に求婚だなんて分を弁えなさい”と怒られると思ったけれど、ステンノ様は小さい僕の頭に手を置き、心臓が止まるかと思う程に素敵な笑顔で言ったんだ。

 

 

「ええ、貴方が私に相応しい勇士になった時は受け入れましょう。だから頑張りなさい、ティオ。女神である私の伴侶ならば中途半端な真似は許しません」

 

「うん!」

 

 それから僕は張り切った、張り切って先生達により厳しく鍛えて欲しいと頼み込んだんだ。

 

 

「成る程。それでは幼いからとしていた加減は止めておきましょう。最下級コースから上級コースに変更ですね」

 

 朝、起きたらケイローン先生による軽めの運動、朝ご飯と座学を挟んで弓を中心に武器全般、格闘術をひたすら叩き込まれる。

 確か兄弟子が大手ファミリアの団長をやってるんだっけ?

 

「ほほぅ。良かろう。だが、一度その言葉を吐いたからには甘えは許さん」

 

 午後からはスカサハ先生が槍の扱いを実戦形式で、時々走り込みをしながら手合わせ……正直やる気を出したら殺る気全開で来たんだよな……。

 スカサハ先生もケイローン先生も武器全般は得意だけれど、槍以外はケイローン先生の方が教えるのが上手いから槍だけスカサハ先生に教わっていたんだけれど、それを正直に言ってしまった時は死を覚悟したよ。

 

「そうかい。君もガウェインも難儀な相手に恋をしたね。よし! お祖父ちゃんに任せておきなさい。私が君を鍛えてあげよう」

 

 お祖父ちゃんは”冠位魔術師(グランドキャスター)”の二つ名を持っていて、魔法スロットの物以外にも開発した魔法を使える凄い人、剣も母さんの師匠だったから夜ご飯の後にゆっくりと魔法の扱いを習って、夢の中に入って剣や魔法を夢の中に再現したモンスターとの戦い中心で鍛えてくれる。

 

「ティオが決めたなら反対はしませんが、大変ですわよ?」

 

「あはははは! まあ、頑張りなさい。もしかしたらティオもガウェインみたいなスキルが発現するかもな」

 

 母さんは家事全般とか生活に必要な事、父さんからは遊び関連を習い……僕も気が付けば十五歳、国家系ファミリアで腕試し、闇派閥に殴り込み、死を覚悟して先生達と組み手、恩恵を貰う前から続けていたせいで経験値の効率は悪くなる一方、お陰で伸び悩んだ結果、僕はステンノ様とオラリオにやって来た。

 

 

「それにしても入り口で騒ぎになって面倒だったわね」

 

「ステンノ様の美しさは注目を浴びるから。あっ、プリンがある」

 

 今の僕はLv.3で既にランクアップ前の最後の更新も済ませてある。

 後はギルドに更新前に登録してランクアップの報告の手間を省いたらいよいよダンジョンだ。

 

「お待たせしました。それにしてもお二人共、オラリオの外からいらっしゃったんですね。ホームは決まってますか?」

 

「ええ、この子が前からオラリオに行きたいと言っていたし、仕方が無いから一緒に来てあげたのだけれど門の所で色々と調べられて疲れたわ。うふふふ、これは宿でマッサージをして貰わないといけないわ」

 

 僕達のテーブルに料理を持って来たのはフレイヤ様、大盛のパスタに肉料理や野菜料理が幾つか、店長のミアさんには”食べ残すんじゃないよ”と言われたけれど、この程度なら楽勝だろう。

 プリンを追加で頼み、ステンノ様と話をしているのを聞いていたけれど、ミアさんに怒鳴られると悪戯が見付かった子供みたいな態度で去って行ったけれど……。

 

「それにしてもハイエルフの方がやって来るだなんてエルフさん達が騒ぎそうですね。ねぇ、リュー?」

 

「え、ええ……」

 

「ハイ…エルフ……?」

 

 ハイエルフってエルフの王族だけれど、フレイヤ様はどうして急にハイエルフがオラリオに来たって話をしたんだろう?

 ……ちょっと気になるからアレンさんに視線を向けたら両手で頭を抱えた後で僕を指差して……あっ。

 

 

「ああ、僕ってハイエルフだった。すっかり忘れていたよ」

 

「うふふふ。それをエルフが聞いたら驚きで固まっちゃうわよ?」

 

 おっと、ステンノ様に怒られちゃったよ、フレイヤ様もクスクス笑っているけれど、王族として過ごしていないんだから勘弁して欲しい。

 リューって呼ばれたエルフのお姉さんも戸惑う中、僕の前にプリンが置かれたんだけれど何故かステンノ様が手を伸ばす。

 

「あっ、どうぞ。僕は追加で頼むから」

 

「いえ、いえ、追加注文の必要は無いわ。私は一口だけ貰えば良いし、これはさっき言ったご褒美よ」

 

 あれ? 一度使ったスプーンだし、これって間接キス? ご褒美ってもしかして……。

 ステンノ様が一口だけプリンを食べて微笑む中、僕は期待に胸を踊らせるけれど、ご褒美はそれだけじゃなかった。

 

 

「はい、口を開けなさい。最初の一口は食べさせてあげる」

 

 ……ご褒美を貰い過ぎな気がするし、これは一層張り切らなくちゃね。

 

 

 

 

「……よう、久し振りだな」

 

「やあ、アレンさん」

 

 食事後、店を出た時から尾行されるのを感じたので裏路地に入ってみればアレンさんが接触して来た。

 どうせなら店で話し掛けてくれたら良かったのに。

 

 

「フレイヤ様から聞いてくる様に言われたんだが、ホームの当ては有るのか?」

 

「一旦は宿を拠点にして、お金を貯めて購入するしかないかな?」

 

 え? ついて来いって、何処に案内してくれるんだろう?

 

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