オラリオに神の子が来るのは間違っているだろうか? R   作:ケツアゴ

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面倒な案件

 本当に厄介な事になったってのが今回の感想だ。

 ロキ様やリヴェリア様の表情を見れば分かるんだけれど、ジャンヌを警戒している理由は情、剣姫にとって随分と複雑で大切な部分に触れてしまったらしいからね。

 

 ジャンヌには一応注意したけれど、ダンジョンに取り込まれていたのを僕に救われたばかりの状況の直ぐ後に知り合いに会ったらそりゃ嬉しくって名前を呼んで近付くだろうさ。

 

 問題は……。

 

 

「なんや、フレイヤ。傘下のファミリアの団員庇いに態々お出ましかいな。何処まで聞いとるかは知らんけど、その女はうちのアイズに妙な関わりがあるみたいやし話は聞かせて貰うからな」

 

「安心して良いわよ、ロキ。私はそこの彼女が何者なのかだけしか聞いていないもの。後は剣姫を知った相手と間違えただけとしか。傘下といっても神友のファミリアで親類が関わって居るから余計なちょっかいを出されたくなかっただけなの」

 

 その行動の動機が情によるものだって事だ。

 

 睨んで来るロキ様も、それに普段通りの笑みを浮かべて対応しているフレイヤ様も身内への情を理由に今こうして動いている。

 オラリオの現二大ファミリアの主神同士の顔合わせだ、本来なら人目の多い所は避けたい所だけれど、フレイヤ様に周囲が魅了されているからなんとかなっている状態に過ぎないし、もしかすればギルドが介入しかねない。

 

 

 それが分かっていない二人じゃあるまいし、それでも身内への情って物は人でも神でも無関係に動かす原動力となってくれる。

 

 

「にしても随分と妖精騎士(トトロット)にお熱みたいやな。自分が此処まで動くとか驚きやで。その割にはダチの眷属といえど引き抜いて手元に置かんのは意外やけど」

 

「そうね、この子は少し特別といえば特別なんだけれど、他の子達みたいに側に置きたいってとは違うわね。少なくても恋愛の対象にする程に節操無しになった覚えはないわ」

 

 だから妥協点とかを見つけるのは本当に厄介な状況なんだ。

 

 

 そもそもジャンヌが剣姫に接触してから数日が経過しているのにロキ・ファミリアから積極的に接触する事は無く、偶発的な遭遇である今の状況になって聞き出そうとしている辺り、アリアと剣姫の関係は随分と重たいらしい。

 故に慎重に行動していたロキ様だけど、いざ本人を前にしたら我慢が出来なくなったって所だろう。

 

 

 

 さてと、これは少し情報を開示した方が良いのかな?

 

 

「ロキ様、全ては話せませんが疑問は解消しましょう。……あー、でも何処で話せば良いのかな?」

 

 ロキ・ファミリアのホームに行くのはちょっと嫌だし、ヘルメス様とかの他の誰かに情報を知られるのは避けたい。

 それは向こうだって同じだろう。

 

 得体の知れない相手、それも変な風に関われば不味い事になる爆弾。

 リヴェリアさんは親戚な上にお祖父ちゃんの弟子で、フィンさんだって兄弟弟子だけれど、それが安心して相手の本拠地に向かう理由には成り得ないからだ。

 

 僕なら向かう際は魔術で認識させない状態にしたアナでもついて来させるかな?

 もしもの時は速攻で主神の首を撥ね飛ばして天界に帰って貰うんだ。

 

 まあ、ロキ・ファミリアには面倒なのが居るから無理だけれど。

 

 なら、別の場所を話し合いの場に使えば良いんだけれど、互いに他人には知られたくない秘密が関わる以上は人払いが可能な場所が好ましいけれど……。

 

 

 

 

 何処か内緒話に都合良い所は……。

 

 

「あの、フレイヤ様に少しお願いが……」

 

「はいはい。私の所有する建物を貸してあげるわ。ロキもそれで、良いでしょう?」

 

 

 

 うん、こんな時に本当にフレイヤ様は頼りになるな。

 

「有り難う御座います、フレイヤ様」

 

「うふふふふ。気にしなくて良いわよ。この程度のお世話なら幾らでも頼ってくれて良いんだから」

 

 幾ら親戚でもフレイヤ様はファミリアを率いる主神だ、頼りっぱなしは良くないだろう。

 実際、今回の一件だって僕との関係を知らない団員からすれば敬愛してて愛を独占したい主神が他所のファミリアの世話を焼いているんだ、不満に思いそうだけれど。

 

 特に今なんて抱き寄せられて頭まで撫でられたし、フレイヤ様の所の冒険者に見られたらどうなる事やら。

 それに普通に恥ずかしい……。

 

「……」

 

 それをどうする気なのかと思った僕の視界の端に映ったのは僕との関係を知る唯一の団員のアレンさん、因みに胃の辺りを擦っている真っ最中。

 

 

 

 あっ、そういう事か。全部の後始末を誰がするかっていうと……。

 

 

 

「まあ、ええやろう。でも、条件があるで。リヴェリアだけじゃなくアイズとフィンも同席や。文句は無いな?」

 

 少し不満そうにしながらも了承したロキ様の出す交換条件、一応ジャンヌの方を向けば軽く頷いたし、僕だって別に文句は無いさ。

 

 

 

 

「それじゃあ決まったので早速行きましょう。そちらが気にしているであろうジャンヌの正体について説明しますよ」

 

 

 

 それはそうとして、全てを察して胃痛を発症したらしいアレンさんには後でしっかりと頭を下げておかないとね。

 ……胃薬の差し入れも必要かな?

 

 

 

 

 

 

「おう、助かったで、リヴェリア。流石は冠位魔術師(グランドキャスター)の弟子やな。あの小僧の隠蔽やって見破ったんやから」

 

「いや、あの眼鏡は即興で作ったものだろうし、あの女の放つ力は簡単には隠し切れんかっただけだ」

 

 フレイヤの指定した場所に向かう為の一時解散、フィンとアイズをホームまで迎えに行くその道中、予め示し合わせをしていないかの問い掛けには嘘の有無を確かめたのだが、それでも一切の油断無く進む最中の会話だ。

 

 ロキの言葉が示すのはジャンヌの正体について。

 精霊の正体を偽装してエルフだと認識させる為の魔術、それを見破った者こそがリヴェリアだった。

 

 彼女もまたマーリンの教えを受けて魔術を会得した存在、魔術の腕も今のティオよりも上であった。

 

 

「……にしても彼奴、フレイヤに密着されて頭まで撫でられても全く魅了された様子を見せん。ステンノとバカップルちゅう噂やけれど、フレイヤもフレイヤでマジで扱いが特別やんけ」

 

 色々な意味で有り得ない、と普段のひょうひょうとした態度を取りながら天を仰ぐロキに対してリヴェリアは顎に手を当てて何やら考え込んでいる。

 

 

「どないしたんや、ママ?」

 

「誰がママだ、誰が。……あの赤髪の女が姿を見せた時に言っていた言葉を思い出してな。奴はフレイ様とジャンヌを追って来たと言っていた」

 

「実際ジャンヌが居ったやんか。別に妙な事でも有るんか? 別にフレイとあの坊主を間違えたって訳じゃ有るまいし」

 

「そうだな。だが、実際にアイズを母親と間違えた。有り得んとは思うが……私の知るガウェインは一途な女だ。王族の責務で血を残せと誰かに言われたとして、それでも神と結婚したなら愛を貫いて他の男との間に子など作らんさ」

 

「フレイヤの態度もそれなら……いや、有り得へんやろ」

 

「その本来有り得ない相手を我々は知っているだろう? 気を付けろ、ロキ。神が地上に降りた頃からエルフの森で住んでいた神だぞ、フレイ様は」

 

「予想が当たっていて下手に突っついたら敵はフレイとフレイヤだけじゃ済まんって事か」

 

 ロキの足取りは重く、表情には辟易とした物が浮かぶ。

 実に面倒な事になったとリヴェリアと共に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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