オラリオに神の子が来るのは間違っているだろうか? R   作:ケツアゴ

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意趣返し

 あれ? 変な方向に話が行っていない?

 

 今回の一件、剣姫とアリアの関係について僕達は気が付いていない体で進める筈だったよ

 だから何度も、何度も何度も何度もジャンヌには言い付けたよ。

 

「生憎、神と精霊以外で知り合いに赤い髪の人は居ませんので、恐らくは無関係かと」

 

 生真面目だけれど猪な彼女じゃ何をやらかすか分かったもんじゃないし、しっかりしている様で天然な所を発揮してか僕を様付けで読んじゃったしさ。

 

「ちょっと待ってくれ。その赤い髪の女に僕達は襲われたんだが、君を追い掛けて来たのは間違い無いんだ。何か心当たりは無いのかい?」

 

 そんな彼女が関与を否定した事に納得が行かない様子のロキ•ファミリアの反応を見る限りじゃ余程の事があったらしいね。

 

 それこそ僕達との関連を匂わす様なややこしい物で、今回の話し合いに至る大きな理由になる位のさ。

 しかもフィンさんの反応からして絶対にロクな事はしていないのは間違い無いだろう。

 じゃないとロキ•ファミリアがたった一人に襲われてここ迄の警戒をする筈が無い。

 

「僕達を知らず、僕達も噂さえみみきしない相手。それでもLv.6以上の強さだったんだ」

 

 嫌だな、その女。

 

「そうですね。……正直な所、取り込まれて他の精霊や他の物と混ざり合っている最中の記憶は朧げでして、地上に出る事を求めていた事と動く為の手駒を欲しがった事。その為に一部を切り離して、誰かがそれを管理していた事しか」

 

「いや、随分な情報量じゃないか。てか、君がホームに来てから数日経つけれど、その手の話は全く聞いていないんだけれど?」

 

 辛い記憶だろうからダンジョン内部での事は積極的に聞かなかったのは認めるよ。

 でもさ、明らかに重要な情報まで喋らないのはどうなの?

 

 もう剣姫がアリアの事を母親だって平然と言っていた以上の衝撃だよ。

 

 割と平気で話す姿にフェルズさんに話す事が増えた、とか、神じゃない彼女にジャンヌが精霊だって突飛な事実を信じて貰うにはどうするべきかと課題が増えたけれど……手駒ってもしかして。

 

 

「極彩色の花や芋虫みたいのも手駒って奴かい」

 

 手駒という言葉にロキ•ファミリアは何か対象が幾つか存在するみたいに考え込んだけれど、僕が思い当たるのは一つだけ。

 怪物祭で姿を見せた新種のモンスターだ。

 

 

 それに芋虫か、他にも居たんだね。

 

 フィンさんの問い掛けにジャンヌは少し考え込み、静かに頷いて口を開いた。

 

 

 

「ええ、確か魔石を集める為に生み出した存在が居たはずです。残念ながらこの辺も記憶が曖昧で、集めた魔石を受け取って暴れる様には指示された気がするのですが……」

 

「強化種か。リヴェリア、アイズ、芋虫が襲って来た時に出現した女性型だけれど……」

 

「アレが精霊が変化した存在、という事か? あの時は纏めて吹き飛ばしたが残っていれば更に強くなっていたかも知れんな」

 

 どうやらロキ•ファミリアの方は心当たりがあるみたいだね。

 クエストの報告の為にはジャンヌ以外の事も説明したいから情報提供をしたい所だけれども……:。

 

 

 

「あの、ジャンヌさんが助けられる前はどんな状態だったんですか? もし持ち帰れるなら同じ様に……」

 

 その精霊も助けられないか、って所か。

 

 正直言ってジャンヌの場合は父さんという共通点があったからこそで、他の神に仕えていた精霊の場合はどうなるか分からないが、多分無理だ。

 それに僕が恩恵を与える事で解放したと隠しながらってのも難易度を上げているし、どうするべきか。

 

 相性やら何やら言い訳は思い付くけれど、、ロキ様相手にどう誤魔化すかが難しい。

 剣姫の問い掛けに僕が困っている中、隣のジャンヌから思わぬ言葉が飛び出した。

 

 

「止めておいた方が良いでしょう」

 

 それは言うならば見捨てろというのと同じ事。

 真剣な声でそれを告げるジャンヌに剣姫は何かを言おうとしたけれど、続く言葉がそれを許さない。

 

「先兵となっていた私は透明の膜に包まれた赤子の見た目だったそうですが、その姿の時も外の力を感じていました。……きっと貴女の風にも反応するでしょう。持ち帰るには危険が大きいです」

 

 この言葉は自分の仲間を見捨てろという冷酷な物に聞こえるんだろうね。

 でも、助けられるかもで手を出して良い程に安全な存在じゃない、何せ精霊だ。

 それも神に選ばれてダンジョン攻略に向かった程の存在、それが怪物になって暴れる可能性がある以上は……。

 

 

「此方が提供する情報はこの程度かな? 非情な様だけれど精霊の解放には相性も有るみたいだし、もし地上で人間に寄生して暴れるなってなったら目も当てられない」

 

 剣姫は納得が行っていない見たいだけれど他の人が抑えたし、他の人も飲み込むしかないって感じか。

 

 これが仲間なら“だったらダンジョンじゃなくて、戦う力の無い人を襲うモンスターを倒して回れ”とでも言うんだけれどね。

 

「そうやな。まあ、そっちもターゲットみたいやからいもむしとかの情報をやるわ。今度紙に纏めて渡しに行くからな」

 

「……出来ればエルフ以外で」

 

「悪いな。エルフにとってハイエルフという存在が大きい。無駄な軋轢をファミリア内で生みたくないから我慢しろ。それもオラリオで暮らす事の代償だ」

 

「……」

 

 エルフに持って来るのを頼んだら絶対に面倒な事になるから嫌だったけど、同じハイエルフのリヴェリアさんに言われてしまえば文句は……いや?

 

「リヴェリアさん、少し楽しんでません?」

 

「くっくっく。悪いな。私もファミリア外のエルフにさえ世話を焼かれそうになっている。お前に分担されるなら少しは気楽になりそうなのでな」

 

 笑いを堪えていると思ったらやっぱりか!

 

 口元に指を当てて少し震えるリヴェリアさんはもう隠す気も無いらしい。

 いや、僕も気持ちは分かるけれど、少し腹立つなぁ。

 

 

「まあ、歳の離れた親戚、僕達の場合は従伯母でしたっけ? 従叔母からの助言なら大人しく従いますよ。何せ母さんが姉の様な人だと言っていた人ですし」

 

 ちょっと意趣返し、但し嘘は一つも無い。

 年上を敬うのも関係性も何一つ間違っていないんだから。

 

 あれれ? リヴェリアさんが一瞬固まった気がしたし、剣姫は顔を青ざめたけれどどうしたんだろ?

 

 ははーん。これはオバさん呼ばわりした事があるな。

 

 

「……くっ!」

 

「フィン?」

 

「い、いや、ちょっとアイズが入団したばかりの頃を思い出してね」

 

 あっ、正解だったみたいだね。

 

「じゃあ僕達はこれで」

 

 思わず吹き出したらしいフィンさんに低い声が掛けられる中、これ以上は巻き込まれるからと僕はジャンヌに合図をして立ち去ろうとする。

 

 あー怖い怖い、師匠の年齢をお祖父ちゃんが弄った時に匹敵する怖さだよ。

 

 

 

 ちょっと怖い感じの空気に背中を向けた僕が外に顔を出すと日はまだ高いけどダンジョンで稼ぐには遅い時間。

 元々休む予定の日だから行かないけれど……。

 

 

「明日にでもダンジョンの深層に行こうかな。戦車に乗れば日帰り可能だしさ」

 

 体を思いっきり動かして憂さ晴らしがしたい気分なんだよね。

 

 ジャンヌが居るから偶にはアナを誘うか、アレンさんにもストレス発散して貰うか、偶には誰か別の人を……。

 

 

「誰か一緒に行くか誘おうかな……」

 

 取り敢えず予定を聞いておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「深層迄行って日帰りが……」

 

「アイズ、分かってるだろうけれど乗せて貰えないかとかは無理だからね。彼は一応フレイヤ•ファミリアの傘下の団長だからさ」

 




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