オーバーロード 絶死絶命 ~199年前の墜とし仔~ 作:空想病
/AINZ VS Extra seating order , Again
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「──ふぅ」
アインズは必要もない吐息を漏らしつつ、事態が順調に推移していることを確認。
(ルベドの完全停止、成功。パンドラズ・アクターの項目、復活。アルベドの暴走もシャルティアが抑え込んだ──あとは)
戦場の真ん中で
(さすがにこれ以上〈
だとしても。ルベドを完全に封じ込めただけでも大金星と見ていいだろう。さもなければ、ここにいた全員が、ルベドに殲滅・即殺されていた可能性が高い。
(完全停止させた以上、指揮権の問題はリセットされた。当面の間は我等にも使えないが、それも良し──問題は)
番外席次が健在なこと。
彼女が見据える先には、彼女を“一殺”して消滅した、第一席次の遺した槍が転がっているのみ。
そして、
(嘘みたいな存在だ──
あれが
それをふせぐには──それこそ、ワールドチャンピオンが〈
(対象が、ワールドエネミーである場合か、だ)
ツアーの話だと、200年前に転移してきたリーダー……リクが装備していた
(と考えている場合ではない)
番外席次が
アインズは槍をどうにか槍を回収できないものか、守護者各位と共に見守っていたが、彼我の距離的にそのような隙も暇も無かった。
(まさか、番外席次も
そのような不安に駆られた刹那、
「何!?」
槍がひとりでに動いた。
まるで見えない誰かに回収されたように宙を進む。番外の手から逃れた槍は、ある女性アンデッドの黒い手によって握られていた。
「悪いけど、この槍、今は渡せないわよ」
そういったのは、完全に透明化を解除した
番外席次は暗い眼差しでサラを凝視し、手を差し出す。
「寄こせ」
「勿論、お断りよ」
「寄こせって言ってんだ、クソアンデッド! それは……それは──!」
サラは自分のボックスの内に槍を収納すると、再び透明化して逃げの一手に出る。
「あともう
「
作戦通りに事は進んでいる。
アインズは守護者各位──アウラ、マーレ、コキュートス、デミウルゴスを散開させ、そのうえで、自分の
〇〇〇〇・オブ・モモンガに。
「起動」
赤い宝玉がアインズの手中で輝き、彼の能力値を上昇させる。
今回、アインズは様子見も何も必要としない──相手の素性と能力は知れた以上、全力を尽くして「勝ち」に行く。
この
「
アインズの背後に浮かび上がる謎の時計盤。
「はっ。それが何だ。この間は一発で────」
のした相手だった、はずだ。
しかし、番外は周囲を見やる。
守護者たちがアインズから距離を取った。
彼らの主が、確実な即死魔法を選択すると理解して。
彼が本気でいることを、「勝利」を掴むべく全力でいることを理解して──
弔鐘の鐘が鳴り響きつつ、12秒を刻む……時計の針が一周し、再び天を目指す……その前に。
「〈
その即死攻撃を、女の絶叫を聞いた番外席次が、反射的に耳を塞いだが、この魔法は効果範囲内の敵へ強制的に叫び声を聞かせるもの。その程度でどうにかなるものではない。
「終わりだ」
十二時の鐘が鳴り響いた。
通常の相手であれば、これですべてが終わったはず。完全死とでもよぶべき事象によって、大気と大地までをも「死」によって汚染された、直径二百メートルの砂漠の中心に、アインズは立っている。
「が ッ! っ !?」
アインズの発生させた呼吸不可空間に突如迷い込んだ番外席次は、しかし、まだ生きていた。
呼吸できない苦しみに喉を押さえてはいたが、彼女は健在のまま──
「やはり、ワールドエネミーには効き目が十分ではない、か」
そう分析するアインズに対し、番外席次はとにかく呼吸不可空間からの脱出をはかった。
彼女の捕食した異能に「毒無効」「酸素不要」とする異能もあるにはあったが、アインズの起こした事象により空間自体が“死”そのものへと変貌しており、大地だった砂漠にも死の影響は残されている。長居すれば、さすがの番外席次も
それを、守護者たちはここぞとばかりに回り込み、砂漠の外側から攻撃の乱舞を仕掛ける。
「“レインアロー「天河の一射」”」
「す、〈
「“スマイト・フロストバーン”」
「(
ほとんど行動不能な状態で、守護者たちがこれまでの
「────っ! ────ッ!!」
卑怯なり、とは言わせないアインズ・ウール・ゴウン。
彼女の内に蔵された異能の数──捕食された命の数を思えば、これでもまだ足りないぐらいである。
「〈
第一席次に一度は貫かれ、そして元通り復元した部位が、心臓を握る衝撃三連ではじけ飛びそうになる──が、死なない。
「あまりにもしぶといな…………仕方ない」
アインズは守護者たちを
その隙に番外は直径200メートル外へと逃れるが、それも承知の上。
「はぁ──はぁ……野郎、クソアンデッド野郎が!」
そう吠え散らす番外席次に対し、モモンガは腹部の宝玉を取り出し、能力を解放──
「そんな攻撃!」
当たるわけないという言葉を吐く前に、宝玉の色がどす黒い純黒に変色し、
「…………な?」
彼女の中心を、何かが貫いていた。
正確には“
それは、おそらく──
どす黒く塗られ、今は番外席次の心臓の血色を吸って脈打つ、木の根。
複数の能力を併せ持つ
「な、んだ、これ──は?」
“
「本来であれば、第八階層のあれらと併用させることで究極の広範囲完全即死攻撃となるのだが、貴様一体分程度をやるのに、シナジー効果を発生させるまでもない」
彼女もまた生命を持つ
「あ、くそ、が…………、────」
彼女の
黒白の髪に巻かれた飾り紐がほどけ、大地の上に落ちた。
番外席次は、この瞬間、“二殺”目を、二回目の死を遂げる。
これで、ンフィーレア・バレアレの魂は解放される。実際、ペストーニャの蘇生魔法が、彼の魂を捕捉し、蘇生可能になった事実を告げてくれた。
「さて」
あとはサラの“奥の手”とやらだが、果たして?
・
サラは事の顛末を見届けた。
「…………大丈夫だよ、×××」
番外の本名を告げる死霊の女王は、告げる。
「あなた一人に、寂しい思いはさせないから」
彼女はギルドの指輪を握りしめ、そして、
「……え?」
異変に気付いた。
アインズ・ウール・ゴウン……勝利(?)
次回タイトル「“絶死絶命”」
完結まで、あと7話