エンテベ高等部、内部資料
「柊与那」高等部2年
熟慮型であり一見安定しているが厭世感が強い。
小学六年時に母親による心中から生き延びるが
その時の負傷により右目を失明している(母親は死亡)
母親は非常に戦車道に熱心であった為、それが原因で父親とは早くに離婚している。
事件後に父親へ彼女を引き取る様、行政が連絡したが
新たな家族が居る事を理由に引き取りを拒否。
当校へ
「八頭恭子」高等部2年
短慮短絡的な性格、当校へ来てからも暴力事件を幾度か
起こしている問題的学生。
小学三年時に母親による家庭内暴力から行政が保護。
(父親は業務中の事故で既に他界)
親戚へ彼女の引き取りを行政が連絡したが
経済的理由により拒否されている。
性格上の問題で各施設を転々とした後に当校へ
中等部に妹が1人居る。
「中原花南」高等部2年
家庭環境に問題が無かった為だろう性格はいたって穏やか
姉、両親祖父母と暮らしていたが災害により彼女を除いて
一家全滅となる。
近親の親戚も壊滅的な被害を受けており引き取り先が無く当校へ
柊与那を姉の様に慕っているようだ。
「六芒桜」高等部2年
性格は内向的だが、八頭恭子と不思議に気が合うようで
二人で居る時が多い。
幼少時に両親からネグレクト(育児放棄)を受け住民の通報から
餓死寸前で保護される。
行政が親戚へ引き取りを連絡したが拒否された。
施設を転々とした後に当校へ
趣味は、あや取り。
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「結局、あれから何の話をしたんだろ?」
学舎の裏庭で花南は腕を組んで呟いた。
「いやいや、お前ら同部屋だろ?帰って来てから聞かなかったのか?」
恭子は呆れたと言った顔で花南を見た。
「聞いたよ!でも、疲れた~とか言って寝ちゃったんだよね…」
「ふぅん…案外、理事長から美味いものでも振る舞われてたりしてな!」
恭子が空笑いしながら軽口を叩く。
「隊長だけ特別にステーキだぞ~とかさ!」
「………」
桜は、あや取りの手を止めモジャモジャの髪から眼鏡を浮上させた。
「んなこと絶対に無いからっ!」
裏庭に花南の絶叫に近い声が響く。
裏庭から50メートルは離れてる中等部の生徒が足を止めた。
「与那タンに限って、そんな事は絶対に無いから!!」
「はいはいはいはい、分かった分かったから!」
掴みかかってくる花南を押し返しながら恭子は叫んだ。
「お前、与那の事になると人が変わるよなぁ…」
「変わってなんか…私は元からこういう性格だっ!!」
押し返して来た恭子を花南は再び押し返す。
「与那みたいな、ああいうのが良いのか?」
知らぬ間に桜が後ろに立ち花南の耳元に息を吹き掛けながら
囁いた。
「はぁ!?ちょっ…ちょっとぉ!!」
花南は真っ赤になって飛び退いた。
「前に借りた小説読んだ…次を頼む…」
桜が上着の内ポケットから小説を出した。
「ちょっ!そんなの此処で出さないでよっ!!」
花南は耳まで真っ赤にして引ったくる。
ガールズロマンス
つまり、ガールズラブ系のエッチィ小説である。
もちろん、こういう物品の所持は禁止だが
部屋替えの時に卒業した先輩が残して行った財産を花南が
大量に見つけ出し
こっそり私設図書館を運営しているのだった。
「与那は同部屋だから読み放題だろ?良いよなぁ。」
同じく借りている恭子も顔を赤めながら次をせがんだ。
「見せてないし!知らしてもいないよ!」
へ?何で?
と言った顔で2人は花南を見た。
「どうして、教えない…?」
桜が眼鏡のレンズ越しに花南を凝視する。
「そりゃぁ…与那タン、エッチな小説とか嫌いと思うしぃ…」
「………」
「変なの勧めて嫌われたくないって言うかぁ…」
呆気に取られた桜を押し退け恭子が花南の前に立つ。
「おいおいおい!俺たちは良いんかよ!?」
「何をやっているんだ?」
3人は声の先を見た。
柊与那だ…
左手には書類らしき物を抱えている。
「大騒ぎしているから見つけやすかった」
どうやら3人を探していたようだ。
「よぉ、あれからどーだった?何かもらえたか?」
恭子は親指と人差し指で輪っかを作りニヤニヤと聞く。
「現金か、百万もらえたぞ」
与那の予想外過ぎる答えに恭子のツリ目が丸くなった。
「いや、お前…百万て…まさか、理事長の…」
「部の活動資金だ」
「部って戦車道部?」
花南が不思議そうな顔で聞く、4人しか居ない戦車道部に百万もの大金は必要無いだろう…
「1ヶ月後に試合も組まれている」
「はぁ?戦車の乗り方なんて知らねーぞ!?」
与那の口から出たあまりに唐突な試合の話に3人は唖然とする。
「…どこと、やる?」
この町に戦車道部を持つ高校は存在しない。
どうせ聞いても市外の高校など分からないのだが
とりあえずと言った感で桜が聞いた。
「黒森峰だ」
3人がフリーズしたのを感じる。
「対戦校は黒森峰女学園だ」