現代 9月16日 木曜日
「ラーン!朝ごはん出来てるわよー!!」
「わかったよ母さーん!!」
青年はベッドから跳ね起き、時計を見る。5:50分。もうそろそろ学校へ行く準備をしなくては。
洗面所へ行き、歯を磨き、顔を洗う。もう一度部屋に戻り、学校の制服を取り、着替え始める。着替え終わると、SONY製の音楽プレイヤーを取り、ダウンロードした曲を聞きながらリビングへと降りていった。
「おはようラン」
「おはよう親父」
テーブルには、コーヒーを飲みながら新聞を読む、スーツ姿の彼の父親、モロボシ・ダンがいた。
「はい、トーストでよかったわよね?」
「ああ、大丈夫だよ」
トーストとお茶を持って来た母親、モロボシ・アンヌ。
「さて、もう行くか」
「今日は早く帰ってくるのよね?」
「ああ、そうだよ」
「ランは今日はバイトあるの?」
「うん、でも今日のシフトは短いよ」
「わかったわ、ご飯用意して待ってるわね」
トーストを食べ終えたランは、ダンと共に荷物を持って玄関へと向かう。
「それじゃあいってきます」
「いってきます」
「行ってらっしゃい二人とも」
扉を開け外に出て、ダンと別れ、自転車に乗り、学校へ向かう。学校に向かう途中で、コンビニに寄り、昼御飯と飲み物を買い、また学校に向かって走り出す。
「おはようラン」
「おはよう、今日一時間目なんだっけ?」
「数学じゃなかったか?嫌だなぁ数学、俺苦手なんだよ」
「そうかな?簡単だと思うけど。俺国語の方が苦手だなぁ。漢字が覚えられん」
「お前はいいよな、数学得意で」
そんな雑談をしながら、昇降口で上履きに履き替え、教室へ向かう。自分の席に着き、音楽プレイヤーを取り出し、音楽をまた聴き出す。
「おーうお前ら席つけー」
担任の先生が来て、音楽プレイヤーの電源を切り、鞄の中に戻す。
「出席を取るぞー、赤木!伊藤!ー」
出席を取り、連絡を終えると、先生は教室を出ていこうとする。だが、それをランが止めた。
「ゲン先生、今度、親父の誕生日パーティに招待したいんですけど・・・。来週の土曜空いてますか?」
「ああ、もうそろそろか、ダンさんの誕生日。学生時代お世話になったんだ、もちろん空いてる、行くよ」
「ありがとうございます」
「そうだ、もう進学先は決まったのか?」
「ええまぁ」
「なら、頑張れよ」
「はい!」
ゲンはランの肩を叩いて職員室へ向かった。ランは叩かれた肩に触れた後、自分の席へ戻っていった。
「これで授業を終わりにする」
「起立!礼!着席!」
六時間目の授業が終わり、荷物をまとめ駐輪場へ向かう。自転車に乗り、バイト先へと向かう。バイト先であるコンビニに到着すると、制服を着替え、コンビニの店員服になり、レジへ立つ。
「いらっしゃいませー」
「タバコを、銘柄は・・・」
会計、棚だし、いつもの仕事をやり、家へ帰る。
「ただいまー」
「お帰りなさいラン。お風呂入ってきちゃいなさい」
「わかった」
自室で制服を脱ぎ、クローゼットにかけ、お風呂へと向かう。
「あー・・・」
湯船に浸かり、目を閉じる。
「この頃変な夢を見るんだよなぁ」
そんなことを呟くラン。彼が見る夢というのは、大きな目に、鶏冠、赤いラインと銀色のラインが体にあり、胸には水色に輝くランプがある人型の何かである。
「あれなんなんだろう?」
「ランー!もうそろそろ上がってきなさーい!」
「はーい!」
風呂から上がり、パジャマに着替えてリビングに戻ると、ダンが帰ってきていた。
「お帰り親父」
「ああただいま」
テーブルにつくと、アンヌが夕食のハンバーグを持ってきた。
「いただきまーす」
「はーい召し上がれ!」
ハンバーグをナイフで切り、口に運ぶ。
「うまいよ母さん」
「そう?ありがとう、学校はどう?」
「いつも通りだよ、あ、そうだ。ゲン先生が来週の誕生日パーティに来てくれるって」
「本当?よかったわ!」
「ああそうだな、ゲンとは昔いろいろあってね」
「そうだったんだ。急にゲン先生も誕生日パーティに呼ぼうっていうからびっくりしたよ」
ここまでが彼らのいつもの日常。だが、この日常が、近い日、壊れることを彼は知らなかった。
9月24日 金曜日 12:40
「なぁ、明日空いてるか?」
「ごめん、明日は親父の誕生日パーティなんだ」
「そうなのか!おめでとうって伝えておいてくれ」
「ありがとう、でもどうしたんだ?」
「いや、カラオケでも行こうかなって思ってたんだ」
「そうだったのか」
そんなことを話していると突然。
ドガァアアアアアン!!
ガシャァアアアアン!!
爆発音と共に、窓ガラスが砕け散った。
「危ない!!」
ランは友達の頭を掴むと庇うようにうずくまる。
「ありがとうラン」
「いや、それよりも」
ランは立ち上がり、割れた窓の外を見る。炎が上がっている、街中を見る。
「っ!?親父の会社のビル!!」
「マジか!?」
「行ってくる!」
「お、おい!!ラン!!」
ランは走り出し、昇降口へ急ぐ。
「ラン!!どこへ行く!!」
「ゲン先生!!親父の会社のビルが、爆発したんです!!」
「なに!?」
「親父が心配なんでいってきます!!」
「おいラン!!」
ゲンの制止を無視してランは走り出す。何度も転びそうになりながらも爆発地点にたどり着いたラン。そこでは、衝撃の光景が広がっていた。
「おや、じ?」
騎士のような、赤いスーツを着たランの父親、モロボシ・ダンが、黒に赤の雷状のラインが入ったアーマーを着た何者かに腹を貫かれていたのだ。ダンをランのそばに吹き飛ばした。
「親父!親父!!」
「ラ・・・ン・・・何で・・・ここに居る・・んだ?」
掠れた声でランがなぜ自分のそばに居るのか、ダンは聞いた。
「何でって、親父の会社のビルが爆発したから!」
「なら・・すぐに逃げるんだ・・・奴から・・全力で」
見ると、先ほどのアーマーを着た何者かが、不気味な笑い声を上げながらこちらへ向かってきている。
「これを・・・着けていけ」
ダンは自身が使用していたスーツをランに着せこう言った。
「母さんと、ゲンの・・・ところに行くんだ・・・。奴の正体や・・・今、お前が着ているアーマーについて教えてくれるはず・・・だ」
そして、ダンは力尽きた。
「親父?親父!おい親父!!!」
肩を揺らすが反応は無し。
「クソッ!!」
ランは立ち上がり、全力でその場から逃げた。アーマーの機能のお陰か、物凄いスピードが出ている。
アーマーの下にいるランの顔は、涙と鼻水でグショグショだ。まずは、母親の居る家に急ぐ。だが、その家はもうすでに炎で焼け落ちていた。
「そんな・・・」
ランは膝から崩れ落ち、自分の無力さに絶望した。
だが、このまま崩れ落ちていても仕方がない。足に力を入れ、ダンに言われた通り、ゲンのもとへ向かう。
ダン!ダン!ダン!
ランに、インターフォンを押すという当たり前の行為を行う余裕はなかった。ゲン宅のドアを猛然と叩く。
「ダン!なのか?」
「ゲン先生!」
「ラン!?どうした!?それ、ダンのだろ!一体なにがあったんだ!!」
「親父と母さんが!」
「っ!?・・・。来い!」
ゲンは無言でランを抱くと、頭を撫でて家に入れた。