MARVEL ULTRAWORLD   作:競馬好き

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修行2

「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

「ラン、もっと速く走れ!」

「まだ速く!?」

 

ゲンの注文に驚きながらスピードをあげるラン。もうすでに30キロほどのスピードで走っている。テクターギアという負荷装置をつけてあるのにも関わらずだ。テクターギアなしでは一体どんなスピードで走ることができるというのだろう。

 

「よーしこれでいいだろう。それじゃあ次に、この岩を持ち上げてみろ」

「こんなでっかい岩を!?」

 

全長10mほどある岩を指差してゲンは言った。ランはゲンと岩を交互に見ながらホントにという顔をした。

 

「いいから持ち上げろ」

「えー・・・」

 

仕方なく、岩に手をかける。すると、何と軽い。石ころのように軽いのだ。

 

「お前は、完璧にウルトラ因子の力を発動させることはまだ出来ていない。だが、微量ながらも発動しているんだ、その事を理解しろよ」

「そういうことね」

 

ゲンは、ランがもつ力の恐ろしさを教えてくれていたのだ。普通の人間が、大きな岩を軽く持ててしまう腕力を手に入れたらどうなるか?簡単に言えば力の制御が効かなくなる。そのためにはまず、自分の力について知らなければならない。握手しただけで相手の手を粉々に砕いてしまうなどあってはならない。

 

「それじゃ、次はジャンプしてみろ」

「オッケー。よっ!」

 

少し力を込めて軽くジャンプしてみると、家の屋根に届くくらいの飛距離が出た。ここに、背や脚部にあるブースターを使えば、さらに飛距離が伸びる。

 

「スッゲーな」

「それがお前の力だ。俺は、最初はそこまでの力は出せなかった。お前は特別なんだ。唯一ベリアルに対抗できる存在なんだ。だから・・・死ぬなよ?」

「・・・」

 

それを聞いたランは、今自分がどんな道に立っているの再認識した。これから、ランは普通の人間が進んでいた道から逸れ、死と隣り合わせの道を進んでいくのだ。心の中で、ダンよりも長生きをしてやると思っていたのだが、もしかしたらこの戦いで死んでしまうかもしれないと彼は思った。

 

「親父よりも長生きはしないと、それに、アベンジャーズに迷惑かけられないだろ?」

「フッ、そうだな。よし、次だ。ラン、自分にあるエネルギーを全身に行き渡らせるんだ。それで、走ってみろ」

「わかった」

 

ランは言われた通り、自分にあるエネルギーを全身に行き渡らせた。すると、体から青色のオーラのようなものが出始める。

 

「これって?」

「お前の力がfullで使える状態だ。ただ技は使うな。走るだけだ」

「わかった」

 

ランは正面を見据え、足に力を込める。そして、勢いよく踏み出した。すると、周りの景色がスローモーョンで動くようになった。不安になって立ち止まり、後ろを見ると、先ほどいた場所から120mほどの場所に来ていた。

 

「え?」

 

何が起きたのか、わからなかった。ランはゲンの居るところへ戻り、話を聞いた。

 

「すごかったろ?それがお前の特性だ」

「特性?」

「ああ、ウルトラ因子には、面白いことに人の性格みたいにそれぞれ違った特性を持っているんだ。その特性は、親から受け継ぐものもあれば、新たに得ることもある。さっき使ったお前の力は、ダンからの遺伝の他に、新たにお前が得た特性。超高速運動」

「超高速運動・・・」

「生身の状態でやれば、体の原子が分解されて死んでしまうが、スーツを着た状態で使えば、それは起きない。超高速移動はよく見る能力なんだが、お前のは珍しい」

「へー、でも何で超高速移動と何が違うんだ?」

「移動との違いは、体の一部分にその力を使えば、その部位だけが超高速で動くようになる。簡単に言えば応用力があるんだ」

「へー。それじゃあ、パンチとかにこれを使えばあのスピードで攻撃できるってことか」

 

ウルトラ因子の特性の話を聞いたところで、スーツを脱がされるラン。これから一体何が始まるのか?

 

「何でスーツ脱いだ?」

「ほれ」

 

と、渡されたのはダンベルであった。

 

「まさか」

「そのまさか、筋トレだ。さっき光線出して吹き飛ばされてたろお前。それを克服するためだ。ほら始めろ」

「えー・・・」

 

不服そうな過顔をしながらも、筋トレを始めるラン。その後、筋トレを挟みながら、三半規管を鍛えるために変な機械でぐるぐると体を回されたりといろいろなことをここ一週間されたラン。

 

「オェエエエエ!!」

「そんなんじゃ空なんか飛べないぞ?」

 

酔ってしまったのか、先ほど食べた昼御飯を吐き出すラン。その姿を笑いながら見るゲン。それを見たランはゲンを睨み付ける。

 

「ごめんごめん、それじゃあ。遂にやるか」

「やるかってなにを?」

「お前に宇宙拳法を教えるんだよ」

「っ!?遂にか・・・」

「この修行が終わったら、ベリアルのところに行くぞ」

「わかった」

「構えろ、行くぞ?」

「いつでもどうぞ?」

 

挑発するようにランはゲンに言うと。鼻で笑いながらゲンはランを見据えた。

 

数秒間無言の時間が流れる。聞こえてくるのは風で巻き上げられた砂ぼこりの音のみ。

 

 

 

 

仕掛けたのはゲンからであった。中国の拳法に似たものをベースに、さまざまな武術の技が織り混ぜられた攻撃がランを襲う。それをすんでのところでかわしながら反撃の隙をうかがうが、そんな隙はない。というよりも、現状のランではあったとしても見つけられないのだ。

すると、ゲンの拳がランの腹に突き刺さる。

 

「ぐぅううっ!」

 

近くにあった岩に叩きつけられる。ウルトラ因子の力で怪我はないが、ダメージは大きい。痛いという単語が脳を埋め尽くす。そんな状態のランに、ゲンはあることを言ってくる。

 

「宇宙拳法とは、拳法であって拳法ではない。この言葉の意味を考えろ」

 

言い終えると休むまもなく攻撃を仕掛けてくる。ゲンの拳は岩に突き刺さり、それを強引に抜く勢いを利用して裏拳を放ってくる。それを背中に受け、次は正面から岩にぶつかる。

 

「がっ!?」

 

ふらふらと立ち上がり、先ほどマスターした超高速運動で攻撃を仕掛けるが受け流される。同時に背中を掴まれ投げられた。

またも岩に激突。

 

「気配を感じろ、目で見て反応してるんじゃ命はないぞ!」

「ちくしょう、オラァアアア!!!」

 

雄叫びをあげてゲンに向かっていくラン。だが、また吹き飛ばされる。

その後もその繰り返し、拳法をならい始めて初日は何の成果はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京都  渋谷 スクランブル交差点上空

 

 

そこには、巨大で半透明な、岩のリングが重なりあったような基地が浮かんでいた。交差点をわたっている者達はこの基地の存在に気づいていない。その基地のなかに、赤く、つり上がった目を持つヘルメットを置き、隣に目映い光を発する杖を基地の床に突き刺した男が椅子に座っていた。

 

「フフフ、遂にこの時が来た」

 

男は、懐から小さな棍棒を取り出した。その棍棒の両端には画面のようなものが無数についていた。

すると、その棍棒の柄が伸びる。同時に光の玉が集まっていき、画面のなかに入っていく。光の玉が入った画面に、地球の生物とは思えない獣の姿が写し出された。

 

「すべてのパーツは揃った。この惑星に、いや、この宇宙に居るウルトラ因子を持つ者達は、皆殺しだ」

 

憎しみを込めた声色で男は言うと、男はヘルメットを被り、高笑いを上げた。

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