目を覚ますと、とても綺麗な都市にランはやって来ていた。クリスタルのビル、道。どれもランがダンからの聞いたことのある特徴の都市であった。
「光の国?」
M78星雲光の国。ウルトラマンの故郷である。ここでウルトラマンは産まれ、宇宙の平和を保つため、宇宙警備隊を作ったおとぎ話の惑星であり、すでにベリアルに破壊された惑星である。
「どうして光の国に?俺気絶したんじゃ・・・」
なぜ自分が光の国に居るのかわからず、混乱するラン。とにかく誰かに話を聞こうと歩き出す。
「あの!すみません!」
歩きながら、周りの人々に声をかけるが、反応が帰ってこない。どうやらランのことは見えていないようである。
しばらく歩いていると、見覚えのある人物が現れた。
「親父?」
死んだはずのダンが、現れたのだ。
「やはり来たか」
ダンの口ぶりから、ランがここに来るのをわかっていたようだ。
「親父、ここどこ?」
「光の国だよ、滅んだはずのな」
「俺転送でもされたの?」
「いや、ここは光の国ではあるが、厳密には存在しない。俺が居るんだからわかるだろ?」
「あの世ってこと?」
「まぁそういうことだな。歩きながら話そう」
ダンと共に歩きながら、光の国の景色を眺める。先ほども言ったが、とても綺麗なところである。日光によってキラキラとビルも道も光輝き、とぎ話にされるのも納得の場所である。
「なぁ、ラン、ウルトラマンってどんなイメージがある?」
「え?怪獣や宇宙人を倒す、英雄かな?おとぎ話とかの印象で完璧な英雄ってイメージがある」
「そうか、まぁ、そう言うかもな。だが、ベリアルがいるだろ?」
「そういえば、何でベリアルはあーなったの?」
「簡単に言えば、悔しいという気持ちが強かったんだ。だから力を求めてあーなった。人間と同じだよ」
「人間と同じ・・・」
「ウルトラマンとて、感情はある。聖人のような者はいない。苦しむし悲しむ、そして恨む、妬む。負の感情を持っている。完璧ではないんだ。だから、ベリアルが産まれ、滅びた。
ウルトラマンは、確かに英雄だ。その分、恨まれることも多いし失う物も多い。そういった存在なんだ。棘の道を進んでいる。ウルトラマンになるということはその棘と一生戦っていくしかない。大切な人が、物が、場所が破壊される。怒りや喪失感、さまざまな感情が常につきまとう。それでも、俺達は戦っていくしかないんだ。とても苦しい道のりがお前に待っている。それでも、お前はウルトラマンになるか?」
「親父・・・俺は・・・」
ウルトラマンの道のり。その道のりがどれだけ苦しいものなのか。どれだけの困難が待ち構えているのか、ランにはまだわからない。その見えない恐怖と戦い、進んでいく。それがどれだけ険しいのか、想像がつかない。それでも彼は。
「なるよ。ウルトラマン。もう、俺には何もない。だけど、ウルトラマンだったら、なにかを作れるんじゃないかな?」
進んでいく。そう決めたのだ。スーツを着たあの日は、ゲンの期待に答えるためであった。だが、本心はそんな思いはなかった。喪失感から、なにか目的がほしかった。だからこそ、あのような聖人のような単語が出たのだ。だが、もしかしたら、あの言葉を実現できる日が来るかもしれない。あのとき言ったデタラメがいつか本当になるかもしれない。先が見えない。だからこそ進む。それが彼の決断だった。
ランは走り出した。なにかを成すために、走り出した。
「ラン」
「なに?」
その背中に、ダンの声がかかる。立ち止まり、振り向く。
「お前のやりたいようにやれ、それがお前の道となる」
ダンがそう言うと、ランはまた走り出した。そして光の玉となり、消えていった。
「これが、一人立ちか」
ダンはそう言うと、来た道を戻り始めた。その顔には
地球
怪獣達は、動かなくなったのを見て、死んだと思ったのか、その場から離れ、逃げ遅れた人間を探し始めた。
「グルルル」
唸り声を上げて、鼻を使い、くまなく探す。もしくは、自身の能力を用いて、探す。
その時、奇妙な音が響き渡った。
ピコン。
タイマーのような音であった。怪獣達は、音の出所を探して、キョロキョロと周囲を見渡す。だが、見つからなかった。というよりも、怪獣達の思考ではその音が背後から鳴っていることがわからなかった。
ピコン。
もう一度鳴り響き、もう一度周囲を見渡す。見つからない。
ピコン、ピコン。
回数が増えた。
ピコン、ピコン、ピコン。
ピコン、ピコン、ピコン、ピコン。
ピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコン。
一度に鳴る回数が増え、さらにその間隔はとても狭くなった。
それにより、やっと、音の出所がぐったりと倒れている。先ほど自分達が倒した人間であることがわかった。
怪獣達はその人間に近づいていき、睨み付けた。
「グルルル」
唸り声を発して、威嚇する。
ピコンピコンピコンピコンピコンピコン(ベータスパーク音)
最後にひときわ大きな音を立てると、突如、アーマーに光が灯る。次の瞬間、怪獣の意識は吹き飛んだ。
怪獣を、壁に叩きつけて絶命させたラン。その体からは、最初に力を使ったときよりもはるかに多いオーラを噴出させながら、怪獣達を睨み付けた。
「デェエエヤッ!!」
掛け声と共に、怪獣達とぶつかり合った。掌底で吹き飛ばし、回し蹴りで首をへし折り、肘打ちで内蔵を破裂させる。先ほど、同じ人物とは思えないほどの大立ち回りで怪獣達を倒していった。
「ジェアッ!フッ!デヤッ!」
その場にいた怪獣達を倒し終えると、ゲンが向かっていった方向へ走り出す。その方向から、怪獣達がランの方へ向かってくる。
それを見たランは、スラッガーを手に取り、怪獣達へ飛びかかっていった。
向かってきた怪獣の首を切り裂き、振り下ろしてきた鍵爪を受け止め、飛びかかってくる怪獣の体を足場にして飛び上がり、体を回転させながら複数の怪獣を斬り殺す。その後、スラッガーを投げ、念力で操り怪獣を切り裂きながら、エネルギーを貯めて光線を発射。
「デェエエエエヤ!!」
怪獣達を一網打尽にしていく。
向かってきた怪獣達を倒し終え、スラッガーをメットに戻し、ゲンのもとへと向かう。
「トアー!!」
「ヴアッ!!」
ゲンとベリアルは、激しい戦闘を繰り広げていた。両端に画面がついた棍棒、ギガバトルナイザーとゲンの拳がぶつかり合い、その衝撃により、コンクリートは割れ、街灯はへし折れる。
「デェイ!!トア!!」
「ヌハハハ!!イヤッ!!」
ナイザーの攻撃を腕で防ぎながら、拳擊を腹部に加えるゲン。だが、ベリアルは呻き声一つ上げず、一切効いていないようである。
それを見たゲンは、距離を取り、その場で飛び上がった。ウルトラ因子の力で、右足に炎を出現させベリアルに繰り出す。
「フン!!効くわけがないだろう?」
「くっ!」
だが、ベリアルはそれを片手で掴み、そのまま地面に叩きつけた。その衝撃で、アーマーの一部が破損する。
「グアッ!?」
そして、ナイザーから電気状の鎖を出現させゲンを拘束、そのまま上空の基地へと連れていってしまった。
その直後、ランが到着し基地へと連れていかれるゲンを目撃。
「待て!!シュアッ!!」
背部と脚部にあるスラスターで初速をつけながら飛び上がると、因子の力で浮かび上がり、基地へと向かっていく。すると、基地はエンジンを点火し、かなりのスピードで宇宙へと向かっていく。
それを見て、ランはスラスターに回しているエネルギーを増やし、加速する。大気圏を抜ける直後に基地に追い付き、足場になる場所を見つけてそこに降り立ち、額にあるビームランプから緑色の光線、エメリウムスラッシュを出し、壁に穴を開けて侵入した。
基地内
基地のなかは、火成岩のようなもので出来ており、至るところにマグマが流れている。基地にはさまざまな部屋が存在するが、一つの部屋以外、一本の黒い棒が立っているのみである。
「ハァーハッハッハッハッ!!お前の抵抗も無意味だったようだなぁ?」
「グッ!それは、どうかな?」
一つの玉座があるとても広大な、ベリアル専用とも言える部屋の中心で、ゲンはベリアルに首を掴み上げられていた。挑発するようにベリアルの問いに答えると、イラついたのか、ゲンを地面に叩きつけた。
「グハァッ!!」
「まだそんな戯れ言を言うか?お前達に勝ち目はもうない!!俺様がお前達ウルトラマンをすべての排除し、この宇宙を支配する!!お前が持つ因子の主であったウルトラマン達が守っていたこの宇宙を!!俺様を見下した奴らが守っていたこの宇宙を!!支配し、破壊する!!あいつらがやってきたことをすべて無に期してやる!!そのための糧となれ!!」
ナイザーを大きく振り上げるベリアル。そこには憎しみが込められていた。それほどに彼は周りに認めてほしかったのかもしれない。振り上げたナイザーをゲンに叩きつける。ゲンはそれを腕をクロスさせてガードした。
「グッ!!」
しかし、何度も何度も、自分を見下した奴らの顔を思い浮かべながら、ベリアルはナイザーを何度も何度も叩きつけていく。
ゲンのアーマーは砕け、だんだんと腕の力が抜けていく。そして、ナイザーはゲンの体を直撃した。
「グホッ!!」
凄まじい痛みが走り、メットのなかで血を吐き出す。そこに、休む間もなく、またナイザーが叩き込まれた。その際、肋骨が何本か折れる。そして、止めとばかりに、ベリアルはナイザーに電撃を纏わせ、振り下ろした。
「デェエエエエリャッ!!」
「グァアアッ!?」
しかし、その一撃はゲンに届くことはなかった。右足に高熱の炎を纏わせた飛び蹴りが、ベリアルに叩き込まれたのだ。
ベリアルは吹き飛ばされるも、すぐさま立ち上がり、攻撃してきた何者かを捉えた。
「誰だ!!」
その者は、傷だらけのゲンを抱き上げると、離れた場所へ写し、怒りを込めて拳を握りしめ、勢い良く振り返りながら名乗った。
「ゼロ、ウルトラマンゼロ!セブンの息子だ!!」